2022年08月02日

萬年筆は刃物 V3 その12  極細調整の妙味 ・・・ UEF、細美研ぎ、タコスペ超不細工 アーカイブ 2014年11月

この記事が書かれた2014年時点では、まだUEFの研ぎに対する正解は発見されておらず、少しずつ変化・進歩している状態だった。

名前の付いた研ぎ(たとえば長刀研ぎ、ラストフォルカン、タコスペ超絶M)などは時代ととともに進化している。

同じようにUEFの世界でも細美研ぎ、たこスペ超不細工も今では以前とは違って、お互いに似てきているようだ。

そして今やUEFでそこそこの書き味を出すことは難しくなくなった。ただし筆圧は低くなければならない。

万年筆の世界では強筆圧で良いことは何も無い?特に超極細の字を書きたいなら筆圧は50g程度通いだろう。

その筆圧で細美研ぎやたこスペ超不細工をペン先に適用すれば、おそらくは感動的な超極細の書き味が体験できるだろう。



自己調整に挫折する人は、たいてい極細の万年筆の書き味を何とかしようとして挫折する。それは極細の何たるかを理解しないまま削ってしまうからじゃ。

拙者も昔は極細調整が苦手だった。そもそも自分では萬年筆で字はほとんど書かなかった。書いていたのはプレゼン資料のストーリーとか、書き込みだけ。

従って他の人にも見やすいよう、太字や極太を使うことが多かった。細字萬年筆を使うニーズが無かったので、自分用に調整する必要がなかったのじゃ。
 
調整の完成度は調整本数の関数なので、調整本数が少なければ上達しない。すなわち拙者の極細調整は、ペンクリをやるまで一切上達しなかった・・・

極細を演出するにはいくつかの方法がある。思いつく限りあげてみよう。

(1)ペンポイントを薄い円盤研ぎにし、ペンポイントの寄りを強める。これで字幅は減り、字は細くなる。

  ただし、インクフローが悪いので気持ちよくはない。また横線は若干太くなる。


(2)ペンポイントを縦横ともに削って極細を演出する。インクフローは良いのだが、針でつつくような書き味になる。

  細さの追求だけならこれが一番!ただし書き味は最悪。


(3)(特にPilotの)ペンクリでUEFに研いでもらうと、ペン先先端部がカモノハシの様に細長いうえにインクフローも良い。

  力を入れないでゆっくりと書けば書き味も良好。ただしペン先が軟らかいので速記には向かない。


(4)細美研ぎの万年筆を購入するか、Sailorのペンクリで研いでもらう。この研ぎの特徴は硬いペン先を超極細に研いでも書き味が悪くないこと。

   従って超極細であっても速記が可能。細美研ぎは今までの常識に反して、ペンポイントの背中を研いで超極細を演出している。

   もちろんペンポイントの腹も落とすのだが、これによって寝かせて書いても超極細が演出できる。


(5)タコスペ超不細工は、拙者が萬年筆研究会【WAGNER】のペンクリで細字化につかう研ぎ方。

  (1)の円盤研ぎと(4)の細美研ぎの両方からヒントを得た研ぎ。超極細Stubのような字形になる。 

素人が超極細をにしようとして研ぐと、必ず(2)の縦横削った極細になる。これは針であってペンポイントとは呼べない。

ただし、米粒に文字を書くようなときには、この研ぎでないと細さは演出できない。

手帳にゆっくりと文字を書くような場合や、原稿用紙への注釈入れにはPilotのUEFが向いている。書きながらうっとりとしてしまう。

記帳や会議資料へのメモ書き、台本へのコメント書きなどには細美研ぎが良い。この研ぎの一番の特徴は早く書けること。ペンポイントの強さが損なわれない研ぎなのじゃ。

タコスペ超不細工は、元々がM以上の太いペンポイントを削って細い線を書くための研ぎ。しかも生産性高く研ぐための研究を続けて至った研ぎ。

UEF細美研ぎほど細くはしないので、そのぶん書き味は良い。横線は細く縦線はやや太いので極細Stubのような線を描く。そして立てても寝かせても線巾に変化は無い。

実は、超極細の線巾が太くなる原因はペンポイントの腹の部分。従って寝かせて書けばたちどころに線巾は太くなってしまう。

もっとも小さな字で注釈を書くような場合には、万年筆を垂直近くに立てて筆記するので、ペンポイントの腹の部分は使わないはずなのだが、やはり少しは紙に接触し線巾を太くする。 

そこで、 細美研ぎタコスペ超不細工では 、ペンポイントの腹の部分を(むだ毛処理のように)、真っ直ぐにさらってしまう。

そこからどのように研いでいるかは20倍のルーペで凝視すればわかるだろう。

細美研ぎは、研いだ形状を見れば、なるほどと納得し、これなら極細は可能だよな・・・と思う。

しかし、これを最初に思いついた人はすごい!発想の転換というか逆転の発想というか・・・

ご本人にうかがったら、【ペンクリでの窮余の一策】と答えるかも知れないな。今度聞いてみよ!

ちなみにプラチナの超極細は、(1)の円盤研ぎを施したあとで、背側と腹側を丸めて、その頂点で書くように調整してあったと記憶している。

まぁ、当たり外れはあるが、これ以上ひと擦りも調整出来ないような(素晴らしい書き味の)個体を拝見したことがある。 あれには驚いたな。 


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック