2022年09月14日

【 Pelikan #350 マーブルブルー 12C-HF 】

現在ではペン先の裏にロジウムを鍍金するのは、インクフローが良くなるからだと信じられているが、この時には12金が腐食するのを防ぐためと解釈していた。

それにしてもこの#350は好きだったし、今でも好きだ。ただしペン先はさほど好きでも無い。

このこざっぱりとしたインク窓が良いのだ。萌える〜!

クリップから上の天冠部分が長いのも、長頭くんみたいで好ましい。

これ今新品で手に入れば、定価で500本は売る自信があるなぁ。




2007-06-13 01The Pen Catalogue 1993】によれば、この万年筆はPelikan #350 マーブルブルー(12金バイカラー)で定価21,000円。

当時は現在のM400の前の型が#500として売られていた。定価は30,000円。

また#250は12金シングルカラーニブ付で20,000円。バイカラーとの差はわずか1,000円じゃ。ちなみに外見はまったく同じ#200は鍍金ペンで15,000円。

キャップリングが一本の#481は12,000円。その#481とまったく同じスペックでスケルトン仕様の初代ペリスケは5,000円。売れたわけだ・・・

この何年か後、#350は店頭から回収された。どうやら価格政策の不整合を解消するためのラインナップの整理統合をしたらしい。

一説によると12金のニブの耐久性に問
題があったのでは・・・とか。いずれにせよ、12金のニブの在庫が強制的に回収されるという噂が、コレクターを動かした。

要するに拙者などは在庫確保に走った・・・が既に大半は回収された後じゃった・・・・

この当時の#350と現在のM250は見かけは似ていてもまったくの別物と考えたほうが良い。

あくまでも移行期の中途半端なモデルなのだが、それがまた人気をあおっているのかもしれない。


2007-06-13 02依頼品には【HF】という刻印がある。Hard Fine の頭文字をとったもの。

これは発売当初の#500や#600のペン先がふにゃふにゃと言ってよいほど柔らかく、筆圧で壊してしまう事故が続発した。

そこでPelikanはやむなく高筆圧に耐えられるペン先を投入した。それが頭に【H】が付くモデルじゃ。

HEF、HF、HMというのは見た記憶があるがHBとかHBBは存在しなかったのではないかな・・・。

ペン先先端の横幅が細字になるに従って狭くなり、それにともなって柔らかさが増してしまう=耐久性が無くなる・・・

写真のHFのモデルではペン先の傾斜がほぼ直線でえぐれが殆ど無い。またペン先のハート穴付近の厚みがやや厚いと思われる。

14金から12金にしたのも素材自体の剛性を高めようとしたのかも知れない。

金の含有率が下がるほど耐酸性も下がるので、それを多少でも緩和する為に、バイカラーモデルではペン先の裏側にもロジウム鍍金を施してある。

その手間を考えると1,000円の価格差は安いと考えてよいじゃろう。拙者はバイカラーはこの万年筆には似合わないと思うがな。

現在では【H】が頭に付くバリエーションは無い。当時の【H】付ペン先よりも硬くなっているのじゃ・・・


2007-06-13 03 ペン先をはずして見ると、例によってペン先のスリットが詰まっているのがわかる。またペン先斜面のスロープにも美しさを感じない。

もう少しだけえぐれている状態が美しいし、書き味も多少は柔らかくなる。

ただし削りすぎるとペン芯が見えて醜くなってしまう。ほんの少し削ってみよう。

またスリットを多少拡げ、ペン先をお辞儀させてペンポイントを腹開き気味にしてからペン先を研磨じゃ。


2007-06-13 04こちらがスロープ研磨とスリット拡げを施したあとのペン先。すぐ上の画像と比べて、格段に高級感が増したのがわかる・・・・・かな?

毎回分解する度に思うのだがPelikan M400系のペン先は小さいな。400NNのペン先は首軸内部に隠れている部分が長い。

それと比較するとM400系は短い。ペン芯内部が長いほどペン先はソケットにしっかりと固定され書き味は安定感を増す。

そういうところの手抜きするのは、設計者が万年筆を良くわかっていないから。

コスト削減を目標として無駄な部分を削っていけば、ソケットの後ろにはみ出した金は無駄の代表じゃろう。

しかし、その部分こそが書き味の安定と、販売店による多少の柔らかさ調整の余地ということに気付いてないようじゃ。

メーカーは市場クレームが怖いのでメーカーの中だけで完結する仕組みを重視し、市場でのカスタマイズを極力させないような動きをして来た。

イージーオーダーを否定し、企画にあわせた既製服のみで商売しようとするに等しい暴挙じゃ。

メーカーと市場の販売人が協力体制を組んで、顧客の希望に沿うようなカスタマイズが出来てこそ、萬年筆の将来像が見えてくる。

その大局観を持てないとせっかく微かに活性化した市場が萎んでしまうだろう。


2007-06-13 05
こちらは軸に取り付けた後でペンポイントの研磨を施したもの。ほんの少しの改良なので、それほど劇的な変化は期待していなかったのじゃが・・・良い!

12金ペン先ではあるが、発売当初の#500の書き味に近くなった。ふにゃふにゃではないが、非常に上品な筆あたりじゃ。

これ以上微調整を施すと、万年筆のグレードを越えてしまいそうなので止めておこう。万年筆には値段相応の書き味の範囲がある。

それを超えて書き味が良くなると万年筆界の序列が壊れ、相場崩壊が発生する。それは拙者の本位ではないからな。



【 今回の調整+執筆時間:3.0時間 】 調整1.5h 執筆1.5h 

Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック