2022年10月21日

【 80年代後半 Montblanc No.146 14C-F 背書き可能に】アーカイブ 2009年10月

調整の仕上げ状態は時代とともに(拙者の)好みが変化している。

最後の写真のように裏書き用に過度に調整することは今では無い。

また裏書き調整自体も、ペンポイントの通常の形を大幅に変えるような研磨は(強く求められない限りは)しない。

出来るだけオリジナルに近い形状を維持できる範囲での調整が基本。そのような心境変化が起こっている。

この記事を書いた時点では徹底的に書き味追求をしており、オリジナルの形状にはこだわっていなかった。

拙者もまだ調整が面白い盛りだったのだろう。遊びで研磨/調整していた時代じゃな。

当時は好みの書き味にねじ伏せるような調整をしていたのだが、最近ではオリジナリティと書き味の折り合いを付けるような調整に方針変更した。

そして、そう変更してからの方が、実は書き味も一段階良くすることが出来るようになった。

制約が加わることによって技術は進歩する。そうF1の世界のようにレギュレーションが厳しくなっても一周のタイムが短くなるがごとし。




2009-10-05 01今回の依頼品はMontblancのNo.146。基本的には生贄扱い。実用品として使うのでインクフローを増やす程度で良いのだが、多少細工を施すことにした。

金一色14K付き1980年代後半モデルは、拙者が最も好きなNo.146。そこて実用品として最高の品へ変身させてみせよう!という意気込みで調整開始。


2009-10-05 022009-10-05 032009-10-05 04このペン先は一度調整されている。しかもなかなか上手い調整じゃ。

ただし調整戻りか、筆圧の加減かでペン先が寄り、インクフローが多少悪くなっている。

ペン先の背中側を落としているが、反対側で書くには調整不足。また、多少見映えが悪いので、この際、背中側でも絶妙に書けるように調整することにした。

もちろんスリットは多少開いてインクフローの改善を行う。


2009-10-05 05上がこの80年代後半のNo.146についていたクリップで、下が90年代のクリップ。1980年代前半までのクリップはなで肩。

80年代後半からはいかり肩と呼ばれているが、実は同じようないかり肩でも微妙に違うのがわかるかな?

80年代後半の方が多少作りが雑で稚拙。ただこの多少の雑さがなんとも良いのじゃ。


2009-10-05 06こちらはクリップの刻印。上が80年代後半モデルで、下が90年代以降のモデル。

この部分は型押しとレーザー刻印の差かと思われる。拙者の好みは下なのだが、クリップの雑さとの整合性を考えれば上の方が良かろう。

国内外のオークションでは、各部品が入りまじったNo.146が頻繁に出品されている。従って自分でそれぞれの時代の特徴を知った上で再構成する必要がある。

実際には拙者が知っている以上のバリエーションもあるはずなので、不明な点があれば萬年筆研究会【WAGNER】に持ち込んで下され。


2009-10-05 072009-10-05 08元々の素材が良いのでペン先調整は簡単。スリットを多少拡げ、エッジを取り、仕上げをすればよい。

ただしこの調整には最低でも30分はかけることにしている。ほとんどは書き味というよりは見映えの微調整。

右側画像の状態になれば見映えも書き味も最高になるはずじゃ。


2009-10-05 092009-10-05 10最後の仕上げは裏書き調整。以前の形状と比べて背中側から表側への曲線が滑らかになっているのがわかるかな?

これによって裏で書いてもそこそこ書ける・・・ことを狙ったのだが、驚異的な書き味になった!

表書きではインクフロータップリの細字としては最高限度の書き味だが、裏書きも負けていない。

いや、綺麗な字を書くには裏書きでゆっくりと書けば表書きの字を上回るかも知れない。

表書きと裏書きでは筆記角度が変わる。裏書きではペンを立てて書くことになる。その時に最高の書き味になるような調整になった。これは良いかも!

少なくとも調整直後の書き味としては、本年度の最高傑作になった!あとは調整戻りがどこまで来るか・・・じゃな。



【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック