2022年10月24日

【 Montblanc No.139G 14C-F インクフロー改善 】アーカイブ 2010年11月

No.139をはじめとするNo.13XシリーズがNo.14Xシリーズに何故取って代わられたのか?

メンテナビリティはNo.13Xの方がはるかに良いのに!これは長い間の疑問だったのだが、理由の一つは軸素材の変更があるのかもしれない。

No.13XもNo.14Xもセルロイド製の胴軸なのだが、耐久性はだいぶ違う。No.13Xの方がはるかに脆い。

またペン芯の能力に対する吸入量がNo.13Xの方が多すぎるように思われる。まぁよく漏れる。

しかしそれを受け入れた先には悦楽の時が待ち構えている。

インクが漏れようがフローが悪かろうが、No.13Xの方がNo.14Xの方より面白い。

無骨な形状が実にかわいいではないか!



   
 2010-11-05 01今回の依頼品はMontblanc No.139。ヘミングウェイの原型として有名じゃ。

分解清掃やコルク換えなどは、No.149よりも簡単に行える。何故変えたのかはわからないが、ひょっとするとデザイン上やむを得ずそうしたのかもしれない。

たしかにNo.149と比べればNo.139は無骨・・・


2010-11-05 022010-11-05 03ペン先には【250】という刻印がある【139】という刻印は見たような気もするが、【250】というのは初めてかも?

依頼事項はインクが出にくいのでインクフローを改善して欲しい!というもの。

たしかにスリットはピッタリと閉じたまま。これではインクが出にくいであろう。

No.139のペン先はバイカラーだけだったと思っていたが、この【250】ニブは金一色。

これが正しい色なのか、バイカラーが剥がれてしまったのか気になる。もっとも剥がれたような形跡はない。


2010-11-05 042010-11-05 05こちらは横顔。本当に綺麗なペン芯じゃ。加工精度は高いが、実際にはインクの保持能力は強くない。

胴体内部に多量のインクを保持出来るのだが、このペン芯では空気膨張に耐えきれないであろう。

すなわち胸に挿したり、ペンケースに入れて移動する(=細かな振動を与え続ける)のには適さない。机上でいたわりながら使って欲しい逸品じゃ。


2010-11-05 06このピストンのストロークが多量のインクを胴軸内に保持できる秘密!テレスコピックとかテレスコープ式吸入機構と呼ばれている。

三段に延びるというピストン。Pelikanの回転吸入式の特許に抵触しないものとして考案されたと噂されてる。

この部分が簡単に外れるのがNo.13Xシリーズの魅力になっている。コルクが後ろから外せるので、インク漏れを作る危険性から逃れることが出来る。

1950年代のNo.14Xシリーズは後ろからでは、コルクをつけたままの機構を抜けない。従ってコルク交換は首軸を胴軸から外し、そこからやる必要がある。

この作業を実施する際、首軸を溶かしたり、曲げたり、変色させたりしがち・・・。どう考えてもNo.13Xの方式が優れている。


2010-11-05 07このペン芯(上側)をセーラーのペン芯(下)と比べてみると、Montblanc製ペン芯の簡単さがわかろう。

セーラーのペン芯は左右非対称。空気とインクの圧力が均衡して一瞬インクが出なくなる(息切れ)の防止のために非対称にしたと、遠い昔に聞いた事がある。

2010-11-05 08こちらが清掃し、スリットを拡げる前のペン先。この首軸の中に隠れた部分の金の長さがNo.139やNo.149の特徴。

通常はコスト削減の意味もあって首軸に隠れている金の長さが短い!有名どころでは、プラチナとMontblancは、ここが長い。

それにしてもエラが張っていて、美味しそうなペン先!


2010-11-05 09こちらが先端部のスリットを拡げた後のペンポイント先端部。少しだけスリットが開くようにしておいた。

この僅かなスリットを作る事によって書き味は激変する。そっとペン先を紙の上に置くだけで、インクがにゅるにゅると出てくる。


2010-11-05 10決して軟らかいペン先ではないのだが、弾力は強いので、力を入れただけの反応が返ってきて楽しい。

単にいたずら書きをするだけではなく、契約書のサインなどに使って欲しい逸品じゃ。ただし持ち歩きには適さないですぞ。


【 今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備1.5修理調整3記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間


Posted by pelikan_1931 at 23:35│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック