2022年11月19日

【 Sailor 島桑 21K-M 絶妙に! 】アーカイブ 2013年5月

萬年筆界のエリカ様という表現で、この島桑のなんたるかを理解してくれる人がひとりで見いると嬉しいな。

これほど調整戻りが早い万年筆は他に知らない。

調整戻りのスピードが軸の長さに関係があるなんて思わんよなぁ〜


1今回の生贄はセーラーの島桑。以前にも別の島桑をこちらで調整報告をしていた。

今回はその結果をまったく参考にしないで調整したのだが、同じような結果になった。

島桑はキャップを後ろに挿すことは出来ない。だがその状態で最も書きやすいような設計になっている。握った時の太さ、前後のバランスなど、最初は多少違和感がある。

ところが、5分間も書いているとすぐにこのバランスに慣れて、極上の書き味を体験することが出来る。ただし、それは(拙者の?)調整を受けて・・・という条件付き。


23こちらは調整後の画像。調整前の画像は過去記事(↑)を参考にされたし。

実は調整前とはいえ、以前の水道橋の定例会で途中までいじっていたのを完成させたものが左画像。

前回の水道橋の定例会では時間切れで途中で持ち帰っていただいた物を、ペントレで再度預かり完成させたものじゃ。

なぜ時間切れになったかは、前回の記事でも指摘した内容と同じ。あまり表に出すような内容ではないのでだんまりを決めておく。

ただ、島桑に関しては、よほどの事が無い限り素人がペン芯を抜かない方が良い。

今回は拙者が調整のために抜いたのだが、再度押し込む際には新品のペン芯に細工を施して押し込むハメになった。

書き味は抜群に良いのだが、病弱かもしれない。勝手にいじりまくると取り返しが付かないことになりますぞ。


45こちらが完成後の横顔。この横顔の公開は初めてかも?

当初の形状はZやBと似た研ぎなのだが、それが美味しいところを選んで研磨しているうちに長刀似になっていく。

これは非常に面白い結果だった。拙者は横書きなので、長刀研ぎの萬年筆では横線のシャリシャリ感が気になってしまう。どうしても長刀になじめないのじゃ。

しかし島桑では結果的に長刀似の横顔に行き着く・・・ということは長刀研ぎの書き味の特徴であるシャリシャリ感はエッジの研ぎでわざと出している事を意味している。奥が深い。

実はセーラーの21金のペン先は非常に柔い。柔らかいのではなく柔いのじゃ。少し爪で力を加えるとすぐに曲がってしまうほど。剛性が無いと表現した方が良いかな?

最近らすとるむさんが力説していらっしゃるバネのあるflexな柔らかさではなく、粘土細工に近い柔さ。

この状態で書き味を継続させるには低筆圧でペン先を紙に真っ直ぐに当て書く必要がある。

すなわち書き手が姿勢を正さなければ良い感じにはならないが、決められたとおりの使い方をすれば期待以上の極上の書き味を提供してくれる。

誤解を恐れずにいえば、上級者向けから初心者向けに各メーカーのペン先を大くくりで並べれば、セーラー、パイロット、プラチナとなるであろう。

セーラーのペン先を使いこなすにはコツ(と調整)がいる。


6こちらは調整前の正面画像。以前の島桑と同じく段差が出来ている。出荷時点では段差は無い。

それが使い方によってすぐに段差が出来てしまうのじゃ。

ペン先を逆さにして、裏書きできるかなぁ〜なんてグっと力を入れると、ヘコっと曲がってしまう。あれ書き味が変わったな〜と思ったときにはこうなっている。

21金ペン先にこだわるのも良いが、耐久性を考えるなら、今や幻となった18金ペン先に戻して欲しいなぁ・・・

【18金の時代のセーラーのペン先は(世界)最高だった】と素人調整師が口を揃えて言っている。


2今回、10年以上前に入手した新品のペン芯と交換した。上がこの島桑に付いていた物で、下が10年以上前の物。設計はまったく変わっていない。

おそらくは設計を変える必然性が無いのであろう。古山画伯も絶賛のペン芯じゃ。

これを拡大したキングプロフィットのペン芯を持つ萬年筆ではインク切れが起こるような使い方をしても、このプロフィット型のペン芯の萬年筆を使えばインクは切れないとか。


3こちらが研磨調整後のペン先の正面画像。スリットをひらいただけではなく、形状がまるっきり変わっている。

今回はスリットの腹開きをやめ、多少背開き気味に調整した。

その分、腹の処理を丸めにし、紙への引っ掛かりは腹開きと同じようにした。今回腹開きを止めたのには訳がある。腹開きだと書き味が古くさい感じがしてきたからじゃ。

拙者は新し物好きなので、書き味も常に新たな物を求めている。最近盛り上がっている2013年型の書き味とは、最後に左から右に線を引く際にだけククっと抵抗感があるもの。

そういう書き味と比較すると腹開きのドバドバ調整は多少古くさいので、今回は少しキレをよくしてみた。

インクを含ませて書いていると、でへへへ・・・とホッペが緩みっぱなしになる書き味になった。

しかし調子に乗って人に貸してはいけない。150gを超える筆圧で書かれると書き味が変わってしまう危険性がある。

いわんやflex度合いを試して見ましょう・・・という大魔王の誘いには絶対のらないように御願いしたい。繊細で華奢で、そして気むずかしい【萬年筆界のエリカ様】なのじゃ。


【 今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整3h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック