妄想するに・・・販売店が印鑑を押した葉書に住所・氏名・年齢などを記入してパイロットに送ると、メーカー名入りの保証書が手元に送られてくる。
送った人の個人情報は葉書から簡単に取得できるのでお伺い状を節目に送ることが出来る。
不具合をいち早く見つけることや、購入者の困り事や、購入者の年齢層、また今後の新製品開発のアイデアに利用。
そして新製品が出たときには、もれなく案内をお送りする。
今なら個人情報がメーカーに吸い上げられると大問題になるかもしれないな。
たしか中屋もアンケート結果をまとめていたが、アンケートを送るということは住所をお知らせすることになる。
中屋は分析したデータを公開(もちろん個人情報は無し)していた時期もあったのでは?もちろん個人情報は外して分析されていたが。

いくらすばらしいデザインの万年筆を作ってもアフターサービスが悪ければ販売は尻すぼみになる。
日本市場における欧米のマイナーブランドが今一歩伸びないのもアフターサービス問題が大きい。ちょっと修理・・・で平気で本国送りとなってしまう。
スティピュラのセルロイド軸が割れた時には伊太利亜との間を2往復して1.5年ほどかかってしまった。
パイロット方式のすばらしさは、問屋を経由せず直接販売店に卸して販売店の利益を増やすと同時に、販売店に修理技術を身につけてもらい店頭修理を可能にしたことじゃ。
これならパイロット製品に関しては即時に修理して手渡せる。
なんと7000店で店頭修理が出来ていたとは驚きじゃ。この動きは競合各社でも採用していたと見られ、栃木の万年筆病院ではセーラーやプラチナの修理道具も残っていた。
現在メーカーは販売店経由で販売した製品がどういう人の手に渡ったかを、あの手この手で入手しようとしている。ネットでの友の会会員登録や、メルマガ登録など・・・
パイロットでは創業以来、販売店から購入者の住所氏名を得て、伺い状を全購入者に贈っていたようじゃ。
これは驚異的。この葉書送付コストはバカにならない。切手代、印刷代、人件費などあわせると一本の万年筆に3回伺い状を出すとして、当時で50円ほどはかかったじゃろう。
万年筆の原価は驚くほど低いから伺い状コストは相当の負担であったと思われる。
製造原価に算入するのではなく、サービス原価か販促費で処理したはず。写真を見ると新製品カタログの下にメッセージが印刷されている。これから考えると販促費処理と考えるのが妥当じゃろう。
最近Montblancから直接案内状が来るようだ。拙者はブティックで万年筆は買わないので案内状は来ない。伊東屋で買っても案内は来ないが、ブティックで買えば案内は来るとか。
すなわち販売店を通しての顧客情報の把握は難しいのだろう。それを何十年も前に可能にしていたのはすごいと言わざるを得ない。