2023年01月20日

〔 ひと昔前のカタログ 【ペリカン】 その3 〕アーカイブ 2006年7月

このカタログではM100の物品税率は15%だったのに、この記事で紹介されているM100の物品税率は20%。

どうやら物品税率は贅沢度合いの評価によって変化していったのであろう。

いまこんな可変税率を適用するのは非常に困難だろう。海外から当時の1万倍以上の製品を日本からネットで購入出来るからな。

この時代のPelikanの製品番号はわかりやすい。

最初の文字が〔M〕なら回転吸入式で、〔P〕ならカートリッジ/コンバーター式

そのあとの英数字は、商品のグレードを示している。

100は胴軸/キャップとも14金無垢、ペン先は18金

60は胴軸/キャップとも金鍍金仕上げ、ペン先は18金

30はキャップだけが金鍍金仕上げ、ペン先は18金

K30は胴軸/キャップとも樹脂製、ペン先は18金

21はキャップが銀色マット、ペン先は14金ロジウムコート

20は胴軸/キャップとも樹脂製、ペン先は14金ロジウムコート

それ以下はスチール製ペン先となる。

このシリーズはペリカン最大の失敗作だと考えている。2番目はGolf(M800系限定品)かな?

このシリーズはキャップ押込式なので、どうしても首軸に擦り傷が出来てしまう。拙者にはそれがどうしても耐えられないな。




2006-07-14 Pelikan その3-12006-07-14 Pelikan その3-2このカタログが発行された時期は、下にLinkをつけた【その2-1】から【その2-3】と同じで、各万年筆の値段はまったく同一。

ただし、こちらの印刷は独逸ではなく日本であろう。独逸印刷物に多い【色のどぎつさ】がまったくないすっきりとしたカタログ。

また、表紙の万年筆はMK30(¥8,000)、独逸製カタログではM30(¥12,000)。

一番訴求したい万年筆を当時の日本の所得水準に合わせて価格帯を落とす配慮があったのかな?

【その2】には【シーン演出型】のニュアンスが残っていたが、この日本製カタログは【製品羅列型】になっている。

【シーン演出型】のカタログを日本で作るとなればモデルの手配などコスト増になる要因が増える。

おそらくはその費用を総代理店が捻出出来なかったのだろう。

この【製品羅列型】のカタログを見てもちっとも購買意欲が掻き立てられる感じがしないのは拙者だけ?独逸製のドロドロした色のカタログの方が万年筆の印象が強く残る。

もし通信販売するのであれば、独逸製カタログが良いだろうし、店頭で実物を見た人が決心がつかなくて引き続き検討するような場合に進呈するのなら【製品羅列型】が良い。

一端本物を見てしまうと、あとはお財布と欲望との闘いじゃ。

どちらのカタログもM100とM60の質感の差は表現できていない。もし店頭でM100とM60を触った人は必ずM100に傾く。

ペン先はMK30もM60もM100も同一であるから、軸の素材だけのために【¥8,000、¥24,000、¥120,000】という価格差を、どう自分の中で納得させるか?

悩んだあげくM30【¥12,000】に落ち着いた人が多かったのではないかな?まさに究極の妥協品かもしれないな。

MontblancのNo.74のように軸色のバリエーションがあれば【グレー軸が欲しいからNo.94ではなくNo.74にしたのさ】なんて負け惜しみを吐く機会を購入者に与えられただろうに。

Pelikanの場合、豊富な色軸は安価なモデル【PK10】にしかない。

作っているモデル数が企業体力から考えて多すぎるのかもしれないが、もうすこし色物展
開があっても面白かったのにな。

その当時の反省からか現在のPelikanの軸のバリエーションは非常に多い。

後世のコレクターは、今の時代のPelikan万年筆を、楽しさと悩ましさが織り交ざった複雑な心境で必死に探し回ることだろう。

あまりにバリエーションが多いと心が萎えることもあるでな。


過去のカタログ

Story Of Pelikan
その1−1   その1−2   その1−3
その2−1   その2−2   その2−3 


Posted by pelikan_1931 at 23:59│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック