ウォーターミナを伊東屋のショーケースで見た時には本当にびっくりした。
今とは違い、当時は拙者も試し書きしてから購入していた。自己調整を本格的に始める前のことだったからな。
EFなのにあまりにもしなやかな書き味にうっとりしたのもあるが、小さなキャップというのが琴線に触れた!
拙者にしてはかなり長い間使ったと思うが、ある日ルーペを眺めていて、左右のペンポイントのボリュームにずいぶんと差があることがわかった。
そうなると、その部分が気になって仕方が無い。
そしてやむなくペンポイントの研出しによって左右のペンポイントの幅を揃えた。
このCFこそが拙者が初めて研出しを行った万年筆だったことを思い出した!



同じ純銀でもMontblancのNo.1266が物品税無しで3万円の時代に、CF66CRは4.8万円じゃ。
軸の装飾は凝っているとはいえ、ペン先の書き味を考えれば日本人に受け入れられる値段ではない。
拙者が万年筆に興味を持ち始めたころ、このCFタイプは大量にアメ横に残っていたが、いずれも叩き売りに近い値段で売られていた。
それほどの価格にしても【高い】と感じた。実際現在でもまったく人気が無い。
ところがこのCFシリーズは独特のペン先を持っており、スリット調整をすれば驚くほどの書き味になる。
ものによってはペン先にロジウムを鍍金してあるタイプもあるが、こいつはスリット調整するとスリットの中のロジウムが剥がれて、見る角度によっては金色に光ってしまう。
これは美しくないので、クリップが金色のモデルを選択することじゃ。クリップが金の場合はペン先も金!となっているはず。
このCFシリーズのこだわり【クリップとペン先の色を揃える】は拙者の万年筆を選ぶ際の【美意識】の基本になったものじゃ。
真ん中の写真にはウォーターミナ66が紹介されている。この時代にはクリップとペン先の色があっていない。
クリップが銀色なのにペン先はバイカラー。この無意味なバイカラーが許せないのじゃ・・・・ものすごく書きやすいニブなのにこのバイカラーのせいで遠ざけてしまったなぁ。
その左にある【ジェントルマン33】という万年筆のペン先はル・マン100とほぼ設計が同じじゃ。
ところが胴体の重さが圧倒的に軽いので、ずいぶんと書き味が安っぽい。
これに似た軸をアメ横で見つけて購入してみたが、まったく手に合わなかった記憶がある。
万年筆はペン先だけではなく、重量や重心位置も重要じゃと教えてくれた万年筆。
思えば数多くの万年筆が拙者に【良い万年筆】というものを教えてくれた。まだまだ勉強中じゃがな・・・