このカタログで訴求したいのはヴァンドーム広場と名付けられた表紙のシリーズ。
世界一美しい広場と呼ばれるパリの広場なので、当然フランス製だろう。
不思議なことに純銀製は無く、金張りと銀張りだけ。しかも銀張りと純銀軸との価格差はたった1,000円!
この時代、いかに純銀がもてはやされなかったかがわかる。くすむと手が汚れるからかな?
そういわれれば金張りも銀張りも一切くすみは出ていない。(拙者のパーカー・コレクションを確認した結果)
こうやって21〜75までを並べてみると、やはり65がダントツでかっこいいなぁ!




大いなる勘違いをしていたようじゃ。パーカー75 / 65 / 61 / 51 / 45 / 21が同時に掲載されているカタログは珍しい物ではなさそう。
当時の日本には相当量のParker 51などの流通在庫があったようじゃ。世代の切り替えがスムーズにいってなかったのかもしれん。
何故かVPはカタログ落ちしている・・・吸入機構が割れるトラブル多発が原因じゃろうな。
Parker61/51のブレの無い書き味に慣れてしまうと、Parker75のグリグリとした書き味に(当初は)なじめなかったのかな?
あるいは消費者ではなく販売側(万年筆の専門家)がParker 61/51に固執したのかもしれない。
ともあれParker 75は(その後)ものすごい勢いで売れたはずじゃ。田舎に住んでいた拙者の父親でさえ持っていたからな。
表紙写真のフラーメには【0】マークが首軸先端に入っているが、2頁目の定番品には入っていない。
Parker 75はかなり頻繁にモデルチェンジを繰り返していたので、一枚のカタログに複数世代のモデルが混じるのは珍しいことではない。
今回のカタログで一番勉強になったのは、モデル名の日本語がついていること。
フラーメ−−−−−−−情熱の炎
グレン・ドルジュ−−−細やかな綾織
ゴドロン−−−−−−−きらめく流星
エコセー−−−−−−−優雅なタータン
ディアマン−−−−−−まばゆい宝石
パルレー−−−−−−−清らかな真珠
全てのパターンを見た事はあるが名前を知っていたのは上から3つだけ。あとは今回がはじめて聞いた名じゃ。
しかも日本語解説はどれも初めて。【フラーメ】は蝋燭の炎の揺らぎを表現していると万年筆店で聞いていた。
それが【情熱の炎】という抽象的な表現とは知らなかった。ほかのパターン名は実態と近いパターン名称なのじゃがな。【フラメンコ】と関係があるのかも・・・・
パーカー75が13,000円というのにはビックリじゃ。65の金貼りの方が14,000円で高かったのか!
パーカー75の国内最終価格は25,000円。ものすごくコストパーフォマンスの良い万年筆だった。首軸が痩せてしまうトラブルが無ければもっと長寿命だったかもしれない。
この時代のParker 75のイリジウムは手溶接で大きな玉をつけているとフレンド商会のおばさまから聞いた記憶がある。
たしかにイリジウムの付き方は違うのだが、機械溶接であれ手溶接であれ【電気溶接】であることは確か・・・何が違うのじゃろう・・・
手溶接と言われているものは、押しなべて細字はインクフローを絞って字幅を出している。
それに対して機械溶接と言われるものは、小さいイリジウムで字幅を出している。書き味を比較すれば買ったままなら機械溶接のほうが上のはず。
インクフローが渋い手溶接はイライラするじゃろう。
ただし調整を前提と売ればがぜん手溶接が脚光を浴びる。イリジウムを調整するには玉は大きいほうが良い。
一度手溶接のイリジウムを調整してみたいものじゃ。何本か持って入るがコレクションなので調整は施さないのでな。
ああ・・・生贄が欲しい!