2008年02月13日

水曜日の調整報告 【 Pelilam M250 バーガンディー 切り割りからドクドク 】

2008-02-13 01今回の依頼品はPelikan M250のバーガンディー。1997年の輸入筆記具カタログを確認すると、M250M200との差はペン先が14金ペン先金鍍金ペン先かの違いだけで、素材も形状も全て同じ。M250が2万円で、M200が1万円だった。

 ちなみに1993年の輸入筆記具カタログには、M250は12金ペン先付きで2万円M200は金鍍金ペン先付きで1.5万円だったので、実質的な値下げになっている。

 不具合状況は・・・筆記中にペン先のスリットからインクがドクドク出てくる事。従ってインクの出を絞って欲しい・・・というものだったが、交渉の結果、生贄ということになった。

2008-02-13 02 ペン先は14C-F。当時の日本で最も売れたであろう太さ。

 カリカリと紙の繊維に引っ掛かってイライラした記憶がよみがえってきた。けっこう調整になじまないペンポイントだったような記憶がある。ペンポイントの素材自体が、現行品と比べると硬いと思われる。

2008-02-13 03 拡大してみると、ペンポイントの腹側が衝突している。いわゆる開きという状態。

 細字で背開きというのはあまり記憶にない。ペン芯が反りすぎているか、ペン先自体が上に反っているとしか考えられないのだが・・・

2008-02-13 04 左図のように、ペン先もペン芯も正常な状態にあり、反ってはいない。一見すばらしい状態にセットされているように見える。

 拙者がセットしたとしてもこの位置にする。Pelikanのペン先が最も美しく見える位置じゃ。

2008-02-13 05 ペンポイントを拡大してみると、かなりペーパーで削っている。見映え重視で、背中側も削っているのがわかる。試しに背中側で書いてみると【書き味最高】。実に気持ちよく書ける。

 一方で通常の持ち方で書くと、なんとも平凡な書き味。細部を確認すると、形状は揃えてあるが、エッジは調整していない。そのせいで筆記中に振動が発生し、インクがドクドク出るのかも知れない。

 ちなみにペンポイントの表面処理もザラザラで、左から右に高速筆記すると、【ピーピーピー】と良く泣く!ペン先が薄い初期のニブじゃ!これは貴重!

2008-02-13 06 左右の段差も許容範囲。そういえば、依頼者はWAGNERの中でも3本の指に入るほど萬年筆を寝かせて持つ。ペンポイントはその筆記角度に合わせて研がれている・・・

 どうやら、どこかのペンクリで調整を受けていたものであろう。忙しいペンクリでは背開きなど直している余裕はないからな・・・

 さらに詳細にチェックすると、ペン先とペン芯のカーブが合っていない。ペン芯先端とペン先は密着しているが、その他の部分では両者が離れている。このあたりにインクドバドバの原因があるのかもしれない。

2008-02-13 07 こちらがペン芯とペン先のカーブを合わせたあとのニブ。カーブを合わせる作業は両者に対して行う。

 ソケットから外して、ペン芯は熱湯に浸して変形させ、ペン先はツボ押し棒で曲線を変えていく。かなり地味な作業だが、これで筆記感覚はかなり変わってくる。

2008-02-13 08 こちらがペン先をペン芯にセットする前のペン先先端部の拡大図。後に出てくる【首軸に装着後のペン先先端画像】と比較すれば、ペン芯とペン先の位置関係が把握できるので参考にされたし。

 普遍的な位置関係ではなく、あくまでも拙者が、今時点で、最も好きな位置関係というだけで、調整師の好みもあるし、来年も同じ位置が好きかどうかは保証の限りではない。

2008-02-13 09 これが首軸にセットした状態。首軸にバリがあるのがわかるかな?高級モデルのM400にはこういうバリは出ていない。このあたりの仕上げの手間が販売価格に影響しているのかも知れない。

 拙者は素材で値段が違うよりも、仕上工数で値段が違うという方が好き!

 仕上げ思いやり。そして思いやりが無料と考えるのは間違い。高いお金を払ってくれる人にしか、思いやりは与えないというのがフェア! オバマ氏みたいな考え方かな・・・

2008-02-13 10 こちらがペン芯セット後の状態。この位置にセットすると、横からの見映えがよい。

 ペン芯をよりペンポイントに近い位置にセットする調整師もいるが、それは好みの問題。通常の筆記であれば、この位置でも筆記中にインクが切れることはない。インクは毛細管現象だけではなく、ペン先が開いたり閉じたりすることによるポンプ運動によっても供給される。この個体のような柔らかいニブであれば、ポンプ運動の力はさらに大きい。

 その供給能力に対して、背開きのニブでは、紙に押し出すインク量が足りなくて、結果としてペン先上にインクがたまったのではないかな?まったくの想像だが・・・

 はたしてドクドクが直ったのかどうかもわからない。拙者の筆記ではドクドクが発生しなかったのは事実だがな。


 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.5h 調整1.5h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
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2008年02月12日

火曜日の質問コーナー その19

万年筆評価の部屋】では毎週火曜日に、質問コーナーを設けているが、第19回目の今回はどの分野の質問でもOKじゃ。

そして今回は・・・・・ Pelikan現行品に対する質問が3つ


1.あなたは定番品のビッグトレド、トレド、M1000系、M800系、M600系、M400系、M300系のどれを使ったことありますか


2.使ったことのある定番系を好きな順に並べて下さい

一番好きな定番系が何故好きなのか書き添えて下さい


それでは集計結果!


使った事がある人数

M1000・・・・・・ 
ビッグトレド・・・・・ 
M800・・・・・・・15
トレド・・・・・・・・ 

M600・・・・・・・13
M400・・・・・・・17
M300・・・・・・・13


平均評価【1位:7点、2位:6点・・・】と集計し、その平均値

M1000・・・・・・5.3
ビッグトレド・・・・・4.8
M800・・・・・・・6.1
トレド・・・・・・・・6.5

M600・・・・・・・4.1
M400・・・・・・・4.8
M300・・・・・・・3.8


皆が持っているのはM800。持っている人の満足感が高いのはトレドじゃ!


 

  
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2008年02月11日

月曜日の調整報告 【 Montblanc No.149 14C-M 掠れる・・・実は大変 】

2008-02-11 01 今回の依頼品はMontblancのNo.149の現行モデル・・・に装飾をほどこしたもの。一世を風靡した蒔絵シールの発展型かな?

 数年前に蒔絵シール(本来は携帯装飾用)が登場した時は、競って軸に貼ったものじゃ。特に風神・雷神が人気!暗いところで見せると、かなりの萬年筆ヲタクでも両手を添えて持ち、息をのむほど・・・精巧に出来ていた。

2008-02-11 02 それにくらべるとこちらはチャームのようで、女学生好み!それをNo.149のキャップに貼る【おじさん】というのはイケテル

 貼り方がくどくないのも良い。拙者がやったらキャップをチャームで埋め尽くしてしまったことであろう・・・最悪なセンスなのでな。

 症状は本人曰く縦が掠れるインクフローが悪い書き味に気品がない】ということ。

 【書き味の品格
】を言い出したのは、この依頼者が最初ではないかな?この後で、拙者が【上品な書き味スイートスポットから生まれる書き味】と定義したのじゃ。すなわちこの依頼者こそが【書き味の品格】の提唱者・・・かも?

2008-02-11 03 このNo.149のペン先には調整が施されている。おそらくは依頼者自身が調整したのであろうが、なかなか上手!面取りの仕方などうまいものじゃ。

 それでも書き味に納得がいかないのはインクフローが悪いから。書き味向上に効果があるのは;

1.左右の段差調整(書き癖に合わせて段差を付けること)
2.インクフローの向上(インク量を増やして筆圧を下げさせること)
3.研ぎ(筆記角度に合わせてペンポイントを研ぐこと)

の順! 

 研ぐまでもなく書き味向上は出来る。拙者は見映え重視なので【左右の段差調整】はやらないが、持ち方の特殊な人には最も効果がある。今後の研究課題じゃな。


 依頼品のペン先は多少お辞儀が強く、ペン先のスリットが詰まりすぎている。こういう場合はペン先を抜いてお辞儀やスリット間隔を調整する必要がある。

 ということで、専用工具でピストン機構を後ろから外したら・・・

2008-02-11 04 弁の部分が外れてピストン機構だけが後ろに抜けた弁がピストン内に残ったわけじゃ。左画像の右下の白い弁が上のピストン内に残って取れなくなってしまった。こういう事故は初めて!

 ペンクリ会場では手の施しようが無いので自宅に持ち帰ってピストンを歯科器具で引っ張り出した。

2008-02-11 052008-02-11 06 ペン芯は樹脂製なので、エボ焼けは無い。しかしかなりのインクカスが付着している。
 またペンポイントは背開きで、ペンポイントの下側が衝突している。

 通常はペン先がお辞儀していると腹開きになる。ところがお辞儀していても背開きというのを、少ないお辞儀で腹開き気味に変えるのは結構時間がかかる。幸いにして18金ペン先で、鍛錬を施していない現行品は比較的変形させるのが容易。これが1970年代のペン先だったら・・・とぞっとした。

 ペン先調整をする人間にとっては現行ペン先は楽!少し力をかけるだけで容易に思い通りに形を変えてくれる。調整する立場から言えば、頑固なVintage ニブよりも現行品の方がはるかに素直でカワイイ!メーカーも加工のしやすさを考えて素材を変えていったのじゃろう。


2008-02-11 072008-02-11 08 こちらが清掃し、形を整えてスリットを若干拡げた状態のペン先の表裏。

 いつ
見ても首軸内部が長いNo.149のペン先には感心してしまう。調整がズレにくいという面ではNo.1の萬年筆じゃ。さすがは萬年筆の王者を自認するだけの事はある。

2008-02-11 09 上が元々ついていた弁であるが、非常に外れやすい。樹脂のストッパーが滑りやすくなっていたので、下のNo.146(についていた)弁と交換した。

 1970年代以降のNo.149とNo.146は胴軸内径は同じで、尻軸を除くピストン部分は共有出来る(太さを揃える金の輪は必要だが)。従って時代の違うNo.146の弁をNo.149に
流用することも出来る。下のタイプの方が外れにくい構造になっているのでこちらを採用することにした。

2008-02-11 10 こちらが18K-Bのペン先を首軸にセットした状態。惚れ惚れするほど美しい!

 上から三番目の画像と同じペン先とは思えないじゃろう?書き味はともかく、美しく仕上がった時は満足感が高い。今回はひさかたぶりの大成功じゃ!


【 今回執筆時間:5.0時間 】 画像準備1.5h 調整2.0h 執筆1.5h
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2008年02月09日

土曜日の調整報告 【 Pelikan M320 オレンジ 14C-M 呼吸困難 】

2008-02-09 01 今回の依頼品はPelikan M320のオレンジ軸。これが最初に発売された時、日本では予約分しか販売しない・・・というような情報が流れていた。しかし個人からの予約を意味したのではなく、販売店からメーカーへの予約という意味だったようじゃ。現在でも比較的たやすく手に入ることから考えれば、販売店が【これは当たる!】と考えて大量予約をかけたのかもしれない。

 依頼者からの症状分析によれば、一言・・・【呼吸困難】とのこと。

 その昔、長原先生に【呼吸困難】を直してもらった事がある。先生がペンクリを始めたばかりのころで、拙者も調整で失敗してばかりいたころ。先生は【おお、こりゃ呼吸困難じゃ。喉が詰まっとる】と言って、ペン先を外し、力一杯ペン先をもみほぐし、何も研がないで首軸に差し込んだ。

 【あんたは、研ぎはええ腕しとる。しゃぁけど研ぎだけじゃ問題は解決せんのよ。ほれ書いてみんさい】と言ってペンを差し出した。この間2分ほど。

 書いてみると200文字ほどでインクが切れていたDuofoldMedium Italic付きが見事に直った! その時は、そばに川口先生もいて、インクフロー理論を説明してくれた。またParker 75のキャップの嵌合が甘いのを直してくれた。

 2人の先生が競演していた【究極のペンクリ】を経験出来たのはラッキーじゃった。

2008-02-09 022008-02-09 03
さて生贄の状況だが・・・形状は【メタボ型ニブ】。初期のウェストが締まったタイプと比べると剛性がやや高いように思う。

 ペンポイント先端に隙間があるのに、そこまでインクが到達しないような形状をしている。これはペンポイントが段違い、かつ背開きになっており、ペンポイントの下側が衝突しているからだと考えられる。書き味はガリガリで、インクも出にくいという最悪の状況になっているはず。

2008-02-09 04 横顔を見ると、スリットのむこう側が多少上に出ていることがわかる。ペン先を上から見た場合は、スリットの左側が右側より上にズレているのじゃ。

 横からの画像でこれほどはっきりとズレがわかるケースはほとんど無い。ものすごく美しい形状ペン芯ペンポイントなのに、ズレはもったいない!

2008-02-09 05 M300系のソケットはM400、M600、M800とは異なり、M1000と同じ形状をしている。おそらくは天冠の刻印を印刷もどきに変えたのと同じプロダクトデザイナーが担当したと思われるが、このソケットは格段に良い!何が良いかと言えば・・・見映えが良い!

2008-02-09 06 上が今回のペン先ユニット、下が同じ依頼者から持ち込まれた、1月26日のBlogで紹介したM320 緑軸のペン先ユニット。

 上の方はスリットの部分が谷のように窪んでいる。これは背開きを直そうとして、左右のエラを外側に反らせた痕跡。それでもまったく改善されていないので、相当の重傷! ただしM320のペン先は素材が柔いのですぐ直せる。


2008-02-09 07 まずは現状の調査。拡大図を見ると予想どおり、前から見て右側が上に上がり、ペンポイントの下側が衝突している。これが出荷段階でそうなったのか、背開きを解消しようとした時にズレたのか、前回首軸をねじ込む時に回しすぎたのか、はたまた筆圧でズレたのか・・・出荷時からズレていたのかは不明。ただ、ここまでズレたものが出荷検査で検出されないわけはないので、おそらくは出荷後のズレと思われる。なんとなく毒入餃子の混入経路推定に似ているな・・・

2008-02-09 08 こちらがソケットから取り外したペン先。この状態でもペンポイントの状況は変わらない。すなわちペン芯に問題があるのではなく、ペン先に問題があることがわかった!特にスリットのところが窪んでいるのが美しくない。

 ペン芯とペン先を分解しない、お手軽ペンクリ調整では、このような状況になりやすい。完璧を期すなら、自分できっちりとペン先形状調整する必要がある。研ぎはお願いするにしても、ペン先形状調整は自分でやるべきじゃ。そしてペン先形状調整は正しい状態がわかれば、後は淡々と作業するのみ。相当不器用な人でも3日もあれば満足な設定を体得できると思われる。

2008-02-09 09 こちらがペン先形状調整が終了したニブ。スリットは真っ直ぐにとおり、スリット窪みも解消されているのがわかろう。

 実は【メタボ型ニブ】の形状も多少改善している。ツボ押し棒でペン先を開くと同時に、ソケットの直前に位置する部分を指でつまんで曲線を直線に近づけた。これで多少シルエットが美しくなったはずじゃ。

2008-02-09 10 スリットは先端に行くほど狭くなっている。これも素早くインクがペンポイントに供給される為の王道。

 ペンポイント先端部のエッジは多少まるめてある。依頼者の将来の書き癖の変化を吸収するというよりも、既に万年筆に興味津々の娘さんの手に渡る可能性を考慮して、多少の揺らぎに耐えられるように調整しておいたのじゃ。


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2008年02月06日

水曜日の調整報告 【 Montblanc No.144G 14C-M ペンポイント凸凹 】

2008-02-06 01 今回は調整依頼ではなく生贄!1950年代のMontblanc No.144Gだが、最近では拙者が最も気に入っている大きさの万年筆じゃ。軸の太さとアンバランスな軸の重さが何とも言えず良い。

2008-02-06 02 1950年代のNo.14Xは個体差が大きい。絶妙なのもあれば、箸にも棒にもかからない物もある。

 今回の生贄は姿形は一人前なのだが、ペンポイントが惨い!

 ペンポイントの形状はなかなか美しい。ところが書き味は今一歩。非常にザラザラしている。

 ザラザラ感は、現行ニブであれば、ものの5分もあれば完璧に直せる。ところがこのペンポイントはいくら研磨してもザラザラ感が取れない。たまにこういうペンポイントに出会う。

 高倍率のルーペで拡大してみると、ペンポイントがクレーターのように凸凹だらけ!これではいくら研磨しても無駄じゃ!ヌルヌルにして・・・という要望だったがこれでは無理なので、シャキシャキの書き味に変更することにした。

 ペンポイントはピター!っと閉じているのでインクフローは悪い。いつものことだがな・・・


2008-02-06 03 横顔には特に問題があるようには見えない。しかし書き味は悪い。ペン先のお辞儀の具合も絶妙だし、首軸とペン芯との位置関係にも問題は無い。

 ただし明らかにスイートスポットが無い。かなり厚みのないニブなので、スイートスポットを出すのも非常に難しい!一瞬で削りすぎになることもありうる・・・心してかからねばな。

2008-02-06 04 拡大図を見ると、ペンポイントにエッジが立っている。横細、縦太の字幅が無条件に描き出されるが、何となく下品な書き味じゃ・・・

 やはりスイートスポットを作らねばなるまい。依頼者は非常に筆圧が低いので、インクフローは潤沢にしておく必要がある。

 薄いペンポイントの場合、スイートスポットの許容範囲が小さいので、微細な筆記角度の変化でスイートではなくなってしまう。そういう意味では、多少のペン先調整は利用者の方で出来るようになっておく必要がある。

2008-02-06 05 首軸内部はソケット式ペン先とペン芯をソケットで固定してからソケットを首軸にねじ込む方式)ではなく、ペン先とペン芯を直接首軸に押し込む方式。Montblancでは安価モデルに至るまでソケット方式を使っていた。

 なぜこのような狂いが出やすい直接挿入方式を、一時
とはいえ、最高級ラインのNo.14Xに適用したのか不思議でならない。ちなみにNo.144ではこれが初遭遇!

 最初は別のモデルの首軸かと思ったほど衝撃を受けた・・・

2008-02-06 06 ペン先は新品かと思うほど綺麗。ペンポイント先端が左右対称ではないが、これはこの時代ではあたりまえ。書いてみて問題が無ければ形状には注意を払わないのが独逸流?

 ただ、Vintage物でここまでエボ焼けが少ないことは考えられないので、分解清掃を出来る人の手を経て、現在の所有者に流れ着いたのだろう。


2008-02-06 07 ペン先先端は・・・例によって詰まっている。また驚くことに、ペンポイントの背側のコーナーもきちんと面取りされている。

 ソケット無しという手抜きと、ペンポイント背中の研ぎが同居している珍しいモデル!オマケにペンポイントの素材は多少悪い(凸凹だらけのクレーター

2008-02-06 08 ペンポイントを前から眺めた画像。ペン芯の上でのペン先のズレもなく、ペンポイント先端の段差もない。

 長年使って、ペンポイントのズレが皆無というのは変!ほとんど使われていなかったか、技術を持った人がメンテナンスしていたかじゃ。おそらくは後者であろう。

2008-02-06 09 インクフローを良くする為に、ペンポイントのスリットを拡げ、十分に清掃して首軸に取り付けた状態が左画像。

 No.142、No.144、No.146、No.149のペン先の形状は相似形ではない。大きさと同時に形状も異なっている。拙者は軸の太さとのバランスで、No.144とNo.146のニブが最も好きじゃ!首軸に取り付けた時の形状も実に美しい!

2008-02-06 10 こちらは先端部の拡大図。このスリットの状態は最高!非常に美しい状態にセット出来た。

 先端になるほどスリットが狭くなっていれば、紙で先端部のインクを拭った直後に書き出してもインクが先端部にまで届いている。スリットが平行の様な状態でも重力の関係でインクは下がってくるが、スピードは遅い。

 そう度々ペンポイントを紙で拭うものではないが、そういう時でも掠れない!という自己満足の極致のような調整だがな・・・

2008-02-06 11 こちらがスイートスポットを埋め込んだ後のペンポイント先端部。いったん斜めに真っ直ぐ切り落とすように研いでから丸めるのだが、見ただけでは上から4番目の画像との差に気付かないかもしれない。

 書いてみればわかる。いわゆる【上品な書き味】に激変するのじゃ・・・



【 今回執筆時間:7.0時間 】 画像準備2.0h 調整3.0h 執筆2.0h
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2008年02月04日

月曜日の調整報告 【 Pelikan 140 14C-M ペン先交換 → BB 】

2008-02-04 01 今回は拙者の持ち物。Pelikan 140青軸で未使用に近い物。5〜6年前にeBayで入手した。

 青軸は
マザーオブパール軸やグレー軸と比べれば数は多いが、緑軸や赤軸よりは入手が難かしい。過去2本は請われてお嫁に行き、これが3度目の出会いだった。

2008-02-04 02 軸は綺麗なのだが、ペン先は平凡なM。もっと太いペン先の方が似合うなぁ・・・と眺める度に考えていたものじゃ。

 数ヶ月前、たまたまこの軸を眺めた後でeBayを散策していたら、黒軸でBBニブ付きのPelikan 140が出ていた。これだ!と思い、最終タイミングでドカン!とbidを入れたのだが、あっけないほど低い価格で落札できた。いわゆる拍子抜け・・・

2008-02-04 03 それがこちら! スリットはピッタリと閉じたままなので、このままでは書けないが、青軸に装填し直す際にペン先調整も施すことにした。

 なをペン先移植の際は、可能であればペン芯+ソケットも移植した方がよい。個体差がある可能性もあるので、現状の組み合わせで問題がなければ、そのまま移植すべきじゃ。往々にしてペン芯とペン先のカーブが合わない個体が存在するのでな。

2008-02-04 04 ソケットを外してペン先をくまなくチェックする。ソケットの下あたりに微量のエボ焼けと、インク滓が付着している。これは金磨き布でチョチョイのチョイと拭き取ればよい。

 金磨き布はそれほど粒子が細かくはないので、力いっぱい擦ると傷が目立つことがある。軽く素早い速度で擦るのが正しい利用法・・・かな?

2008-02-04 05 ペン先の裏側は直接エボナイト製ペン芯と接しているので、かなり凄いエボ焼け状態!これも金磨き布で擦って落とす。この場合はゴシゴシと力一杯擦ってもかまわない。傷など見えないし、そもそも鏡面仕上げをしていないので金磨き布による傷などつかないのじゃ。

2008-02-04 06 こちらが表側を鏡面仕上げにした上で、スリットを多少開いた状態。お辞儀のきついペン先=ペンポイントが左右強烈に密着しているのスリットを拡げるのはた困難を極める!力もいるし、コツもいる。

 スリットを開くにはニブのお辞儀度合いを減らせばよい。ところがそうするとペン芯とペン先が離れてインクが出なくなってしまう。しかもPelikanのペン芯は上に反らせ
ることが出来ない。それどころかペン芯の上部にもお辞儀カーブが・・・

 その状態で目的を果たすには、ある技を使うのだが、今回はそこまでやらなくてもスリットが比較的簡単に拡がった!ラッキー!

2008-02-04 07  やはりBBニブをつけると【男前】になる。この状態で100年間保存すれば、その時に手にしてくれた人は、昔の万年筆の書き味に感動するだろう。そして、その感動を、いまよりもはるかに簡単に皆に伝えてくれるだろう・・・そうやって万年筆ファンが増えていけば良いなぁ・・・

2008-02-04 08 ああ、なんという美しさ!既にケースにしまわれてしまったが、一ヶ月に一回くらいは眺めてため息をつきたいものじゃ。

 もちろん後世に残す為にいつ拙者が逝っても良いように完璧な調整を施してある。

2008-02-04 09 こちらが調整後の横顔。既に何回か述べたが、当時の独逸のBBはカリグラフィー用としか考えられないほど薄っぺらいペン先!

 かなりペンを立て、手首を捻りながら、装飾文字を書く人もいる。それ用の調整では寝かせて書く拙者には使えないので、寝かせ調整を施した。


2008-02-04 10こちらが拡大図!拙者の筆記角度ならふぅわっと紙に当たり、ヌルヌルとインクは出てくる。すこし筆圧をかけるとバカっとペン先が開き字巾が拡大する。

 Pelikan 140好きは、この字のメリハリが気に入っているらしい。拙者にもう少し筆圧があったら、もっとPelikan 140を楽しめるのになぁ・・・

 数あるPelikan製品の中で、強筆圧の人に向いているモデルは140のみ!幸いにして世界中にごまんと残っているので、BやBBに出会ったらとりあえず確保しておく事をお奨めする。


【 今回執筆時間:3.0時間 】 画像準備1.5h 調整0.5h 執筆1.0h
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2008年02月02日

土曜日の調整報告 【 Montblanc No.149 合体して開高健 】

2008-02-02 01 こちらに2本のNo.149がある。今回の依頼主は、2本の萬年筆から一本の完璧な【開高健モデル】萬年筆を作り上げようとしている。

 別に不具合があるわけではなく、この2本も純正であり、かつ、全ての部品の時代も合っている。しかし満足できていないようじゃ。

2008-02-02 02 依頼主が欲しいのは、【開高健】が使っていたのと同じ部品の組み合わせになっているNo.149!

 誤解している人が多いが、No.149は画一的に部品構成を変えているわけではない。従って無数の移行期モデルというものが存在する。

 どれが純正で、どれが移行期モデルかすら明確ではない。少なくともMontblancが公式に見解を出しているわけではない。

 【開高健モデル】を定義出来るのは言い出しっぺのkugel_149しゃんだけ!

 そこで依頼者はkugel_149しゃんに鑑定を依頼した。15分くらいかけて慎重に鑑定したkugel_149しゃんは、この二本の部品から一本の完璧な開高健モデルを作り上げることが出来ると明言した。


2008-02-02 03 そこで拙者がくみ上げることになったのじゃ。

 ニブはどちらも開高健タイプに間違いはない。

 首軸は下側が開高健タイプ。ペン芯は上側が開高健タイプということらしい。

 ペン芯については知っていたが、首軸先端の盛り上がりの頂上が尖り気味か、平坦気か・・・という差があるとは知らなかった!ちなみに下が
平坦気味


2008-02-02 04 ペン先のバイカラー鍍金のやり方、スロープの傾斜角度は全て同じだが、下の細字の方が形状が美しいのでこちらを選択して取り付けることにした。

 【開高健】氏が愛用していたのは、PLAYBOY誌の写真を見る限りでは【丸研ぎのM】と思われる。拙者が経験した中では【角研ぎのM】が最も流麗な書き味を提供してくれる。もし見つければ【開高健】氏以上に【開高健モデル】の書き味を堪能できるであろう。

2008-02-02 05 開高健モデル】のピストンは下のタイプ。金属製ピストンガイドであり、重心が後ろ寄りにある。ペンを寝かせて書く人は、こちらの方がバランスが良いと感じるはずじゃ。立てて書く人にとっては尻軸が重いのは取り回しが重くて耐えられないと感じるかも知れない。


2008-02-02 06 こちらが完成した開高健モデル】。開高健氏は、たまたまこのモデルを選んだのであろうが、非常に美しい組み合わせじゃ。

 PLAYBOY誌によれば、モンブランの萬年筆にパーカーのインクを入れて使うのが、当時の作家の間で流行していたらしい。パーカーのクインクの速乾性が評価されてのことであったろう。

 開高健氏はパイロットのブルーブラックを使っていたらしいが、筆跡を見るとインクが山盛りに出ていたとは思われない。筆圧でインクを出すタイプだったのではないかな?

 筆圧で出したインクは、字巾は太くてもインクの出る量
は少ない。従ってクインクでなくとも乾きが速かったのかも知れない。

 また細字でインクフローが良いペンで書いた方が乾きが遅い。盛り上がったインクは、細字の場合、空気に触れる表面積が小さいのでなかなか乾かない。一方極太なら表面積が大きいので蒸発も速く、乾きやすいのじゃ。


2008-02-02 072008-02-02 08 この組み合わせが、正しい開高健モデル】。特に首軸先端の形状は並べて比較しないとよくわかるまいな。上から三個目の画像で良く違いを認識して欲しい。

 拙者も今回初めて正しい【開高健モデル】を知ることが出来た。今後はペン先だけをさす場合には【開高健モデルタイプのペン先】と呼ぶ事にしよう!



【 今回執筆時間:6.5時間 】 画像準備3.5h 調整1.0h 執筆2.0h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 
 

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2008年01月31日

解説【萬年筆と科學】その66のかわりに【 MERCEDES 95 14C-F 】

2008-01-31 01 今回紹介するMERCEDESは資料がほとんど無い。有名なバイブルにも掲載されていなかった。他の文献をあたってみたが、見た記憶はない。

 ただしeBayでは、これまでに3本入手しているので、手慰みで作られた万年筆ではなさそうじゃ。何より作りがしっかりしている。大手が製造し、ブランド名だけ変えて市場に出していたのかも知れない。

 拙者の大好きなチェイス模様仕上げであるのが気に入って、これだけは手元に残してある。Vintage万年筆を購入するのは、その構造を知りたいがためであって、筆記に使おうとは考えていない。従って、壊れていれば修理してからお嫁に出す・・・という
パターンが多いのだが、これだけは手放していない。姿形があまりに流麗なのと、内部構造がすばらしい。ピストンにBack-Up機能がついているのじゃ!

2008-01-31 02 尻軸には【95】という番号とペン先の太さ【F】が彫られている。おそらくは【95】というのが製品名/番号であろう。No.149みたいなものかな?

 彫り具合を見ていると、【焼きコテで一回で型押ししたのではなく、線と曲線のコテを何
回か向きを変えて押したように見える。番号の型を作るコストを人件費で補ったのであろう。ということは大量生産ではあるまい。

2008-01-31 03 軸には【MERCEDES】の刻印がある。こちらは型押しじゃ。メーカー名は全ての製品に共通なので型を作ったが、品番までは型を作る余裕がなかったのかも・・・

 どうやら車メーカーのメルセデスとは関係が無さそうなのだが、だれか情報を持っていたら教えて欲しい。

2008-01-31 04 当時の独逸製万年筆と同じく、軸の大きさと比べてペン先が相対的に小さい。キャップを後ろに挿した状態で14.5僉∧弔犬疹態で11.9僉首軸から前に出ているペン先の長さは1.7で一円玉の直径(2僉砲茲蠱擦ぁΑΑ

2008-01-31 05 ところが実に良い書き味なのじゃ。調整でごまかしているのではなく、良い弾力を持つような設計になっている。

 筆圧を書けても、ペン先がだらしなく開く感じではなく、ペン先がお辞儀したまま上に反るような感じ。独特の筆記感がある。

 そして首軸先端部分にまで、細やかな模様を彫ってあるのにも感激!少ない資源でいかに立派な万年筆に見せるかの工夫に脱帽じゃ。

 キャップリングをよく見ると、ものすごく緻密な細工を施している。同程度の大きさのNo.144のキャプリングは、伸びて曲がって、クルクル回るようなものが多い。しかしMERCEDESのキャップリングはまるで象眼のようにピッタリとして微動だにしない。手先が器用な人が作った感じがするな・・・

2008-01-31 06 Vintage物の回転吸入式万年筆は。コルクを修理しながら使う物なので、メンテされていない万年筆の吸入機構が生きている可能性はほとんど無い。

 ところがこのMERCEDESではインクを吸う・・・おかしいなと思って分解してみたら、なんとコルクが二ヵ所ついていた。下のコルクがスカスカになっても上のコルクはインクにほとんど触れないので劣化が少なくインク吸入に問題がない。

 しかもPelikan 100などと同じように、特別な器具が無くても完全分解出来る。すばらしい設計思想じゃ!

 ただし、このあまりに内部の凝った仕組みのわりに、外装に贅沢な金属を使っていないのが災いして、それほどもてはやされはしなかったのであろう。

 萬年筆マニアとしては、外装はシンプルで、内部構造に凝った萬年筆が欲しい!外装だけの限定品よりはそちらにお金を使いたい。

 Pilot 65、プラチナ70周年記念、セーラー レアロのような吸入機構に凝った萬年筆が望まれているのではないかな?これらをベースにした限定品を作ってくれれば良いのになぁ・・・




  
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2008年01月30日

水曜日の調整報告 【 Sheaffer 1000 黒縞 吸入機構完全取替 】

2008-01-30 01

 今回の依頼品は、WAGNER会員の持ち物ではない。会員の方が友人から依頼を受けて持ち込んだ物じゃ。

 それにしても凄い!これほどあちこち傷んだ万年筆にはなかなか出会えない。そうとう長期間放置されていたものであろう。そして、放置された原因は、硬い書き味。おそらくはもっと書き味の良い萬年筆を入手した結果、使われなくなって机上に置き忘れられていたはず。不幸中の幸いはインクが入らなかったので、インクによる痛みが少ないことじゃ。

 軸は非常に綺麗で、Sheafferの面目躍如!という感じ。この軸模様は以前捜しに捜して入手できなかった記憶がある。それがある時ひょっこりと目の前に表れる。

2008-01-30 02 ペン先は綺麗なバイカラーだが、金ペンではなくスチールペン。もっともこれが製造された時期のSheafferのペン先はどれも硬く、金ペンとスチールぺンで違うのは耐久性くらい。

 かなり耐久性で金ペンに差をつけられているスチールペンがこれほど綺麗な状態で残っているとは奇跡に近い。それともペン先に14Kと彫ってないだけで、実は金ペンだったのかな?

2008-01-30 03 不具合はいっぱいあるが、まずはインクを吸入しない事。中を開ければあたりまえで、サックが裂けている。

 インクをたっぷり入れたまま劣化すると、ゴムサックが胴軸にこびりつくように硬化するのだが、ちゃんとサックの形を残したままじゃ。あまり使われなかったのかも知れない。

 サックが曲がったのは首軸を真っ直ぐ押し込むところを捻りながら押し込んだから・・・。それでインクを吸わなくなったので劣化が抑えられたのだろう。不幸中の幸い!

2008-01-30 04 ただし水分は胴軸内部に残るので、レバーによって押さえられる内部部品は錆び付いて弾力を失っている。これではインクを吸わないので、代替品を準備する必要がある。

 市場の大きなUSAでは、ちゃんと修理する道具や部品も普通に売られている。特にParkerやSheafferの部品は充実している。

2008-01-30 06 左がJ-BarとしてUSAで販売されている物。丸い方を奥にして、レバーフィラーのレバーで少し厚い金具の部分を押せるような位置にして、胴軸内に突っ込めば終わり。一端押し込むと、抜き出すときに軸内部に傷がつく。真剣勝負で一回で成功させなければならない。相当バネが強いのでオリジナルよりも心地良い操作感じゃ。

2008-01-30 05 こちらが綺麗に磨いたペン先。14Kとは書かれていないが、非常に綺麗!Sheafferは特殊な合金のペン先も作っていたので、そちらかもしれない。

 ガチガチに硬いが書き味はSheafferらしい力強さ。これはMくらいだが、SheafferらしさはXFやFの方が上。スノーケル用のFやXFのラウンドニブは一度使うと嵌りますぞ!

2008-01-30 07 こちらは新しいインクサックを、サックセメントで取り付けた状態。一度サックを胴軸内に押し込んで、どこまで入るかを確かめてから、首軸が胴軸に入る長さを差し引いた部分でサックを切断し、サックセメントで止めるのじゃ。数分で乾くので、水で吸入実験をし、問題なければ同軸に真っ直ぐ差し込む。この段階ではまだ、ペン先やペン芯をとりつけないでおく。

 胴軸に首軸が入ったら、ペン先を挿す部分から竹ヒゴなどを押し込んで、胴軸内のサックの形状を整える。こうすればヨレる事もない。

2008-01-30 08 こちらがスリットを拡げてインクが出る状態にしたペン先。実に書きやすくなったのだが、それ以上に、この造形の美しさに感動してしまう。

 当時USAで流行していた【流線型】を表現したモニュメントのよう。まるで先端部に向かってインクが高速で流れていきそうな錯覚さえ覚えてしまう。

 今でこそデザインといえば【伊太利亜】と言われるが、この当時の万年筆では米国製が圧倒的にかっこよく、伊太利亜などは古くさいデザインだった。まさに米国黄金期の作品。

2008-01-30 09 横顔も良い!まるでジョーズが中途半端に口を開けたようなデザインのペン芯は素敵!

 このあたりは米国製戦闘機グラマンに描かれていたイラスト?に似ていて懐かしい。少年漫画で憧れたものじゃ。

 この多少反った形状が、ガチガチに硬いペン先に不思議なソフト感を与えている。Sheafferに嵌る人はこれにやられる・・・

2008-01-30 10 拡大してみると、まるで長刀の切っ先のよう。ただしセーラーの長刀と違ってペンポイント部分は短いので、日本字では味が出ない。あくまでも英語の筆記体を超高速で書く場合にストレスも引っ掛かりもない書き味を堪能できる。

 この安価モデルでもこれほどすばらしいので、ラウンドニブの14金ペン先のFならば、夢のような書き味を堪能できる。一度は試してもらいたいものじゃ。

 ただし修理できる自信がなければ、安易に海外から購入するのは止めた方がよい。非常に劣化しやすい設計なので、部品を持ってないと再生できない!

 WAGNERに持ち込めばすぐに完璧になるはずだが・・・


【 今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備2.0h 調整2.0h 執筆1.5h
画像準備
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調整とはペンポイントの調整をしている時間
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kugel_149しゃんの【 ブラッド・ピットに贈るとしたら…、と訊かれて思い浮かんだペリカン加賀沈金万年筆 】

http://otokonokakurega.net/blog/standard/20/entry1274.html

Pelikan 沈金

圧倒的に黒い方が人気高いそうですが

本物に接すると

赤い方がエレガント!

だとわかります

  
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2008年01月28日

月曜日の調整報告 【 Montblanc 50年代 No.144 14C-F どん底 】

2008−01−28 01 今回の依頼品は極めて状態が悪い。物は1950年代のMontblanc No.144だが書ける書けない以前の問題!早い話がメチャメチャな状態なのじゃ。

 この万年筆はプロまたはセミプロの手によってコルク交換がされたばかり。それで安心して購入したのであろうが、それ以外が惨い状態。

2008−01−28 02 ペン芯とペン先の位置関係は良いが、スリットが開いていないというか、明らかに左右の段差がありそうじゃ。

 ペン先もブルーブラックのインクで汚れている。拙者はウォーターマン以外のブルーブラックインクは吸入式万年筆には入れない事にしている。それ以外のメーカーのブルーブラックインクを使う必要がある時には、迷わずコンバーターを使う。拙者はインクでの冒険はしない!

2008−01−28 03 ボディ内部はしっかり洗浄&部品交換。ペン先だけはいじれないが分解清掃は出来る人の仕業と思われる。

 コルク交換には器具と部品と知識が必要で、ペン先調整には理論と手先の器用さが必要。両方備えるのは難しいのかも知れない。

 上部から一瞥しただけで、左右のペン先に段差があるのがわかる。こういうケースは事故物以外では初めて。よくもこういうものをオークションに出したものじゃ!海外オークションは、近くに修理してくれる店が無ければあきらめるか、自分で腕を磨くしかない。その為の調整講座なのでしっかりと読むように!

2008−01−28 04 これが前から眺めた画像。ペンポイント一個分左右がずれている。おかしいのは向かって右側部分。これが左側に曲がりすぎて、左側のペンポイントの上に乗ってしまっている。

 この画像からはわからないが、ペン芯も曲がっている。正しく調整されたニブを、このペン芯に乗せても段差が出来てしまう。

 こういう場合は慎重に根気よくペン先とペン芯のカーブをなじませていく(具体的にはペン芯研磨)作業が必要となる。

2008−01−28 05 さらにはペン芯が首軸奥まで入りすぎている。首軸の穴が度重なる抜き差しで摩耗したのだと考えられる。

 上質のエボナイト製ソケットでペン先とペン芯をホールドしている場合は、こういうことは発生しないのだが、ソケットを使わないで、直接首軸にペン先とペン芯を押し込む設計になっているものがたまにある。この場合はスカスカになる確率が大きいようじゃ。

 ここまで段差が出来たのは(ペンポイントの摩耗状況と合わせて考えると)超高筆圧でガリガリと書いた事も原因している。

 青竹を日本刀で斜めに切ったようにペンポイントが摩耗している。ここまで酷使されれば、このNo.144も本望であろうが、もう少し生きながらえてお役に立ってもらいましょう。

2008−01−28 06 このように斜面が一直線になるまで酷使されたペンポイントで日本語を書いてみると、あちこちで引っ掛かってまともな字は書けない。ただし英語の筆記体なら特に気にならない。かなり左に捻って書けばだがな。

 このペン先なら日本市場ではジャンク扱いだな。こういうのが流通するのが海外オークションの恐ろしさであり、楽しみでもある。

2008−01−28 07 ピストンのコルクは前述のように、新品と交換されている。コルクの材質も上質で、まったく問題はない。

 このタイミングでは間に合わなかったが、秘密兵器を準備中。WAGNER会員限定ではあるが、VintageのNo.14Xを、今後20年は生きながらえさせる事が出来そうなもの。

 今後ともBlogに登場する事は絶対にないが、会員だけはメリットを享受出来るはず。実験が成功すると良いのだが・・・


2008−01−28 08 こちらがペン芯から外した状態の画像。ごらんのように段差はほとんど無い。ただしペン先先端部がやや曲がっている。

 この曲がりを直し、先端を丸め、ペン芯の歪みをお湯で矯正し、多少ペン芯を研磨すれば段差は解消し、書き味も激変する。

2008−01−28 09 こちらは調整の終わったペン先を首軸に取り付けた状態。当初よりペン先は多少前に出している。当然ペン芯も前に出ている。それでもペン先がグラグラしないのには訳がある。過去にも紹介した魔法を使っただけじゃ。それが何かはじっくりと読み返して復習して欲しい。

 このBlogはFlowではなくStockじゃ。過去記事も内容に記載ミスがあれば、修正をかけているので、整合性は取れているはず。繰り返しお楽しみ下され。


2008−01−28 102008−01−28 112008−01−28 12




 先端部もペンポイントまでスリットは通り、ペン芯とペン先もぴったりと密着し、ペンポイントも筆圧の低い依頼者用に微調整してある。

 拙者には柔らかすぎて手に合わないが、軟筆好きにはたまらない書き味になったであろう。弾力を楽しむにはペン先をお辞儀させること。腰のない柔らかさを出すにはペン先を真っ直ぐにすること。いずれにしてもペン芯も同じようにお辞儀させたり反らせ気味にしたりという調整が必要。

 フラットフィードが良いのは、お湯に入れればすぐに柔らかくなり、どうとでも曲げられること。これが唯一のフラットフィーのメリットであり、大きなデメリットでもある。意図せずに曲がってしまうリスクも高いから・・・


【 今回執筆時間:6.5時間 】 画像準備2.5h 調整2.5h 執筆1.5h
画像準備
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2008年01月26日

土曜日の調整報告 【 Pelikan M320 緑 14C-M 背開き 】

2008-01-26 01 PelikanのM300シリーズは銘品じゃ。拙者にとって一番書きやすいPelikanはM800ベースのトレド型限定品だが、装飾を施していないものに限定すればM300系が好き!

 M300はM800、M600、M400の弟ではなく、M1000の妹。これは発売当初から感じていた。ペン先とペン芯をホールドするソケットの形状がM1000系なのがその理由。発売当初のニブはM1000に似て柔らかかった。

 今回の依頼品はM300シリーズの最新作の緑軸。以前のオレンジ軸と同じく1ロット作成したら製造打ち切りというもの。軸の原材料をまとめ買いして、1ロットで生産を打ち切り、材料在庫を持たないという方式は、全ての業界でトレンドになっている。

 なぜ1年間で製造を打ち切るかと言えば、年度をまたぐと製品在庫になり、材料在庫よりも金額がかさんでしまうから。従って単年度生産、単年度出荷で製品在庫ゼロにする。あとは若干の修理用部品在庫を持つのみという戦法。

 限定品が万年筆業界に好影響をもたらしたのは、期末在庫ゼロ戦略も大いに貢献している。創立記念日の10月に限定品を出すPilotなど、実質販売期間が期末までに半年しかないので不利なのだが、全体売り上げに占める万年筆の比率が低いので誤差の範囲かも知れない。

2008-01-26 02 さて今回の依頼内容だが。例によってインクフローが悪いということ。

 スリットをよく見ると、途中までスリットが通っているのに、先端部で詰まっている。しかもペンポイントの上部は隙間があるのに、下部がくっついているように見える。

 これが【開き】の典型的な症状じゃ。

2008-01-26 03 横顔は端正で美しい。ペンポイントの形状も【M】だけあって綺麗に丸められている。しかし当然のことながらスイートスポットは無い。

 まあ【M】であれば無理にスイートスポットを作らなくても、そこそこ書き味は良い。BやBBではスイートスポットを作らないと書き味が下品になる。EFやFではスイートスポットを作ろうとすると、書き味が悪くなる、あるいは、字幅が太くなってしまう。

2008-01-26 04 こちらはソケットを装着されたペン先とペン芯。最近のペン先なので、当然メタボ型のニブ。もしM300発売当初のニブを見つけたら迷わずGetすることをお奨めする。

 書き味に大きな差は無いが、見映えは古いニブの方が良い!もっともほとんどの人は判別できないだろうがな。

2008-01-26 05 これが背開き画像。左右の段差がまったく無いのだが、背中側が開いて、腹側が閉じている。メーカーが望ましいと考えている状態は、上下にスリットが真っ直ぐにそろい、背開きでも腹開きでも無い状態。ただそれでは書き味が今一歩なので、日本の店頭調整師は伝統的に【腹開き】状態に改良して販売していたらしい。

 拙者も以前は【腹開き】状態に直していたが、最近では【平行】状態に戻した。書き味よりも美しさを優先しているのでな。

2008-01-26 06 こちらはツボ押し棒でペン先のエラ部分を拡げて【腹開き】状態にした。かなりエラが開いているのがわかるかな?

 この状態から根元を絞ってソケットに入れれば【腹開き】が【平行】状態に戻るのじゃ。このあたりは経験というか、勘というか・・・微妙なところ。

2008-01-26 07 こちらが首軸に取り付けた画像だが、スリットもさることながら、ペン先のメタボ形状が改善されて、多少ウェストが絞られたのがわかるかな?

 最近では単にエラを張らせるだけではなく、その後で根元を絞るようにしてウェストを出しているのじゃ。まぁ、メタボ腹をベルトで締め付けるようなもの。

2008-01-26 08 多少ピントがボケているが、スリットは下まで真っ直ぐに入っている。こうなればインクフローや書き味は激変する。

 下から三番目の画像と、上から4番目の画像を比べるとわかるが、ペン先のソケットの中に入っている部分の長さは、ソケットの全長よりもはるかに短い。これがPelikanの弱点。

 No.149ではソケットの長さは15个如▲愁吋奪箸涼罎14亢瓩ペン先が入っている。M800ではソケットの長さは9个如中に8.5估っている。このペン先を押さえている長さの差5.5个ペン先が左右にずれやすいかどうかを決めている。しかも、Pelikanは手でソケット毎外せる。Montblancでは外せないようになっている。このあたりが設計思想の違いであろう。

 トラブルを徹底的に排除しようというMontblancと、使うなら多少の微調整は自分でやりなさいというPelikan。拙者はPelikan派じゃ。従ってユーザにもある程度のペン先微調整が出来るようにと、調整講座を連載している。

 眺めているだけではなく、実践しないと意味ありませんぞ。技能は読んでも身につかない。実践して壊した本数で上達し、極楽浄土を味わえるのじゃ!




【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1.0h 調整1.0h 執筆1.5h
画像準備
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2008年01月24日

解説【萬年筆と科學】 その65のかわりに【 Pelikan SAHARA 】 

2008-01-24 01 やっとPelikan SAHARAを入手した。発売後しばらくして販売店に【頂戴】と言って代理店に聞いてもらったら、日本での出荷数分は終了してしまったので、独逸からの取り寄せになるとのこと!

 そ、そんなに人気が出ていたのか!店頭に並べているところも多いので、安心していたのだが・・・

 昨今の萬年筆ミニブームを見込んで、販売店がストックに走っているのかもしれない。

2008-01-24 02 これはパッケージに同封されていた取扱説明書の表紙。本当にSAHARA砂漠かどうかはわからないが、砂漠に対する憧れを感じさせてくれる。

 軸にこの雰囲気が出ているのだとしたら楽しみ!


2008-01-24 03 特徴は軸に砂漠の尾うねり模様が彫られ、その上に透明樹脂か工業用漆が塗られている。

 インクを入れない場合の重量は32gであり、ナイアガラの滝よりも若干軽い。胴体の刻印で削り取られた部分の差かな?ちなみにM800は28.9gなので、はるかに重い。メタボな胴回りのせいであろう。


 ずっとキャップを後ろに挿して使っていたのだが、持つ位置がメタボ腹の一番太い部分になってしまい、疲れが早い。

 そこでキャップを挿さずに、ややペンを立てて書いてみると絶妙!ネジの部分を中指に乗せるような位置が一番拙者にフィットする。キャップを挿さない方が書きやすいのはM1000No.146
に続いて3本目じゃ。もっともNo.146は挿せないのだがな・・・

2008-01-24 04 ナイアガラの滝のペン先(銀一色)と違いSAHARAのペン先はバイカラー。M650の18金ペン先と同じもの。従ってM650用のBBニブを装着する事も出来る。2本購入したうちの一本にはBBニブを装着して飾ってある。

2008-01-24 05 既に何度も提案しているが、Pelikanは日本でのペン先の検品を強化した方が良い。拙者のSAHARAは独逸からとはいえ、Pelikanの正規代理店経由での購入じゃ。なのに購入直後で左画像の状態!

 ペン先の左右に大きな段差がある。もう一本は多少マシだった。これはペン芯の上で、ペン先が左右にずれた場合に発生する現象で、爪で横に押せばすぐ直る。出荷時点でピコっとやれば直るのだがなぁ・・・

 もっとも根本的には、根元を長くして、ソケットとの密着度を向上した方が良い。すなわちNo.149のようにするわけじゃ。コストの問題もあろうが是非考えて欲しい。同じような現象はM400にもM800にも発生している。

2008-01-24 06 こちらは横からの画像。ペンポイントは大粒で良いのだが、スイートスポット無しでは極上の書き味とはいかない。今回は調整しないで、どんな感じなのか一ヶ月ほど楽しんでみようと思う。

 段差が無くなっただけでも書き味はずいぶん向上するのでな。

2008-01-24 07 こちらは全体分解画像。M800を分解するのと同じ工具で分解・組み立て出来る。このあたりはすばらしい設計思想じゃ。No.146などと違うのは、ピストンの装着に接着剤を使っていないこと。ネジの精度に対する自信がうかがえる!

 この設計思想だけは後世に
引き継いでもらいたいものじゃ。

2008-01-24 08 こちらはソケットから外したペン先の拡大図。現行品のM800のニブと同じく、ややメタボな形状。別ルートで入手したM650用のBBニブはウェストがやや締まった美しい形状をしている。気のせいかも知れないが・・・

2008-01-24 09 こちらが段差を修正した状態。拙者は全て分解して微調整しないと気が済まないのでこうやってしまうが、爪で押すだけで直る確率が6割以上ある。

 爪でダメな場合は、ソケットからペン芯とペン先をタタキ出して微調整することになるが、この作業を繰り返すと、ソケットが緩くなって、書き出しで筆圧を書けただけでズレが発生するようになってしまうので、あまり神経質に抜き差しを繰り返さない方がよい。

2008-01-24 102008-01-24 11 こちらがちゃんとセットした状態の画像。スリットも開き、ズレも無くなった。

 書いてみると、なんとも下品な書き味。スイートスポットが無いからじゃ。初めての人ならBってこんなものか・・・と我慢して使うだろうが、スイートスポットを作った太字に一度嵌ると、この書き味では満足できない。

 ただし、今回は、スイートスポット無しでしばらく使ってみようと考えている。多少ワクワクしている。手になじむプロセスがあるのかな?という期待じゃ。

 最後に注意事項! M600系はペン先ユニットをつまんで左に回して外し、内部を清掃して右にねじ込んでソケットを固定する作業を終えた段階で、ペン先がペン芯とズレますぞ。この作業自体を止めた方がよい。【pf】付ニブ時代のM800では考えられない事じゃが、最近のモデルではM1000を除いてズレる事が多い。もともとメーカーは推奨しているわけではないので、止めておいた方がよい。このSAHARAでも100%ズレた。最後の爪での微調整が日課になっている。



【過去の関連記事】

月曜日の調整報告 【 Pelikan ナイアガラ 18C-B 交換後 】 

  
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2008年01月23日

水曜日の調整報告 【 Montblanc No.242 なんとか一人前に・・・ 】

2008-01-23 01 今回は修理依頼ではなく生贄!直る保証無しで引き受けた。というのも拙者はMontblancのNo.24X系の修理をしたことがない。買って壊して・・・を繰り返していたころ入手していたかもしれないが、記憶には残っていない。従って分解方法を知らない。これでは修理は保証できないのでな。

2008-01-23 02 依頼者によるとボディはNo.242だがペン先はNo.342の物がついているとか。それにしてもペンポイントは異様に硬い。なかなか研げないので相当イライラする。やはり現行品の柔らかいペンポイントの方が調整はしやすいし、紙あたりも柔らかい。

 昔はペンポイントの耐久性に重きが置かれていたので、かような硬いペンポイントだったのであろう。

 スリットは例によってガチガチに詰まっている。しかも何度も寄せた形跡がある。開いては寄せ、開いては寄せ・・・を繰り返しながら愛用していたのだろう。

 ペンポイントの摩耗も凄い!

2008-01-23 03 先端が尖っている。これは通常筆記と、背中筆記の両方をやっている。むしろ背中筆記が中心だったようじゃな。綺麗な形状に研ぐと、ペンポイントが無くなってしまうので、多少不細工なままで我慢しなければなるまいな。

 図を見ても左右の段差がよくわかる。ペン芯先端から先が曲がっている。通常筆記であればこのようなことは発生しない。ペンを逆さに持って強筆圧で、かつ左に捻って書く場合には、画像の手前側が押しつけられる。通常は押しつけられたとしても曲がりはしない。しかし背中筆記時にはペン芯で逃げ場がなくなり、曲がってしまう。

 ペンを逆さにして書くな!というのはこういう現象を避けるための言い伝え。従って筆圧が低い人には当てはまらない。


2008-01-23 04 正面から眺めた画像。これもスキャナーを利用。ペンポイントに段差があるが、ペン芯のうえでペン先が左右にずれているわけではない。向かって左側だけが曲がっているのじゃ。

 こういう場合は、ペン芯を外さなくても調整可能。左側を爪で上に押せばよい。ただし下手こくと波打ってしまうので、慎重を期すならペン先とペン芯をばらしてから微調整をするのがよい。

 いずれにせよスリットを拡げる作業は必要なので、まずは分解してみた。

2008-01-23 05 ペン先の根元に【342】との刻印がある。まさにMontblanc No.342用のペン先を、No.242に取り付けた事が証明された。

 何となく全体に右下に向かって曲がっているような気がする。これはスキャナーだからこそわかるもの。ルーペでは周辺歪みに見えてしまうだろう。

2008-01-23 06 拡大してみると、スリットが途中でくっついてから先端で離れている。これではインク切れを起こす確率が大きくなってしまう。スリットはペンポイントまで、徐々に細くなっていくのが理想的じゃ。

 曲がりの修正とともに、スリット幅の調整も必要! それにしてもどうやったらこんなに器用に曲げられるのかなぁ・・・。独逸にも【の字調】する名人がいるのかな? (いるわけない!)

2008-01-23 07 こちらはペン先とペン芯を外した首軸を入り口から見た画像。通常ならソケットが外れるはずなのだが、専用工具を使ってもソケットはビクともしなかった。

 首軸が痩せたのか、はたまたネジにこびりついたインクが接着剤の役目を果たしているのか・・・

 こういう時には無理をしてはいけない・・・ということを、数百本の天に召された生贄が教えてくれる。あきらめてこのまま修理を続行する。

2008-01-23 08 幸いなことに首軸は簡単に外れた。ここが外れればピストンの清掃は簡単・・・と考えたが分解してみると、ピストンのコルクは新品と交換してあった。

 ということはコルク交換は得意だが、ペン先調整は出来ないという、海外の店から出たものに間違いない。修理して長く使うことが習慣となっている独逸では、修理工具や修理部品も充実していて羨ましい。反面、今回のようなハイブリッド品も非常に多いので、高くても信頼の置ける店で買うのが良い。

2008-01-23 09 こちらが使うのに支障がない程度に曲がりとスリットを直した状態。まだペンポイントは研磨していない。

 曲がりを直すには、色々な技法があるが、この程度の曲がりなら、図の上側は隙間ゲージの1个鮑垢傾んで、根元に力を入れるようにしてクイと捻れば完了じゃ。反対側に力を入れると、ペンポイントだけが開いてしまう。

 下側については割り箸の先端で曲げる技法を使う。過去記事を参照されたし。

2008-01-23 10 こちらが首軸にペン先とペン芯を装着して、ペンポイントに研磨を施した状態。

 スリットもペン芯に乗せてから多少はいじっている。また熱湯でペン先とペン芯をなじませる作業も必要。プロは蒸気を使うことが多いらしい。長崎のマツヤ万年筆病院では薬缶を改造して使っていた。実に良くできていたのだが、撮ったフィルムをローライB35と一緒に無くしてしまった。残念!


2008-01-23 11 こちらが研磨したペンポイント。どうにか筆記できる程度にはペンポイントは残った。ただしかなり筆記角度を立てないと良い味は出ない。

 幸い依頼者は筆圧は弱いが、筆記角度は高いので、なんとか使えるであろう。

 以前テレスコープやスノーケルの修理の時にも書いたが、インクが金属部品と、コルクやゴムサック1枚を隔てて接しているという状態は好ましくない。少しでもインクが漏れたら錆びてしまう。当時は強固な樹脂が作れなかったのでやむなくそうしたのであろう。

 テレスコープやスノーケルを復活させたいという夢は、萬年筆愛好家なら誰しも一度は持つものであるが、トラブルの事を考えればあり得ないのじゃ。


【 今回執筆時間:5.0時間 】 画像準備2.5h 調整1.0h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
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2008年01月21日

月曜日の調整報告 【 Montblanc モーツァルト生誕250周年 時々切れる・・・ 】

2008-01-21 01 この依頼品は【ダメ出しの女王】から・・・

 ペン先を見ると、既に十分に調整されている。症状としては【時々インクが出ない】ということのようじゃ。女王様からの要望にしては珍しい。だいたいどこかの角度でひっかかるというのが多い。

 女王様は試し書きに慣れている。ペン先の能力を試すために、一日中試し書きをしていた事があるらしい。従って萬年筆の弱点を発見する事に関しては天才的に鋭い感覚を持っている。その女王様が引っ掛かりを指摘しなかったと言うことは・・・

 この萬年筆は引っ掛かりを発見されにくくするために、スリットを締めているはずじゃ。スリットを締めてしまえば、引っ掛かりは発見しづらくなる。そしてインクフローが悪くなるのじゃ・・・

2008-01-21 02 ペン先の拡大画像を見ると、果たしてスリットはガチガチに詰まっている。しかし・・・美しいペン先じゃ。無駄な装飾が無くて引き締まっている。ペンポイントの形状にも破綻がない。ここ数年のMontblancのペンポイントへの力の入れ方には感心してしまう。

 Montblancの総合ブランド戦略は萬年筆愛好家からは何かと批判されがちだが、どっこい萬年筆の命ともいうべきペンポイントの研ぎはすばらしさを増している。その充実した萬年筆を生かすも殺すも店頭での接客次第。如何に商品知識を売るかが大事じゃ。まずは萬年筆を好きになって欲しいな・・・

2008-01-21 03 こちらは首軸から外したニブ。やはりスリットは詰まっている。ただしハート穴付近が詰まっているだけではない。ペンポイント近辺だけが詰まっている。こういう現象はペン先を多少お辞儀させた場合に発生しやすい。

2008-01-21 04 もう少し拡大してみると、毛細管現象の実験器具のように綺麗に先に行くほどスリットが詰まっている。

 何度も述べてきたが、萬年筆のインクは毛細管現象によってのみ供給されるものではない。筆圧によるポンプ運動でも供給される。

 幸い女王様は、それほど弱い筆圧ではない。ポンプ運動を機能させるには必要十分な筆圧の持ち主じゃ。従ってスリットはもう少し拡げてインクフローを良くしよう。

 その場合、せっかく閉じ調整が施されていたペンポイントが開くことによって、女王様に引っ掛かりを発見させれる確率が増えてしまう。それに対しては、スイートスポットを作ることによって回避してみよう。

2008-01-21 05 こちらはペン芯。実に良く出来ている。ペン先の設計との整合性が見事にとられている。こういう小さい萬年筆用のペン芯を、エボナイトから削りだして、樹脂製と同じ性能を引き出すことは、不可能。樹脂製のペン芯だからこそ出来る複雑ペン芯じゃ。

2008-01-21 06 こちらはスリットを拡げ、清掃も調整も終了したペン先。スリット部分はかない開いているように見えるであろう。

 実際にはほんの数秒で、ここまで調整できる。素材自体が柔いので、昔のように曲げても曲げても戻ってしまう・・・という心配もない。

2008-01-21 07 こちらがペンポイント近辺の拡大図。ペン先が開いていると、インクがペン先に来るまでの時間が若干長くなる。

 毛細管現象は狭い場所ほど速度が速い。ただし吸入式萬年筆や、コンバーターを使う場合、インク吸入が終了した時点でペン芯にはタップリとインクが含まれているので、毛細管現象でインクを素早く引っ張る必要はない。隙間を狭くすることに血道を上げるよりも全体としてのインクフローを考えるべき。

2008-01-21 08 このペン先では左右のペンポイントの厚み(上下)が異なっていた。一方が厚く、一方が薄い。従って正面から見て、上を合わせると腹が段差になり、腹を合わせると頂上が段差になるというやっかいな状態だった。

 そこで頂上の高さを合わせて、腹は書き癖に合わせて、ガシガシ研磨し、スイートスポットも作っておいた。

2008-01-21 09 そうしておけば、今後、他の調整師に持ち込まれても、多少の微調整で済む。

 スイートスポット無しで調整するには、相当時間がかかる。また女王様くらい繊細は感覚を持っている人を、スイートスポット無しで調整してもお気に召しますまい。ここでスイートスポットを入れておくことによって、今後数多くの調整
師が救われるのじゃ!

2008-01-21 10 こちらが横顔。ペン先の一番後ろに三角形の切れ込みがあるタイプは、ペン芯にストッパーが設けられているので、位置調整が出来ない。No.149やNo.146では、もう少しペン芯を後退させたいな・・・と思うのだが、モーツァルトの場合には位置関係はこれで問題ない。

2008-01-21 11 先端部を拡大したのがこちら。女王様は筆記時の角度、捻りが縦横無尽に変わる。通常そういう場合はスイートスポットを作らず丸研ぎにする調整師の方が多いが、女王様には通用しない。

 そこで敢えてスイートスポットを作り、そこから丸めていったのがこちらじゃ。スイートスポット周辺は書き味が桁違いに良いので、自然とその周辺を使うようになっていく。そうやって時間が経過すれば縦横無尽一点集中に変わるのではないかと期待している。


【 今回執筆時間:4.0時間 】 画像準備2.0h 調整0.5h 執筆1.5h
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2008年01月19日

土曜日の調整報告 【 Montblanc No.146 14K-BB 不思議とひっかかる 】

2008-01-19 01 今回の依頼品は1980年代後半のNo.146No.146のニブはどれも魅力的だが、こと太字の書き味となれば、この時代のものが他を圧倒する!

 極太がヘロヘロに柔らかくては、ごく一部の人を除いては書きにくくて困るであろう。

 柔らかいペン先を偏愛する人が話していたが【書き込んでみると、細字柔らかいもの、極太では硬いものが筆記にストレスが無い】とか。拙者もそれに賛成じゃ!

 M10003Bをヌラヌラに研いでもらって大喜びしたが、書き始めるとすぐに疲れてしまうので、ペン先交換した経験がある。

 どんなにすばらしい調整でも、柔らかくて極太のペン先は・・・筆にはかなわない。

 3Bなら【p.f.】付きのM800が最高。もしM1000なら【p.f.無しの現行品M800より少し固め、端的に言えば現行No.149くらいの硬さのニブなら最高だと思う。

 Pelikan好きのWAGNER会員でも、M10003B愛用者はごくわずかじゃ。拙者は萬年筆愛好家ではなく、萬年筆コレクターなので、マルガリータ3Bのペン先を付けて悦に入っているが、それで文字を書こうとは思わない。

2008-01-19 02 No.146のBBとしては最高のペン先を持つ【生贄】ではあるが、どこで書いてもゴツゴツして、書き味に品がない。こう感じたらインクの出が足りないと考えて間違いない。いわゆるガス欠状態じゃ。

 スリットが詰まりすぎているので、インク供給量が足りない。とくに依頼者は書き出しの筆圧が極めて低い。小さなVintage Montblancを愛用しているせいもあろうが、筆圧≒ゼロから書き始める。

 こういう人に対しては、ドバとスリットを開いた調整にしないと使えない。

2008-01-19 03 裏側を確認してみると・・・ペンポイントの裏側はピッタリと閉じている。これが腹開きになっていればインクフローは良いのだがな・・・

 それにしても、拙者の好みから考えるとペン芯が前すぎる。これは少し下げておこう。

 ペン芯は上下に切り込みがはいっているものだが、この合わせる位置に多少段差があるのがわかるかな?これはこのタイプのペン芯には必ずあるのだが、これを見て、このペン芯の加工プロセスが完璧に理解出来た。

2008-01-19 04 横顔を見ると、ペン芯の位置がよくわかる。販売時の位置はおおむねこれと大差ないが、拙者がイロイロ実験した限りでは、もう少しペン芯を下げた位置の方が、何かと具合がよい。一番は見映えだがな。

 ペン芯と首軸の位置関係はこれでも良い。欲を言えばコンマ数仄鷦瓦貌れたい。そしてペン先はもう少し前に出して長さを強調したい。

 No.146No.149のペン先は、首軸に入っている部分が比較的長いので、こういう微調整が出来る。

2008-01-19 05 こちらがペンポイントを横から見た画像。非常に綺麗な曲線で、なめらかに書けそうにみえるが、書いてみると下品な書き味。

 以前の調整報告でも述べたが、極太でスイートスポットが無ければ書き味はゴツゴツしてしまう。

 早い話が、極太で良い書き味を得ようとすれば、必ず調整師にお願いしてスイートスポットを作ってもらわなければならないということ。

 強筆圧で20年ほど使えばスイートスポットの角度は出来る。ただしエッジを丸めていないので、少しでも角度が変わったらガリガリしてしまう。その萬年筆一本で書く人にしか奨められないエージングの方法じゃ。

 それに対して極太にスイートスポットをつくるのは、熟練した調整師なら30分以内で出来る。そこから先の仕上げは時間を書けるほど状態が良くなるが、最初の30分で95%の状態にはなる。あとの5%に何時間も何日もかけるわけじゃ。

 ペンクリでは、これを5分以内でやっている。それでも90%以上の状態にはなっているはずじゃ。極太は必ず調整師かペンクリで頼むべき。地獄から天国まで5分で行けますぞ。


2008-01-19 062008-01-19 07 こちらは清掃前後のペン先裏表の画像。上が清掃前、下が清掃後じゃ。

 比較的エボ焼けは少ない方だが、裏側全面に均一に付いたエボ焼けは、多少はインクフローに悪影響を与えてしまう。

 よく見ると、表はピカピカに磨き上げているが、裏側はざらついている。これがインクフローを助ける仕掛けなのかな?ペンクリでペン先の裏側にナイフで格子形に傷を付けてるのを見た記憶がある。

2008-01-19 08 こちらがペン先を首軸に取り付けた状態。スリットは拡げてある。また多少腹開きにした。

 スキャナーの同じ位置に置いても(向きは逆)、光の走査方向による見え方に違いがあるのがおもしろい・・・

2008-01-19 09 この画像を見て、ペンポイントが腹開きに研いであることがわかるかな?

 ペンポイントの光の反射状態から、スリットを中心に外側へほんの少し反っているのが見抜けるようになったら一流じゃ!

2008-01-19 10 こちらが横顔。拙者の好みがわかるかな?首軸、ペン芯、ペン先の位置関係は、これが一番美しい状態だと考えている。

 ただ好みは変化するので、今のところ・・・ と注釈をいれておこう。1年前と比べても拙者の好みは変わっているのでな。

 なをこの段階では、まだスイートスポットは削り込んではいない。

2008-01-19 11 上が削る前、下がスイートスポットを作った後の画像じゃ。

 320番の耐水ペーパーの上で8の字旋回を縦長、横長、右回り、左回りの組み合わせで、20回ずつ、計80回やれば、恐ろしいくらいに削れる。それをどこにもエッジが残らないように丸めたものが下じゃ。丸める際には1200番、2500番を使用する。

 BBの場合にはそれで十分だが、書き出しの掠れよりも筆記時の上品さを重視する人用には、5000番でさらっと舐める。

 間違っても15000番などのラッピングフィルムでBBのペン先を磨いてはならぬ!筆圧が低い場合には書き出し掠れが頻発して地獄になる!

 出来るだけ粗いペーパーで書き味を出すのが上手い調整なのじゃ。そういう意味では【
サブローヤギシタ】のペーパーを使う方が、現在では日本一の調整師であると考えている。


【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備2.0h 調整1.5h 執筆1.0h
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2008年01月17日

解説【萬年筆と科學】 その64のかわりに 【 Pelikan #760 】

2008-01-17 01 今回紹介するのは1988年にPelikan創立150周年を記念して発売された#760。バーメイルではなく金張軸じゃ。#750は銀張軸。当時は、なぜ純銀やバーメイルにしないのかと不思議に思った。非常な割高感があり、絶対に買うもんか!と思ったものじゃ。金張、銀張と金鍍金、銀鍍金を混同していたからな。

 なを最近ではM760と表記して販売しているケースもあるが、少なくとも発売当初は#760という名称だった。

 拙者が初めて購入したPelikanは、当時の#600。この#760と同じ18Cの金一色ニブが付いていた。そのEFを購入したのじゃ。

 まだ調整のまねごとを始めたばかり。やりたくて調整していたわけではなく、書き味の悪さに辟易して、やむなく調整をせざるを得なかった・・・という時代。

 #600についていたEFニブにも閉口した。極細で、柔らかくてひっかかるニブが、いかに悲惨なものかは経験者ならわかる。最悪!

 一ヶ月ほどは我慢して使ったが、とうとう我慢しきれなくなって、3000番のペーパーでゴシゴシ!半日でペンポイントは無くなった!それでこの18Cの金一色ニブに愛想を尽かしてしまっていた。当時、BやBBを体験していればなぁ・・・

2008-01-17 02 こちらがペン先の拡大図。金一色のペン先はボディとマッチしていて非常に良い。この後、ペン先がバイカラーになってしまうのだが、そうなると金一色のボディにバイカラーニブになってしまう。拙者が最も嫌うパターンじゃ。

 #750には当初から18Cのバイカラーニブがついている。こちらは非常に良い感じ。ボディは銀張だが、クリップは金色なので、バイカラーニブでも違和感はない。

 当時から見映え重視だったので、1991年にメディチが出たとき、ボディの質感には非常に惹かれたが、ペン先がバイカラーだったのがどうしても許せなくて、5本予約していたが、本物を見て、その場で解約した。今でもその結論は正しかったと思う。もし、渋々購入しても、すぐに人にプレゼントし、10年後に後悔しただろうから・・・

2008-01-17 03 拙者が#760を入手したのは、1990年代の後半。既にペン先はバイカラーのガチガチに硬いニブになっていたが、マレーシアの販売店が金一色の18C-BBや18C-Bニブを数本ずつ持っている事がわかったので、全部いただいて、トレド#760#600に取り付けている。何人かにはペン先だけがお嫁に行った。

 このBBのペン先をよく見ると、右オブリークのように多少右側が寝ている。このあたり当時のペン先に対する検品のおおらかさが出ていておもしろい。修理用部品としてのニブなので、それほど厳しいチェックがなかったのであろう。

 このニブを実際に研いで使うに当たっては、約10秒ほど左側の山を削れば完璧な形状になる。ペン芯はやや前に出ているようだが、スリットは問題無し!

2008-01-17 04 おもしろい事実に気付いたので報告しておこう。左は1988年の輸入筆記具カタログじゃ。このカタログは1987年末に作成されるので、1988年発売の#760は掲載されていない。18Cペン先付きの#60035,000円で掲載されている。拙者が購入した#600もその値段だった。ただしアメ横で購入したので21,000円だったが。

2008-01-17 05 そしてこちらは、1989年のカタログ。なんとペン先が14金バイカラーになって値段が5,000円下がっている。当時はこちらのニブの方が書き味は好ましく思えたし、萬年筆店の人は【18Cのペン先は柔らかすぎて曲げる人が多く、苦情が殺到したので、急遽14Cの硬いペン先に変えた】と説明してくれた。

 当時はその言葉を、そのままに信じていたのだが、本日カタログを見ていて疑惑がわいた・・・おかしい、何かおかしい!大きな矛盾を感じる。

 【苦情が殺到したから変えたぁ?嘘こくなぁ!】 

2008-01-17 06

 何故、苦情が殺到した酷いニブを、Pelikan 創立150周年記念#760に取り付けたんだ!

 トレドには元々18Cの金一色ニブがついていたので、【在庫品です・・・】と言い逃れ出来るかも知れない。

 しかし創立記念の誇らしき品苦情が殺到したニブを使いますか?

 正直に言って欲しかった・・・#760に装着するので、#600用のペン先を回し、#600は14Cに変えました。でも値段下げたので許してください】というのが本音ではなかったのかな?

 消費税は1989年の4月1日から。従って1989年の輸入筆記具カタログの段階では、物品税表示。#76070,000円で、#750が60,000円。それが翌年の輸入筆記具カタログになると60,000円と52,000円に安くなっている。物品税率は15%だったので妥当なところ。

 金無垢よりも、純銀よりも、バーメイルよりも金張軸の色合いが好きな拙者のお気に入りは、この#760520NN。いずれもPelikan製じゃ。きっともったいなくて一生インクを入れることはないだろう。いや、一本はインクを入れて使ってみるかもしれないな。

  
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2008年01月16日

水曜日の調整報告 【 Montblanc チャールズ・ディケンズ 18K-M の呼吸困難 】

2008-01-16 01 今回チャールズ・ディケンズを調整してみて後悔した。買っておけば良かった・・・と。

 これが発売された時には、そのあまりにもキャップが重そうな形状と、【キャップが尻軸に挿してもすぐに外れる】というNo.146系に共通した特徴が頭にあって、さわりもしないでパスしていた。

 今回いじってみて、意外と重くないキャップと、なによりもキャップを後ろに挿すと、キャップと尻軸がびくともしない密着性にビックリ!

 【もう少しインクフローを良くして欲しい。ペンポイントが背開きだし・・・】とうのが依頼内容。書いてみても確かにインクが少ししか出てこない。

2008-01-16 02 ペン先の状況を確認すると、ペン先のスリットは密着している。これではインクは出ない。ただし背開きというのは依頼者の誤解で、まったく問題はない。またペンポイントの丸めも完璧で、購入当初から、そこそこの書き味が堪能できる。

 ただしスイートスポットは当然のことながら無いので、【もう少し何とかならないのかなぁ・・・】というところ。比較的小幅の調整で生き返る。

2008-01-16 03 こちらは横顔。これでもかというほど、ペン芯が前にセットされているが、この位置は変更できない。ペン芯とペン先の切れ込みによって首軸にセットする位置が決められている。

 工場内でパートの人がセットする事を前提にした設計であり、少なくとも熟練した販売店の調整師が微調整する事は想定されていない。独逸完全主義が、さらなる完全主義のマニアからは見放されてしまうという現象。営利企業としては当然の割り切りだと考えているが・・・

 独逸でも車の世界ではAMGのような公認のカスタマイズ会社がある。萬年筆もその世界に到達すれば、マニア熱がさらに高まるのになぁ・・・。知識のない萬年筆ユーザはクレーマー度が高いというのも企業の防衛的スタンスに拍車をかけている気がする。

 萬年筆研究会【WAGNER】の設立目的は、自分たちの狭い世界でワイワイ楽しむ事ではなく、萬年筆文化を花開かせる事である。

 その為に各メーカーに苦言を呈することもあるが、それはマニア的な利用者が日本で1万人を超えた段階で初めて身にしみるような話であって、現在の商売には関係あるまい。

 ただし企業スタンスは一朝一夕では変わらない。近い将来、萬年筆業界にカスタマイズ旋風が吹き荒
れるかもしれない。そういう日に対処できるような設計は考えておくべきだとアドバイスしたい。

 なぜPelikanAuoraが日本でマニアに受け入れられるのか?ペン先がユニット化されていて、交換が素人にも出来るというのが一番の理由と考えて間違いはないのじゃ。

2008-01-16 04 分解してみると、ペン芯は現行品と同じ。根元が若干細くなっているタイプ。気のせいか、これ以前のヘミングウェイ縮小版タイプのペン芯より、若干インクフローが悪い・・・。インクボタ落ち確率は減ったはずだが、インクフローが悪くなってはなぁ・・・マニアは喜ばない。

2008-01-16 05 ペン先を見ると【2001】との刻印がある。2001年の限定品であることを示している。

 実際に筆記する日本の萬年筆愛好家はペン先のバリエーションが豊富な現行ニブを使って限定品を出すPelikanの方が嬉しい。

 ただし世界一の市場の米国では、Pelikanの限定品はニブが同じ事が災いして、あまり人気が無かった。

 そこで最近はPelikanでも特別ニブを装着した高価な限定品を出すようになった。Montblancとは製造ロットが一桁違うので、Pelikanの特別製ペン先の刻印料は相当原価を押し上げているであろう。

2008-01-16 06 こちらは調整を行ったあとのペン先。ペンポイントの腹側には、依頼者の筆記角度でスイートスポットを作り、それを周囲に薄めるような調整を施した。

 先日の定例会で、依頼者に渡したら、既に筆記角度が変わっていた。聞いてみたら、出来るだけ筆圧を低くするように癖を修正しているとか。さいわいスイートスポットの許容範囲内だったので問題はなかった。

 人様のペン先調整をする際には、相手の萬年筆利用年数から書き癖変化のブレを想定する必要がある。ただし、想定しすぎると、書き出しで掠れてしまう。よく調整してもらったら書き出しが出ない・・・という話を聞くが、これは許容範囲を拡げすぎているからじゃ

2008-01-16 07 こちらはスリットの状況の拡大図。実に良い具合に調整できた。こうやってスキャナーで確認しながら調整するとミスが起こる確率は減る。

 プロと違って調整する本数が圧倒的に少ない拙者でも、そこそこの調整が出来るのは、プロセスの【見える化】をしているから。Blogに残しているのも、自分で参照するという意味の方が大きい。簡単検索出来るインデックスを自分用に持っているのじゃ。


 実際に筆記してみると、スイートスポットが付いているものはすぐわかる。書き味が極めて上品!この書き味を一度経験すると、市販品のまま使っていくのには勇気がいる。まさに麻薬、いや、媚薬じゃ!


【 今回執筆時間:2.5時間 】 画像準備1.0h 調整0.5h 執筆1.0h
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2008年01月14日

月曜日の調整報告 【 Montblanc No.342緑 14C-B改造がひっかかる 】

2008-01-14 01 今回の生贄はMontblanc No.342の緑軸。最近ではめったにオークションに出て来なくなった。綺麗な緑色で、ボディの状態も非常によい。これほど状態の良いNo.342であれれば、おそらくは売れ残り状態でデッドストックになっていたか、コレクターの手で大切に保存されていたかであろう。

2008-01-14 02 ペン先は元々はBじゃ。それを以前の所有者が細字に変えようとして、素人技で削って失敗した物が、中古市場へ流れたと考えられる。

 パッと見ても気付かないかもしれないが、ペン先の
斜面のカーブが不自然!滑らかなカーブではなく、途中で歪んでいる。先端に近くなると急に鈍角になっている。この調整はあり得ない。通常の細字であれば先端に行くほど鋭角になっているはず。

2008-01-14 03 ペン先先端部分の拡大図を見ると、どのあたりから斜めに削ったかがわかろう。しかも曲面を削るヤスリではなく、平面ヤスリで削っている。素人技以外の何物でもない。

 ついでに言えば、スリットが詰まりすぎている。しかも先端部だけが、強烈に左右から押しつけられたようになっている。これではインクはかすかにしか出ない。困り果てた以前の所有者が中古市場に流したと思われる。

 こういうのが中古市場に流れると、WAGNER会員以外はペンクリに頼ることになる。最近のペンクリの活況は、中古万年筆の流通が活発化したせいかもしれない。

 先週末に行われたセーラーのペンクリでは、川口さんは2日間で150本調整されたと聞いた。さすがにプロは凄いな・・・

 拙者は昨日、10時から16時までに23本受け
付けて6本を持ち帰り、実質5時間17本の調整で、本日は体の具合が悪い。肩はパンパンだし、首も張っているという状態・・・

2008-01-14 04 ペン先先端を斜め下から見た画像じゃ。如何に酷い削りかわかろう。ペン先の両端をヤスリでガリガリ削ったうえ、先端部も真っ直ぐ斜めに削ってある。これはサンドペーパーで削ったとしか思えない。

 丸めなんて概念を持たない人物の削りじゃ!こういうとんでもない調整に出会うと嬉々としてしまう。

 ここで直したものが、依頼者に使われるにしろ、その後中古市場に流れるにしろ、一本の万年筆の寿命を延ばすのに貢献出来る事は間違いない。それによって書きやすい万年筆に出会った人が万年筆を好きになってくれることが市場を盛り上げることになる。

 WAGNER会員は、書き味の良くなった万年筆をあまり愛用せず早い機会に中古市場に回して欲しい。それこそが万年筆文化醸成にとって最大の貢献なのじゃ。

2008-01-14 05 こちらは完全分解した図。拙者が預かって調整する場合には、必ず完全分解して清掃している。

 従って清掃も希望の方は、ペンクリ時点でそう申し出て欲しい。ペンクリでの調整よりも、一段上の微調整も可能。調整の出来具合は(基本的には)調整にかける時間に比例するのでな。

2008-01-14 06 こちらが調整前のペン先。スリットは詰まっている上に、稜線も歪んでいる。せっかくのカワイイNo.342のフォルムが台無しじゃ。

 そこで、円筒形の発泡スチロールに耐水ペーパーを両面テープで貼り付けたもので、ペン先の稜線を綺麗に削り取った上で、スリットを拡げる。

2008-01-14 07 そうすると左画像のように美しい形状になる。ただしこの段階ではペンポイントの研磨は行っていない。このままの状態ではペンポイントが尖りすぎていて紙にひっかかってしまう。

 また依頼者は、低筆圧ぞろいのWAGNER会員の中でも、三本の指に入る低筆圧筆記者。ということはペン先を寝かせて書く。従って3つ上の画像のように、ペンポイントの一番下のエッジが立っていては筆記出来ない。

 ここから魔法が始まって・・・終わった。

2008-01-14 08 首軸に取り付けたペン先の画像が左。上の研磨前の画像と比べると、ペンポイントの長さが短くなっているのがわかろう。

 これによって桁
違いにソフトなタッチに変貌する。ペン先の柔らかさでいったら、この時代のMonte RosaNo.342は、コストパーフォマンス最高であろう。

2008-01-14 09 こちらは横顔。同じ時代のPelikanと比べると、ペン先先端のお辞儀の具合が極めて少ない。これがMontblancとPelikanの書き味の差を作っている。

 拙者は、この時代のMontblancの書き味が一番好き!しかし内部機構に関してはPelikanの方がはるかに安全じゃ。金属部品が無いからな。このNo.342ですら、ピストンの軸内部には金属の芯を使っている・・・

 従って拙者はPelikanをMontblancの書き味に調整するのが、一番の得意技じゃ。あまりに時間がかかるので、他人用の調整には使わないがな。興味があれば集団見合いの機会(ペントレ)を待ちなされ。

2008-01-14 10 こちらが拡大図。寝かせて書く人用の調整は、ペンポイントの一番下の引っ掛かりを取り除くこと。特に、小文字の【】の最後の右に跳ね上げる部分や、【】の最後のハライなどで確認すると、エッジ調整の出来が確認しやすい。

 注意点は、普段使わない角度のハライを気に病んでもしかたないということ。調整とは全方位で出来る物ではなく、当人の90%の筆記に適したものでしかないのじゃ。

 10%は我慢する勇気を持たないと常に筆記具に不満を持ってしまう。

 また書き味の出来は価格見合いということもある。1万円の万年筆をいくら調整しても、10万円の万年筆を調整したものには、(基本的には)勝てない。

 好みの問題を別にすれば、50万円の車が、乗りごこちで2000万円の車に勝てないのといっしょじゃ。その当たりは割り切って、不満があれば高価な万年筆にシフトした方が良い。


【 今回執筆時間:4.0時間 】 画像準備1.5h 調整1.5h 執筆1.0
h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 

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2008年01月12日

土曜日の調整報告 【 Sheaffer Crest 14K-F 赤インクが接着剤 】

2008-01-12 01 今回の依頼品は復刻Crestの赤軸。実は以前、胴軸から首軸をねじ込むユニット部分が外れて、瞬間接着剤で付け直してあげた事がある。Sheafferでは、金属用ではなく通常の接着剤を使っていた・・・ 勘弁して下さいよ!と言いたくなる。

 ごく最近の物は知らないが、この時代のSheafferは極上のペン先に比して、胴体の作りに手抜きが多い。スノーケル時代の懲りすぎた機構も故障しやすいので問題だが、壊れたら接着剤で直すしかない作り方は大問題だと思う。

2008-01-12 02 ペン先は極上!特に細字や極細は、多少調整すれば世界一の書き味ではないかなぁ。多少上に反ったニブのおかげか紙当たりも滑りも実に良い。いくら調整してもNo.149のEFでは太刀打ちできない。

 同じようなラウンドニブでもデュポンのモンパルナスなどは非常に硬くなってしまうが、Crestでは先に行くにしたがって傾斜が急になる形状のおかげか、ハート穴から先は思ったより弾力がある。

2008-01-12 03 症状はキャップを捻ると首軸の途中から抜けてしまうというもの。黒のプラスティック部分にネジユニットを接着剤で取り付け、反対側のネジで胴軸にねじ込むのだが、なんらかの理由で胴軸側が密着してしまい、捻った時に首軸側の接着剤を剥がしてしまったのじゃ。

 胴軸側から覗いているのは、コンバーターの口。こういう症状は初めて見た!

2008-01-12 04 熱湯に胴軸の口部分を浸して、多少膨張させてから捻ったら外れた!

 よく見るとネジの部分に赤インクがこびりついている。このインクが接着剤の働きをして金属同士を接着させたわけじゃ。

 
実は水(水分)というのは、油断ならないもので、金属同士を水分を挟むように緩く合わせておくと、水分が乾いたときには、まるで接着剤でひっつけたようになる。ガラス板を合わせた場合も同じような事が発生する。

 スノーケルの修理の回でも指摘したが、内部機構に金属を持つ萬年筆は、全て設計ミスじゃ! 萬年筆は水分の保存機構なので、金属機構は御法度!

 今どき首軸のネジユニットと胴軸のネジ部分を両方金属で作る萬年筆はあるまい・・・と思っていたら、なんと【WAGNER 2007】のベースとなっているシルバーンは両方金属製だった!

2008-01-12 05 ネジユニットをよく見ると、赤インクがこびりついている。どのメーカーであれ、赤インクは危険。

 特に毒々しい色のインクほど金属を犯すリスクが高い。

  金属だけではなく、アウロラの昔(オプティマ 75時代)のインク窓も白濁させる。

 拙者はコンバーターに注射器でインクを入れて使っている。けっしてインク瓶から赤インクを直接吸わせるようなことはしない。

2008-01-12 06 どうやらコンバーターからインクが漏れていたらしい。使っていたのは【ミニ檸檬】や【】にも使えるモンテヴェルディのコンバーター。何故かSheafferでも使えるので、タルガスリム利用者には朗報だったが、Sheafferを意識して作ってあるわけではないので、くたびれると漏れてくる。

 そこでSeafferの伝統的なコンバーターと換えておいた。これで漏れる確率はずっと小さくなる。

2008-01-12 07 ネジ部分からインク滓を取り除くのは簡単ではない。カーボンインクならロットリング洗浄液で一発で綺麗になるが、こびりついた赤インクは、歯科用のメスで念入りに擦り落とす必要がある。ネジ山を痛めるので、金属磨き布などは御法度じゃ。

2008-01-12 08 あとはネジユニットを首軸のプラスティックに接着するだけ。この部分は将来修理の際に開けられるように弱く接着するのがコツ。あまり強い接着剤を使わず、ボンドのサイレックスを塗って、半乾き状態まで待ってからねじ込めばよい。

 拙者は復Crestの初期バージョンを持っているが、こちらはコストカットも無く、非常に精度が高い。あっというまにコストカット・バージョンに移ったので、見つけたら確保すべき。特徴は・・・クリップが左右にブレないこと。ほかにもあるが、それはヒミツ!・・・というか本物を見なければ思い出さない。さてどこへしまったかなぁ・・・


【 今回執筆時間:2.5時間 】 画像準備1.0h 調整0.5h 執筆1.0h
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2008年01月11日

Pen Doctors' Rules その1

2008-01-11 01 先日、ある萬年筆好きの医師と話している時にペンクリの話になり、【参考になる本がある!】と言って紹介してくれたのがコレである。

 医師界の【マーフィーの法則】のようでもあり、【虎の巻】のようでもある。

 今回からしばらくの間、この本の中からいくつかの【ルール】を紹介し、それを萬年筆界で解釈するとどうなるのかを、皆で検討してみたい。

 【浅はかで愚かな解釈】ほど受けが良いので、どんどんチャレンジして欲しい。

 別にPen Doctorにこだわる必要もないので・・・

 それでは、まず本物の医師が作った解釈。極めてまじめな回答。これを砕けて解釈するとどうなるかが皆さんへの課題じゃ。
 
 まずは青字の文章を読む。それに対する萬年筆界での解釈を下に書いてある。これを真似て、青字の部分に関する【浅はかで愚かな解釈】をコメント欄に書いて下され。


 患者とは椅子に座って話すこと
 →人の万年筆を触るときは座ってからキャップをはずすこと
 →試し書きをするときには、椅子に座ってすること


薬の変更は1種類ずつ行うこと
 →調整は一ヶ所ずつ行うこと
 →万年筆は一本ずつ購入すること
 →インクを頻繁に変えないこと


 投与する薬の数は最小限にせよ
 →ペン先調整は最小限にせよ
 →使うインク数は最小限にせよ
 →インクを混ぜるな。良い結果はない。


 あなたはすべての患者の主治医になれるわけではない
 →あなたはすべての万年筆の所有者になれるわけではない
 →すべてのインクを試すことはできない。万年筆と紙の組み合わせにおいて。


 問診は治療のはじまりである
 →調整して欲しい点について、明確に伝えること
 →表現できない問題点を調整することはできない
 →万年筆調整は、書き味についての表現を聞くことからはじまる
 →具体的な違いを表現できない人の万年筆には調整は必要ない

 まだまだいっぱいルールはあるが、初回は5問程度から始めてみよう!



それではGo!

  
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2008年01月10日

解説【萬年筆と科學】その63 のかわりに 【Pelikan Evolution of Script】

2008-01-10 01 拙者は他人に影響されやすい。人の萬年筆の調整を何本もしていると、拙者もその人と同じ書き癖に変わる事は良くある。書く字の形は変わらないが、ペンの筆記角度や筆圧は変わる。

 従って最近では同じ人の萬年筆は続けては調整しないことにしている。

 同様に、萬年筆の趣味も人の影響を受けやすい。ここ2年間ほどの間に、拙者に一番影響を与えたのは、松江の中屋万年筆店の久保店主じゃ。

 久保さんは古い萬年筆に一切興味がない。形がおもしろかったり、色が綺麗だったりする萬年筆が好きで、気に入ると売れるかどうかには関係なく仕入れるらしい。

 拙者が一昨年に訪問した際には、
Pelikan Blue Planet が室内ショーケースに展示されていてビックリした。ショーウィンドゥにはナイアガラも2本展示されていて、まるでペリカン・ブティックのようだった。

 おやおや、Blue Planetってかっこいいなぁ! 丸っこくて・・・

 80才を超える年齢にもかかわらず、非常にオシャレで素敵。そういえば長崎のマツヤ万年筆病院の店主もオシャレだったなぁ・・・と思い【ご存じですか?】と来てみたら、なんと幼なじみで近くでよく遊んでいたとか。【いまでもたまに一緒に温泉にいったりするよ】・・・やはりな。

 その店主が、Pelikan Evolution of Script を仕入れたという話が、中屋万年筆店応援ページに掲載されていた。

 ナイアガラBlue Planet と拙者と趣味が一致している久保店主が気に入ったとなると確認せねばなるまい。それまでまったく興味がなかったのに、急にイソイソと萬年筆店に走った。電車で行く時間も惜しんで、自転車でアメ横まで35分!

 ところが既に【B】ニブは代理店にも在庫ゼロということで、【時間がかかっても良いので見つけてね】とお願い。確認に行っただけなのにアレヨアレヨというまに捜索願まで出してしまっていた。

 自宅に帰ってネットショップを調べてみたが、【B】はすべて売り切れ・・・ダメかぁ・・・とあきらめていたら一昨日の朝、電話が・・・

 【Bを手に入れました】と留守録が・・・その日の18:30、閉店時間ぎりぎりに店に飛び込んで入手! 聞けば代理店が販売店の店頭在庫をくまなく捜して、発見してくれたらしい。ありがとしゃん!


2008-01-10 02 こちらが Pelikan Evolution of Script じゃ。実に魅力的な色合い。日本的ではないが、こういう訳のわからない模様ものは大好き!

 蒔絵には興味が無いが、塗り物は好きというのと似てませんかな?

 この萬年筆は首軸後半のネジの部分を持って書くのが一番バランスが良い。従ってネジ山は切り立っていなくてフラットになっている。これを見映えで【ネジ切りが手抜き】と言うと笑われる。ちゃんと考えてねじ切りの山の処理をしているのじゃ。

 拙者
のようにもう少し後ろを持って書く人にとっては、M800の方が書きやすい。さらにいえば、ナイアガラサハラのメタボ軸の方がはるかに筆記バランスは良い。

 ということで将来、このEvolution of Script を使うことがあったとすれば、ネジの部分を持って書くじゃろう。拙者は他人の調整をしているため、どこを持っても書くのに不自由はないので、一番バランスの良いところを握る。

2008-01-10 03 ペン先はpf無しのM800用ニブと同じ形状だが、模様が全く違う。またバイカラー仕上げになっていない。

 軸との色のバランスを考えてペン先を作るようになったのは喜ばしいことじゃ。試しにこの軸にM800用のバイカラーニブを取り付けてみたが、まったく似合わなかった。

 ペン先のスリットがちゃんと開いているが、これは拙者が分解して調整したから。オリジナル状態では、あいかわらずペン先はギチギチに詰まっており、多少左右の段差があった。定価20万円以上の萬年筆なので、もっとちゃんと調整や検品してから出荷してほしいものじゃ。


2008-01-10 04 こちらは横顔。これを見て初めて、何故pf付きニブを止めたのかわかったような気がした。圧倒的にpf無しニブの形状のほうが(横顔が)美しい!

 ただし書いた感触は、やはり(拙者にとっては)pf付きペン先の方が良い。線を引く際のしなりの感じが違うんだなぁ・・・

2008-01-10 05

 こちらはペンポイント周辺の拡大図。まだペン先を研いではいないので、形状はオリジナル。実に綺麗なシェイプなのだが、スイートスポットが無い研ぎになっている。従って、どこで書いても、【凄い!】と声を上げるほどの書き味ではない。

 【ふーん・・・萬年筆ってこんなものなの。ま、なかなか良いけど・・・】という人がほとんどではないかな。これにひと研ぎ加えると【▲■◆●すご〜い!!!】という書き味になる。これがPelikanのおもしろさじゃ。他社に調整をさせない最近のMontblanc製品では味わえないですぞ。

  
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2008年01月09日

水曜日の調整報告 【 Omas Gentleman 14K-F キャップが・・・ 】

2008-01-09 01 今回の依頼者は必ずキャップを後ろに挿して筆記する。そうしないと親指と人差し指の股から尻軸がすり抜けてしまう。要するに非常にペンの後ろを持ち、ペンを極端に寝かせて筆記するのじゃ。

 ところが上記写真のように、キャップが尻軸に挿せない!どうやらセルロイド製のキャップが痩せて縮み、尻軸の金色バンドがひっかかって挿せなくなっている。これは依頼者にとって由々しき問題。尻軸はどうなっても良いので、とにかくキャップが挿せるように改造を!というわけじゃ。

 このOMAS GentlemanはVintage物。ものすごくしなやかなペン先を持っている。1970年代には既に入手できなくなっていたONOTOの代替品として利用していた作家もいたらしい。

 萬年筆関係のムック本で、その作家の記事を読んでOMASに興味を持った。そして嵌った・・・

 ただし拙者がOMASに嵌った頃には、既にペン先はかなり硬くなっており、記事の時代の
OMASとは別物。それが拙者をOMASに嵌めた利用。拙者は弾力があるペン先ではまともな字は書けない。だからこそ多少硬いペン先のOMASが気に入ったのじゃ。

2008-01-09 02 上側が棒ヤスリ320番の耐水ペーパーでゴリゴリと削ったあとで、スポンジ型の金属磨きでゴシゴシと擦った状態。この状態でキャップの挿さり具合を確かめ、削りが不足であれば削り進める・・・

 ではどうやって不足かどうかを確かめるのか?それは削った後で、キャップを力一杯挿し、左右にギシギシ回した後で抜き取り、胴軸に大きな傷が付いていれば削り不足と判断するわけじゃ。

 そうやって粗削りが終わったら2500番の耐水ペーパーで削り後を大体落としてからプラスティック磨き布や金磨き布(どちらでも効果は同じ)でキシキシと磨いてゆく。長時間磨くほど綺麗になるので、100%になる前にやめておいた。

 それが上の画像の下半分の状態。あとは依頼者に磨いてもらおう。それにしてもキャップは相当痩せていた。やはりセルロイドのボディは痩せる事を前提に作らないとダメじゃな。

 そういえば拙者のPelikan 1935 青軸も相当軸が凸凹になってきた。内
部はセルではないので機構上の問題はない。そのあたりはさすがによく考えられてはいるが・・・

2008-01-09 03 こちらがニブの拡大図。エボペン芯を使っているのも関わらず、不思議とエボ焼けが少ない。もっともMontblanc以外で惨いエボ焼けというものにあまり遭遇しない。Montblancの合金、エボペン芯の組成、Montblanc製インクの配合・・・なども影響しているのかな? これだけは今だに解けない疑問じゃ。

 柔らかいと言うより、バネ板のような弾力があると言った方がよい。非常に反応の良いペン先じゃ。拙者は1980年代後半のPelikan トレドに付いていた金一色の18Cニブのようは
反応の悪いペン先が好き。従ってこの萬年筆で書くと、ペン先の戻りが速すぎてとまどってしまう。

 そこでスリットを拡げてみたら、この戻りの速度が下がった!寄りが強いと、戻りも速くなってしまうのかも知れない。とても速度を測れるようなものではないが、手の感触は明らかに戻りのスピードが遅くなったことを伝えてくれる。

2008-01-09 04 このOMASのペン芯はエボナイト製で現行品のものとほぼ同じ。イタリア国内にエボペン芯を作っている会社があるのかな?デルタ、モンテグラッパ、昔のヴィスコンティには、エボナイト製ペン芯が使われているものもある。小さな国ではあるが、伝統的素材を作り続けてくれる企業が数多く残っている魅力的な国なのかも知れない。

2008-01-09 05 こちらが尻軸を削る前後のキャップの嵌り方の違い。削った後は明らかに全長が違うのがわかろう。キャップが金属の輪にじゃまされず、かない奥まで挿せるようになったのじゃ。

 これで【寝かせて小僧】も気持ちよく筆記が出来るであろう!

2008-01-09 06 こちらがペン先を上から見た画像。ちゃんとスリットが開いているのがわかるかな?これで書き出し時に必要な筆圧を下げても掠れる確率が小さくなった!

 昔の刻印は現在のOMASの刻印ほど美しくはない。当時はレーザーではなく機械でギリギリと彫ったのであろう。溝がギザギザになっている。普通はプレスのはずなのだがなぁ・・・


2008-01-09 07 こちらは横顔。ペン先の寝かせ方で弾力はかなり変わってくる。ペン芯をかなり奥まで押し込まないとペン先が固定できないので、必然的にペン芯先頭からペンポイントまでの距離は長くなる。これだけ長くなっても筆記時にインクが切れないのはペン先のポンプ運動。

 ただしその為にはある程度の筆圧をかけて、スリットが開いたり閉じたりしないとダメ!依頼者の筆圧でそれが実現できるかどうかの瀬戸際。

 これはかなりドキドキする調整じゃ。唯一の救いは依頼者が【ダメ出しの女王】では無いことか・・・

2008-01-09 08 このペンポイントは非常に硬い!まるで戦前のイリドスミン合金のよう。

 耐久性があるのだが、前の所有者が超高筆圧だったと見えて、エッジが立った状態に無惨に削れていた。硬くてエッジが立ったペンポイントほど低筆圧の筆記者を困らせるものはない。

 そこで筆記角度に合わせて削れるだけ削ってみた。多少筆圧がかかった状態が最も良い書き味になるようにしておいた。低筆圧の依頼者が、良い書き味のポイントを捜して少し筆圧を強くした時に最高の書き味になるように・・・

 これは良い書き味を求めて少しでも筆圧を上げ、それによってポンプ運動を活発化させる為じゃ。書き味の大半はインクフロー!このインクフローを良くする為に、スイートスポットをややずらせるというトラップをかけた。さてどうなるかな?


【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1.0h 調整1.5h 執筆1.0h
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2008年01月07日

月曜日の調整報告 【 Shesffer Snorke 14K-F 吸入機構動かず 】

2008-01-07 01 今回の生贄は難物だった!正味修理時間だけで6時間。全体で11時かかった。途中で何度も叩き折ろうと思ったが、悔しいのでなんとか最後までがんばった! 

 お正月に実施した何本もの修理を通じて、内部に金属機構を使った万年筆はすべて設計ミスだと断言できる。

 拙者は金輪際テレスコープ吸入式とスノーケルやタッチダウンの万年筆は買わないだろう。それほど衝撃を受けた!

2008-01-07 02 こちらが修理前のペン先の様子。スノーケル機構がここから動かない!女性の力ではビクともしなかったらしい。

 拙者もスノーケルは50本以上修理しているが、これほど状態が悪いのは初めて!相当錆びているぞぅ〜!と期待しながら何とか分解してみた。この分解に至った段階で、既に1時間が経過していた・・・

2008-01-07 032008-01-07 042008-01-07 05 こちらが尻軸、尻軸に固定される吸入機構の外管、外管を尻軸に固定するネジ。ネジのサビ具合が、いかに長期間、内部にインクを入れたまま放置されていたかがわかる。

 よくネジが外れたものだ・・・と感心!こういう外観の場合、ほどんどこのネジも腐っているが、今回は生き残っていた。非常にラッキー!

2008-01-07 06 左画像の上側がこの万年筆に使われていたバネ!下がオリジナルの状態のバネ。いかに錆が凄いかがわかろう。

 いくら磨いても下の状態にするのは無理。既に死んでいる・・・そこでバネを新しい物と取り替えることにした。これも簡単ではなく、バネは強く捻ったり、反対にねじったりして、それぞれの個体が最もスムーズに動くように微調整が必要なのじゃ。ペン先調整に近い技が要求される。実に奥が深い。

 Sheafferのタッチダウン方式やスノーケル方式は、内部機構に大量のアルミ合金を使う。ところがこれらアルミ合金とインクとを隔てているのは一枚のゴムチューブ。もしこのゴムチューブが腐ってインクが胴軸内に出てきたら・・・ありとあらゆる金属部品が錆びてしまう設計じゃ。これを設計ミスと言わすして何と呼ぼう!

2008-01-07 07 こちらがこの万年筆に入っていたスノーケルの心臓部。ただし分解掃除前なので、あちこちに破綻がある。サックのゴムは腐っているが、腐ったまま内部機構にこびりついているので、少しずつ、歯科医用の小さなメスで丹念に取り除く。この作業は意外に時間がかかる。熱湯に入れて煮たりもした。

2008-01-07 08 こちらは分解が完了した画像。分解するにはゴムチューブを覆っているアルミ筒の頂点にある穴から、細い針金を突っ込んでトンカチでたたき出すのじゃ。大変乱暴な方法に見えるが、ちゃんとSheafferのリペア・マニュアルにそのとおり書かれている。

 やってみると驚くほど簡単に抜ける。この四角形の首軸への差し込み口だが、ちゃんと位置が決まっている。ある一ヵ所しかスムーズに首軸に差し込めなくなっているので、要注意!

2008-01-07 09 こちらは清掃前のペン先の表裏。ペン先のスリットは絶妙に開いており良い調整状態!このあたりはSheafferの独壇場!当時のSheafferのニブはちゃんとスリットに気を配っている物が多い。

 裏の汚れはエボ焼けではない。単なる汚れ。ただし長い間に表面にこびりついてしまっており、そう簡単には剥がれない。金磨き布で丹念に擦って落とすしかない。


2008-01-07 10 新しいゴムチューブをサックセメントを使って取り付けた状態。この画像はどの程度の長さにゴムチューブを切断するかの目安を示した物。筒の内部にピッタリと入らないとインクを吸う力が弱くなるので慎重に長さを計測してから切断!

 サックセメントは1分ほどで乾くが、念のため5分間は水を吸わせないように!

2008-01-07 11 こちらが管に装着した状態。たまにボムチューブを貼り付けた栓がひっかかってなかなか入らない場合がある。短気を起こして栓を削るとスノーケル機構が台無しになるので根気よく入れるようにな・・・

2008-01-07 12 こちらはペン先ユニット。実はここまで分解したのは初めて。あまりに具合が悪い万年筆なので完全分解して清掃しないとどうにもならなかった・・・

 おかげさまでこのタイプのスノーケルの修理はエキスパートになれそうじゃ!

 実は一番時間がかかったのはこれから先・・・

2008-01-07 13 当初は錆びたバネがひっかかって尻軸は下の状態までしか引っ張り上げられなかった。バネを調整してスムーズに動かすまでに必要な作業もいっぱいあった。 

 一番イライラするのは胴軸内のOリングの交換。細かいピンセットでつまんで交換するのだが、5秒で出来ることもあれば、今回のように2時間格闘したこともある。

 いずれにせよ、インクと薄いゴム一枚隔てた位置に大量の金属部品を使うことの愚かさをつくづくと感じた修理経験だった。

 スノーケル機構の先端での失明事故があってスノーケルの製造を中止たと伝えられているが、もし中止していなかったらライフタイム保証をぶちあげていたSheafferはスノーケルの修理費用で倒産していたであろう。

 下手な設計は会社を滅ぼしかねない。もし現代にスノーケル機構を復活させるのであれば、すべてを樹脂で実現する必要がある。もっとも非常に複雑な機構の割に吸入できるインク量はごくわずかなで魅力は少ないかも知れない・・・



【 今回執筆時間:11.0時間 】 画像準備3.5h 調整6.0h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
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調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 
  

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2008年01月06日

素性調査 Parker 75

2008-01-06 01 昨日のWAGNER新年会に、あまりなじみのないParker 75が持ち込まれた。まったくのMint品で年末に日本で購入されたそうじゃ。

 一見普通のParker 75に見えるのだが、クリップの矢の下に刻印がない!そのかわりに矢の後側に刻印が入っている。

2008-01-06 02 左の物で、仏蘭西パーカーが作った軸らしい。それにしてもこんな刻印は初めて見た。

 会場にいた会員の中にPARKERに詳しい人はいなくて、疑問だけが残った。

2008-01-06 03 一般的なParker 75の軸の形は左の一番上の物。刻印は矢の真下と、反対側に入っている。

 真ん中はParker 75のカスタムというモデルで、1992年頃にUSAのF.P.H.で購入した。その前年のクリスマスに合わせて発売されたモデルではなかったかな?

 一番下が今回のモデル。首軸回りはParker  75 カスタムと同じなので、モデル最終期のものであろう。

2008-01-06 04 一番上の通常モデルのキャップの刻印は左のとおりで、このモデル(上)のものとはまったく異なっている。

 もちろんこちらはMade in USAじゃ。

 以前にも情報提供したが、このMade in USAのモデルには大きな欠点があった。一つは首軸の樹脂が痩せてしまう事、もうひとつは首軸先端の金属がどんどん劣化していく事だった。

 最終モデルの首軸では、それを解決すべく設計を変えている。性能は良くなったのであろうが、見映えは今一歩というところか・・・


2008-01-06 05 軸の写真と順番を対応させたニブの拡大図。一番上は通常モデルのUSA製の14K-B。

 真ん中はカスタムにつけているニブ。【Parkerに魅せられて】によれば、カスタムのペン先は18金製なので時代は合致している。ただしこれは後で付けかえたものでペン芯の裏には【85】と番号が彫られている。XXBかな? 元々はMニブがついていた。

 今回のモデル(一番下)はXFのニブ。ペン芯の裏には(X)と彫られている。そして仏蘭西製にもかかわらず14Kのニブじゃ。この14KニブはParker 75の最終モデルに使用されたと考えられるが、純銀軸にも装着されて売られたのかどうかは定かではない。


2008-01-06 06 天冠の形も通常型と変わっている。【Parkerに魅せられて】でも紹介されているが、この形状が最終型だけのものかどうかはよくわからない。

 左側の通常モデルよりさらに彫り込まれている。この彫り込みがコストカットなのか、記念品用天冠を装着する為のものなのかがわからない。

 何か情報をお持ちの方がいたら教えて欲しい。

  
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2008年01月05日

土曜日の調整報告 【 Montblanc No.149 14C-B 書き味に品がない! 】

2008-01-05 01 今回の依頼品は1970年代No.149 14C-B。ペン先は開高健モデルと同じ形状なので、ペン芯を交換したか、ペン先を交換したか、はたまた移行期のモデルかは不明。ただ、こういう組み合わせには比較的よく遭遇するので、移行期モデルと考えるのが妥当であろう。とするならば1980年代前半かな?

 症状としては、書いているとインクが切れるのと、【何となく書き味に品がない・・・】とか。言い得て妙な表現。たしかにゴツゴツしていて、ダウンヒル専用のMTBのような書きごこちじゃ・・・(実はそんな高級な自転車に乗ったことはない)

 引っ掛かりは
無いが、ゴツゴツしていて良くインクが切れる。この症状はペンポイントにスイートスポットが無い場合に発生する。早い話が未使用に近い逸品じゃ。最近では14C-Bニブ付きはオークションに出ると、目が飛び出そうな値段にまで上がっていく・・・

2008-01-05 02 ペン先の形状は実に美しい!綺麗な斜面の曲線じゃ。No.149のペン先は斜面急タイプ(開高健)、中庸タイプ(現行品)、ふっくらタイプ(60年代から70年代の18C)がある。MBなら斜面急タイプ、BBBBBならふっくらタイプが美しい。

 このNo.149に
装着されているニブは良い具合にエボ焼けしていて美しいが、これではインクフローが悪かろう。取り除くしかあるまい。

2008-01-05 03 こちらは横から見た画像。これでよくわかるが、当時のMontblancのB以上はイタリックやスタブに近い形状の字を書くための物。ペンポイントの厚みがほとんど無く、横細縦太の文字が書ける。

 拙者はこういう文字が大好きなので、この時代のB〜BBBを血眼になって集めたのだが、縦横が同じ太さの文字をお好みならこの時代のNo.149は最低!となる。そういう方はM800の3Bをどこかで研ぎ出してもらうのが一番じゃ。既製品ならパイロットのコース(C)か、セーラーのズーム(Z)が良かろう。

 ちなみにセーラーの長刀は、どちらかといえば縦細横太が得意。拙者は金ペンなら何でも好きじゃ。料理人は食べる物に好き嫌いはあっても、料理の素材の好き嫌いは比較的少ないもの・・・


2008-01-05 04 こちらは裏から見た画像。どう考えてもペン芯が前に出すぎている。また切り割りからずれてセットされている。従って左右のペン先に若干の段差がある。このせいで書き出しにインクが出ない不具合が(書き出しの最初の線の筆記方向によっては)出ていたのじゃ。

 またペン芯のカーブとペン先のカーブが合っていない。ペン芯の先端とペン先とは密着しているが、そのほかの場所では(特にハート穴より前)ではペン先が浮いている状態。これもインクフローに悪影響を及ぼすはず・・・。少しペン先をお辞儀させる必要がある。その上でペン芯のカーブと合う位置を探るのじゃ。

2008-01-05 05 美しい!エボ焼けに対する拙者のあこがれば、フェンテの集いが名古屋で行われた10年以上前に遡る。No.149を2本酷使している若者がいた。その一本(中白ニブ)の周囲の金の部分が赤銅色にエボ焼けしていた。その美しさに憧れ、どうやったら赤く変色するのかいろいろ実験した・・・ 懐かしいなぁ。

 エボ焼けがインクフロー悪化の原因の一つと知ってからは見つけ次第退治しているが、自分のコレクションだけはエボ焼け状態で保存している。

 スリットもガチガチに詰まっているし、このエボ焼け!インクフローが悪いわけじゃ!

2008-01-05 06 裏側も凄い!ほとんど未使用状態でこれだけエボ焼けするとは、Montblancの黒インクを使っていたのに違いない。monolith6しゃんの過去の経験ではMontblancの黒インクを入れているとエボ焼けする確率が高いと以前教えてもらった。それを聞いてMontblancの黒インクを初めて買った記憶がある。

2008-01-05 07 内部のピストンを拡大してみると、インクの残骸がこびりついている。ただし黒インクの上に緑インクが付着している。

 生贄に差し出された時には、茶色のインクが入っていたので、黒や緑インクは前の所有者が使っていたと思われる。しかも最後に使ってから長い時間が経過していたようじゃ。いずれにせよ不完全な清掃のままでインクを変えるのは非常に危険!拙者は常に完全分解して清掃してからインクを変えている。

 ピストンの横側にもインクが回り込んでいたので、ピストンの上下運動も非常に硬かったが、ロットリング洗浄液で洗えば、嘘のように綺麗になる。

2008-01-05 08 こちらが洗浄の終わったピストン。まるで新品!

 ところで尻軸のネジ部分の右側にある白い部分は何か?おそらくは接着剤ではないかと思われる。しかし専用工具で簡単にピストン機構が外れることから考えて、接着力は強くない。ということはコーキング剤のようなものか?

 いずれにせよ、何故そんなものを使うのかがわからない・・・熱膨張で簡単に外れてしまうのを防ぐ為かもしれない。製造された時のサービス網と、販売地域の広さのギャップがあると、こういう事故防止策を講じる必要があったのじゃろう。

 本来ならこういう修理が出来る販売店を優遇するのが筋だと思うが、修理すらさせないように方針変更をするとはMontblancは何を考えているのだろう?このままでは、そのうちネジ山に接着剤を塗って外せないようにするかも・・・。究極の狙いはメンテナンス・フリーのペン先を付けた高価な使い捨て万年筆か?【高価なラミー・サファリ】の世界に行こうとしているのかも知れない。

2008-01-05 09 こちらは十分に清掃が終わってから再度取り付けたペン先画像。スリットは多少拡げてインクフロー改善を図ってある。

 このNo.149ではハート穴がペン芯上部の空気の通り道に直結しているので、少しでもペン芯の溝とハート穴の位置がずれるとインクフローに悪影響が出る可能性がある。ペン先とペン芯の位置調整は十分慎重にせねばならぬ。


2008-01-05 10 こちらがスリットの拡大図。ペン芯先端とペン先が接している部分よりもペンポイント先端のスリット間隔が狭いのが理想だが、今回は大成功!

 実際には多少先端が拡がっていてもペン先を下に向ければインクは出る。またプラチナカーボンインクであれば、どんな状態であってもインクが途切れることはない。

 ただし、【神は細部に宿る!】をモットーにしている拙者はこういう所に妥協は出来ない。アマチュアだから生産性は関係ない・・・

2008-01-05 11 こちらはペン先を研いでいない状態の横顔。ペン先とペン芯の密着度は修正してある。インクフローを改善させたので書き味はどうかな?と試してみたが、下品さは解消されていない!やはりいくらインクフローが良くなっても、スイートスポットの無いペン先の書き味には品が無い。ここまで美しいペン先には、それなりに気品のある書き味も求められる。

2008-01-05 12  スイートスポットを出すのは5分で出来る。誰の筆記角度でも良いので、一ヵ所だけ滑らかに書けるポイントを作る。それと筆記者の筆記角度をつなぐ運河を造るように研いでいくのじゃ。そうすれば、筆記角度に神経質にならなくても、そこそこの書き味で書けるようになる。

 依頼者の筆記角度で研ぐのではなく、拙者の筆記角度で研いで運河を作るのじゃ。もっともこの方法はM、B、OM、OB、OBBでしか通用しないがな。

 他人の調整に行き詰まったら試してみると良い。よほど特殊な持ち方の人(とダメ出しの女王)でなければ通用するじゃろう。お試しあれ。


【 今回執筆時間:5.0時間 】 画像準備2.5h 調整1.0h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 

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2008年01月03日

解説【萬年筆と科學】 その62のかわりに【 不当に?評価の低い Parker 105 】

2008-01-03 01 このParker 105は拙者の持ち物。コンバーターを付けないで20.9g、コンバーター付き(インク無し)で24.8gという比較的軽量な萬年筆じゃ。

 【万年筆ミュージアム】の22頁に【オマス・パラゴンが20g足らず】と書かれていたので計測してみた。

 .マス イタリア’90 19.1g
 ▲マス ヨーロッパ   19.4g
 オマス コロンボ供  17.4g  (木軸) まるで羽根のように軽い!
 ぅマス ヘルマンヘッセ 28.0g  (純銀キャップ) 
 ゥ僉璽ー 75【初代】 25.2g
2008-01-03 06

 Parker 105は非常に小振りな萬年筆で【軽いなぁ〜】と感じていたが、オマスと比べると多少重いことがわかる。

 金属の筒ではなく、樹脂に金属を被せたような構造なので比較的軽いのであろうが、一時オマスに狂っていた拙者にとっては、Parker 105の軽さは心地良い。

 この萬年筆についての詳しい情報は、【PARKERに魅せられて】にParker 105に関する情報があるのでそちらを参考にされたし。Parker万年筆に対する深い愛情が注がれたHP。拙者も調べ物の際に、頻繁に利用させてもらっている。

2008-01-03 02 こちらは独特のペン先。同じようなペン先は、全身木軸のモデルでも使われていた。あれは何というモデルだったのかな?

 どこにもニブの太さが書いていないが、字巾から考えてBであろう。一見ガチガチに硬いペン先に思われるが、縦方向には意外によくしなる。横方向には微動だにしない。

 従って横は細い線で、縦は筆圧によって太さを変えられる。通常のスタブよりもこの点がおもしろい。言い過ぎかも知れないが、ミュージックに若干似た書き味じゃ。
 
2008-01-03 03 ただずいぶん昔の拙者の調整なので、まだスリットを開く術を身につけていない。川口さんにお会いして初めてインクフローの重要性を知った。それまではペンポイントの研ぎにしか頭が回っていなかった・・・。この調整は明らかに川口さんに初遭遇する前の調整!

 綺麗には研いであるが、スイートスポットが無い。従って長時間使っていると飽きてしまう。書き味が平坦過ぎるのじゃ。筆記とはスピードスケートではなく、フィギュアスケート、書き味に変化がないと楽しくない。

 昔の未熟時代を覚えておくために、今しばらく研ぎ直さないで保存しておこう。


2008-01-03 04 ずいぶん久しぶりに引っ張り出したので、中にあったコンバーターは錆びている。声を大にして言いたいのは、インクを使う万年筆に鉄製部品は御法度!ということ。Sheafferのスノーケルが典型だが、内部に金属部品を使うと、その部分から劣化していく。よく最近の万年筆は樹脂ばかり!と嘆くむきもあるが、耐久性を考えれば樹脂こそが最高の素材なのじゃ。金属部品は必ずやられる!金は大丈夫だが・・・

2008-01-03 05 そこで、松江の中屋万年筆店でいただいた新品の同型のコンバーターをセットした。インクは入れないが、胴軸の内部をエアーダスターで完全に乾燥させてからコンバーターをセットしてペンケースにしまった。

 実はこのParker 105は拙者にとってはオマケだった・・・


2008-01-03 07 これが欲しかったのだが、セットでしか売っていなかったのでしようがなくて万年筆も購入した。欲しかったのはボールペン。ノック式でもツイスト式でもなく、キャップ式というのが気に入って長い間捜した末に、やっと入手出来た。まだインターネットを使い始めたばかりのころで、eBayなど知らなかった。検索エンジンをたよりにフィンランドのコレクターから入手したものじゃ。

 当時は住所を英語表記でどう書くか・・・すら知らなかった。封筒にドルのキャッシュを直接
入れて送付して、相手からあきれられたのが懐かしい。当時PayPalやBidPayがあったら、もっと嵌っていたかも知れない。現在では考えられないような珍品が安く売られていたから・・・

2008-01-03 08  このボールペンにはParkerのGELインクの黒を入れて愛用している。非常に大切に使っているせいか、まったくの無傷で劣化も無い。生まれて初めてレフィルを2回以上交換したボールペンでもある。

 拙者のスタンスは万年筆はいじって楽しむ物(研ぎや修理)、ボールペンはコレクションする物だが、このParker 105のBPだけは、使って楽しむ物と考えている。予備が無いので、紛失したらと考えると不安ではあるが・・・

  
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2008年01月02日

水曜日の調整報告 【 丸善 ATHENA 萬年筆 14K-F 復活! 】

2008-01-02 01 今回の依頼人は【 こいつはすでに死んでいる・・・ 】とつぶやきたくなる萬年筆を持ち込む名人!今回も通常なら埋葬されていそうな名品を持ち込んでくれた。嬉しい!

 なんと丸善アテナ萬年筆のセルロイド軸じゃ。拙者は初めて遭遇した。

2008-01-02 02 ペン先には【MARUZEN'S ATHENA 14K GOLD 3】との刻印がある。りっぱな14金ペン先。ちょっと笑えるのは切り割りがハート穴を突き抜けて入っていること。戦後なら出荷検品の段階ではねられるはずだが、まだそのような考えが弱かった時代だったのかも知れない。ま、ルーペがなければ見えないだろうが・・・

2008-01-02 03 この萬年筆の第一の欠陥は左図のとおり。ペンポイントの左側が曲がっている!どうやったらこんなに綺麗に曲がるのだろう?

 また相当強くペン先のスリットが詰まっている。これはペンポイントが真っ直ぐであっても満足にインクは出ないだろうな。

 この曲がりを直す方法はこちら同じ道具を使う。曲がった面を下にして、内側を割り箸の先で押さえつけて曲がりを直す。ホンの数秒の技じゃ。これまでに何本も曲がりを直したおかげで、ここ何年間も失敗はない。それまではほとんど失敗していた・・・道具とノウハウとコツと多少の器用さがあれば良い。

 拙者が小学生の時、成績は段階評価。オールに一番近かった時は、一科目だけであとは全て。その図画工作だったので、拙者とて器用な方ではない。経験は人を〔その分野では〕器用にするものじゃ。

2008-01-02 04 こちらがニブの表と裏。さすがに古いだけのことはあって、インクで相当汚れているが、金磨き布で擦ったらあっさりと綺麗になった。

 驚いたことに、表にはくっきりと見えるハート穴を通り過ぎた切れ込みが裏側では見えない。ひょっとすると、切り割りはペンポイント側からではなく、上からやっていたのかな? 不思議じゃ!

 蛇足だが、現在の丸善は国産三社とうまいお付き合いをしている。ATHENA復刻萬年筆や檸檬はパイロットに発注。マイカルタなどはセーラーへ、そしてアテナインキはプラチナへ発注しているらしい。等距離外交は影響力の大きな販売店としては最高の戦略。
萬年筆文化を担おうという心意気さえ感じてしまう。

2008-01-02 05 こちらはペン芯。上が清掃前、下が清掃後。ブルーブラックと思われるインクのカスがスリットにびっしりと詰まり、同時にスリット外側にもカスが盛り上がっていた。

 それらを丁寧にスキマゲージで擦り落とし、最後にロットリング洗浄液をアルコールランプにかけ、多少ペン芯を煮るとインクの色が落ちて下側画像のようになる。真似する必要は全くない・・・

2008-01-02 06 こちらは一瞬で曲がりが直ったペン先の清掃後。ペン先表面をバフかけしたら、ハート穴からの切れ込みも目立たなくなった。

 製造されてから何十年も経過しているのに、ペン先はまったく劣化していない。14金の強さを思い知らされた感じじゃ。


2008-01-02 07 この萬年筆には、もう一つの大きな欠陥がある。レバーフィラー機構が壊れている上に、サックが完全に腐っている。

 左図は腐ったサックを綺麗に取り除いた状態。これに新しいゴムサックをしかるべき長さに切り、サックセメントで固定する。

 なを、レバーフィラーの内部機構は修理不能なので、J−Barと呼ばれるレバーフィラー用バネを試してみるとピッタリフィット!これで完璧に修理が出来る!

2008-01-02 08 こちらはサックセメントで固定した状態。サックセメントは約一分で乾くので、すぐに水を入れての吸入テストが可能。慣れると本当にあっという間に修理が終わる。

 今回は久しぶりだったので、J−Barをどこに保存してあったか捜し回った・・・ また軸を磨いて綺麗にするのに時間がかかった。昔のものは模様は綺麗だが丈夫ではない。当時のペリカンとは製造技術のレベルが違うと感じた。もちろん価格もはるかに安かったのだろうが・・・

2008-01-02 09 こちらが首軸にセットし終わったペン先。穂先が長くて実に美しい。ペンポイントの削りにも破綻はない。昔は相当長時間かけてペンポイントを研いでいたのじゃろう。

 調整しおわったペンで書いてみると、日本語で重要な、ハネ、ハライが実にうまく表現できる。現在のペン先とは設計思想が違うようじゃ。

2008-01-02 10 全体的に見ると、金属加工技術が劣っているので高級感こそ無いが、書き味は秀逸!こういうペン先を現代のOMASのような軽い軸に装着したら、どれほど書き味が良いだろう・・・

 金ペンは蘇生することが出来る。ただし蘇生にはノウハウ以外にも部品が必要。物を修理して使う文化を放棄した日本には、そういった部品はない。こればかりは海外、特に、米国に頼るしかないのが残念じゃ。


【 今回執筆時間:7.5時間 】 画像準備2.0h 調整3.5h 執筆2.0h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
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kugel_149しゃんの 【 ことしも万年筆で盛り上がりそうな予感… 】

http://blog.livedoor.jp/kugel_149/archives/51169511.html

津波ではなく、さざ波のような継続的な波が必要

周囲が盛り上げようとしているのに、何故メーカーは乗ろうとしないのかなぁ・・・

我々もメーカー側から厳しい意見(間違い指摘)などが得られれば
さらに研究が進むので、大歓迎なのだが・・・


萬年筆研究会【WAGNERは常に変化し続けている存在

1年間の間でも【深掘り】から【拡がり】へシフトしている

まだまだ変わる ・・・ 変わるのは参加者の意志

今年はBottom-Upで変わる年

特に地方若年層が活躍する年にしたい

ここを間違わないようにな・・・

  
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2008年01月01日

火曜日の質問コーナー その13 【My Pen Of The Year 2007】

万年筆評価の部屋】では毎週火曜日に、萬年筆専門の質問コーナーを設けているが、第13回目の今回は、特別な質問じゃ!

 

あなたの【 My  Pen  Of  The  Year  2007 】を教えて下さい!


年の瀬に一本自宅に届く事も想定して
新年の第一日目に問うことにした

選定理由も簡単に教えてくれると嬉しいな!

新年を待たずに決定している人は
どんどんコメント欄に書き込んで下され!

拙者の【 My  Pen  Of  The  Year  2007 】は 続きを読む を押されよ!



★今年ベストと感じたもの【発売、入手年が今年でなくてもけっこう】
★ペンの形状をしていれば何でもけっこう【文鎮でもタイピンでも!】

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2007年12月31日

月曜日の調整報告 【 Montblanc No.1464 18K-M ペン先から落下! 】

2007-12-31 01 今回は依頼品ではない。拙者の萬年筆。猿はめったに木から落ちないが、拙者は頻繁に万年筆を落下させる。

 今回のNo.1464はズミルクスしゃんとの物々交換を通じて入手したものじゃ。キャップが後ろに挿さらないので【Artist Colour】をキャップ内側に塗ってみたりしていたが、頻繁に塗る必要があり、結局は面倒でやめてしまった。かわりにキャップを外して書くことにした。そうして初めて気付いたのは、重い万年筆はキャップを外しても書きやすい!ということ。

 当然、多少首軸よりを握ることになり、ペンが立ってしまう。ところが中字程度の字巾であれば、ペンが立つことによって、ペンの自重でペン先が押しつけられるため、書き出しの掠れが全く発生しなくなった。

 キャップを後ろに挿していた時には、金属部分を握っていたが、キャップを嵌めない場合には首軸のネジのあたりに指をかける。この個体に限っては、その位置が一番書きやすくなるように調整を変えたせいか、実にここち良く使っていた。

 ところが、どうも最近、ガリガリとひっかかる感じがするなぁ・・・と思ってペン先をルーペで確認して驚いた。

2007-12-31 02 ペ、ペン先が曲がってる! なんじゃこりゃー!

 自分のペン先は常に完璧!と考えていたので、すぐには状況が受け入れられない。この萬年筆は持ち歩くことがほとんど無いので、誰かにやられたわけではない・・・

 う〜ん・・・・と考えていたら、先日、スキャナーに乗せて萬年筆目録を作っていたとき、パソコンのキーボードの上に落としたのを思い出した。キーがガシャ!と鳴っただけだったので、萬年筆に問題が発生するなんて考えもしなくて、PCの方ばかりチェックしていた。


2007-12-31 03 しかし、こんな無惨な形状になっていたとは!重い万年筆は、どう落ちてもダメージは大きい。画像で確認する限りは、ペン先の右側から落下したと思われる。スリットが先端近くで最も拡がる形になってしまっている。

 たしかにこれなら書き味は悪かろう・・・が、人間の感覚なんてあてにならないもので、こうなった状態で2週間ほど毎日使っていて、【最近書き味悪いなぁ・・・調整戻りかなぁ・・・】くらいにしか感じなかった。ダメ出しの女王の調整をする際には、指の感覚が超鋭敏モードになるのだが、自分の普段の筆記では、この画像の状態でも、さほど気にならなかったとはな!

2007-12-31 04 こちらは横顔。多少安心した。上下方向の曲がりは極めて少ない。上から見て右側のペンポイントが左側より多少上にズレ手入る程度。

 過去に何度も紹介してきた【曲がりの修正】から考えれば変形は少ない。まずはペン先を首軸からたたき出して、形状の確認から。思わぬ所に無理が生じている可能性もあるでな。

2007-12-31 05 素通しインク窓、エボナイト製ペン芯の時代であっても、既にペン先のコストカットは始まっていたようじゃな。1992年春のメディチの時には、既にペン先のコストカットは始まっていた。同時期のNo.149でも同様のペン先根元のくり抜きがあった事から考えれば、1991年からコストカット開始ではないかな?

2007-12-31 06 こちらが拡大図。どうやらスリットの左側には問題が無く、右側の曲がりが左側を押して、全体として曲がって見えるだけのようじゃ。これなら修理は一瞬で終了するはず。

 修理に際して完璧を期すなら、ルーペだけに頼らず、スキャナーで拡大してから確認する方がよい。立体的に見えるルーペでは問題の本質を見落とす可能性もある。また中心点を少しでもはずすと周囲が歪んで見えるのでミスジャッジする可能性が高い。自分で修理し、なおかつ時間が十分にある時には、まずはスキャナーでじっくりと状況確認した方が良い。

 頭がカーっとした状態が調整作業には最もまずい結果を及ぼす。ペン先を曲げてしまったり、調整失敗した場合、あわててその場で元に戻そうと焦ってはいけない。まずは正確な状況確認が必要。確認している内に冷静になってくる。早合点とあせりが調整の大敵!何百本もオシャカにしてきた拙者が言うのだから間違いない・・・自慢にはならないが・・・

2007-12-31 07 ではペン先の曲がりを戻す為に必要な機材のセットのしかた。

 東急ハンズで売っている7兒擁のゴムの立方体の上に、スキマゲージの0.08个里發里鬟董璽廚埜把蠅垢襦スキマゲージは斜めにセットするのがコツ。

 この斜めの部分にペン先のスリット部分を噛ませて曲がった方のペン先が上側に来るようにし、割り箸を削った先端で適度な力で押す。毎回ルーペで確認しながら少しずつ力を加えて加減を知るのじゃ。拙者は既に力加減を体得しているので、一瞬で終わり・・・

2007-12-31 08 こちらが曲がりが戻った状態。曲がる前と区別が付かないほどなのがわかろう。竹製の割り箸先端で押す時間は合計でも20秒ほどかな。

 実際には左右の曲がりよりも上下の曲がりの方が作業量は圧倒的に多い。上下に曲がった場合、ペン先が波打ってしまう。それを消す為に相当長時間の磨きが必要となるからじゃ。


2007-12-31 09 こちらが修理後のペン先の拡大図。ちゃんと腹開きになっている様子がわかろう。実に書き味がよい。

 ところがこのペン先をルーペで見ると、まだ左側に曲がって見える。実はそれは眼の錯覚。スリットの右側の方がペンポイントの根元に至るまでの幅が若干広いので、曲がって見えるのじゃ。

 だからこそ、人間の眼だけに頼らず、機械も利用して正確な判断をしなければならないのじゃ。今回、あらためてそう感じた。


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2007年12月30日

名前が入った萬年筆への想い

萬年筆に自分の名前を彫ってもらった事はない。


 小学校に入学したとき、何本かの【かきかたえんぴつ】を母から与えられた。

 その軸の後ろ端はナイフで薄く削り取られ、インクで名前が書き込まれていた。と同時に母から【自分で鉛筆を削れるように】と切り出しナイフの使い方を特訓された。

 その後、教室に電動鉛筆削りが導入されても、ずっと切り出しナイフで鉛筆を削っていた。小学生の技としては突出していたように思う。

 切り出しナイフのおかげで、小学生時代は女の子にモテモテ!人生最良の時代じゃった。

 中学校に入って【キャップレ(¥2,000)】を買ってもらった時、軸には名前が彫ってなかった。友人の萬年筆には全て名前が彫ってあったので、口には出さなかったが羨ましかった。

 しかもキャップレスをすぐに無くしてしまった時には、名前を彫ってもらっていなかった事を後悔した。と同時に、友人の同じタイプの萬年筆を覗き込んで、拙者から盗んだのではないか?とこっそりチェックしている自分に気付き幻滅した。

 他人に間違われない目的で、物に名前を入れるのは止めよう!とその時誓った。それ以降、拙者はスーツやコートにも名前を入れた事はない。

 その反動か、名前の彫ってある中古筆記具というものに非常に興味がある。最初はオークションで独逸から入手した萬年筆、たしか、Matador製だった。チェイスの入った黒くて太い軸のクリップの下に、女性の名前が彫ってあった。

 ★こんな太い軸を女性が使うのか?
 ★どういう経緯で名前を彫ったのか?
 ★自分の意志で彫ったのか、彫った物をもらったのか?
 ★贈られたとすれば、名目は何だったのか?下心はなかったのか?
 ★何故にeBayのマーケットに流れたのか?遺品整理か、売却か・・・

 など、いろいろ推理するのは楽しい!ペンポイントの減り方で、愛用していたかどうかはすぐにわかる。この楽しみを覚えてから、名前が刻まれた萬年筆を意図せず購入してしまった場合も小梅太夫状態ちっきちょー!)にならなくなった。新たな楽しみをありがとう!てなもんじゃ。

2007-12-30 01 今回入手したParker 75にも名前が入っていた。ペン先が欲しかっただけなので、記述内容を一切読まないでBidしていたら、異様に安く落ちた。こういう時は何かある・・・で、あわてて説明文を読んでみたら【名入り】と明確に記載があった。

 【オッ!久しぶりに楽しめそうだな】 

2007-12-30 02 ねらった物はParker 75のステンレス製軸。ペン先はスチール製。Parker 75といえば純銀格子軸が有名で、実際数も非常に多い。ところが廉価版のステンレス製軸はおどろくほど中古市場に出てこない。

 しかも先日、友人が悪魔のささやきを・・・【Parker 75のオクタニウム製の白ペンの書き味は14金製を凌駕している

2007-12-30 03 こういう囁きは気になって仕方がない。運良く入手したので、試してみたが、Parker 75の書き味をあっさりさせた感じ。

 実はParker 75のニブは通常のオープンニブと違って、先端になるほど金の厚みが厚くなっていない。ずっと一定の厚み。あれが独特のグリグリとした書き味を演出している。

 オクタニウム製ニブは弾力が少ない分、グリグリ感は少なくはなっているが、紛れもなく、Parker 75の書き味じゃ。ということで、ニブの検証は終わり。

2007-12-30 04 次は推理時間!名字2文字、名前3文字の女性。首軸に彫ってある。なるほど、Parker 75は金属軸なので、彫る場所としては首軸が最適!しかも平面があるので曲面よりは彫りやすいはず・・・

 名前は彫刻刀で彫ってある。通常は線をつないだような書体になるのだが、微妙な曲線がうまく出ている。ただし、長崎マツヤ万年筆病院のヲヤジさんの彫りと比べると、どこぢんまりとした感じで勢いを感じられない。

 ペンポイントはまったく減っていない。新品同様じゃ。

 ,匹考えても自分用に試し書きして購入した物ではない。そうなら使うはず。
 △そらくは贈り物。値段から考えて、中学校か高校。
 もらった人は万年筆をダセー!と思う世代だったはず。
 そ佗文気古物商ということは、引越か家屋取り壊しで大量に処分された物の中にあった。
 デ代から考えて40代半ばの女性。この年代の女性が大量に物を処分するタイミングとは・・・
 ξズГ靴銅族箸傍△辰討い燭、両親が亡くなったため、もっと小さなアパートで一人暮らしするために、家屋を売って荷物も整理・・・

 などと、今日も楽しませてもらっている。らすとるむしゃんもお笑い問題集へのコメントに書かれているが、


http://pelikan.livedoor.biz/archives/51065541.html


 調整や修理には、推理力が必要。上記のように妄想を働かす癖を付けていないと、イザという時に、修理方法や分解方法を思いつかない。ぜひ、妄想されよ!

  
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2007年12月29日

土曜日の調整報告 【 Montblanc No.342 14C-M ペン芯を太らせる 】

2007-12-29 01 今回の依頼品はMontblanc No.342。最近、WAGNEで最もしばしば出くわす物じゃ。おかしいなぁ、WAGNERペリカン倶楽部の発展形のはずなのに・・・。今度らすとるむしゃんが持ち込む大量のペリカンの本数を外して集計してみようかな?ひょっとすると、Montblancの数がPelikanを上回るかもしれない。

 症状はペン先がゆるく、すぐに左右にズレてしまうというもの。ソケット方式ではなく直接首軸にペン先とペン芯を突っ込む方式の場合は、グラグラになるケースは多い。が、ソケット方式でグラグラというのは、あまり記憶にない。ペン芯の痩せがほとんど誤差の範囲とすれば、ペン先の厚みが薄すぎる製造不良か、別モデルのペン先を取り付けたか・・・くらいしか考えられない。

2007-12-29 02 首軸にささっている状況は左画像のとおり。おやおやペン芯が真上から見えている。拙者の大嫌いな状態じゃ。これはペン芯をもっと押し込まねばなるまい。

 ペンポイントは大きくて良い。非常に綺麗な形状をしている。ペンポイントを取り付けた上で、ここまで綺麗に上に盛り上がっていた部分を削りこむのは、相当難易度が高い作業。少しでもズレるとペン先の金の表面に傷をつけてしまう。そうするとペン先にバフがけをする必要が生じて、大幅に時間をロスしてしまう。相当高度な工作技術であろう。人の手ではこうは研げない。

2007-12-29 03 こちらは横から見た画像。あきらかにペン芯が出過ぎている。ペン芯下段の凹の部分が首軸にひっかかるような状態が最も美しいと考えている。

 ペン芯は後期の厚いペン芯で、インク保持能力は高い。また熱湯にいれると簡単に曲げられるので、ペン先とペン芯を密着させる作業も非常に楽。

 学童用のペンだからこそ、雑に扱われ、修理の機会も多いはず。それを見込んで簡単に修理が出来るような設計にしていたのだとすれば、見上げたものじゃ。

 1930年当時は、そのような設計思想ではPelikanが圧倒していたが、1950年代の安価モデルに関しては、Montblancの方が良い。No.256からMonte Rosaに至るまで同じ方式で分解できる。No.25Xシリーズは素材問題でミソ(キャップクラック)を付けたが、安価な細軸ではクラックの入る確率は小さい。

 古山画伯が自費出版した黄色い表紙の【4本のヘミングウェイ1997年発行)】でフェンテでべそ会長が、Montblanc No.344 を大好きな萬年筆としてあげていたが、やっとNo.344No.342の評価が日本でも認められてきたようじゃ。10年前にN0.34Xのすばらしさに気付いていたでべそ会長は、やはりただものではない。

2007-12-29 04 こちらはペン先をソケットから外して、多少清掃した状態。50年ほど前の製品に付いていたペン先とは思えないほど美しい。いかに金が安定的な金属かという事を思い知らされる。白ペンなら50年たてばボロボロのはずじゃ。

 オリジナルのままでもペンポイントのスリットはちゃんと開いている!これはすばらしい事。グラグラする問題さえ解決していれば、すばらしい書き味の萬年筆だったろう。贅沢を言えば、もう少しスリットが開けばもっと良い。

2007-12-29 05 こちらがペンポイントだけを超拡大した画像。これはいつもと同じく、スキャナーの上に外したペン先を置いて、解像度を12800dpiにセットしてScanしただけ。マクロレンズを使うよりずっと便利じゃ。

 埃一粒よりも狭いスリット。神業じゃな。0.14の銅板で切り割りを入れると何かで読んだ記憶があるが、スリット自体は寄り調整でいかようにでも出来る。ヌラヌラの書き味を出すに必要なスリット幅は約2倍程度かな・・・

 よく見ると、金の部分からペンポイントに至る曲線が綺麗に面取りされている。これは手で磨いたのでは出来ない。長原先生がペンクリで使っているような回転する砥石に当てて研いでいるはずじゃ。ためらいによるブレが一切発生していないことをみると、相当熟練した作業者の手による物だろう。そういう職人をそろえていた当時のMontblancに皆が惹かれるのは当たり前かも知れない。丁寧さが違う!

2007-12-29 06 ペン芯の溝はストレート。空気の通り道と、インクの通り道は上段、下段と分かれている。非常にインクフローが良い設計。ただし、インクあふれ対策とか、空気とインクがバランスした時の、呼吸困難現象対策はまだ施されていない。そのあたりはヘミングウェイ以降のMontblancのペン先や国産のペン先に一日の長がある。

2007-12-29 07 ペン芯を後退してみても、グラグラは止まらない。どうやらペン先の素材自体が薄いという個体差の為らしい。上のペン先全体の画像のように、根元に【342】との刻印が入っているので、モデル違いの可能性はない

 しかたないので、ペン芯を太らせることにした。ペン先に接する面には何もせず、その裏側に薄く瞬間接着剤を塗る。指で塗ると大変なことになるので注意!乾くのに時間がかかるので、触らないようにな。

 乾いたらサンドペーパーで適当な太さになるまで削りだしていく。けっこう硬いので時間がかかりますぞ!

 木工用ボンドなどでは、溶けてしまう可能性があるので、必ず瞬間接着剤を使うこと!

2007-12-29 08 こちらがペン先とペン芯を軸にセットした状態。〔585〕の刻印は軸内に入っていることがわかろう。

 昔のカタログなどを見ると、この位置が正式なように思われる。これ以上前に出すと、ペン先が左右にずれる確率が大きくなる。これは径の小さいペン芯の宿命。ペン先、首軸、ペン芯の間で如何に摩擦係数を大きくするか、如何に密着度を上げるかだが、どうしても小さなペン芯は不利じゃ。


2007-12-29 09 こちらは横から見た画像。上に述べたようにペン芯の凹が一部首軸にかかっている状態が美しい。

 ここまでやってもペン芯はズレやすいのは事実。従って筆圧を書けないでもインクがニュルニュル出るように調整して、ペン先にかかる横の力を減ずる。これによってズレの可能性も減るのじゃ。ペン先調整はペンポイントという個の最適化ではなく、全体最適。ペンポイント調整には、鋭敏な感覚が必要だが、全体最適には感覚は不要。体系立てて考える訓練さえすればよい。その教材は提供するので、あとは自分で仮説を検証するのみじゃ。どんどん自分調整の世界へ足を踏み出されたし!


今回執筆時間:6.0時間 】 画像準備1.5h 調整2.5h 執筆2.0h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 
 

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2007年12月26日

水曜日の調整報告 【 Pelikan 500NN 暗緑縞 14C-EF ペン先グラグラ! 】

2007-12-26 01 今回の依頼品はPelikan 500NN。軸模様はGreenとDark Greenのストライプ。実は500/500N/500NNの緑とはこの模様のことで、通常の緑縞は発売されていない。もし遭遇したら400系のボディとアセンブルしたと判断すべきじゃろう。

 500NNの軸では最も一般的なのは実は茶軸。こちらには数多く遭遇したが、このGreenとDark Greenのストライプは初めて手に取った。黒軸と見分けが付いていなかったのかもしれんな。

 最近は、このRolled Goldの【多少ピンぼけしたような金の輝き】が非常に気に入っている。鍍金でもなく、純金でもない・・・という中途半端さが実によい。現在では鍍金技術が発達したので、復刻版の限定品以外でRolld Goldのボディを作ることはない。金無垢が本マグロの大トロだとしたら、Rolld Goldはトロの炙りかな・・・

2007-12-26 02ペン先とペン芯は絶妙な位置にセットされている。拙者の好みとまったく一緒!ただしペン先の【寄り】は強い。筆圧の弱い人には書き出しに苦労するはずじゃ。

 何故にVintageのペン先は【寄り】が強いのだろう。まったくの思いつきだが、当時の紙の質との関係があるのかもしれない。

 かなり目の粗く表面処理も雑な紙に、性能の悪いインクで書く際には特別のお作法が必要だったのではないか?すなわち、ぐぐっと筆圧をかけて紙の繊維にインクを染みこませる・・・それ以降もグヮングヮンと筆圧をかけながら、ペン先のポンプ運動でインクを供給しないと、(毛細管現象にたよった低筆圧での筆記では)インクが紙につかなかった・・・・・という仮説を立ててみた。

 当時の紙が無いので実験は出来ないが、目の粗い紙にはある程度の筆圧をかけないと綺麗に書けないような気がするなぁ・・・そういえば、Pelikanの社史にはスケッチブックも掲載されていたかも?スケッチブックに描くにはかなり筆圧は必要じゃ。Pelikanのペン先のお辞儀は【強筆圧でもペン先が歪まない】という条件を満たすのには最適の策。特に短い軸の140などはお辞儀の度合いが強い。

2007-12-26 03 こちらはソケットを外したニブの表側。やはりペンポイントは密着している。Montblancはペン芯が曲げやすいので、ペン芯先端を上に反らせば、スリットが詰まっているペン先でも、ペン芯に乗せた時にはスリットが開くような細工は出来る。

 しかし当時のPelikanのエボナイト製ペン芯は円柱に溝を彫ったような物なので、ペン芯先端を上に反らせる事が超困難!ペン先のスリットを開けるにはペン先のお辞儀を緩くすれば簡単なのだが、Pelikanではそれは御法度。ペン芯とペン先の間に隙間が出来てしまう。従って先端を横に拡げるしかないのじゃ。

2007-12-26 04 表は綺麗だったが裏側には【エボ焼け】がいっぱい!これは取り除いておかないとインクフローに悪影響を及ぼす(と思う)。実は公に【エボ焼け】とインクフロー悪化を関係づけて述べているのは拙者だけだが、メーカーの中では常識なのだと思う。Omasがペン芯の裏にロジウムを鍍金してあるのは、【エボ焼け】によるインクフロー悪化を防ぐため。エボナイト製ペン芯を使う宿命じゃ。

2007-12-26 05 こちらはペン芯。フィンが少ないのでインクあふれ防止機能に疑問は残るものの、すばらしく美しいペン芯!スリットも2本入っているので、万一片方が詰まっても筆記に支障は出ない。Fail Safeがちゃんと考えられている。ペン芯の外周とインク溝の間に段差があり、空気が常に取り込まれるようになっている。このあたりは現在のAuroraのペン芯より設計思想が上かも?

2007-12-26 06 これがペン先がぐらつく原因じゃ。プラスティック製の安い部品が使われている。拙者が見た物は100%割れていたので、非常にインクに弱い素材なのか、膨張収縮に弱いのであろう。

 これがオリジナル部品なのか修理部品なのか、はたまた純正なのか修理業者製造なのか・・・疑問点は多いが、遭遇する数の多さからして・・・

 いずれにせよ、このソケットに出会ったら、壊れていなくても早い機会に現行のM400用のソケットと交換した方がよい。

2007-12-26 07 大きさはまったく同一。特にネジのピッチもいっしょなので、非常に便利じゃ。Pelikanの標準化の歴史、一度決めたら変えないという決意はすばらしい。まるでNikonがマウント径を変えないがごとし!

 Canonのようにマウント径を大きくした方が、はるかにレンズ設計は楽。それでもかたくなに変えようとはしない。はたしてそれが消費者の為なのか、単なる意地なのかは知らないが・・・

2007-12-26 08 こちらはペン芯をセットし終わった状態。多少スリットを拡げたのでインクフローは驚くほど改善された。

 EFのペンポイントはいくら削っても、けっしてヌラヌラにはならない。ヌラヌラは紙に接するペンポイントの面積で決まるのでな。

 ただしスイートスポットが一つでもあれば、書き味は上品になる。無いと品がない書き味になってしまう。このあたりは後日、別の万年筆の調整の際に紹介しよう。


今回執筆時間:3.0時間 】 画像準備1.0h 調整1.0h 執筆1.0h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 
 

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2007年12月25日

火曜日の質問コーナー【その12】

万年筆評価の部屋】では毎週火曜日に、萬年筆専門の質問コーナーを設けている。


第12回目の今回は、質問は萬年筆に限らないでOK!


 コメント欄のアンケート結果のすすみ具合や、話の流れと無関係に質問してくださって結構です。

 そして今回のアンケートはPelikanのVintage ライン 第二回目!

 あなたが
使ったことのあるモデルはどれですか? 自分の物かどうかは関係無しじゃ。今回は安価ライン!

Rappen            【ニブの刻印が Garantiert 14 Karat】
Rappen           
【ニブの刻印が Rappen 14 Karat】
Rappen           
【ニブの刻印が Rappen 585 14Karat】
IBIS              【茶色インク窓の回転吸入式】
IBIS              【緑色インク窓の回転吸入式】
120                【鍍金ペン】
120               【14金ペン先】米国限定
120 Merz & Krell  【鍍金ペン】キャップの口が面取り
140                                    【red、green、blue、black、grey、緑縞、dark brown、light tortoise】

 拙者は,聾たことすらない。

 はたして何人が、この時代のPelikanを使ったことがあるのかな?


それでは質問の回答は、Comment欄に! アンケート集計はこの後じゃ!


Rappen            無し

Rappen            2人

Rappen            2人

IBIS              無し
IBIS              4人
120                2人
120               1人 <=== 修正
120 Merz & Krell  2人
140                                   8人 <=== 修正

 値段の割に見つけるのが困難なのはだが、ついに所有情報が出た!
 ちなみにPelikan Bookでは紹介されていない!

  
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2007年12月24日

月曜日の調整報告 【 Montblanc Monte Rosa 14C-M ペン芯めくれ!】

2007-12-24 01 今回の依頼品はMontblancMonte Rosa。そのタッチの柔らかさで強烈なファンを持っている萬年筆。元々はNo.342の下位にあたる学童用廉価バージョンという位置づけだったと思われる。

 No.344No.342も学童用だったが、さらに小型な軸。かわいらしさから考えて女の子をターゲットにしていたのかも知れない。キャップの口の金属がMontblancの頂上の万年雪のような形になっているのがMonte Rosaの特徴。小振りなボディに、非常に小さなオープンニブが付いている。

 【小さくて肉薄】であればヘロヘロに柔らかいペン先に出来る。大きなペン先を肉薄にすると、自重でひん曲がったりする事故があり得るので、肉厚にせざるを得ない。ペン先が大きくて柔らかなペン先に憧れても無理で、柔らかさ優先にするなら小さいペン先の萬年筆を選ぶのがよい。

 戦前のSwanKawecoOsmiaなどには非常に柔らかい小型ニブが多い。このMonte RosaNo.342も柔らかいですぞ。ただし柔らかいニブは長時間執筆すると疲れるらしいがな。

2007-12-24 02 依頼内容は書き味というより、見映えの調整。ペン先が首軸に入りすぎなので、美しい位置にして欲しいとのこと。

 しかし、生贄である以上、依頼者の要望は参考程度にとどめて、拙者が考える最善の状態に調整する。それが生贄の運命じゃ。

 まずはペン先のスリットが詰まっている。かなり大きなペンポイントなのに、このスリットの状態では能力にあったインクフローが得られない。

2007-12-24 03 ソケットを外す際に専用工具が使えなかった。よく見ると、ソケットの凹がペン先のスリットの延長上に無い。これでは専用器具が使えない。そういう時には器具から作るか、ペン先とペン芯をゴム板で抜いてから専用工具でソケットだけはずすかじゃ。

 今回は後者の方法をとった。理由は肉厚のペン芯なので折れにくいから。フラットフィーダーを掴んで引き抜くと、かなりの高確率でペン芯が折れたり、歪んだりする。その点、後期のペン芯は安全じゃ。こうやって改善されているのもかかわらず、前期の危険なフラットフィーダーが好きな人が多いのが理解出来ない。実は、拙者もそうなのだがな・・・
 
2007-12-24 04 ペン先は14Cのペン先で、Mont Rosa用の純正品。それほど汚れが付着していないところから考えて、かなり萬年筆の分解を頻繁にやる人の手元にあったはずじゃ。

 表側に比べて裏側の清掃が不十分なのは、分解はするが、萬年筆の構造やインクフローについて突き詰めて考えている人ではなかったのじゃろう。ま、それが普通。

2007-12-24 05 こちらがペン芯。このペン芯には金鍍金の滓が付着している。ということは、このペン芯の上には、元々は鍍金ペン先が乗せられていたはず。そのペン先を外して、14Cのペン先を乗せ、首軸の適当な位置に押し込んだのであろう。

 この胴体には元々は鍍金ペンが搭載されてた、あるいは、鍍金ペンを乗せて使っていたペン芯を流用した・・・

 以前は、こういう推理が出来るようになるまでには、何本も分解してみなければならなかった。しかしなが、ネット社会では、今この瞬間から読者の知識となっている。

 いつの日にか、こういうペン芯に出会ったら、思い出して感慨にふけるだけではなく、徹底的に剥がして綺麗なペン芯にする事を優先するようにな! 

 ペン芯の溝の中にあるインク滓は最悪。スキマゲージで完璧に取り除くように。カッターに刃ではダメ!必ずスキマゲージで!

2007-12-24 06 こちらがこの萬年筆の最大の欠点。ペン芯の先端が上に盛り上がっている。左が上側で右が下側の画像じゃ。どうやらサンドペーパーで真っ直ぐにしようとゴシゴシ削って、仕上げをしていないと思われる。最低!

 この上にひん曲がったペン芯のおかげで、ペン先はペン芯と密着していない。これではインクは出ない!

 ネットで購入するVintage萬年筆の怖さは、こういう所にある。何千本も販売しているプロであれば、こういう事はしない。完璧に調整した物を出品している。しかし素人が出す物は、90%以上がこの手のトラブルを抱えている。

 常識で考えても、自分が気に入っていて完璧な状態の品をオークションに出すわけが無い。自分が気に入らなくなった物を、絶対に会うことのない遠隔地の人に売りつけようと考えているケースがほとんど。(プロは信用問題になるので別ですが)

 従って素人出品で完璧な物が出るはずがない! ・・・ と考えてオークションに望むのが正しい姿じゃ。ある程度の技術もあり、部品も多少は持っている拙者ですら、最近は新品以外はeBayではほとんど購入しないほど。

 eBayは二極化してきた。プロが出す物はより状態が良くなり、素人物はほとんどアウト! 計画されているヤフオクとeBayの統合後は特に注意が必要。【悪貨は良貨を駆逐する

 一見してわからなくとも、分解すれば弱点が見えてくる。海外の素人から購入するのは・・・拙者の生贄を増やしてくれるので嬉しい限りじゃ!

2007-12-24 07 こちらがスキマゲージで清掃し、ロットリング洗浄液の入った小さなガラス瓶に入れて振り回した後1時間放置、その後水で洗浄して乾燥させた状態のペン芯。ここまで綺麗になれば問題ない。ペン先とペン芯を分離しないと完全清掃できないことがよくわかったであろう。教材としては最高の生贄じゃ!

2007-12-24 08 ペン先は清掃後、スリットを多少開いた。この段階で書き味の柔らかさが予想されるような美しさ。

 ニブの拡大画像だけはいつまで見ても飽きない! 特にMonte Rosaはキャップの口の模様と同じ雪模様(波形)をペン先にも刻印している!

2007-12-24 09 こちらがペン芯に乗せた状態のペン先。スリットがごくわずかに開いて搭載されているのがわかろう。この大きさのペンポイントであれば、様々な字巾の文字を表現できる。非常に柔らかいペン先と相まって、縦書きでも十分美しい文字が綴れるのではないかな。

 調整前は、なんと【14C】の刻印の部分までが首軸内に押し込められていた。これでタッチはさらに柔らかくなるじゃろう。

2007-12-24 10 こちらは横顔。調整前には6本しか出ていなかったフィンが、調整後は8本見えている。相当前に出したことになる。

 以前はペン芯が上にめくれ上がっていた為、ペン先とペン芯を少しでも密着させようと首軸に力一杯押し込んでいたのであろう。

 ペン芯先端部のめくれを修正したので、ペン芯との密着度が上がり、スムーズなインクフローになり、タッチも柔らかくなったはず。

 ほとんどのケースで、【調整依頼】よりも【生贄提供】の方が良い結果が得られるので、そちらをお奨めする。



今回執筆時間:5.5時間 】 画像準備1.5h 調整2.5h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
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調整とはペンポイントの調整をしている時間
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2007年12月23日

新コーナー誕生! 12月28日より

万年筆評価の部屋】では毎週火曜日金曜日に、皆さんの疑問にお答えするコーナーを設けてきた。

 ★ 火曜日に萬年筆専用の質問コーナー

 ★ 金曜日は萬年筆以外の一般質問もOK!


 WAGNER忘年会で神の啓示を得たので、新コーナーを設ける。それに従って、金曜日のシツモンコーナーを火曜日に統合する。

 新しい演目は以下の通り。赤字新コーナーじゃ!

 日曜日:カタログ紹介 / 萬年筆解体新書
 月曜日:月曜日の調整コーナー
 火曜日:質問コーナー & アンケート

 水曜日:水曜日の調整コーナー
 木曜日:文献研究 / その他
 金曜日:WAGNER お笑い問題集
 土曜日:土曜日の調整コーナー

 2〜3週間サンプルをお見せするので、お笑い問題集投稿をお願いする。いかに笑わせるかも重要なのでな!

  
Posted by pelikan_1931 at 20:20Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2007年12月22日

土曜日の調整報告 【 Montblanc '50年代 No.144G 14K-M ボロボロ 】

2007-12-22 01 今回の生贄は1950年代のNo.144。すさまじい状態であった。【G】が付いているので最初期のモデルではないはずだがソケットが無い。

 通常はソケットにペン先とペン芯をソケットに固定してから、ソケットを首軸にねじこむのだが、ソケットが無いため、ペン先とペン芯を一緒に首軸に押し込んだり引っ張ったりする。

 ほぼ拙者と同じ年くらいなので、キャップは痩せてキャップリングはぐらぐらしている。ただ、No.146に比べると痩せる量は少ないのか、キャップが凸凹になっている感じはあまりしない。

 1950年代No.146があまりに高価になってしまったのと、キャップが痩せすぎてちゃんと締まらないものが多いので、最近はこのNo.144を最初のVintage Montblancにお奨めしている。


2007-12-22 02 ペン先表面の状態はなかなか良い。スリットは詰まっているが、ほとんど無傷で、プラチナ鍍金も剥がれていない。ペン先斜面のスロープも削られてはいない。

 この斜面の形状はやはりMontblancが美しい。特に1950年代のNo.146 / No.144と、1980年代のNo.149 開高健モデルが最高!

2007-12-22 03 ペン先を首軸側から見ると・・・・無惨な事に、ペン芯の先端が斜めにまるく削られている。ペン芯先端を削る必然性は、1950年代前半のペン芯に関しては無い。後半のペン芯の場合は、極端に寝かせて時を書く人の場合にはペン芯が紙に当たってしまう場合もあるがな・・・

 おそらくは自分で形状を整えようとしているうちに収拾がつかなくなったのであろう。幸いなことに、拙者の調整はペン芯を極限まで前に出す事を前提としていないので、問題はない。

2007-12-22 04 問題は横顔にある。先端部分にインク滓が付着しているのは良いとして、ペン芯とペン先が大きく離れてる。さすがにここまで離れているとインクは切れてしまう。

 ペン先のお辞儀の程度はこれくらいが最適なので、ペン芯を多少反らせてペン先と密着させねばなるまい。そしてペン芯先端が斜めになっているのも美しくない・・・こちらも微調整が必要じゃな。

2007-12-22 05 こちらは清掃とスリット調整が終わったペン先。おもしろいことに、左図左端の【34】という刻印がずれている。これまで【さんじゅうよん】だと思っていたが、実は【3】と【4】は製造行程の別のタイミングで刻印されているのかも知れない。たとえばペン先を一瞥して、【3】と【4】の両方が刻印されていれば、首軸への装填OKで、【3】だけなら、まだ切り割りを入れてないとか・・・考え過ぎかな?

2007-12-22 06 こちらが溝掃除が終了したペン芯。これからまずは先端部の長さををそろえる。これはサンドペーパーの上で少しずつ削り、最後に金磨き布の上で表面の凸凹を無くする。

 次にペン芯を90℃程度のお湯に数分浸して柔らかくしてから、先端部だけを上に反らせる。熱いので指がやけどしそうになるが我慢する!あらゆる調整作業の中で、もっとも忍耐が必要な作業じゃ。我慢我慢我慢・・・を15秒ほどして水に浸ける。氷水なら痛みも和らぐ。


2007-12-22 07 その後ペン先を乗せ、首軸に突っ込む。スリットが開きすぎていたら、そのままお湯に浸け、適度なスリットまで狭まる一瞬前に水に浸けて、【もどり】の進行を止める。コツはペン先に乗せる前にはスリットが本来よりは多少狭い程度にしておくと良い。そして反りの【戻りの段階で幅調整する】・・・・そうして出来た状態が上じゃ。二つ前の画像よりスリットが開いているのがわかろう。

2007-12-22 08 そしてこちらが横顔。ペン芯とペン先がピッタリとくっついている。

 スリットが通常よりもペン芯のよって拡げられているということは、ペン芯とペン先が密着している事を意味する。【戻りの段階で幅調整する】のにはこういう意味もあるのじゃ。

 この程度の調整であれば、通常はココンのコンで、ペンクリ調整出来るのだが、持ち帰り調整にしてもらった。何故なら首軸が胴軸から外れなかったから・・・

 Vintage萬年筆が市場に出回るにつれて、素人修理も増える。そうすると本来の設計意図とは違う修理をしてしまう人もいる。首軸を胴体にねじ込む際に、接着剤を塗ったりするのもソレ!

 そもそも1950年代のNo.14Xでは首軸を外してかピストンのコルクを交換する設計になっている。従って首軸が接着してあると、今後コルク交換は一切出来ない。このコルクがダメになった段階で、萬年筆も寿命となる・・・・

 絶対に接着してはダメですぞ! 無知が萬年筆を殺す! このBlogでしっかり勉強するのじゃぞ!



今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1.0h 調整1.5h 執筆1.0h
画像準備
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2007年12月21日

【金曜日の質問コーナー】 第21回

万年筆評価の部屋】では毎週火曜日と金曜日に、皆さんの疑問にお答えするコーナーを設置

 ★ 火曜日に萬年筆専用の質問コーナー

 ★ 金曜日はブランドの歴史や萬年筆以外の一般質問もOK!

今回は、第21回目の金曜日

アンケートは実施せず、純粋に質問なんでも受付コーナーとする。萬年筆やボールペン、ペンシルから、ブランドの歴史、萬年筆研究会【WAGNER】の会員分布・・・まで、何でもお答えしよう。

特に、いまさら聞きにくいテーマを募集。偽名でもよろしいですぞ。

回答はコメント欄に入れておいた。ごらんあれ!

  
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2007年12月20日

趣味の文具箱 9 発売!

2007-12-20 趣味文9が発売された。今回は【北ペン倶楽部】や【騾美庵萬年筆苦楽部】も紹介されている。

 また古山画伯の記事や、文鎮王子とその萬年筆も登場!

 どうやら今回のテーマは【色】のようじゃな。

 徹底的に物欲刺激バージョンの構成にシフトしてきた感じ。拙者も相当刺激された。

 やはり運が良くないと手に入らないVintage物よりも、努力すれば手に入れられる現行モデルの方に興味が行ってしまうなぁ・・・
  
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解説【萬年筆と科學】 その60のかわりに【 TIBALDI ・IRIDE 】

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 先日友人からいただいた【TIBALDIIRIDE】を分解してみた。【TIBALDI】というブランドがあるということは知っていたが、あまりにマイナーなので気にもしていなかった。

 米国の【Fountain Pen Hospital】のカタログをみると2007年には2,000ドル程度の高級品が紹介されている。

 水を吸わせるテストをしてみたら、吸入が【バキューマティック方式】に似ているので、これは分解せねばと考えた。

 右上の画像にあるとおり、プッシュ式で吸入する方式。まるで昔の手押し式の井戸ポンプみたい。現行品で似ている物があるとすれば、PilotのPush式コンバーターかな・・・

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 左は吸入機構を軸から外したところ。ピンセットの端を溝にひっかけて左に回せば、簡単に外れる。

 実際に使う際には;

 /軸を左に回して緩める
 ▲優犬外れるとプッシュ棒がビヨ〜ンと伸びる。かなり強いスプリングが入っている
 プッシュを繰り返すとペン芯に連結された管の中からインクが胴軸内部にインク瓶からくみ出されて保存される

 という順序になる。

 バネもピストンも尻軸部品の中に組み込まれているので、故障も少なそう。何より金属部分(バネ)がインクから隔離されているので劣化するリスクが少ない!

 似たような方式はSoenneckenにもあったかもしれないが、そちらは分解したことが無いのでわからない。

 どんなにすばらしい軸でも、プランジャー式、インキ止式は面倒で使えない拙者にとっては、久しぶりにみた心が踊る一本じゃ。


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2007-12-20 102007-12-20 11  ペン先の刻印もシンプルで良い。拙者はゴテゴテした刻印やバイカラーの装飾は好きではないのでな。

 軸は透明部分もあるセルロイド製。この分野は伊太利亜セルロイドの独壇場。息をのむほど美しい軸を数多く送り出してきている。

 拙者はスケルトン系にはインクを入れない主義で、この萬年筆にもインクを入れるつもりはまったく無かったのだが、このように簡単に分解できて、内部が完全清掃出来るのであれば、使ってみようかな・・・

 なんせペン先の感触がよい。最初はスリットが詰まっていたが、上の画像のように多少スリットを拡大するとインクフローが極上になる。インクを入れなくても感触でわかる。

 このペン芯とペン先を眺めていたら、ある萬年筆を思い出した。積み重ねたペンケースの奥に入っているはずのスティピュラの限定品。あちらは回転吸入機構式だったが、ペン先の大きさといい、刻印の少なさといい、このIRIDEにそっくり。

 そしてインク管こそ無いが、ペン芯の裏側の模様もまったく同じじゃ。TIBALDIは、この萬年筆をスティピュラに製造委託したのかもしれない。あるいはスティピュラが仕入れているペン先やペン芯のメーカーと同じ会社に部品製造委託したのかも?

 少なくとも吸入機構は、コンバーターを軸内に内蔵させて【回転吸入式でござい】というスティピュラとは一線を画している。1997年の製造。今から10年前。

 もし日本に輸入されていたら話題になっていただろうにな。バイブルを調べてみたら、この吸入方式はTIBALDIの特許らしい。想像していたとおりだった。

 なを会社自体は1958年に他社に買収された。そしてその会社から1992年にブランドを買い取ったFinduck GroupがTIBALDIブランドの萬年筆を復活させたようじゃ。

 【 伊太利亜最古の萬年筆メーカーがTIBALDI 】とパンフレットには書かれている。

  
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2007年12月19日

水曜日の調整報告 【 Montblanc No.146 14K-F 細字スタブに・・・ 】

2007-12-19 01 今回の依頼品はMontblanc No.146の赤軸。ヘミングウェイと同時期の品じゃ。

 調整依頼は【細字でインクフロー良く!ただしドバドバではない・・・要するに良い按配に・・・わかるでしょぅ・・・】という極めて抽象的な内容であったが、対面して顔を見ていれば、抽象的であっても気持ちはくみ取れるものじゃ。

2007-12-19 02 これがヘミングウェイと同時代というのは、右端のペン芯の写真から判断した。No.149のペン先が14Kから18Kに変わったタイミングで、ペン芯もエボナイト製から樹脂製に変わった。

 そしてそのペン先とペン芯がヘミングウェイに搭載された。それと相似形の形状をしているのが、このNo.146のペン芯。

 その後、Montblanc No.149のペン芯がデュマ・タイプに変わったとき、No.146のペン芯の形状も変わっている。

 拙者はこの赤軸No.146に搭載されているヘミングウェイ時代のペン芯がNo.146の歴史の中で一番美しいと考えている。

2007-12-19 03 ペン先はコストカット穴が空いたモデル。これもヘミングウェイ時代から始まった。穴が空いたからといって、インクフローが良くなったり悪くなったりする物ではないが、何となく【みみっちい】と感じてしまうのは拙者だけではなかろう。

 細字のペンポイントは鉈(ナタ)に近い形状に研がれ、円弧の一点を紙に当たるようにして細字を演出している。この状態では横線と縦線が同一の太さになる。英語を書くには実に書きやすいのだが日本語を書くと線に味がない。

2007-12-19 04 ペン芯をよく見ると、個々の櫛溝は空気通路に直結している。こういう左右対称の設計の場合、ある時点で入ってくる空気の圧力と出ていくインクの圧力が均衡して、インク切れを起こす確率が高くなる。よくNo.146はインク切れがあるとか、インク漏れがするとかの報告を聞くが、このあたりに問題が内在しているのかもしれない。

2007-12-19 05 こちらは、ペン先を細字Stubに研いだ状態じゃ。ペン芯の先端がペン先の模様の頂点よりも1个曚表个討い訃態が(経験上)良い。

 これは元々、そのようになっている・・・というより、以前拙者のペンクリで位置調整している。

 この後のモデルからは、ペン芯にストッパーがあり、位置が固定されてしまう。そして、このペン先には、そのストッパーに合致する切れ込みがある。ただしペン芯側には、その切れ込みを受け止めるストッパーが無い。

 どうやらペン先の設計は次世代のペン芯を見越して開発されているが、ペン芯自体は開発が追いついていなかったようじゃ。

 分解して推理する楽しみは、こういう仮説を思いつく事にある。それが真実かどうかはわからないが、ある推理に対しては、ほかの人が賛同したり、別の意見を持ったりする。それをDiscussionして【個人知】を【集合知】に高める作業は楽しい・・・これがあってこその【研究会】じゃ!

2007-12-19 06 先端のスリットは以前より多少狭め、先端を平たく研いだ。これで横細縦太の漢字に適した字巾になるはず。しかもインクフローは良く、ドバドバにはならない。

 実は細字でドバドバが好きな人もいる。拙者もしばらく前まではそうだった。ただ書いていくうちに、なんとなく書きごこちが上品でない感じがしてきた。

 【ガツガツしてがさつかも・・・】といったん感じてしまうと、それが気になってしかたがない。そこで多少インクフローを落として、横細に研いでみたところ実に良かった。

 そして【萬年筆と科學】で詳細な研ぎ方を確認して決心がついた。自分用の細字の研ぎは全て細字Stubにしたのじゃ。これには嵌った!


2007-12-19 07 こちらは横顔。実に端正で綺麗なペン芯。この次の時代からペン芯は真っ黒になってしまうが、この時代のペン芯は、なんとなくグレーっぽい。まるで細かい梨地のような表面処理がされているよう。

 見映えだけならエボナイト製ペン芯以上!エボナイトは脆くて硬く、樹脂ほど複雑な加工は出来ないので、なんとなく形状が野暮ったい。それに対して、このヘミングウェイ型ペン芯は美しいことこの上ない。残念ながらインクフローやインク漏れ対策などは、この次の時代のペン芯の方が能力は上。痛し痒し・・・

2007-12-19 08 こちらは拡大図。これをどう見てもStubの研ぎとは思えまい。研ぎ方はStubではない。しかし、書かれた文字は紛れもなく細字Stubのそれじゃ。このあたりがおもしろいところ。依頼者の筆記角度で書いてみて初めて感じられる字形というのが、個人に合わせて研ぐ妙味なのじゃ。

 実際に書いてみると、実に気持ちよい!拙者にとっては・・・

 問題はこの気持ちよさが、依頼者と共有できるかどうかじゃ。気持ちよさの個人差は以外に大きいのと、調整に慣れるに従って、手が肥えてくる。たとえば拙者は自分用に調整した萬年筆にうっとりする確率は、最近激減した。ま、こんなもんね・・・で終わってしまうことが多い。

 そろそろ自分用の調整を他人に委ねてみようかな?


今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1.5h 調整1.0h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間 

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2007年12月16日

萬年筆に嵌りかけた【美しき酒豪】からの投稿

 【ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!】を仕事でお世話になっている方々にお贈りした。郵送した人は数えるほどしか無く、ほとんどは直接手渡した。その際に多少【魔法の呪文】を唱え、サインをしてからお渡しする。【魔法の呪文】には【この人が万年筆に嵌りますように・・・】という呪い込めている・・・

 その呪いにまんまとかかった【美しき酒豪】が万年筆を購入した。その喜びを 【ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!】の投稿文のようにしておくってくれたので掲載することにした。もちろんご本人の了解は得ている。


曰く
あの本にでてくる愛好家の文章に誘発されて私も書いてみました
いいなぁ、こういう人が増えると萬年筆界もほんわかしてくる。
では紹介しよう!

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

今年、万年筆を買いました。

万年筆といえば若い頃、父が大切にして誰にも貸さなかったモンブランを
内緒で使ってガッカリした経験があります。

それはたぶん父の癖が染み込んでいたからでしょうが
私には書き易いとはとても思えませんでした。

それから私はパーカーやシェーファーを持つようになりましたが、
いつの間にか姿を消して今は一本も残っていません。

 ところが知人が執筆したという万年筆の本を読んだら、
また欲しくなってしまいました。

ちょうど今年、私は還暦を迎えます。
それで自分へのプレゼントとして一本買うことにしたのです。

 どんな万年筆を買うか、本やネットで調べてメーカーはペリカンと決めました。

ペリカン・スーベレーンの緑か青。
写真を見てそう決めました。
値段も手ごろです。

アメ横に行けば格安で買えるというので、
まずは伊東屋に下見に行ってみました。

たくさん並んだ万年筆の中に私の目指すスーペレーンもありましたが、
それとは別格に威風堂々たる一本が目にとまりました。

話には聞いていたけれど高価なので私には縁がないと思っていた
ペリカン・トレドでした。

 やりたい事や欲しい物は声に出して言ってみるものです。

万年筆の話をしたら仕事仲間が
使っていないモンブランを持って来てくれました。

ペン先が硬くてひっかかるので要らないと言うのです。

また、友達が誕生祝に万年筆を買ってくれると言ってきました。

嬉しいけれどトレドが欲しいとは言えないなぁ、と思っていると
娘がネットオークションにトレドが出品されていると知らせてきました。

1万円から始まったトレドは娘が見た時には38,000円。
それからどんどん値があがって翌朝には60,500円になっていました。

そうしたらどうしても落札したくなって、
最高額を定価の6割までに自動設定して入札に加わりました。

その夜23:57がオークションの終了時刻です。
飲み会の帰り、駅のベンチで仕事仲間と一緒に結果を見ることにしました。

皆でドキドキしながら携帯の画面を覗き込むと

やったぁ! 

私が落札していました。

しかも自動設定した限度額よりも安く!

盛り上がってもう一軒飲みに行こうという事になり、
その日は明け方まで騒いでしまいました。

結局、飲み代は高くつきましたが
思い出に残る還暦の記念になりました。

仕事仲間に貰ったモンブランは、
これはこれで少し調整すれば使えそうです。

これからはボケ防止のためにも、
このモンブランとペリカンを使って字を書く習慣をつけたいと思っています。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


 後でうかがったら、なんと明け方三時まで飲んでいたそうじゃ。【美しき酒豪】は底無しなので平気だったろうが、お付き合いした仲間は大変だったろうなぁ・・・

 ちなみに、【仕事仲間】が持ってきてくれたというNo.144と、その仕事仲間ご自身が別に持っていたNo.144はさっそく調整しておいた。あまりの違いに目が点になっていたのがおもしろかった。これで萬年筆ファンを2名獲得できた!昔の演歌歌手の【レコード手売り】のように非効率な手段だが一番確実じゃ。


そしてその夜、別の友人から時計と【凄い萬年筆をいただいた。

神は見ていてくださった!

  
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2007年12月15日

土曜日の調整報告 【 Nagasawa 125周年記念 14K-MF カリカリ直して! 】

2007-12-15 01 今回の依頼品はナガサワ文具センターの125周年記念・ピンク軸。キング・プロフィットとの大きさ比較をすれば、そのコンパクトさがよくわかろう。筆記時にはそれほど短くはないが、キャップを閉じると非常にコンパクトで10.5冂度。それが筆記時には全長13.5僂砲覆襦

 一度ペンクリで調整してもらったことがあり、ずいぶんと良くなったのだが、全体的にカリカリするところが気になって仕方がないので・・・ということじゃ。依頼者は水曜日のNo.146の持ち主と同じ ==> ”【ダメ出しの女王】に似た癖の持ち主で、実際には筆記に当たって絶対に使わない角度にペンを倒して書いてみて、一部にでもひっかかりがあると気になってしようがなくなってしまうタイプ”。

 紙にこの萬年筆で書かれた文字で【実際はこんな感じの字幅、インクの流れです。これも紙にもよりますが、これ以上太くなく、インクの出も多くない程度でお願いです】と、ブルーブラックのインクで注意書きがあった。

2007-12-15 02 拙者と同じ年齢だが、フェンテの初期からの会員。そちらでは拙者より先輩。長い付き合いで気心も知れているので調整には時間はかからない。ただし神経を尖らせて調整しないと望む書き味にはならない。

 さすがにペンクリを経験しているだけに、調整は完璧。スリットの間隔も適切で、ペンポイントの形状も美しい。インクフローも依頼者の好みにピッタリ!

2007-12-15 03 これが何故にカリカリするかといえば、MFの研ぎ方では、(Stub形状の細字を好む依頼者にとっては)思い通りの字形が表現出来ず、無駄な力がかかってしまい、結果としてカリカリ感を感じてしまうのじゃ。

 細字Stubの形状に研げば、多少筆圧が下がり、インクフローを良くしても線幅は増えないはず・・・というようなシミュレーションをして調整にとりかかる。

 【調整】とは、単にゴリゴリ削るのではなく、依頼者の好みとペン先の状況から幾通りもの調整プロセスを考え、【最適解】を導き出す部分をいうのじゃ。その後は【単なる作業】でしかない。経験豊富なプロは【最適解】の引き出しをたくさん持っている。また【単なる作業】の生産性を上げる為の道具を自作しているのじゃ。【調整】とは将棋に似ているのかもしれないな。

2007-12-15 04 【最適解】は単にペンポイント研磨だけではなく、スリットの調整、反りやお辞儀のさせ方、ペン芯との密着度調整、ペン芯やペン先の改造、軸の改造にまでいたる。

 アマチュア集団である【WAGNER】に全知全能の調整師が存在するわけはない。ただし分業すればメーカーの調整師に負けない状況にはなってきている。今後はさらに進めて、部分毎、機種毎の得意分野をもった調整師を育てていく必要があるかなと考えている。それが全国に拡がった時、再び萬年筆文化が花開く土壌が整備されたといえよう。遠い道のりかも知れないが・・・

2007-12-15 05 こちらはペン芯。この萬年筆はセーラーがOEMで作っているので、当然セーラーのペン芯。このペン芯はスリットの左右に対称でない部分がある。

 ずっと以前のペンクリで、この左右非対称の部分のおかげでセーラーの萬年筆は【息切れ】が少ないと聞いたことがある。こういう溝の位置は、インクの流量や流速と空気の粘りを計算しながら作るのであろうから、当然どこのメーカーのインクに対しても最適なインクフローが保証出来るわけではない。万年筆を作った会社のインクを使った方が良いというのは、こういうペン芯との相性があるからじゃ。

 拙者は間違ってもペン芯を知らないインク研究が作った【ワインインク】などは使わない・・・

 上記ペン芯写真はもう一つの教訓を残すために掲載した。洗ったペン芯をティッシュで拭うとどうなるか!いかにティッシュが恐ろしいかわかろう。ペン芯はかならず布で拭え!と言っている意味が・・・

2007-12-15 06 今回はごくわずかな調整なので変化を見せる部分が無く、能書きをひたすら並べ立てている。しかし、こういう回の方が役に立つはずなので、記憶にとどめておいて欲しい。

 今回はM-Fを細字Stubの形状に研ぎ上げて、前と同じ線幅になるように調整した。従って依頼者は細字Stubになっているということは気付かないであろう。研ぎの形状と字形は必ずしも一致する物ではない。このあたりも、おいおい事例が出た都度に追加説明
してみよう・・・今日の所は、床屋の予約時間が迫ってきたので省く・・・

2007-12-15 07 このペン先の画像は、上記画像の部分拡大。実はスキャナーの動く方向に対して45°傾けてガラスの上に置いた。金ペンの場合はここまで光らないが、プラチナ鍍金ペンはすごく光る。おかげでペンポイントのごくわずかのスリットの様子が表現できなかった・・・残念!

 細字を追求していけば、針で書くような書き味になる。それを防ぐ方法として【細美研ぎ】が開発された。あそこまで細くなくても良いが、もうすこしスムーズな書き味を・・・という人には【細字Stub研ぎ】をお奨めする。日本字には最適な研ぎだと考えている。セーラー以外のペン先でも研いでみたが、やはりセーラーのペン先が【細字Stub研ぎ】には最適じゃな。ペン芯のインク量調整機能が優れているからかもしれない。


今回執筆時間:3時間 】 画像準備1.0h 調整0.5h 執筆1.5h
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2007年12月14日

【金曜日の質問コーナー】 第20回

万年筆評価の部屋】では毎週火曜日と金曜日に、皆さんの疑問にお答えするコーナーを設置

 ★ 火曜日に萬年筆専用の質問コーナー

 ★ 金曜日はブランドの歴史や萬年筆以外の一般質問もOK!

今回は、第20回目の金曜日

アンケートは実施せず、純粋に質問なんでも受付コーナーとする。萬年筆やボールペン、ペンシルから、ブランドの歴史、萬年筆研究会【WAGNER】の歴史・・・まで、何でもお答えしよう。




質問には全て回答した。コメント欄をごらんあれ!

  
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2007年12月12日

水曜日の調整報告 【 Montblanc '80年代 No.146 14K-F ペン先ズレ 】

2007-12-12 01 今回の依頼品はMontblancのNo.146。微妙な時期の製品じゃ。首軸先端とクリップは1970年代のMontblancの雰囲気でありながら、ペン先は1980年代の14Kが付いている。

 インク窓は素通しでインク残量が非常に見やすい。ストライプ製のインク窓は異なる組成の樹脂を貼り合わせたような形状なので、クラックの心配があり、あまり好きではない。No.149の場合には、インク窓のストライプの部分にクラックの始まりのような亀裂が発生する事が良くある。精神衛生上非常に悪いが、幸いにしてインク漏れに至った症状は見たことはない。

2007-12-12 02 症状はインクフローが悪いことと、ペン先に段差があること。左画像でわかるとおり、ペン先のスリットは徹底的に詰まっている。毛細管現象は強いが、書き出しでインクが出ない!

 毛細管現象を強めることばかりに目がいくと、書き出しカスレを軽視してしまうが、萬年筆に慣れるにつれて筆圧は下がり、結果として一番の悩みが【書き出しカスレ】となっていく。

 この個体も、もう少しスリットを拡げる。ただし依頼者は最近、インクドバドバを好まなくなってきているので、ほんの少しだけ・・・

2007-12-12 03 こちらがペンポイントを正面から撮影した画像。以前に紹介した方法じゃ。すなわち、スキャナーの上にノックアウトブロックを置き、それに萬年筆を挿して撮影すしたもの。非常にお手軽だが、12800dpi程度の解像度が必要となるので、そこそこの性能のスキャナーが必要となる。

 ペン芯とペン先の左右のエラのバランスには問題無いにもかかわらず、ペン先の段差が出来ている。この場合は、ペン先の先端だけが曲がっているか、ペン芯の向かって左側が盛り上がっているかじゃ。今回は向かって左側のペン先をお辞儀させることにした。

 ただし単にお辞儀させるだけでは、スリットはさらに詰まってしまうので、いったんスリットを拡げてからお辞儀させることにした。

2007-12-12 04 ペン先を外した状態の表側。おぉ!良いなぁ・・・綺麗なエボ焼。インクを何種類か変えながら長い間使った雰囲気が残っている。

 この雰囲気を残したままにしておきたいのだが、エボ焼けはインクフローの大敵!泣く泣く金の曇りをぬぐった。金磨き布でゴシゴシやればすぐに汚れは落ちる。おまけに小さな傷も消えてピカピカになる。

2007-12-12 05 こちらは裏側。エボ焼けもあるが汚れもある。おそらくは前の使用者がインクを入れたままで、ほとんど清掃をしてなかったと思われる。

 こちらも金磨き布でゴシゴシやればすぐに綺麗になる。ただしエラの先端部分のエボ焼けは、多少強めに擦らないと落ちにくい。

2007-12-12 06 こちらがスリットを拡げ、ペン先を清掃してから首軸に取り付けた画像じゃ。物の見事に綺麗になっているのがわかろう。

 拙者はこの時代のシンプルな模様のNo.146のニブが大好きじゃ。刻印も深く書体もすっきり!ペンポイントからエラへ至る斜面も実に美しい。

2007-12-12 07 ペンポイント部分の拡大図を見ると、ごくわずかにスリットが開いている事がわかろう。この状態にするのは難しくないが、不安定な萬年筆をスキャナーのガラスの上に置いて、絶妙な角度でスリットを映し出すのには非常な根気がいる。この一枚だけで1.5時間かかった・・・二度とやらない・・

 一見簡単そうに見えて、実は難しいこともあるというのを身をもって体験した。これならマクロレンズによる撮影の方がはるかに楽だった・・・

2007-12-12 08 こちらが段差調整後の画像。前から見るとまるでスリットが詰まっているように見えるであろうが、実はごくわずかだけ開いている。これはスキャナーのように、下から強い光を当てないと良く見えないほどの巾になっているから。

 太字でインクドバドバが好きとか、細字でインクカスカスが好きとか、細字でインクがこんもり・・・という人の調整は非常に楽。しかし、【細字でインクフローは良いが、インクが滲まない程度で用途はメモ書き】というような調整は非常に疲れる。特に本人を前にしていない場合は【程度】の具合がわからないから。

 微妙な調整は長い付き合いのある人か、対面で調整できる時間がないと無理じゃ。ペンクリ調整は不可能と考えた方がよい。ペンクリはカウンセリングの時間であり、調整は別に集中してやらないとアマチュア調整は出来ない。【アマチュアに妥協はない】からな。

2007-12-12 09 こちらが横顔。調整前はあまりにエッジが立っていたので、全体に丸みを持たせた。依頼者は【ダメ出しの女王】に似た癖の持ち主で、実際には筆記に当たって絶対に使わない角度にペンを倒して書いてみて、一部にでもひっかかりがあると気になってしようがなくなってしまうタイプ。

 従って引っ掛かりを無くするために、縦横無尽に丸めてある。これは【素人調整の初期に陥る失敗】と紙一重の技。真似しない方がよい。調整は自分の使う角度±5°程度にしておくべき。使っているうちに筆記角度は変わっていくが、そうなったらまた調整すればよい。その為の調整講座じゃ。このBlogを読んだだけでは身につかない。自分の萬年筆を犠牲にして実験してみて初めて身につくというか、身にしみる。萬年筆なんぞ無限に生み出されてくる。たとえ10本つぶしてもしれているではないか! 諸君!Let's Try!  ただしVintageでの実験はやめてね!

2007-12-12 10 こちらはペンポイントの拡大画像。スキャナーのガラス面から離れているので、ピントはズレているが、それでも驚くほど焦点深度は深い。

 この調整方法では、Montblanc No.146の潜在能力は出せない。出すにはペンポイントにフラットな面を出してそこで書くようにすればよい。そうすれば【良い夢】が見られる。


今回執筆時間:5時間 】 画像準備2.5h 調整1.0h 執筆1.5h
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2007年12月11日

火曜日の質問コーナー【その10】

【万年筆評価の部屋】では毎週火曜日に、萬年筆専用の質問コーナーを設けている・・・

第10回目の今回は萬年筆全般に関する疑問にお答えしよう!


遠慮無く、どんどんお聞きくだされ!Comment欄の話の進み方と無関係でけっこうですぞ。

そして前回に引き続き、質問はMontblanc の1950年代に特化した質問

 自分の、他人のを問わず、あなたは以下の萬年筆のうち、どれを使ったことがありますか?

 今回は安価ライン。拙者のAnswerは回答欄に記載する。


それでは調査結果の発表! 10日午前7時現在の数値


Monte Rosa     7人
No.342        10人 <--- No.1
No.344         6人

No.252         9人 <--- No.2

No.254         9人 <--- No.2

No.256         5人
 No.262         1人
 No.264         5人
 No.232         -

 No.234 1/2     2人
 No.331         -
 No.332         -
 No.334 1/2     2人
 No.442         3人

 使ったことのあるのが一番多いのはNo.342じゃった。たしかにオークションでの出現率も非常に高い。安価だったので相当数が市場に出回っていたこともあろうが、そのバランスの良さが日本で評価されているのではないかな?

 No.256などと比べてクラックの発生率は低い。ペン先もふわふわに柔らかい。唯一の弱点はクリップの鍍金がはがれやすい事だが、地金の色もなかなか良い。Vintage Montblancの入口であり、さんざん放蕩を繰り返して最後にたどり着くのもNo.342かもしれない。拙者にとってはNo.342STでVintage Montblancの旅は終わるはずじゃ・・・どっかに無いかな?

 それにしても小型ラインの人気が高い。また〜は非常に脆い素材を使っている。それが数が残っていない原因であろう。特にには泣かされた・・・

  
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2007年12月10日

月曜日の調整報告 【 Sheaffer Imperial Silver 14K-F ペン先曲がり 】

2007-12-10 01 今回の依頼品はSheafferインペリアル・シルバー カートリッジ式。拙者がアメ横をさまよい始めた1984年ごろにはタッチダウン式も含めて、まだまだ数多く残っていた。ただしMやBというニブはほとんど無く、XFやFばっかりだった。当時の拙者は細字好きだったので、かなりの数を買ったが、ほとんどがペン先調整の生贄となった。

2007-12-10 02 今回の症状はペン先曲がり。上から見ると下側のペンポイント先端が、スリット上部ペンポイント先端より小さく見える。これは下側が上側よりも反りが少なくなった・・・いわゆる上下のズレが発生した事を意味する。

 反らせて柔らかさを出すニブの場合、あらかじめ寄りを強くしてある。というのは通常のまっすぐな金の薄板にスリットを入れて上に反らせば、先端部は開いて毛細管現象が働かなくなってしまう。それを防ぐ為に、反らせて柔らか差を出すニブの場合、曲率をきつくしたり、首軸に直接嵌め込むインレイド・ニブにして、多少の筆圧をかけてもスリットがすぐ戻るようにしているのじゃ。

2007-12-10 03 横顔を見ると、このペン先の不具合がよくわかる。ペン先スリットの左右とも反っている部分が、(おそらくは)落下によって下向きに曲げられ、しかも手前側が他方より、より大きくお辞儀している。

 こういう状態は日常的にルーペで確認していないとわからないものじゃ。拙者も日常使いのMontblanc No.1464の書き味が悪くなったなぁ・・・と思いながらも数日使い、たまたまルーペで覗いて曲がりに気付いた。曲がっているという認識が無いまま使っていると、改めてルーペで見るなんてことは、思いつきもしない。

2007-12-10 04 このインペリアル・シルバーには、かなり古いコンバーターがついている。当時のSheafferのコンバーターは中押式が主流だったが、これはボタンフィラー式のコンバーター!壊して中を見た事はないが、ボタンを押すとバネ板が内側に曲がり、中のゴムサックが押されて空気が出る。ボタンを放せばインクが吸入されるという仕組みじゃ。

2007-12-10 05 首軸から外してみると、右側は当時の中押式コンバーターと同じ。ただし吸入量はほんの気持ち程度。多量のインクを保持する目的なら、Sheafferの場合はカートリッジを使った方がよい。Sheafferのカートリッジはインク量が多いので有名!

2007-12-10 06 猫背になってしまったニブを直すのは簡単。プラスティック製の30冂蟲の上にペン先を左手で押しつけたまま、右手に持ったツボ押し棒で曲がった部分をしごく。(拙者は左利きなので持ち手を説明とは逆にする)そうすると左画像のように、曲がっていたのが嘘のように真っ直ぐになる。

 ただし曲がっていたときの名残は残る。これを消すには表面をサンドペーパーで磨き、金磨き布で擦れば、新品同様のペン先がよみがえる。

2007-12-10 07 上記のペンポイント付近だけ拡大したのが左画像。スリット巾も微妙に拡げてインクフローを良くしてある。SheafferのXF(極細)は針のようで、非常に書き味が悪い。そこでインクフローを多くして筆記時の筆圧を下げ、それによって書き味の悪さを解消するわけじゃ。XFではペンポイントの調整の余地は大きくない。ましてや使い込んだペンポイントの調整はリスクが高い。インクフロー向上でカバーする方がはるかに効果が大きい。

2007-12-10 08 こちらが処置を施した後のペン先。酷いお辞儀をしていたとは考えられないじゃろう?

 前の形状からこの状態にするのに、ツボ押し棒で20秒、サンドペーパーと金磨き布で5分くらい。あとはペンポイントの仕上げに1時間強かかった。

2007-12-10 09 他の人が使っていた萬年筆を別の人が使う際には、どうしても多少の筆記角度に合わせた調整は必要となる。そして筆記角度が書き出し角度とピッタリ一致したとき、Sheafferの反ったペン先は絶妙の書き味を提供してくれる。Sheaffer好きにはこの感触がたまらないのじゃ。

 しかし、Sheafferの真髄は太字ニブ!最近入手出来る太字の中では、Pelikan3BSheafferBPilotCが群を抜いている。ぜひお試しあれ。



今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.5h 調整1.5h 執筆1.5h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
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調整とはペンポイントの調整をしている時間
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2007年12月09日

Lapita付録【ALWAYS】の評価

2007-12-09 01 今回は既に数多くのBlogで取り上げられている【三丁目の夕日】を意識した色合いの萬年筆、ラピタ(Lapita)付録ALWAYS】の評価じゃ。Pelikanのカタログは一回休み。

 敢えて発表を遅らせたのは・・・前の2本と比べて、まったく作りが違うから。十分な検証をしてから報告しないと【万年筆評価の部屋】とは言えんからな。

 上から【ALWAYS】【Pelikan M320】【】じゃ。【ミニ檸】は【】とほとんど同じなので省略する。

 キャップを閉じた時の長さは、【ALWAYS】と【Pelikan M320】がほとんど同じで、【】が若干長い。

2007-12-09 02 キャップを後ろに挿した時の長さではPelikan M320】が【】より長くなる。いずれにせよ、【ALWAYS】は小振りな万年筆じゃ。

 軸の太さも、【ALWAYS】は【】より細い。前者が胴軸の一番太い部分が1であるのに対して、後者では1.1。10%も違う。


次に重量比較;

     全体:26.3g  キャップ:13.0g  胴軸:13.3g (首軸:4.5g)
ALWAYS          全体:18.8g  キャップ: 9.6g  胴軸: 9.2g (首軸:3.9g)
Pelikan M320   全体:10.7g  キャップ: 4.3g  胴軸: 6.4g


 となっている。ALWAYS】と【】はまったく設計自体が違うことがわかろう。金属軸厚を薄くすることによって、本格的なミニ万年筆の世界にどこまで近づけるか挑戦しているかのようじゃ。出来は良いのだが、非常に乱暴に運搬される書籍の中に入れる事を考えるとリスクも高い。

 かなり万年筆を知っている人が設計したのは間違いないが、机上の設計の域を出ていない。なぜ【ミニ檸】や【】が軽快さを犠牲にしてまで重い軸を作ったのか?それは物流時における変形のリスクを減らすためじゃ(たぶん)。すなわち【ミニ檸】や【】の設計者は物流まで考えた上で軸を設計したのに対して、ALWAYS】の設計者は万年筆としての性能とデザインを中心に設計したのであろう。

 【ALWAYS】を指で強く挟んでみると潰れるはずじゃ。どなたか実験してみていただけるとありがたい。拙者は寸止めにしているが・・・
 

2007-12-09 03 ペン先は先端がやや詰まっているが、なかなか良い出来じゃ。PelikanのM800にたとえるとするならば、【ALWAYS】は【p.f】マーク入りのペン先と同じでシェイプアップされた形状。それに対して【ミニ檸】や【】は現行のM800用ニブのごとくポッチャリとした形状。いわゆるプチ・メタボのペン先じゃ。

 ペン先はプレス機でドン!と型取りしているはずだが、【ALWAYS】のペン先はサイドの凸凹が少ない。金鍍金の精度はそれほど変わっていない。

2007-12-09 04 万年筆愛好家にとっての秘策であった、Monteverdeのコンバーターが使える点については大きく後退している。左は【】の例。ピストンをめいっぱい伸ばしたのが上。この状態で胴体を首軸にねじ込み、次に胴体をねじって外した状態が下。要するにめいっぱい伸ばしたコンバーターがどれほど胴体を締めることによって押し込まれるかを調べた実験じゃ。ほんの1伉度しか違わないことがわかる。

2007-12-09 05 同じ事をALWAYS】でやってみたのが左の画像。60%以上押し戻されている。すなわちMonteverdeのコンバーターは使えなくはないが、インクはほとんど入らないということになる。この点は萬年筆ヲタクにとっては物足りないであろう。カートリッジで使う人にとっては問題にはならない事項じゃが・・・・

2007-12-09 06 いずれにせよ、まず未調整で書いてみた。【】の経験からすぐにインクが切れるだろう・・・と思っていたが、いつまでたってもインクが切れない。原稿用紙1枚ほど書いて、疲れてやめたが、一度たりともインクが切れなかった。スリットが詰まっていてもインクフローは悪くなく、良い感じで書ける。紙当たりはざらついてはいるが、未調整なのでそれは仕方ない。

2007-12-09 07 多少スリットを拡げてペンポイントも研いでみた。金磨き布でペンポイントに対して8の字旋回をすると、ペンポイントの金鍍金が剥がれて銀色に輝く合金が表れる。顕微鏡で確認したが、1920年代ころの米国製ペンポイントや、20年前のデュポンのペンポイントよりも表面がはるかに滑らか。これが高価な白金属のイリジウムを使っているのかどうかが気になる。戦前のパイロット万年筆に使われたパイロスミンのような合金かも知れない・・・・

2007-12-09 08 上が】のペン先で、下が【ALWAYS】。メタボとシェイプアップの差がわかるかな?らすとるむしゃんも、【ALWAYSのニブはMontblanc No.149のように美しい!】と絶賛しておったが、まさにそのとおり。

 実は、【ALWAYS】はペン先とペン芯を揃えて首軸に差し込む際、位置が決められている。ズレているとうまく押し込めないようになっている。それを実現するためにペン先にも微妙なカーブが付いている。これがある事によって、ペン先がズレる確率が下がる。


2007-12-09 09 今度はペン芯の比較。ALWAYS】のペン芯は一番下でインク誘導液に浸して乾燥させた。一番上は【】のペン芯でインク誘導液に通す前、真ん中はインク誘導液に浸して乾燥させた後。

 【】のペン芯はインク誘導液に浸した後でもしっとりとしていないが、ALWAYS】のペン芯はしっとりとしてインクになじみやすい。またペン芯の設計自体もALWAYS】の方がはるかに優れている。空気吸入用の溝、ペン芯上部の空気の通り道の確保状態など、【】とはレベルが違うペン芯じゃ。10年ほど前には、海外製の1万円以下の万年筆で、これ以下のペン芯のものなどざらにあった。

 結論から言えば、日常使いの万年筆として考えればALWAYS】は優秀!ペン先を首軸に差し込む位置も決まっているので調整の実験にも最適!

 目に付く限り買いまくれ!買って損はない。

 しかし拙者にとってはまったく魅力のない万年筆じゃ。拙者はミニ万年筆の究極の姿はプラチナ・グラマーだと考えている。形状、太さ、重さが奇抜(醜悪)であるにも関わらず、何故かかわいらしい!というのが好きじゃ。書き味はどうでも良い。

 【ALWAYS】は突出した点がない平凡な安物万年筆というのが拙者の評価。ただしおもちゃにしては良くできている。書き味も良い・・・万年筆の機能としては申し分ない。

 【ミニ檸】に【ALWAYS】のペン芯とペン先が付けば最強だったのにな・・・

 万年筆初心者には【万年筆って良いじゃない!】と思っていただける逸品じゃ! 

 ただしマニアには平凡すぎてなぁ・・・ 一本でごちそうさま・・・です。

  
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2007年12月06日

解説【萬年筆と科學】 その58

他山の石について語った その58

 この章が書かれたのは1935年6月14日。Waterman社が創立してから51年目にあたる。

 渡部氏は考えた・・・世間には50年はおろか、数年で潰れてしまう会社・商店は少なくない。あの店の主人は商策に秀でているとか、あの番頭は商才に長けているとかいっても、それらは小手先の問題であって、小乗的な事に過ぎない。もっと根本的なものがなければ50年の事業は継続できない。Waterman社には、その根本的な精神というものがあるに違いない!

 そこで、それを探るべくWaterman社に関して、いろいろ調べていたようじゃ。過去に出てくるWaterman社に関する記述を見ても、ParkerやSheafferに対する表現とは、趣を異にしている。ParkerSheafferに対しては近所の腕白仲間(ライバル)、Waterman社に対しては自分の父親に対して持ちやすい【憧れと秘めたライバル心】を表現している。

 ある日、渡部氏が古い【ペン・プロフィット】というWaterman社の雑誌を読んでいて膝を打った。そこには1925年1月12日に、当時のWaterman社の社長だったエフ・デー・ウォーターマン氏が営業会議(おそらくは年初のKick-Off Meeting)でなした演説(スピーチ)が掲載されていた。それを読んで渡部氏は痛く共感したのじゃ。

 その内容に共感すると同時に、それがパイロットでいつも言っている事と同一であったことで、非常に愉快に感じたそうじゃ。【物の真髄はというものは、洋の東西、人種の如何を問わず、古今を通じて共通不変のものであることを今更のように感得いたした】と書かれている。

 さらには【まるで和田前専務当時のパイロットは専務制なので、専務が今で言う社長の事の演説でも筆記しているような気がしてなりません】と追記してある。

 エフ・デー・ウォーターマン氏のスピーチに集まったのは、米国太平洋岸地方、カナダ地方、テキサス地方、ニューイングランド地方、その他主たる地域から総勢64名とか。全社員が来たわけではなく、それぞれの営業所の代表だけであろう。

 現在の日本で発生している問題とも絡むので、多少長めに引用してみよう。表現は現代風にアレンジする。

 【私がありのままの気持ちで、なんのお世辞もなく言えることは、諸君が一人残らず真に信頼に値する方々であるということです。私どもの集団には、故意に顧信頼を裏切る者は一人もいないというのが、私の誇りです。】

 【私どもは、その場限りの虚言を並べて多くの注文をもらうよりも、たとえ注文は取り逃がしても正直な商人でなければなりません。これは当社伝統の営業精神なのです。】

 【この営業精神は、私が未だ年少で、市内の注文取りをしていた頃に、創業者である父のエル・イー・ウォーターマンから口癖のように言われたことです。現在はもちろん、社業のあらん限り、いつまでも変わることなど無いのです。】

 【嘘で注文を取るくらいなら、いっそ注文など取らぬ方がましです。嘘も方便とか申しますが、当社においては決して使ってはならない言葉です。】

 【近年、いたずらに誇大な宣伝をする製造業( Parker ? )が大変多くなっており、製作の実情に疎く、品質の鑑別に暗い商人が、ともするとこの誇大宣伝に引きずられて酷い商品を仕入れがちになっています。こういう会社のセールスマンが歓迎されるのは初回だけのことで、二度目からは相手にされないでしょう。


 【販売店の利益は、我が社にとっても利益であるということを、いつも忘れてはなりません。販売店が立ちゆかぬ時は、必ず我が社も立ちゆかぬものです。従って諸君は、どこまでも販売店第一主義で進んでください】

 という内容じゃ。これは実はPilotの方針とは多少違う。Pilotでは販売店が満足し、購入した人が満足し、Pilotが満足するというのがベストと考えていた。Waterman社には最終顧客の視点が書かれていないが、それは製品品質ということで代表されているのであろう。

 製造者、販売者、顧客というこの三者がいてこそ、製造者責任が果たされるのかも知れない。昨今の偽装問題を見ると、製造と販売を同時に行っている会社が多い。この場合、製造日を偽造するということが出来る。

 製造、販売が別会社であれば、理論上改竄のしようがない。販売する人が作るから改竄が容易に出来てしまう。そして、そういう企業は社業を長らえる事は出来ない・・・

 やはり【正直は最善の戦略なり】じゃな。



過去の【萬年筆と科學】に関する解説

解説【萬年筆と科學】 その56 
解説【萬年筆と科學】 その54−3 
解説【萬年筆と科學】 その54−2 
解説【萬年筆と科學】 その54−1 
解説【萬年筆と科學】 その48 
解説【萬年筆と科學】 その47  
解説【萬年筆と科學】 その45
 
解説【萬年筆と科學】 その44 
解説【萬年筆と科學】 その43 
解説【萬年筆と科學】 その42 
解説【萬年筆と科學】 その41 
解説【萬年筆と科學】 その40 
解説【萬年筆と科學】 その36 
解説【萬年筆と科學】 その35
解説【萬年筆と科學】 その34 
解説【萬年筆と科學】 その33  
解説【萬年筆と科學】 その32 
解説【萬年筆と科學】 その31 
解説【萬年筆と科學】 その30 
解説【萬年筆と科學】 その29 
解説【萬年筆と科學】 その23 
解説【萬年筆と科學】 その22   
解説【萬年筆と科學】 その21 
解説【萬年筆と科學】 その20 
解説【萬年筆と科學】 その19 
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解説【萬年筆と科學】 その4
解説【萬年筆と科學】 その3
解説【萬年筆と科學】 その2
解説【萬年筆と科學】 その1  

  
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