2012年09月07日

金曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.144 ペン先交換 】

12今回の生贄は2本のMontblanc No.144。もちろんテレスコープ吸入式の1950年代もの。1950年代のNo.14Xの中では拙者がもっとも好きなブツじゃ。
No.149やNo.146など胴体の径が太い物、そして胴体の径に対する胴軸の厚さが相対的に低い物は、物理的な変形が大きく、残念な状態の物が多い。
はっきりいえば、修理しようとして不用意に首軸を捻るとポロっと生首状態になりがち。

それと比較すればNo.144やNo.142は極めて丈夫で、生首は経験したことがない。今回の依頼は、吸入機構が生きている個体に、別の壊れた個体からペン先を移植するというもの。

左上画像でいえば、上側の長いインク窓のモデルについているペン先を短いインク窓のモデルに移植・・・ということ。
長いインク窓のモデルに短いインク窓のモデルから内部機構を移植し、さらに短いインク窓のモデルについているクーゲル・ニブを長いインク窓のモデルに移植した方が(物語としては)面白いと思うのだが・・・

35上が長いインク窓の拡大図で、下が普通のインク窓。長い方が緑色で美しく、模様もくっきりとしているのだが、内部機構がさび付いて容易には動かない状態になっている。
直るような気もするので、今回のペン先交換が終了したらトライしてみよう。
ペン先とペン芯は、長いインク窓のモデルは直接首軸に突っ込むタイプで、短いインク窓のモデルではソケットを首軸にねじ込むタイプ。
すなわち長いインク窓のモデルの方が古い設計ということになろう。

46長いインク窓についているペン先は上でItalicに近いBニブ、そして下側はクーゲルのOBであろう。見事に鶏のトサカのように盛り上がっている。
クーゲルの書き味が通常のニブと違うのは理解しているのだが、なぜクーゲル・オブリークのペン先が必要だったのかは今もって理解出来ない。
左手首を巻き込んで書く人がクーゲルの書き味を望んだとしか思えないのだが・・・
今までに使ったクーゲル・ニブでええなぁ・・・と思えたのは自分で調整したKMだけ。あとはもっさりとした感触がいまいち好きになれなかった。
厳しい競争に揉まれたの切れのある東京の蕎麦と、田舎のおばあさんが競争に揉まれることなく自宅用に何十年も同じ製法で作り続けている蕎麦を比べるような感覚。
もちろん後者がクーゲル。ほのぼのとした書き味ではあるがキレが無い。そのあたりが、依頼人がペン先交換したい一番の理由かもしれない。

7こちらは長いインク窓のモデルからはずしたペン先をピカピカに磨いたもの。プラチナ鍍金はほとんど剥がれていたので、思い切って金一色に近い状態に磨いて斑をとった。
この方が豪華に見えて瀬者の好み。そもそも胴体に銀色が無い萬年筆のペン先をバイカラーにするのは大嫌い。'50のNo.149はキャップリングに銀色部分があるから許せるが。
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2012年09月05日

水曜日の調整報告 【 Pelikan M30 Rolled Gold 青軸 14C-M 書き味改善 】

1今回の生贄はPelikan M30。ずーっとPelikan M30 というモデル名だと思っていたが、キャップには Pelikan  30  Rolled Gold  Germany との刻印がある。
ただし過去に紹介した日本のカタログによれば Pelikan M30 となっているので、とりあえず Pelikan M30 としておく。
現在旅先なのでPelikan Book を確認することが出来ないので独逸でどう呼ばれていたのかは不明。

古い萬年筆だがほとんど未使用。以前の九州大会で生贄として大量に預かったPelikan 萬年筆の一部。機構の点検と書き味を少し改善して欲しいという簡単な要望だったが、過去にこのモデルを何度か修理失敗しているので先送りしていた。
1960年代のMontblanc 2桁番台と、PelikanのM30、M60、M100は出来れば触りたくない機種じゃ。なんせ樹脂が脆い。

23こちらがペン先の形状。何かに似ているなぁ~とずっと気になっていたのだが、Parker 45 に似てるんだ! たった今、気づいた。
当時のPelikanはトップブランドの位置にはおらず、常にParkerの影響を受けていたと思われる。PelikanのP1はParker 51の真似だったしな。
ただ、いずれもが回転吸入式にこだわっていたのがPelikanらしくて好きだが、M30の時代にはカートリッジが主流だったので、世間的には時代遅れとの評価だったかもしれない。もっとも、日本での外国製カートリッジ入手は今ほど簡単ではなかったので、少なくとも日本では回転吸入式の方が正解であったろう。

ペン先はガチガチに詰まっており、書き出しで筆圧をかけないとインクが出てこない。ボールペン世代が台頭し、その筆圧を支えるためにガチガチに堅いペン先を作らざるを得なかったのかもしれないが、これでは萬年筆愛好家の筆圧では使えない。(圧っちゃん以外には・・・)

45こちらは横顔。驚くことにペンポイントは丸研ぎではなく、かなり平べったく研がれている。この研ぎでは英語圏で商売するには難しいのではないかなぁ。ウムラウトやほにゃら?が数多く出てくる言語や、漢字圏では重宝されようが、殴り書きするような英語圏、特に米国では丸研ぎの方が当時から人気があったのではないかな?
現在のPelikanはついに丸研ぎに変えたし、MontblancもMは完璧な丸研ぎ。従って萬年筆愛好家の間では、Italicにペン先を研いでくれる調整師が人気らしい。先日のワシントンのペンショーでも何人か出ていたと聞いた。

6ペン先はペン芯ごとゴム板で挟んで前から引っ張れば簡単に抜ける。ペン先の内部には Pelikan M 14C-585 という刻印がある。
よく見ると、Pelikan 14C-585は綺麗な刻印で、Mというペンポイントの太さを表す刻印は後で打たれたらしく、位置もいいかげんだし、少し傾いている。
ひょっとすると、手作業で入れたのかもしれない・・・。このあたりの真実がわかるとおもしろいのだがな。

まるで、Pilotのエラボーのペン先のような複雑な形状をしている。それに合わせてペン芯も複雑な形状になっている。なぜこういう形状になっているかも不思議だが、ひとついえるのは、これが曲がっていないペン先だったら、首軸からペン先だけがするりと抜け落ちる事故が多発したかもしれない。
この形状ならペン芯に引っかかってペン先単体が抜け落ちることはない。ただそれだけの理由で複雑な形状を製造部門が受け入れたのだろうか?
日本なら工場部門が平気で設計部門の意向を却下するのは、どの会社でもあることだが、欧米では本社の意向は絶対なのかも?実は、現場を知らない設計者が不細工な構造を押しつけることが会社を誤らせる原因の一つでもあるのだが・・・

7こちらが、そのペン芯。上がペン先が乗っている方で、下がペン芯の裏側。インクはペン芯の下側の溝を通って途中まで送られ、その後上に回り、今度は上の溝を伝ってペン先のスリットにインクを供給する構造になっているようだ。
これは現在のPelikan M400などの回転吸入式のペン芯とはまったく違う構造となっている。ペン芯の銅軸側が極端に細いのは、カートリッジ式萬年筆の特徴。
当時のカタログを見るとPelikan M30は回転吸入式、Pelikan P30はカートリッジ式となっている。先端部を共有して、吸入機構だけを別にしたモデルを作っていたのじゃ。
日本でどちらが流行したかはあきらかだが、海外ではどうだったのだろう?たとえ米国といえども、最初はヨーロッパ型のカートリッジは入手しづらかったのではないかな?
ちなみに、ペン芯の裏にある大き凹は空気穴。筆記時にはここから入った空気がペン芯内部の空洞を通じてインクタンク、あるいは、カートリッジ内に空気を送り込み、その分だけインクを送り出す構造。
インクを吸入する際には、どのメーカーもインクを空気穴からドバっと吸いあげるとN御大から以前にうかがった。たしかに毛細管経由でインクを吸入していたら頭の血管がブチ切れるほど時間がかかるだろう。
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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年09月03日

月曜日の調整報告 【 1970年代 Montblanc No.146 18C-M なんじゃこりゃぁ? 】

@01今回の依頼品は1970年代のMontblanc No.146。依頼人によると、尻軸からのインク漏れやペン先がメチャクチャに傷ついていること、さらには握っていると指がインクで汚れるとのこと。
この手は、国内オークションで素人から入手したケースが多い。真の萬年筆愛好家ならこんな個体をオークションに出したりはしない。
またプロの古物商もまずは相手にしない。こんなもの売ったら信用問題になる。
危ないのは素人の似非万年筆好き。グレシャムの法則【悪貨は良貨を駆逐する】というべきか、万年筆ババ抜きというべきか、不具合のある萬年筆ほど(以前ほどではないが)国内オークションに何度も登場することが多い。まだまだ日本はオークション民度が低いのかもしれない。

23左画像が問題のペン先。落としてひん曲がったペン先を自分で直そうとしてペンチでつまんでいじった痕がある。14金や18金のペン先はスチールよりもはるかに柔らかいので、ペンチがペン先に触れた瞬間に傷が付く。いわんや挟んだらアウト!
我々が精密ヤットコで挟んで修理する場合は、作業後、ペン先に付いた傷を耐水ペーパーで削り、金磨き布で擦って傷を消してからお返ししている。
しかし、このようにペンポイントの根本にまで傷を付けられては傷を完全に消すのは困難!やり過ぎるとペンポイントがポロっと逝ってしまう。
間違ってペン先を曲げた場合は、自分で修理しようとせず、メーカーに修理依頼するか、萬年筆研究会【WAGNER】へ持ち込まれたし。

45こちらは横顔。左画像でわかるとおり、首軸先端部にクラックが入っている。ここからインクがにじみ出て、指を汚しているのじゃ。これは修理不能!
この現象はラッパ型の首軸先端部になってから解消された。古い形状のモデルへの憧れはあろうが、古い物ほど劣化が激しいのも事実。
そして何より完璧な品を安価でオークションに出すケースは稀だということは理解しておく必要がある。

またペン先が曲がっているため、ペン先とペン芯とがずいぶんと離れている。この状態ではインク切れが激しく満足な筆記は出来ない。
もっともペン先ならなんとかなる。食う日軸先端部のクラックはいかんともしがたいので、首軸先端部を持たないで筆記するようにした方が良い。
一応は内部にワセリンを付けてしばらくはインクが漏れないようにはしておくが、萬年筆を洗浄するまでの間しか効果がない。超音波洗浄機にかけたら一瞬でその応急措置の効果も終了する。

6こちらが清掃前と清掃後のピストン機構。それにしてもずいぶんと汚れていた。インクがピストン弁を通り越して後ろにまわり、金属部分を汚していた。一部は酸で侵されている。
インクが後ろにまわった原因はピストン弁と胴軸内壁の摩擦によって弁の一部が劣化し、めくれ上がったところでインクの粒子がかたまり、その後の無理なピストンの上下によって弁がさらに傷つき、劣化した隙間からインクが後ろに回ったのだ。
スペアの弁が無い限り完全修復は出来ないが、サービスセンターに出せば、胴軸ごと交換され数万円を請求される?という懸念があり、ババ抜きが行われるのだろう。
たしかに弁交換しなければ完璧な修理は出来ない。が、弁の表面を滑らかに削って、シリコングリースを塗っておくだけでも当分はインクが後ろに回ることはない。
回ったらまた萬年筆研究会【WAGNER】に持ち込めば良い。すぐに洗浄してくれる人は何人もいる。
昨日の萬年筆研究会【WAGNER】定例会では、参加者は40人程度だったが、認定調整師が4人、調整師補が1人、裏調整師が1人いた。
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Posted by pelikan_1931 at 09:00Comments(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年08月31日

金曜日の調整報告 【 Pelikan 1931のペン先を Pelikan 100のペン先と交換 】

1今回の依頼品はPelikan 1931。そう拙者のハンドルネームの由来となった万年筆じゃ・・・というのはウソ。拙者のハンドルネームは勘違いから決まった。
資料を調べないで決めたので、Pelikanが初めて萬年筆を作った年を1931年と間違えてつけた。
その後、1929年だったと判明したが、いまさら変えるわけにもいかない・・・という時に、そうだPelikan 1931があるではないか、それを由来ということにしよう!となったというのが真相!

ということで、それほど Pelikan 1931には思い入れがない。初めて購入した時は定価16万円の4割引で9.6万円だった。その後も1本入手しているが、それは初期のペントレで物々交換によって入手。
当時はまだ、このPelikan 1931の魅力に気付いていなかった。

ベースは1930年代のPelikan 100の派生モデルであり、大きさも機構もかなり忠実に再現されている。尻軸はエボナイトで出来ているので紫外線で変色し、それがまた良い風合いを出している。

2Pelikan 1931の特徴として、キャップを締めた状態では非常にコンパクトだが、キャップを後ろに挿すと長くなる。
これは尻軸の一部にしかキャップがささらないからで、後のハッパフミフミ万年筆などと同じ設計思想。
このPelikan 1931が唯一失敗したのが、首軸先端部の径が広すぎること。この径が、キャップの内径とほとんど変わらない個体が多かった。
従ってキャップを締め、キャップを緩めてから強く引っぱると、インクが水鉄砲の原理で吸い出されて、キャップ内がインクでびちょびちょになった。
これを直すには、首軸先端部を耐水ペーパーで擦って空気の通りを良くすること。ただ、こうするとせっかくの美しい造型が台無しになるので、拙者はインクを入れないで保存している。
この個体にも処置が施されているが、これは拙者がやったものじゃ。これを知らないひとの多くは、使う度に漏れるインクに四苦八苦していることだろう。
もちろん、大丈夫な個体もあるとは聞いたが、拙者が見たのは全て不具合があった。
もっとも拙者のところへ持ち込まれるのは、ほとんどが不具合が有るもの。医師が【うちに来る患者は全て病気持ちだから、日本人は全て病気持ちだ】というのと同じ判断はするつもりはない・・・

3こちらは吸入機構。これは胴軸に逆ネジでねじ込まれている。従って左にまわせば外すことが出来る。ただし、ヒートガンで金属部分を暖めてからでないと外れないケースも多いので要注意。また一番上の画像にツーショットで乗っているPelikan 101N復刻は、この部分が弱い樹脂製なので、回すと内部でペキっと折れる確率が高いのでやらないようにな。

41930年代のPelikan 100と同じように、Pelikan 1931も左のように完全分解できる。
この後の緑軸、青軸はセルロイドの痩せで軸がボコボコになるという不具合が出たが、この18金無垢モデルと、ロールドゴールドのモデルは軸トラブルは皆無!

やはり長期間楽しむには金属軸が最適かもしれないな。もっとも落とすとすぐに凹むので、無傷の軸でないと我慢ならない拙者のような人間には、金属軸は眺めるだけの存在でしかないが。

5今回の依頼は書家の方からいただいた。筆と同じように立てて書くので、オリジナルのニブでは硬くて話にならない。そこでPelikan 100に付いていたニブと交換してほしいというもの。
上が修理清掃前の状態。全体的に小さな傷だらけだし、ハート穴から先がうねっていて、先端部だけが辻褄があっている状態。

まずは、ペン先の左右のカーブを揃える必要がある。ここで活躍するのがボーグルーペとANEXの135ミリの通常ヤットコ。コレは先端部が小さくて非常に作業しやすい。
もちろん捻くりまわすので、掴んだところには小さな傷が付く。それに関しては、後で耐水ペーパーと金磨き布で擦れば綺麗に落ちる。
その状態が下側画像。良く見ると先端部のカーブもやや鋭角になっているのがわかるかな?より柔らかさを強調するために、ニブを少し薄くすると同時に、先端部を鋭角に加工した。

6まずは、この状態で本体にペン先をネジ込み、ここから書き味調整をしていく。それにしても美しい姿じゃ。何故Pelikanが金無垢モデルをシリーズ第一弾に持ってきたかが良くわかる。
これでペン先が柔らかかったらいうことはなかったのだが、単に18金になっただけで、この世の物とは思えないほど硬いペン先だったのが、このシリーズがすぐに終わってしまった理由?
その反省を生かしてか、Pelikan 101N復刻版には通常より柔らかいペン先が付いている。
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Posted by pelikan_1931 at 10:00Comments(5) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年08月29日

水曜日の調整報告 【 現行のMontblanc No.149 18K-M でも重要なのは・・ 】

1今回の金沢大会では、数多くの生贄をお預かりしたのだが、とりわけこいつには狂喜乱舞した。左下欄の【過去30日間の人気記事(アクセス数の多い順)】で、最も人気の高い投稿である
筆記具関連四方山話 【 Montblanc No.149 18K-EF 伊東屋スペシャル? 】に必要な検証用萬年筆なのじゃ。
提供して下さった Katchanさん、ありがとうございます。毎日、このBlogの記事を隅々まで何度も読んで頂いていないとわからないはずの拙者のニーズを察知されていたとは!
Katchanさんのメールアドレスがhotmailのため、拙者の入っているプロバイダーからはメールが送れませんので、こちらもhotmailからメッセージを送らせていただきました。届いているでしょうか?
いずれにせよ、会員登録はさせていただきました。

ブツは、現行品のMontblanc No.149  18K-M。なんてったって、ペン芯の形状がデュマと同じか?ヘミングウェイの頃よりペン芯の径が太いのかを知りたかった。

2ぺん先は金銀金の塗り分けで、コストカット穴あり、切れ込みありで、一見するとヘミングウェイ用と同じに見えるが・・・
ヘミングウェイ用ペン先はエラ張りで、こいつはエラ普通なのかもしれない。画像だけでは判断がつかない。

3こいつについていたのは、このペン芯!おお、デュマと同じく、根本が細くなっている。
また径もヘミングウェイ用よりも若干太い。このペン芯を1980年代のNo.149の首軸に差し込もうとしても無理!ワクワクしてきたぞ!

4こちらは上から1980年代のエボナイト製ペン芯、その時代の萬年筆を修理に出すと取り替えられてくるペン芯、そして一番下が今回のペン芯じゃ。
いままで気付かなかったが長さが違う。どうやらソケットの最深部が少し狭くなっていてそこまでペン芯を押し込む形状になっている。
これはおそらく、Montblanc最大の弱点と言われたインク漏れ対策であろう。フルハルターのHPによると、ペン芯が新型になってから飛行機に乗ってもインク漏れを経験したことが無いとか。

6ではと、ソケットを比べて見ると、現行のソケットの方がかなり長い。またソケットの内径は旧型が7.3ミリであるのに対して、新型は7.5ミリと0.2ミリほど太くなっている。
ペン芯の外側をノギスで計測するのは非常に難しいのだが、ソケットの内径であれば簡単に計測できる。ちなみに旧型はエボナイト製で新型はプラスティック製。

5新旧のペン芯の裏表は左画像のようになっている。ヘミングウェイ互換ペン芯とデュマペン芯とでは、途中までの設計も微妙に違うが、理由は分からない。
ただ、この新型ペン芯(デュマ型)が付いたNo.149は非常にインクフローが良い。
旧型ペン芯ならもう少しスリットを拡げたいなぁ・・・という場合でもインクは問題なくドクドクと出てくる。これで本当にインク漏れが無いなら最高じゃな。
いままでデュマ型ペン芯を半端物扱いしていたが、性能的には数段進化していると思われるが、美的には日光の手前(今市)!
性能が良くなるにつれて個性もなっていく気がする。やはり長澤まさみよりは野川由美子の方が魅力的かな?

調整前のペン先の問題は、筆記感の問題だけ。段差があるわけでもなく、引っ掛かりが大きいわけでもない。ただ、大きな球の一点で書かせるような丸研ぎなので、書いていてガサツな筆記感なのじゃ。

そこで・・・・  続きを読む
Posted by pelikan_1931 at 10:00Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年08月24日

金曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc 146G 14C-OB コルク交換の新方式 】

1今回の依頼品はMontblancのNo.146G。もちろん1950年代の逸品!厚いペン芯なので、1950年代後半の物だ。ホワイトスターは象牙のようにやや茶色を帯び、見た感じよりもかなり重く感じる。これは内部のテレスコープ吸入機構が金属製であることに起因する。
この時代のNo.146では、インク窓の縞がほとんど消えかかっているものがほとんどだが、今回の依頼品に関してはしっかりと縞模様が残っている。
依頼理由はコルク交換と書き味調整。拙者がコルク交換を受ける場合は、必ず首軸が胴軸から分離できることを確認してからにしている。
ここが分離できないと修理不可能なのだが、往々にして首軸を接着剤で接着しているケースがある!この場合、力ずくで捻るとインク窓の部分で胴がネジ切れてしまう。
そうならないことを確認してから修理を受けている。過去になんども痛い目にあっているのでな。

23今回のペン先は角の立ったオブリーク。インクフローは良いのでこのままでも筆記できるが、少しでもペンが右に倒れるとガリガリと紙に引っ掛かってしまう。
依頼人は筆記角度が左倒しから右倒しに移行する途中だと思われるので、少しは右に倒す事もある前提で調整しておこう。
またこの状態だと、ペン先先端部がキャップ内の先端部に衝突する危険があるので、正確にキャップ内の長さを計測してからペン先を首軸から出す量を決定することにした。

45こちらは横顔。かなりお辞儀している上、ペンポイント先端部が非常に薄く研がれている。これはItalic調の文字を書けるようにする目的で調整されている。
日本人ではなく、外国人研ぎ師の作業であろう。調整は綺麗ではないが非常にシャープな研ぎをするのが外国人研ぎ師の特徴。書き味よりも形状に重点を置いた調整じゃ。
Italicに向いた研ぎにしたので、あとは工夫して使いこなすように・・・とでも語りかけているようじゃ。

6こちらが調整前のペン先単体画像。プラチナ鍍金部分が多いので綺麗には見えないが、細部に至るまで手抜きが無く、美しいことこの上ないペン先じゃ。
胴軸側先端部の凸はなんの為なのだろう?コストカット用に凹にすることはあっても凸にする必然性は・・・?あらたな疑問が浮かんだな!

まずは、コルクを取り付けなければならないのだが・・・・
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2012年08月22日

水曜日の調整報告 【 1980年代前半 Montblanc No.146 14C-F ジャンクからの復活! 】

12今回は通常の調整報告とは少し順番を変えた実験をしてみる。
左はジャンク扱いでやってきた1980年代前半のNo.146で14C-Fニブ付き。実は尻軸が回らず一次は部品かなぁ〜とガッカリしていたのだが、アスコルビン酸を熱湯に溶かした溶液に浸けて5分ほど激しく撹拌し、その後も何度か尻軸を熱湯に浸けたり、ヒートガンで炙ったりしたところ、何とか尻軸がまわった。
この行為をする場合は、無理は禁物。力いっぱいまわすと尻軸から内側に伸びた螺旋軸がネジ切れてしまう。【少しやっては炙り、少しやってはお湯に浸け・・・を根気よく続けていれば、いつかピョコっと捻れる時が来る、それまで待つんですよ】とは、その昔、修理の達人からうかがったアドバイスである。最近はようやくその境地になった。

それにしても酷いというか、すばらしいというか、見事なまでのエボ焼け。空気と触れる部分のみが綺麗に焼けている。反対にペン先裏側がほとんど焼けていない。これは常にペン先の裏が空気に触れない状態にあった事を意味しているのだろうが、どうやったらそうなるのかは想像もつかない! ペン芯と接していない部分はある程度エボ焼け(縁先のエラの方)しているようだが・・・

いずれにせよ、ものすごく弾力があるペン先!ただ柔らかいのではなく、書き味は柔らかいが反発力も相当強い。柔い(やわい)ニブではない。槌で鍛錬されたようなすばらしい反発力じゃ!

3これを綺麗に清掃し、スリットの寄りを少し弱めた。これである程度のインクは出てくるであろう。この処置を施す前は、筆圧をかけなとインクは一切出て来なかった。
いつものことながら、ペン先のスキャナー画像は美しい!このペン先の彫りはレーザー彫刻ではなくプレス加工。
従って全て同じ模様のはずなのだが、切り割りは模様の中央には来ていないが、ハート穴とペンポイントの中央部は外していない。
拙者はこの14Cの時代のペン先よりも、反発力が少ない14Kの時代のペン先の方が好きだ。この時代の14Cのペン先は薄いので、首軸にしっかりと押し込んでも左右からの力が加わればペン先がすぐにズレてしまう。
従って低い筆圧でゆっくりと書く人向きであろう。どうしても筆圧をかけて早書きしたいのであれば、ペン先とペン芯を定位置から180度ズラして首軸に押し込めば良い。少しコツがいるがな。

45キャップもクリップも傷やサビがあったので分解してサンエーパールを布に付けてゴシゴシと擦ったら見違えるように綺麗になった。
金属部分を磨くと言うことは鍍金を落としている事になるのだが、小汚い鍍金が残っているより、全て鍍金を落とした方が小綺麗だ。
キャップリングはマスキングし、クリップは外して作業性を良くしてから、ゴシゴシ擦るのじゃよ。
なを擦る布にはセブン・イレブンの5枚198円の雑巾を使っているがこれで十分。これくらい荒い布の方が短時間で傷落としが出来るような気がする。
   
67ほとんど死にかけていたピストンだが、左側画像のように分解してから、個々の部品を清掃し、グリースアップしてから再度組み立てると右側画像の状態になる。
この状態で、ピストンを右に力いっぱい捻って手を放した時、カタカタと遊びが出来ないよう、かつ、ピストンが出来るだけ後ろまで来るような位置を見つけるのが難しい。拙者は慣れているので、ほとんどの場合、1回目か2回目で正しい位置を見つけることが出来る。

8こちらの胴軸も超汚れていた。ピストン機構を嵌めたままだと何度吸入を切り返しても、ドス青い?液体がドクドクと出てくるので、尻軸を外し、ペン先をたたき出してから清掃した。
熱湯超音波洗浄機で洗っても完全に綺麗にはならないので、最後は綿棒の先に超電解水、アスコルビン酸、ロットリング洗浄液・・・などを含ませてゴシゴシと清掃する。
その後、胴体をサンエーパールでゴシゴシと磨き上げる。特にインク窓のあたりと、尻軸側から1冂度の部分に擦り傷が集中しているので根気よく擦るのじゃよ。

9こちらはペン芯。これは必ず尻軸側からたたき出すこと。前からペン先といっしょに引き抜くひともいるが、その場合、よほど首軸が緩くないとペン芯のフィンを折ってしまう確率が高い。
以前はフィンを折ってもペン芯を部品として代理店から取り寄せられたが、今ではあり得ない話。だからこそ部品の二次マーケットは意味がある。
もっとも海外では、それに味をしめたのか、ジャンク品の本体よりも、それから取り出した部品の方が高価な場合も多々ある。
今回、ジャンクを分解して、清掃してみたが、工数を考えれば、あながちぼっている・・・とは言えないだろう。 
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2012年08月21日

火曜日のアンケート調査【 壊した萬年筆はどうしてますか? 】

拙者もそうだった・・・萬年筆を使い始めの頃はおっかなびっくり大切に使っているものだが、そのうち、悪い情報(Blog等)の影響を受け、自分で分解掃除してみたり、ピストンの後ろ側にまわったインクが気になりだし、掃除しようと思い立つ。

最初は勇気が無くて、ペンクリに持って行ってやってもらいながら、その手順を頭に入れ、自分でやろうとし・・・

ペン先を引っぱろうとしてペン芯のフィンを折ったり、
尻軸から伸びているらせん棒をねじ切ったり。
手がつるっと滑ってペン先を曲げたり、
胴体を割ってしまったり、
萬年筆を洗う際、大切な部品を流してしまったり、
気に入ったペン先を別の軸に移植したり、

して使えない萬年筆が出来てしまった。といって、修理に出すと、壊した経緯を説明しなくてはならず、ネチネチと皮肉を言われるのもしゃくにさわる・・・・

というような理由で、使えなくなった萬年筆が溜まっていませんか?

先日、三島で開催された【裏中部地区大会】の様子や、【ワシントンペンショー】に参加された方々の訪問記を読んでいて、日本でも不要部品を生かして、壊れた萬年筆を再生する場が作れないかと考えた。


そこで今回の質問は・・・ 

壊れた萬年筆部品をどうしているのかのアンケート

(1) あなたは、壊してしまった萬年筆を保存していますか?それとも捨ててしまいますか?
(2) ジャンク品や部品が販売される場があれば参加しますか?
(3) その場で修理人(有料)が常駐していれば修理をお願いしますか?
(4) そのような場で、自分の壊れた萬年筆の部品を販売できるとしたら、参加しますか?


 
          それでは  Go
  

拙者の場合は・・・・

(1) 昔は捨てていたが、最近では全て部品レベルにばらして保存している。
(2) ぜひ参加したい。部品単体で購入する方が發ぞ豺腓發△襪里如▲献礇鵐市で部品が安く手に入るのであれば!
(3) 自分で修理できるので不要。
(4) ペン先単体などは今までにもお嫁にやったので、参加はやぶさかではない

     捜すのが大変なので、みんなで壊れたのを持ち寄り、値段が付くもの(Montblancのペン芯、尻軸、吸入弁、その他メーカーのペン先)と値段が付かないもの(多くのメーカーのキャップ)などを
        メーカー別に分類し、値段が付かない物はお布施として10円〜100円を寄付(被災地等)、値段の付くものは会員番号のついたタグを付けて販売 する・・・という形式の市を東阪で年1回くらい開催してほしい。
        修理していて部品が無くて断念することが多いので。 
  
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2012年08月17日

★★★ 生贄大募集 ★★★  そして本日は・・・ルーペの日

2012-08-17しばらく東京での定例会を実施していない間に、生贄が枯渇してきた。このままでは調整講座を継続できないので、生贄大募集となった。

今後、定例会が実施される各会場で生贄大募集をするので、ご協力下さい。

会場での調整より、レベルの高い調整になるかもしれません!

また壊れた萬年筆の修理は会場では出来ないのでいすれにせよ生贄です。よろしく! 

ということで、本日はルーペの日。 

拙者はあまりルーペにこだわってはいない。倍率が15倍程度であればどれを使ってもいいと考えている。しかし手元にあるキズミやルーペを並べて見たら、これだけあった。
このほかに調整道具箱に入って全国を旅しているものもある。そちらは15倍の安い品。また時計屋さんのように針金で眼に固定する10Xと5Xのものもある。

右側中段の30Xや22Xはほとんど使わない。上段のキズミも胴体を見る時くらいにしか使わない。使うとしても画像のように開いて使う事はマレでたたんだままちょっと見るだけ。 

中段右から4番目のLeicaのルーペも先ほどまで逆向きに使っていた。ピント合わないなぁ・・・と長い間バカにしていたが、反対側から覗いたら良く見えた!でも倍率が小さい。

日常的に使っていたのは、中段右から三番目のピークの15倍のもの。これで5代目になる。一番長い付き合い。

視野が明るくてすばらしい見え方をするのは、下段右から三番目のBAUSCH&LOMBのHASTINGS TRIPRET 14X 。これで覗くとペンポイントが背景から浮かび上がるように鮮明に見える。
ただ、電灯の下での作業には向かない。コントラストが高すぎて影の部分が真っ黒に落ちる。宝石鑑定用なので明るく、自然光に近い環境での作業用なのだろう。

本日発見したのだが、ペンポイントがやたら見やすいのが、下段右端の25Xのルーペ。パイロットの調整師の方が使われている。
あまり性能の良いレンズではないのだが、ペンポイントを見るにはすばらしい!性能が悪いレンズなのでフレアーが多いのだが、そのせいで暗部がストンと落ちない。従って勉強机の環境でも全体が見やすい。
ピントは一点にしか合わないし、深度は浅いのだがフレアが多いのが功を奏している?これを狙って作ったのだとしたらすばらしい!

それ以上に見やすかったのが、下段右から二番目の Ernst Leitz Wetzlar の刻印がある20倍のルーペ。カメラの部品を見るための物だとおもわれるが、こちらも深度は相当に浅い。
ところが、フレアが無いのに暗部が見やすい。不思議!
きっと25Xのルーペの100倍以上の値段だと思われるが、光学設計が違うのかな?おそろしくレンズが小さいのだが、実に良く見える。ただしこれを常用すると調整のアラが気になって調整時間が長くなる。
書き味には影響が無い部分の微調整に必要以上の時間をかけ調整が滞ってしまうであろう。やはり細部が見えすぎるルーペというのも問題じゃ。

結局、一番使いやすいのは、新型ボーグルーペ。20Xという触れ込みだが実質15X程度しかない。しかしレンズ部分がハネ上げ式なので、外さなくても作業が続行できる。
一番ありがたいのは、ペン芯とペン先の中央を合わせる作業の時。これをルーペを覗きながら微調整できるようになってストレスはずいぶんと減った。

常用:新型ボーグルーペ
確認:15Xのピーク製
極細確認:25X

この三個は常に調整道具入れに入れていっしょに旅している。本当は Ernst Leitz Wetzlar  を使いたいが、紛失が恐ろしくて持ち歩けない。

そこで Ernst Leitz Wetzlar は革ケースから出し、机の上で使うルーペ(極細確認要)として現場復帰させることにした。またがんばって下さい!  
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2012年08月15日

水曜日の調整報告 【 Pelikan 100 14K-EF War Time 細字化 】

1本日の依頼品はPelikan 100。Pelikan 100N以降400NNまではピストンの互換性があるので壊れた場合でも修理は楽だが、Pelikan 100のピストンは400NNなどと比べて細い。従ってOリングなどを使って修理するのが最近のトレンド。
キャップトップには2羽のペリカンが刻まれている。ということは創業100周年以降のモデルなので、War Time Capであっても不思議はない。ただしペン先はCN(クローム・ニッケル)ニブではなく 14 KARAT.  と刻印されている。100NのCNニブは1939年ごろに登場したはずなのだがな。

Pelikan 100の時代は緑縞ではなく、マーブル・グリーンが主流であったが、そのほかにも様々な色や模様があった。しかしこのモデルが作られたころにはきらびやかなモデルは姿を消していたらしい。

このモデルは1942年10月末から1944年3月末までの間に作られたと思われる。根拠はコルクシールが黒いプラスティックに変わったのが1942年10月29日から、そして、Pelikan 100の製造が中止となったのが1944年3月31日だからじゃ。これはPelikan Bookの古い方の75頁に記載がある。(今回のモデルは黒いプラスティックの弁)

6そしてキャップの装飾が消えたのはそれより少し前の1942年6月26日。従って両方の特徴を持つこのモデルは1942年11月以降に作られたと考えて間違いなかろう。なんと拙者より10歳年上。生まれてから70年になろうとしている。
本来は金属リングがあった部分に申し訳程度にギザギザを付けているが、これが意外と良い。パッと見た感じでは、Pelikan Fountain Pen に見える。

それにしても当時のPelikanの精度には驚く!キャップに空気穴が2つ空いているのだが、そのうちの一つをクリップで隠すようにして天冠を締めると、ペリカンの刻印の下面がクリップとピッタリと同じ位置に止まる。

以前、M800のキャップリングの刻印”PELIKAN"のIの真上にクリップの先端部が位置するような個体を探し回った事があった。その位置を意識してキャップを作ってはいなかったのだろう。ところが、このPelikan 100では、キャップトップクリップキャップの空気穴の位置を計算して製造している。あきらかに完璧主義者が設計したモデルじゃな。どちらかといえば100Nの方が好きなのだが、今回の件で急に100の株が上がった。

23左利きの押し書き、しかも極細好きということなので、本来はお辞儀した形状のPelikan のペン先など言語道断なのだが、好きな物はしょうがない。

ペン先の斜面の形状が美しくないのと、研磨がめちゃめちゃ雑!軍事工場に優秀な技術者をとられ、残された不器用な作業員が作ったのかもしれない。いくらなんでもこれじゃぁ使う気にならないであろう。すこしシェイプアップすると同時に左右のペン先の幅のバランスをとっておこう。

45こちらは横顔。左右の画像を拡大してよく見ると奥側のペン先の方はハート穴の付近では上に出ているのに、ペンポイント先端部では辻褄が合っているのがわかる。
これはこれで良いのだが、この状態を放置すればペン先がインクで汚れたり、左右のペン先のバネ感が異なるので、鋭敏な感覚を持つ人には耐えられない書き味となる。
まずはペン先とペン芯を分離し、ペン先単体でハート穴付近からペンポイントまでの段差が無いように調整をする。
次にそれをペン芯に乗せてみる。この段階で段差が発生する場合には、ペン芯を削ってペン先単体で調整した状態を維持するのがコツ!

7こちらが段差調整と表面研磨だけをした状態のペン先。いつもながら実に美しい。
ただよく見ると、ペン先の後端も少し不細工に研磨してある。これはソケットにペン芯に乗せたペン先を突っ込む時の生産性向上施策か?理由はわからないが、研磨が下手と言うことだけはわかる。
やはり戦争で荒廃した心では文化的な筆記具を本気で作る気にはなれないのかもしれない。いやいや、ペン先は戦前か戦後に作られたものを移植したのかもしれない。ものを大切にする独逸ではそういうニコイチは美徳だからなぁ・・・
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2012年08月06日

月曜日の調整報告 【 Montblanc No.149 18C-3B 健康診断! 】

1今回の依頼品は大物。No.149の3Bニブ付きじゃ。調整依頼書には18C-BBと記載されていたが、紛れもない3Bニブ。
BBと3Bとではペン先の幅だけではなくペンポイントの形状も異なっている。
手元にあるBBBというラベルが残っているNo.149 18C-BBBと比べてみたら、まったく同じ形であった。ええなぁ〜!
しかもラッパ型ではない首軸先端部、なで肩クリップ、一段ペン芯・・・ということは、1970年代の組み合わせと判断して間違いなかろう。

23ペン先はエボ焼けで銅色というか飴色に変色していた。もしコレクションにするのなら、この色のまま残しておきたいところだが、ペン先のスリットやペン芯とペン先の位置変更の要望があったので、綺麗に拭うことにした。金磨き布で軽く1〜2回擦れば跡形もなくなってしまう。
3Bでこの詰まったスリットではインクは出ない。おそらくは手放した人も、インクフローの不満から手放したのであろう。少しスリットを拡げて書き出しで筆圧をかけないでもインクが紙につくように調整しておこう。

45依頼人はペンポイントとペン芯先端部がひっつきすぎなので、見栄え良く変えて欲しいとの要望を持っていた。
そこで相対位置関係を変えて首軸にねじ込んだのだが、ペン先が薄いのか以前の位置ではスカスカに近い状況になってしまう。
そこで押し込む位置を180度変えて首軸の反対側へ押し込んだ。今度は完璧!

67こちらが調整/清掃前だが、スリットだけ開いた状態のペン先。
ペン先の裏側には夥しい硫化痕が残っており、表面よりも赤銅化している。
ペン先裏側のエボ焼けはインクフロー障害の一つの原因なので、綺麗に擦って取り去ってしまう。
改めてペン先の表面処理を見ると、実に綺麗。特にプラチナ/ロジウム鍍金の乱れのなさには舌を巻く!写し絵の様に上からペタリと押しつけるような鍍金とはワケが違う!

89こちらが調整後のペン先。スリットが入り、縦線はさらに太くなった。涎が出そうに美しい逸品!
実際にインクをつけて試し書きしてみる。書く際に筆圧を上下させなてみると実におもしろい線を描いてくれる。Italic調はそれほど強くなく、まるで筆で書いているような筆記線になる。
ただし横線はそれほど細いわけではないので筆跡は実に力強い!残念ながら・・・拙者には使いこなすだけの筆記技術がない。(要するに字が下手ってこと・・)

10こちらが横顔。独逸の太字ペンポイントによくある細長いペンポイント。国産のC(コース)などとは全く違う作り方じゃ。
あくまでもItalic調文字を書くために作られたのだろうが、皮肉なことにItalic文字の対極にある日本語の行書体を書くのに最も適しているように思われる。
う〜ん、良いなぁ!拙者もMontblanc 3Bニブの封印を解くかな?


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
   
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2012年08月01日

水曜日の調整報告 【 Pelikan 玄武 18C-M(P.F) DEROSA研ぎへ! 】

1今回の依頼品はPelikan 玄武。四神シリーズは実は5本ある。青龍、朱雀、白虎、玄武、麒麟じゃ。そのなかで玄武は【亀】としう扱い。緑好きのミドラーにとってはたまらない逸品!・・・だと思うが、この斑(まだら)模様が好きではないというミドラーもいる。拙者はParker センテニアル・マーブルグリーンと並んで大好きな緑の斑模様なのだがな。

実際に四神を日常的にガシガシ使っている人は萬年筆研究会【WAGNER】内でもそう多くはない。ところがこの玄武は使い込まれている。未使用の玄武は、全て機械彫りということもあり、指で表面をなぞると刻印のエッジがピリピリと指の腹に引っ掛かる感じ。
それにひきかえ、この玄武では表面のバーメイルは適度に摩耗し、指当たりも非常にまろやかになっている。使い込んでエッジがすり減ったライカM4ブラックペイントのようなかんじで実に良い!

234ペン先は過去に拙者が一度研いでいる。その時にはペン先とペン芯を分解せずに研いだはず。ペン先の模様刻印の先端部とペン芯の位置をそろえるのが拙者の分解調整だが、この玄武ではペン芯がやや前に行っている。
また左端画像にあるようにPF刻印の一部が首軸に隠れている。よほど特殊な場合を除いては分解調整においてこの位置には設定しない。スリットの間隔、研ぎ、段差調整などはしっかりと拙者好み。

じつは依頼主のDEROSA氏は【DEROSA研ぎ】といわれる形を持っている。通常はXX研ぎといえば、研いだ人の名前をつける。100歩譲っても研ぐ人が名付けるのだが、【DETOSA研ぎ】は研いでもらう人が名付けたもの。この発想は意表をついていておもしろい。まるでインク工房でインクの名前を購入者が名付けるのといっしょ!

56ではDEROSA研ぎってなに?といえばStub調Italicとでもいうような形状。左画像はいずれも調整前の状態。ペン先をそっと紙に下ろしたときに、フッとインクが紙につくというP.Fニブの弾力を最大限に生かしたット気で実に気持ち良い。
DEROSA氏も一度は試してみたが、どうしても紙を45度くらい傾けた状態で刻み込んでいくDEROSA書き(拙者命名)には、やはりDEROSA研ぎが良い!ということでの改造依頼じゃ。 

7まずは、スリットを少しだけ拡げた状態の全体画像。美しいなぁ!
特にP.Fニブの形状の美しさは現行品とは比べられない!書き味はどうにでも調整出来るが、形はいかんともしがたい。
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2012年07月31日

火曜日のアンケート調査 【 あやしい追加調査 】

前回のアンケートは、 もしPilot 912の10号ペン先(EF,F,SF,FM,SFM,M,SM,B,BB,PO,FA,WA,SU,C,MS)の中から欲しい順に優先順位をつけて5個選ぶとしたら というものだった。
このアンケート結果は実におもしろい結果となった。集計は1位:5点、2位:4点、3位:3点、 4位:2点、5位:1点とし総得点の多い方を上位とした。また総得点が同じ場合は投票した人数が多い方を上位とした。  

1位:FA   
79点(25人) 
2位:SM  79点(24人)
3位:WA  79点(22人) 
4位:SU   78点(25人)
5位:SFM 55点(20人)
 

6位:MS   51点(14人)
7位:SF    40点(14人) 
8位:PO   24点(10人)
9位:EF    24点(7人) 
10位:M   15点(5人)
11位:FM 15点(4人) 
12位:C    13点(8人)
13位:BB 12点(6人) 
14位:F    11点(5人)
15位:B    1点(1人) 

4位までは拮抗かつダントツ!また5位まで含めても、総得点、投票人数とも上位5位までに入っている。
萬年筆研究会【WAGNER】といえば、昔は極太偏愛だったが、最近ではソフト偏愛に変化してきているらしい。その中で唯一Stubががんばっているという図式。
もっとも拙者がの投票はFA,WA,PO,SU,SMの順だったので、POが脱落してSFMが入ったというところか。

さて、今回は【この上位5位】までが作られたら、貴方はどれを購入しますか?

Pilot 912(カートリッジ式、10号ペン:FA,SM,WA,SU,SFM)ベースの限定品萬年筆研究会【WAGNER】で作られたとしたら、貴方はどれを購入するでしょうか?
一本2万円程度で買うかどうかの判断です。


購入すると思われるものを記載して下さい。紙上なので本数制限はありません。前回投票しなかった人も投票OKです。
ここに投票したからといって購入義務はありません。傾向が掴みたいだけです。

拙者であれば・・・
FA:2本、WA:1本、SU:1本 となる。SMとSFMは書き味に興味があるだけなので人に書かせて貰えばいいやという感じ。
10号のFAはめちゃくちゃ柔らかいのでBack-Upも含めて2本。WAとSUはコレクション用に未使用で・・・という感じかな。

そこで今回の質問は・・・ 

もしPilot 912の10号ペン先(SFM,SM,FA,WA,SU)がWAGNER限定万年筆(2万円程度)で販売されるとしたら、あなたはどれを何本購入したいですか?

 
          それでは  Go
    
Posted by pelikan_1931 at 08:00Comments(39) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年07月30日

月曜日の調整報告 【 数十年死蔵されたMontblanc No.146 14C-M ほわほわ! 】

1今回の依頼品は萬年筆研究会【WAGNER】会員のご友人の持ち物。
20年以上使用していないとか。こういう場合、たいてい胴軸の中でインクが固まり、ピストンが動かないケースが多いのだが・・・
なんとインク窓は綺麗だし、中にインクも残っていない。またペン芯にもほとんどインクはついていない。どうやらこちらにやってくる前に清掃をしてくれていたらしい。
萬年筆研究会【WAGNER】のペンクリの場合には清掃して持ってきてくれる人には対応が二段階くらい良くなるのだが、生贄の場合には汚れている方が嬉しい!記事になりやすいので(笑

23ペン先はくすんでいるように見えるが、細かい傷があるわけではない。擦ればすぐに綺麗になる。
ものすごく柔らかいペン先なのにそれほど斜面が鋭角ではない。要するに、ペン先の薄さで柔らかくなっているようじゃ。
この場合、ペン先とペン芯を首軸に押し込む場合、少し緩いものだが・・・やはり緩かった!
また上から見た場合、ペン芯が少しはみ出している。これは美しくない。拙者が一番嫌う状態じゃ。ペン芯を真ん中にすると同時に、少し後退させておこう。

45こちらは横顔。見事な鉈型ペンポイント。通常と違うのは鉈型であっても円盤研ぎではないこと。Mという触れ込みだが、ペンポイントの腹の部分の幅は広く、B程度の字幅になる。
そしてヘロヘロに柔らかい。なんというか、年取って足を踏ん張る力がなくなったご老体のような柔らかさ。しなやかというよりも、ヨロヨロに柔らかいという表現の方がいいかも?
いずれにせよ柔らかいニブであるのは事実で、それなりに楽しませてくれる・・・が拙者にはやや柔らかすぎるかな?
柔らかいペン先の特徴としてペンが傾いただけで段差が出来、エッジが紙にひっかかるので、常にカリカリとした書き味になっている。

6あまりにカリカリするので、正面から眺めてみると、ペン先がペン芯の中央に乗っていないためか、激しい段差が出来ている。これだと最初にひく線が左から右であれば、100%掠れてしまう。
ペン先とペン芯を首軸から抜き、ペン先単体での段差が無い状態にしてからペン芯に乗せ、さらに段差を微調整する。ここが一番根気が必要。
普通はここからスイートスポットを削り込んでいくのだが、今回は依頼者本人にあった事がないので書き癖がわからない。普通はこの状態では調整は出来ないというのがプロ。
フルハルターの森山さんなどは、使い込んで書き味が自分にマッチしてる萬年筆を同封しない限り、新品萬年筆の調整は対面販売でしかやらないと聞いたことがあるが、それが正解。
このBlogで扱うのは【どうなっても責任は持たんけんね!】という生贄扱いだからこそ研いでいる。それにご本人が登場すれば微調整はいつでも出来る。引き渡しは9月の仙台大会になりそうじゃ。

7こちらがペン先単体画像。シンプルで実に美しい筐体。それほどペン先の斜面が急ではないので柔らかい感じはしないのだが、ヨロヨロに柔らかい・・・
斜面の勾配が急なペン先の柔らかさと、斜面の勾配が緩やかで柔らかいペン先の書き味の差は非常におもしろい。
いつもの事ながらMontblancの切り割りの正確さは特筆モノ。またペンポイントの研ぎも非常に美しいのだが、それが書き味に影響していないのが残念!綺麗だが・・・買き味は今一歩!
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Posted by pelikan_1931 at 14:00Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年07月27日

金曜日の調整報告 【 Pelikan 100 疑似Demonstrator 14K-EF 押し書き極細化 】

1今回の依頼品は珍しい。軸がまったくのDemonstrator仕様になっている。これは元々の仕様ではなく、最近海外で販売されているスペア胴軸の仕様。
オリジナルの胴軸を零細工房が作るのは無理なので、安価な樹脂を使ってPelikan 100に合うスペアパーツを作って販売しているのであろう。
拙者も知ってはいたが、入手には至っていなかったので(そもそもPelikan 100を持っていない・・・)出会えてラッキー!それにしても良く出来ていて感心した!

今回の依頼は、この萬年筆の機構に不具合があるのではなく、左利き用(押し書き)極細調整にして欲しいというもの。

23ペン先のKARATとEFの間に、お星様のマークがある。8角形なのでダビデの星ではなさそうだが、何の印だろう?知っている人がいたら教えて欲しい。
このペン先は先端部がずいぶんと肉厚で下にお辞儀している。自然と曲がったものではなく、最初から分厚い先端部にしようと狙って作られたのは確か。

45こちらは横顔。ものすごくお辞儀させられているのは、ペン先のスリットを寄せてインクの出を絞るためであろう。
それはそれで理にかなっているのだが、それが適用できるのは、右手での引き書きの時だけ。左手で押し書きする場合には・・・先端部が紙に引っ掛かって押せないのじゃ。
従ってPelikanに代表されるお辞儀ニブの極細は左手押し書きの人には向かないのだが、依頼人はVintageのPelikanの極細が大好き!好んで困難に立ち向かおうとする本能をお持ちのようじゃ・・・

6こちらは尻軸。右端のピストン弁の部分にはOリングが二個嵌まっている。普通は樹脂のものがほとんどだが、弁としての性質はOリングの方がはるかに優れている。
実際、パイロット・カスタムヘリテイジ 92では、Oリング一個で弁を形成している。
見栄えさえ気にしなければ弁の将来系はOリング(一個)が正解!出来れば色のバリエーションは欲しいがな。

7今回の研ぎにはポケッチャーが大活躍した。従来の発泡スチロールの円柱に耐水ペーパーを巻き付けたものを使っていたら、2時間はかかっていたであろうが、ポケッチャーではものの2分で粗研ぎが完成した。左画像を上の方の研磨前の画像と比較すれば、細字研ぎの極意?がわかるであろう。敢えて解答は書かないが。

8こちらはペンポイント先端部の状況。極細希望なので、先端部はピッタリと閉じている。間にラッピングフィルムを挟むと、その状態でラッピングフィルムをつまむと、万年筆全体が吊り下げられるほど強く寄せてある。ペン先はEFとはいえ、かなりペンポイントの横幅があったのだが、これも半分以下に削った。全て研磨機があってこそ出来たことじゃ。
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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(8) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年07月25日

水曜日の調整報告 【 1980年代 Montblanc No.149 14K-EF インクヲドクドク出るように! 】

1こちらは新潟で預かった最後の1本。時間切れで調整出来なかったものであって、決して調整に難儀するような状態ではなかった。
1980年代後半のNo.149で、ペン先は鉈型の円盤研ぎ。歴代のNo.149の中で、横顔は一番端正で綺麗だが、細字の書き味は極悪非道!
調整初心者の頃、どうにもうまく調整出来なくて、ペン先を机に叩きつけたことは一度や二度ではなかった。それほど(絶妙なる)細字調整が難しいのが鉈型円盤研ぎニブなのじゃ。
胴軸にはペン先の太さを示すラベルがあり、それにはEFとの印刷がかすかに残っている。まさに新品同様のNo.149じゃ。

23ペン先はガチガチに詰まっており、インクはカスカスにしか出て来ない。調整希望は、インクがドクドクと出るようにして下さい!というもの。
それにしてもこの時代のMontblancもスリットが刻印のちょうど中央に入っている。美しい限りじゃ。国産でもズレはほぼ無い。ただしコレが世界標準では無いのが残念。
国産とMontblanc以外では、今でも6:4分けニブというのをよく見かける・・・。以前は7:3分けはおろか、9:1分けすらあった。

45横顔を見ると、ペン芯がかなり前の方に出ている。ペン先のエラの先端部分が、左側画像では右から三つ目の溝の位置にある。
拙者が美しいとおもう位置は、エラの先端部が二番目の溝の前寄りぐらい。文章で表現するのは難しいので、あとで画像で確認して頂こう。

6こちらは調整前のペンポイントの正面画像。見事というしかない!段差も無く、ペン芯の中央に見事に乗っている。
ペンポイントの上下幅も同じで左右の厚みもほぼ同じ。このような美しいペンポイントには滅多に出会わない。
プロの世界では、一個のペン先調整にかけられる時間はせいぜい数分であろう。
その数分間で、ここまで追い込み調整が出来るのは、さすがMontblanc・・・なのだが、インクの出は超悪い!

7こちらはペン芯から分離した直後のペン先。コストカットが行われる直前のペン先だと思われる。
このペン先から18Kのペン先に変更された直後、伊東屋の万年筆売場のお兄さんに、【No.149がモデルチェンジしたんですが、どこが変わったかわかりますか?】と問われた。
正解はペン先が18金に変わったこと、鍍金の模様が変わったこと、ペン芯がエボナイトからプラスティックに変わったことだったのだが、拙者はペン先が18金に変わったことしか指摘出来なかった。まだ初心者だったから・・・
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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年07月24日

火曜日のアンケート調査 【 あやしい調査 】

前回のアンケートは、【もし、万年筆とカートリッジを自由に組み合わせられるとしたら、あなたはどこのカートリッジが一番使いたいですか?理由も含めて教えて下さい?】というものだった。

このアンケートの意図は、皆さんがカートリッジに何を期待しているかを知りたかったからじゃ。結果は・・・ 

第一位:10票 プラチナ
第二位:9票  パイロット

が圧倒的で、他社は全て3票以下。ただし、拙者の意図とは少しずれており、インクに引っぱられていた解答もあった。
いずれにせよ、インク量は多く、かつ、硬い素材のもの、そしてインクフローの安定が期待されているのは事実であった。
一般的にはコンバーターよりもカートリッジの方が大容量なので、持ち運ぶ万年筆にはカートリッジが便利であろう。
それにしても、自分の好きなインクを、好きなカートリッジに詰めてくれるサービスがあれば、5本入り1000円でも買うがな。
ま、コンバーターよりもカートリッジの方がはるかにハイテクで、製造機械のコストも膨大なので期待は出来ないが、PC Printerのインクのように、空きカートリッジに詰めてテープで貼っておくだけでもいいのだが・・・
だれかそういう商売やらないかな? 初期投資不要でおもしろいと思うのだが・・・

さて、今回は【ある意図を持った】質問
現在、いくつかの販売店様に御願いして萬年筆研究会【WAGNER】オリジナルの萬年筆を検討して頂いている。
その中の一つに、Pilot 912(カートリッジ式、10号ペン:EF,F,SF,FM,SFM,M,SM,B,BB,PO,FA,WA,SU,C,MS)ベースのものがある。
こちらはペン先の刻印などには手を入れないので、どのペン先でも選択できそうなのだが、実は首軸の色が黒ではないため、全てのペン先バリエーションは準備できない。
ペン先は5種類各10本〜20本となる。そこで、どのペン先の組み合わせが欲しいか、5本選んで順番を付けて欲しい。

1番欲しい物は5点、2番目は4点という配点にするので、5本選んで欲しい。拙者であれば・・・
  1番:FA
  2番:WA
  3番:PO
  4番:SU
  5番:SM
となる。
5番目はSFMにしたかったのだが、過去に書かせて頂いたSMの書き味が手に残っていてどうしても外せなかった。


そこで今回の質問は・・・ 

もしPilot 912の10号ペン先(EF,F,SF,FM,SFM,M,SM,B,BB,PO,FA,WA,SU,C,MS)の中から欲しい順に優先順位をつけて5個選ぶとしたら

 
          それでは  Go
  
Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(37) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年07月23日

月曜日の調整報告 【 Pilot Custom 743 14K-FA ひん曲がったぁ〜! 】

1こちらは、名古屋で持ち込まれたPilot 743。15号のフォルカンのペン先が付いたモデル。聞くところによればPilotのフォルカンは10号ペン先の方が柔らかいとか。
自分で確かめたわけではないのでなんともいえないが、15号のフォルカンも十分に柔らかいのは事実。
かなり大柄な萬年筆であり、素材がプラスティック製でなかったらかなり重厚な萬年筆であったろう。
国産高級萬年筆は、軸の豪華さで付加価値を付けているモデル(純銀、エボナイト、漆)と、軸は簡素でお買い得価格(ペン先だけにお金をかけている)の萬年筆が二極化しているように思われる。
たとえば、No.149などは、ペン先はMontblancの最高峰であり、軸も豪華だが10万円は切っている。回転吸入式で!
それがPilotになると、845や一位の木で52,500円。う〜ん、この価格とスペックではフラッグシップとは言えない。
そうか、国産各社には、これぞフラッグシップ!という【ど定番】がないんだ。キングプロフィットだって模様や素材やペン先のバリエーションがありすぎ、どれが定番かわかりにくくなっている。
プラチナではプラチナ・プラチナのプラチナ製ペン先付きなのだろうが、まだスリップシール対応できていない。

国産各社には、技術を結集した【ど定番】のフラッグシップ(税抜:10万円)を出して欲しい。かならず回転吸入式で軸素材もそこそこ高価なもの。
だれもが憧れるようなスペックとペン先バリエーションと、ビスポークのサービス。
まさにMontblancが現在行っているサービスこそが、萬年筆愛好家がメーカーに望んでいる事なのではないかな?数を売るビジネスもいいが、夢を売るビジネスも重要じゃ・・・

23さて今回のフォルカンのペン先であるが、どうやら落下させたらしい。ペン先先端部がぐにゃりと曲がっている。
右側画像で青っぽくなっている部分は上に反っており、赤っぽくなっている部分は下に曲がっている。

45横から見ると、その曲がり方に驚いてしまう。これぞ本物のコンコルド!先端部からフローリングの床にでも落ちたのだろうか?見事に曲がっている。
先端部の金属が薄いフォルカンだからこそこのように曲がったのかもしれない。もしこれが、重い金属軸の先端についていたとしたら、ぐにゃぐにゃに曲がっていたであろうなぁ・・・

6カスタム・カエデの10号ペン先にはコストカット穴が空いていたが、743用の15号ペン先や、742用の10号ペン先にはコストカット穴が無い。
首軸内部に隠れている部分の形状を変え、穴をあける以外の金節約方法を適用したのであろう。
それにしてもフォルカンのペン先は刻印がシンプルで美しい。
刻印が多くなると剛性が強くなるので、出来るだけシンプルなペン先が好ましいとペン先を自作している人に聞いたことがある。

7この曲がったところをヤットコで伸ばして曲がった部分をポケッチャーで削ってから金磨き布で磨く。
そのあとでペン先の形状を整えてどこから書いても引っ掛かりが無い様に研磨するのだが・・・
このどこから書いても引っ掛かりが無いように・・・というのが超柔のペン先では難しい。少しでも筆圧をかけるとペン先が開き、その時に内側のエッジが紙の繊維を拾ってしまう。
かといって超馬尻に研磨すると、書いているときは良いが、書き出しでインクが紙につかない。
柔らかニブの調整は、引っ掛かりと書き出し掠れとのせめぎ合いなのじゃ。ある意味、極太調整と似たところがあるがな・・・あちらは、ヌラヌラと掠れの折り合いだが。
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2012年07月20日

金曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.146 14C-M  問題は・・・ 】

1今回の依頼品は1950年代のMontblanc No.146。生まれてから60年近く経過しているので、通常は体中に無理が来ている。なんせ拙者と同じくらいの歳じゃ。
先にPelikanがエレガントで機能的な回転吸入式の特許を取得したので、意地になって複雑怪奇な機構を生み出したのかもしれないが、テレスコープ吸入式はあまり褒められた方式とは思われない。
インクの酸でやられがちな金属製吸入機構を、すぐに収縮してしまうコルクだけでインクと隔てているなんて・・・化学知識ゼロの人が設計したとしか思われない。
Pelikanは元々が化学(インク)が本職の会社なので、機構に金属を使うなんてことはしないが、インクをPelikanからOEMで仕入れていたと噂されるMontblancだからこその無謀な冒険?
計測してみるとそれほど多量のインクを保持しているわけでもない。また当時のペン芯の能力では、それでも頻繁にインク漏れを起こす。
実用的な筆記具と言うよりも、機構を弄んで楽しむ精密文具。ミノックスのカメラのような感じさえする。だからこそ人を惹き付けて止まないのだろう。
この重量バランスとずっしり感を楽しみ出すと、筆記内容なんてどうでも良くなる。弄ぶこと自体が目的になってしまう。まさに【書く麻薬】じゃ。

2345ペン先はまったく劣化していない。すばらしく程度が良い。先端部が赤くなっているのは、多少お辞儀しているから。スリットも適度に開き、インクフローにも問題は無い。ペン先とペン芯の間に少し隙間があったが、これはペン芯をヒートガンであぶってカーブを修正し、ぴったりと合わせることが出来た。
海外の名人と言われる人の手になるVintageでも、この肉厚のペン芯とペン先との密着には手抜きが多い。ペン芯先端部だけを曲げてペン先に密着させているだけの場合がほとんど。本来はペン芯のカーブをペン先のカーブをピッタリ合わせなければならない部分もあるのだがな・・・。薄いペン芯は熱で加工しやすいので簡単だが、肉厚ペン芯は曲げるのに力と時間がかかるので、ほとんどやれらていない。

この個体にはインクをあまり吸わないというトラブルがある。実際に吸入させようとしても、コルクが上がっていく感じがしない。これはやっかいだな・・・

6こちらはペン先の全体映像。傷も無く、実に綺麗なペン先!1950年代の技術ではあっても、切り割りはペン先刻印やハート穴の中央に走っている。SheafferやWaterman、はたまた最近のPelikanに見せてあげたいほど。
吸入機構は懲りすぎて成功したとは言えないが、ペン先の製造は見事の一言。まさにマイスターの仕事じゃ!
モンブランのMの刻印の回りの斜め線のエッチングなど息をのむほど美しい。これどうやって彫ったんだろう?Pelikan トレドの彫りよりもはるかに難しそうだが・・・
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2012年07月18日

水曜日の調整報告 【 DELTA TUAREG 18K-M 書き味改善 でもその前に・・・ 】

1今回の依頼品はDELTAのTUAREG、少数民族シリーズの萬年筆じゃな。これは実に良く出来ている。ペン芯はエボナイト製だし、レバーも立派。純銀装飾も立派!
またペン先も、おそらくはOmasと同じメーカーへ製造委託しているようで、実に書きやすい。ペンポイントの形状はオマスとまったく同じじゃ。
その昔、一口に伊太利亜製萬年筆メーカーといっても、北と南とは仲が悪く、外注先も全て違う・・・とかなんとかという話を聞いた記憶がある。

DELTAに関しては、拙者は良い印象しか持っていない。利用者の声に意味を傾け、矢継ぎ早に改良を加えてくれた・・・と考えている。
唯一の例外がレバーフィラーのサック!世に出たほとんどのサックが、少なくとも日本ではすぐに機能不全に陥ってしまう。
今までに100本以上のDELTA製レバーフィラーを見てきたが、100%サックに不具合があった!
今回のサックは破れたり溶けたりはしていなかったが、膜が薄すぎてインクを吸う力が弱く、ほとんどインクを吸わない状態だった。
なんで販売店は文句を言わないのだろう?輸入代理店はどう対処したのだろう?
もっとも、最新の物は直っているのかもしれない。少なくとも拙者のところへ持ち込まれるのは、どこかに不具合があるものだけなのでな。

23ペン先は見事!プラチナ鍍金も美しく、ペンポイントの形状もなかなか良い。
ただし、全身プラチナ鍍金のペン先は先端部を細く研ごうとすると、鍍金が剥がれて金が出てきてしまう。
といってボディにまったく金色が無いボディで、ペン先に金色があるのも悲しい・・・。それよりは全身プラチナ鍍金のペン先の方がBetter!

45横顔を見るとOmasとのペン先の酷似性が良くわかる。現在のOmasと似ているかどうかはわからないが、拙者が愛用していたころのOmasとはまったく同じ形状をしている。
書き味も弾力もすばらしいはずなのだが、何故か下品な書き味じゃなぁ・・・。どうやらペンポイントの腹の部分の処理が甘く、紙にガリガリと当たっているらしい。
こういう目で見ても認識できないほどの書き味の悪さというのは、案外と調整に時間がかかることがある。今回もそうだった。あと一歩の詰めが難しい。
調整初心者がやると、ペンポイントを消滅させる危険性が高い。あと少し、もう少し・・・アジャパー!となるのでご注意を。

6今回の修理・調整は、本来ならば会場でチョチョイノチョイで出来る程度の物だが、手こずって結局自宅での修理となった。
そのわけは、本来一体となっているべき、左画像の赤枠で囲われた部分にある。
本来は胴軸にネジ部分、金属部分が外れないように一体化しているべき。
ところが、今回は、赤枠内の右側2つと首軸が一体化されており、分解しようにもお湯がないと手の施しようがなかった。
もっと言えば、たとえ熱湯があっても、拙者の黄金の左の握力が無ければ首軸から金属部分を外せなかったはず。
一旦分解した後で、首軸の金属筒が嵌まる部分を「研磨したあと、シリコングリースを塗っておいたので、次回からのサック交換時には同じようなトラブルは発生しないはず。
この半透明のサックが使い物にならないほど弾力が無い。

7そこで、サックを厚手の弾力の強い物と交換しておいた。インクを吸う力も断然強く、これならしばらくは不都合は発生しないであろう。
ただしレバーフィラー式においては、ゴムサックは消耗品。定期的に交換しながら使う物じゃ。まぁ・・・5年に1回くらいは交換したほうが良いであろうな。(根拠はないのだが・・・)
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2012年07月17日

火曜日のアンケート調査 【 好みのカートリッジは何? 】

前回は、2012年1月1日〜6月30日までで、一番お金を使った趣味はなんですか?  だった。 

非常に多種多様な趣味が提示されたが、一番お金を使った物としては・・・

第一位:15票 万年筆を含む筆記具
第二位:6票  車、ガソリン代関係
第三位:3票  飲み代
その他は各一票であった。

カメラに関しては、相当入れあげている人を何人も知っているが、その人たちからの回答は無かった。どうしてだろう?家族に隠しているのかな?

さて、今回はカートリッジインクに関する質問。手元にあるDunhillのコンバーター(Pilot コンバーター70型)に注射器で満タンにインクを入れて量ってみると0.7ccしか入らないことがわかった。
コンバーター50なら0.5cc。実際にはペン芯などにもインクは含まれるだろうが、逆に全てのコンバーター内部の気泡を追い出せるわけではないので、まぁ、こんなものだろう。セーラーは0.4cc。プラチナも0.4cc。

それに対して、Parkerのカートリッジは0.9cc入る。コンバーターでは0.5cc。カートリッジよりもコンバーターの方がインク保持量が多いというのは、メーカーによっては成り立たないのも事実。

そこで今回の質問は・・・ 

もし、万年筆とカートリッジを自由に組み合わせられるとしたら、あなたはどこのカートリッジが一番使いたいですか?理由も含めて教えて下さい

カートリッジを首軸に初めて挿した場合、カートリッジをつまむか、振るかしてインクをペン先まで運ばないとすぐには筆記できない。従ってカートリッジが柔らかい欧州標準型やセーラーが良いという人も多い。
また中にボールが入ってカラカラ音がするプラチナが好きという人も多い。
万年筆博士では、ペン先はセーラー製、カートリッジはパイロット製などという組み合わせも可能。
もしお手持ちの万年筆に、どこのカートリッジでも挿せるとしたら、どこのカートリッジがいいですか?
 
          それでは  Go

拙者の場合は・・・
   
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2012年07月16日

月曜日の調整報告 【 Montblanc ボエム マロン 18K-F インクが途切れる・・・ 】

12今回は書いていてすぐにインクが途切れてしまうボエムの修理依頼。拙者がボエムを入手した記録はあるのだが、使った記憶は無い。
従ってインクが途切れるとうことに対する解決策が思い浮かばなかったので、新潟から預かって持ち帰ったもの。
スターウォーカーはしばしば安売りの対象になるほど売れていない(Montblancが人気商品と抱き合わせで販売店に押し込むので安売り対象となりやすい?)。
スターウォーカーほどではないが、ボエムも萬年筆研究会【WAGNER】のペンクリではあまり目にしない。カートリッジ専用というところが愛好家には受けが悪いのだろう。
しかし、今回、恐ろしいことがわかった・・・ボエム愛好家には既知のことなのだが、洗浄が超めんどくさくて金食い虫なこと。

3左画像はキャップを後ろに挿して右に捻った状態。ペン先のスリットの延長上にクリップが来るようになっている。
もっともペン先とペン芯を首軸内に位置固定する機構は無いので、好きな相対位置に出来る。

4カートリッジを入れる際には、キャップを左に回して外し、尻軸を倒すと左画像の状態になる。ここでカートリッジを差込み、尻軸を戻せばセット完了となる。

今回のトラブルは首軸内のペン芯とペン先にドロドロのインクがこびり付き、空気が一切カートリッジ内に入らなかった事による窒息!
このボエムは最低でも三ヶ月に1回はMontBlanボエム用クリーニングカートリッジを使って洗浄する必要がある。 
この洗浄用カートリッジが3本1000円とものすごく高価なので、一度詰まらすと手放してしまう人が多い。機構内を水で洗って機構トラブルが起きた場合はアウト!との噂もある。
しかし恐れることはない。エアーダスターがあれば、内部を水で洗浄した後で水分を吹き飛ばすことが出来る。ただしペン先とペン芯を首軸から抜き取れればだが。
未経験者が引っぱって抜こうとすると、高確率でペン芯のフィンを折ってしまうので要注意!

5赤や紫のインクを使って詰まらせた状態の映像はあまりにショッキングで営業妨害になりそうなので掲載は控える。
左が綺麗に洗浄が終わったペン芯。ビーカーにペン芯だけを入れて1時間ほど放置しただけで、200cc入りのビーカーが絵の具を大量に溶かした液のように不透明となった。
クリーニングカートリッジを10本ぐらい使わないと綺麗にならない状態だったが、ペン先を外せれば水とエアーダスターだけで綺麗になる。

6こちらが綺麗になり、少しだけスリットを拡げたペン先。根本を見ると144の刻印がある。
現在No.144というモデルがあるかどうかは知らないが、小さい割にしっかりした作りじゃ。No.145にもこのペン先がついている。
拙者は2008年ごろより、最近のMontblancはペン先の作りが良くなったと力説しているが、このペン先の作りも実にも見事!

710ペン先の切り割りはピッタリと真ん中を突っ切っている。SheafferやParkerやWatermanといった旧米国系のメーカーのペン先がランダムポジション?と思われるような切り割り位置なのに対して、Montblancにはバラツキが少ない。
もしこういう品質管理にコストがかかって高いのだったら納得せざるをえないが、品質が高ければ後処理コストが下がり、全体としてはコストが下がるのが本来だがな・・・
今やMontblancのペン先の品質は国産に近いものがある。最終のスムージングをパイロットに委託している・・・と言われたら信じてしまいそうなほど出来が良い!ありえないがな。

89こちらは横顔。この端正な研ぎにはほれぼれする。Montblancだって自社でペン先を研いでいるわけではないはずなのだが、海外他社とは一線を画した研ぎとなっている。
特別に高い研ぎをペン先製造メーカーに依頼しているのか、はたまた、検品基準が厳しいのか?機構には問題が多いが、ことペン先に関しては、現在海外でMontblancに追随出来るメーカーは無いだろうなぁ・・・

二度と詰まらせないためには、MontblancかPelikanのロイヤルブルーのカートリッジだけをつかうしかあるまいなぁ。しかも MontBlanボエム用クリーニングカートリッジで定期適任洗浄する!
あるいは、エアーダスターを購入した上で、こまめに洗浄して水分を飛ばす。いずれにせよ赤や紫、茶色系統のカートリッジは御法度!


【 今回執筆時間:2.5時間 】 画像準備1h 修理調整0.5記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
  

  
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2012年07月13日

金曜日の調整報告 【 Parker Sonnet 18K-F 生贄 】

1今回の依頼品はソネット。初期のふわふわのペン先付きではなく、多少硬くなったあとのもの。それにしてもキャップリングのメーカーや製品名の刻印の雑なこと・・・。当初、偽物かと考えたほどだが、ペン芯の設計からキャップの設計まで全てオリジナルと一緒なので(とりあえず)疑いは晴れた。満足はしていないが。
ただ、この外観品質では店頭販売は無理かも?特に首からルーペをぶらさげたり、ポケットからルーペを取り出して検品するような人には絶対に購入してもらえまい。

ただし一度(ひとたび)キャップを後ろに挿して握ってみると評価は変わる!実に筆記バランスが良く、いわゆる【手に馴染む】萬年筆へと一変するのじゃ。インクを入れるまでは・・・

23こちらがペン先の拡大図。こんな精度のペン先を作るようでは萬年筆メーカーとしては終わっている・・・。この萬年筆を作っていた頃がパーカー最悪の時代ではなかったのか?
最近のカタログに掲載されているソネットにはこんな酷いペンポイントは付いていない。
左右非対称の上に、ギチギチにスリットが詰まっており容易にはインクが出ない。またエッジはガリガリ、左右のペンポイントの高さも違い、紙を抉るような音をたてながらの筆記となる。
最近は丸研ぎPelikan(Sheaffer風)を見慣れているので多少こころが広くなってはいるが、20年前にこのペンポイントがついた萬年筆が送られてきたら、ひとしきり暴れた?でしょうな。

45こちらは横顔。ペン先の斜面部分の仕上げを見てもギザギザが残ったままで悲しい。書き味にまったく関係ないところとはいえ、作る側のプライドが微塵も感じられない。
国産萬年筆にこういう手抜き部分を発見したことはない!(もっともそれほど国産萬年筆を購入してはいないが・・・)
最終検品工程の人の程度の差がこういう不良品を市場に流しているのかもしれない。ひょっとすると、工場で不良品とされたものが、大量に横流しされ、再アセンブルされてネット市場に出回っているのかも?
あるいはMBAあがりの経営のプロによる、単年度利益を最大化するためのコストカット戦略の犠牲になったのかもしれない。命に別状のない限り、彼らは検品の工数さえ削減しようとするから・・・

6ペンポイントを正面から見た画像。左右のペンポイントの大きさの違いは甚だしく、かつ、左右でペンポイントの背の高さまで異なっている。
こういう状態だと、必ずどちらかの内側エッジが紙を削るような動きをするので、書き味は最悪となる。
この悲惨なペン先を極上のペン先に変身させるには、まずは斜面を削って出来るだけ左右対称の形状にすること。
次にスリットを開いてインクの通りを良くすること。最後にスリットが開かれた状態でスリットの内側を研磨して引っ掛かりを取り除く。
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2012年07月11日

水曜日の調整報告 【 Montblanc No.149 14C-EF さらに細く! 】

1本日の依頼品は1970年代のものと思われるNo.149。ペン芯やクリップを変えてしまえば時代考証は不能になるので断言は出来ない。
エボナイト製の一段ペン芯と、首軸先端部の形状、ペン先の形状、クリップの形状、クリップをキャップに固定している方式・・・などから総合的に判断して1970年代のNo.149と判断した。
だが、1980年代のNo.149に一段ペン芯を取り付けると1970年代と判断してしまうだろう。一度修理に出したら時代は混沌とするとうのは、今も昔も変わらないMontblancの伝統?じゃ。
それにしてもこの時代のNo.149はスキャナー写りが良い!握ってみたい衝動を抑えられないほど・・・

23ペン先に何ら不具合はない。スリットは詰まっているがインクフローを阻害するほどではない。
ただし無駄にペンポイントの上下幅が長く、左手書きにすると字幅が若干太くなってしまう。
依頼人は極細の字幅でカルテに文字を書きたいという野望を持っているのだが、左利きの押し書き・・・という万年筆の基本機能と相反する状況下での調整なので、結構気を使う。

45この時代のNo.149は、鉈研ぎに見えるが、ペンポイント自体は2枚の円盤のような形状をしている(円盤研ぎ)。
この状態で左手で押し書きすると、ペンポイントの上下幅がそのまま上下線の幅となり、EFではなくなってしまう。
EFにするにあたっては、細美研ぎを応用した【タコスペ・超不細工】研ぎを施し、線幅を減じることを第一に考えた(書き味は二の次)。なを裏書き対応はやらないでおく。

1まずは、吸入機構を抜いて・・・という段階でアレアレ?と思った。カニ目を挟もうとしたところ、尻軸がずいぶんと後ろまで逃げる・・・?
この原因はユニットを外しきって、各部品を洗浄しようという際に判明した。なんと尻軸ユニットのネジ部分が折れている。
噂には聞いていたが、実際に折れたのを見るのは初めて!これがあまりに折れやすいので、金属製尻軸ユニットに改良したと聞いていたのだが・・・

2ただし折れているところが金属で覆われている部分なので、ジェルタイプの瞬間接着剤を折れた部分の断面に塗って押し込んだら、完璧に直った。上が今回の部品、下は別のNo.149から外した部品。
実際に尻軸とピストンをセットして回してみても、動きは他のNo.149と同様にスムーズなので、これで問題はあるまい。
長い間萬年筆の修理をしているが、瞬間接着剤がこれほど役にたったのは初めてじゃな。

3すこしペン芯を交替させ、ペン先を首軸に突っ込む量を減らして、多少タッチが柔らかくなるようにセットした。
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2012年07月09日

筆記具関連四方山話 【 紙様のできません 】 その2

01前回が大好評につき、さっそく第二弾をお送りします。

今回は一度は分解してみたかったチルトンの不思議な吸入機構。

なんとゴムサック以外はメンテナンスフリーだったとは!

今回はニャンコの手(足?)も登場!

筆記する際に尻軸を緩める必要の無いタッチダウン式の元祖。

ぜひVisconti、いや、TWSBIに復刻して欲しい吸入方式じゃ。
  
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2012年07月06日

金曜日の調整報告 【 Sheaffer Lifetime フラットトップ 14K-F カリカリ改善 】

1今回の依頼品はSheafferのライフタイム・フラットトップ。レバーがなければノンナンセンスと間違えてしまいそう。
拙者は先にノンナンセンスに出会ってしまったので【あの安いスチール製萬年筆のオリジナル】という見方をしてしまうので感動が少ない・・・
だが、実は非常にすばらしい萬年筆だからこそ、安価品という形で復活されたという見方が正しい。今までに10本以上は使った事があるが、全てすばらしい書き味だった。
そのせいか、いつもすぐにお嫁にいってしまい、手元には1本も残っていないのじゃ。

23実は、今回の依頼に当たってペン先を1〜2仭阿暴个靴突澆靴い箸いΕ灰瓮鵐箸調整依頼シートに書かれてあったのだが、ペン先画像を見てやめた!
よく見るとペン先にクラックが入っている。しっかりと根元を固定しておかないとクラックが大きくなる危険がある。困ったことにスリットも詰まっている。
通常ならスリットの両側を持って力ずくで引っぱれば良いのだが、そんなことをすればペン先が裂けてしまうかもしれない。それほど深いクラックが入っている。

45ペン先を横から見ると、このフラットトップのペン先の厚さが実感できよう。ものすごく分厚いペン先で、多少筆圧をかけてもビクともしない。にも関わらずクラックが入ったということは・・・
素材の問題であろう。たまたまこのペン先の合金を作った際に不純物が入り、それがインクの酸で劣化して脆くなりクラックが入ったと思われる。
そうでなければこんな丈夫で分厚いニブいこのような形状のクラックは入るまい・・・

6ペン先がカリカリする一番大きな原因はペンポイントがズレていること。このズレによってペン先とペン芯との間に隙間も空いてしまっている。それがインク切れが発生する原因でもあろう。
この修理だが、まずはペン先とペン芯を外し、清掃した後、ペン芯側を調整してスリットが多少開いた状態になるように曲げた。
さらに、その状態で右側のペンポイントが少しだけ上に位置するとうにペン先を特殊工具で曲げた。これは調整戻りを考慮して過剰に曲げたのじゃ。
半日もすれば調整戻りで、左右均等な位置関係になるはず。こういうのは経験があればこそ出来ること。理屈や理論ではなく、経験のたまもの。何時の日かこれを理論として確立してくれると助かる!

7上が修繕前のサックの状態。どこにも綻びは無いのだが、サックを押した手を放した際の戻る力が弱い。
その割にはインク保持量が大きいので、もしインクがいっぱい入れば、この古い設計のペン芯では耐えられないであろう。
そこで下のように細くて戻る力の大きなサックを短く切って、インク保持能力を少しでも大きくするようにした。この程度のインク量であれば、インクがダダ漏れするリスクは少なくなるはず!

8こちらがペン芯から外したあとで金磨き布と薬品で洗浄したペン先。
裏側まで回った深いクラックがある。ペン先を1〜2仭阿暴个擦弌△海離ラックが全て首軸より前に出てしまい、ペン先の完全崩壊は風前の灯火となる。
むしろペン先を今まで以上に首軸に押し込んで固定する必要がある。

9こちらは清掃後のペン芯。インク溝が浅く、このままではインクは上から落下する事しか期待できない。
ということは、安定したインクフローというよりは、滴るようなインクの出方をするかもしれない。空気の通り道が大きすぎるような気がする・・・

いずれにせよ、Vintage萬年筆を現行品と同じように調教するのは、設計が古いほど難しい。個々の部品の性能が出ていないので、アンバランスになってしまう。
やはり萬年筆は新しいほどインク漏れやインクフロー不安定などの症状は出にくい。また手作りよりも工業製品の高級ペン芯の方が必ずインクフローは安定する。例外は経験したことはない。

@10こちらが調整直後のペンポイントの正面図。少し向かって左がこの時点では上がっているが、これより12時間後の現在では、ピッタリと揃っている。拙者の勘は当たった!
明日になってさらに戻らないことを祈るばかりだが、過去の経験ではこれ以上は戻らないはず。ただしデータ化しているわけではなく、単なる勘なのが残念!


【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1h 修理調整1.5記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
   
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2012年07月04日

水曜日の調整報告 【 Montblanc アガサ・クリスティ 18K-M 超コテ研ぎ 】

1今回の生贄はアガサ・クリスティー。Montglanc 作家シリーズ初期の限定品。
拙者は早い段階でインペリアル・ドラゴンを伊東やで定価で購入したので、それほどアガサには思い入れがない。
ただ眼にルビーが入っているということで、女性にはかなり人気のモデルだったはず。定価では10万円以下だったはずだが、その後かなり値段が上がっていった。
Montblanc の限定品の例にもれず、キャップを後ろに挿すとリアヘビーなうえ、キャップを尻軸に挿す構造なので、誤ってピストンが回ってインクがダダ漏れしてしまう事故も起こりやすい。

23今回の依頼内容は書き味の改善。確かにスリットは多少詰まってはいるが、それほど書き味が悪いはずはない。Montblac 限定品のペンポイントの素材は最高級のものが使われており、ペン先の研ぎもPelikanほどのバラツキはない。従ってそれほど酷いはずはないのだが・・・

4と思いながら横顔を見てみると・・・ん?ペンポイントの先端部に黒いゴミでもついているのかな?
ぎゃー!超コテ研ぎだぁ!コテ研ぎの始祖といわれる神戸の鞄職人でも目をむくような超コテ研ぎ!長年ペンポイントを眺めてきたがこんな立派なコテ研ぎは初めて!

56この角度で見るといかにすごいコテかがわかろう。いったいどうやってこのようなじょうたいになったのか?
通常筆記でここまでコテにするのは、超高筆圧の人でも20年はかかろう。またその場合は、軸もボロボロになるほど酷使されているはず。
どう考えてもサンドペーパーか砥石で擦ったとしか考えられない。海外であれば砥石の方が可能性は高いかもしれない。
またペン芯はヘミングウェイと同じ設計で小型の、通称ヘミングウェイペン芯(名付親は拙者)。これはエボナイト製ペン芯と同じ径であり、かつニブストッパーがないのでペン先とペン芯の位置関係を自由に変えられる。
これを何故現行の型に変更したかといえば、その自由度が我慢ならなかったのであろう。100%作り手側の論理だが。これはPelikanのソケットにある溝も同じこと。

7こちらが清掃し、ペンポイントの形状を整え、スリットを少し開いた状態。Montblancではヘミングウェイの直前からペン先にコストカット穴を開けるようになった。
従ってNo.146タイプのペン先を使う最初の限定品であるメディチにもコストカット穴があるので、当然アガサにもある! 
ペン先のヘビの顔をよく見ると何故かとぼけていて愛嬌がある。 以前にMontblancの限定品で胴体がNo.149タイプでクリップが金無垢の龍というのがあった。
世界のコレクターをして【ツチノコ】 と言わしめたほど愛らしい?龍であったが、それを彷彿とさせるとぼけた蛇顔じゃ。拙者の持っているNAMIKIのパンダも相当偏差値の低い顔をしているが・・・
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2012年07月02日

月曜日の調整報告 【 Montblanc No.264 14C-EF 書き味最低・・・ 】

1今回の依頼品は1950年代のMontblanc No.264。当時は最高峰にNo.14Xシリーズ、そしてNo.24Xシリーズ、No.25Xシリーズと続き、No.26Xは4番目のラインだった。
このあとにはNo.34Xやモンテローザがある。
非常に評価が高い1950年代のMontblancではあるが、No.14Xはテレスコープの故障、No.25Xはキャップクラック、No.24Xは天冠陥没、No.34Xはクリップの鍍金剥がれなどトラブルの宝庫でもある。その中でシンプルな機構のNo.26Xは比較的トラブルが少ないように思われる。

2書き味の向上ということで持ち込まれた個体ではあるが、ペン芯にはカリカリに乾燥した赤インクがこびり付いている。これは水で洗ってもロットリング洗浄液に浸けても取れなかった。
赤インクはインク窓を染めてしまう危険性が有り、出来れば回避した方が良いインクではあるが、Vintageの赤インクはさらに面倒なものであるようじゃ。

3まずは汚れに汚れたペン先を外し、綺麗に洗浄した後で金磨き布で磨いた。
さらにガチガチに詰まっていたスリットをわずかに拡げてみた。しかし書き味は一向に向上せず!どうやらインクフロー不足で書き味が悪いだけでは無く、研ぎの問題じゃな。
Vintageは出来るだけ研がないのが最近の拙者の調整方法だが、ここまで書き味が悪くては調整せざるをえまい。

4ペン芯はボーグルーペを装着し、歯科医用のメスで赤インクによる汚れを少しずつ剥がしていった。最後に爪ブラシでゴシゴシと擦って削りカスを除去したのが左画像。
こういう清掃作業は、大人数が待ち行列を作っているメーカーペンクリなどでは不可能。せいぜい超音波洗浄機にかけるのが精一杯。
でも 超音波洗浄機ではこの赤インクの汚れは落とせない。自分で分解や再アセンブルくらいは出来るようになると、萬年筆ライフははるかにここち良いものとなる。
不安なら遠慮無く萬年筆研究会【WAGNER】にお持ち込み下され。 

56左が調整前、右が調整後の上から見た画像。少しペン先を首軸に押し込んでいるのがわかるかな?
左の状態では少し筆圧をかけるとペン先がぐらつく危険がある。
赤インクで固定されている状態なら問題はないが、赤インクのカスを取り除くと多少緩くなるので、少し押し込んで動かないようにしておいた。

78こちらは上から見たペン先先端部の形状変化。同じく左が調整前で、右が調整後。
実はペンポイント先端部が正面から見て斜めに研がれていたので、それを修正すべく先端部を少し削り落とした。
その後でペンポイントの形状を整え、スイートスポットを削り込んでから15000番のラッピングフィルムでエッジを丸めた。

910こちらが横顔。ペン先はペン芯から少し前進している。これによって多少当たりは柔らかくなる。
また赤インクの痕跡が見事に除去されているのがわかるかな?
エボナイトを削る職人さんから【作業時間の半分以上は刃物を研いでいる時間】と聞いたことがある。
ペン先調整も本気でやれば、作業時間の大半は清掃作業なのじゃ。もちろん自分の手を綺麗に洗っている時間も含めてのことだが。


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
  
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2012年06月29日

金曜日の調整報告 【 Pelikan M800 青縞 14C-BB DEROSA Special 】

1今回の依頼品はPelikan M800の旧型モデル。天冠と尻軸が初代のモデル。今見てもM800にはこの天冠が似合う。
拙者の趣味から言えば、M800のゴールドトリム系には、この旧型天冠+旧型尻軸がもっとも格好良い!

M805に関しては複雑で、黒軸ならシルバーのプリント天冠が見合うし、青縞に関しては現行のシルバー天冠が似合うと思う。トレドM900はプリント天冠以外なら何でも好き。

23今回のモデルには14C-BBのペン先が付いている。キャップの刻印はW.- Germanyではなく、Germanyなので、ペン先だけ後で交換したものと思われる。
依頼人は、この状態の組み合わせで中古萬年筆店から購入されたらしい。
ペン先とペン芯の位置関係、首軸から前に出ているペン先の量とも、拙者の好みと100%一致しているので、拙者が調整した物が流れた物かも?という期待を持ったのだが・・・

45ペンポイントの調整の癖が拙者とは違うのに加えて、ペン芯をソケットに挿す位置が拙者と180度違っていた。
拙者は通常はソケット穴の浅い方にペン芯の突起を合わせて押し込むのだが、今回のものは深い方に押し込んであった。

また横顔のペンポイント斜面にくっきりと研いだ痕が残っている。拙者ならわからないように丸めているはずじゃ。よって自身の調整ではないとの結論。少し残念!

6ペン先は多少汚れていたのと、ペン芯から外すとスリットが密着した状態になった。これが多少インクフローが悪い原因じゃな。
下のように、綺麗に清掃し、スリットを少しだけ開いて再度装填した。この画像を見ていると、ペン先もたまには分解清掃をしてあげなければな・・・と感じてしまう。
清掃後の美しさは半端ではない!また切り割りもちゃんと真ん中を通っている。
最近のペン先社内生産、丸研ぎ化、スリットズレ・・・などと考えていくと、ペン先外注してたときの方がペン先は綺麗だったなぁ・・・と考えてしまう。
書き味はともかく、見栄えは14Cの頃、そして18C-PFや18C-ENの時代の方が良かったのは事実じゃ。

7Pelikan M800の秀逸な書き味を支えるのが、このペン芯。根元の下側にゴミのような黒い部分があるが、ここが材料を噴出注入する場所。
シュっと一吹きで、この複雑なペン芯が一瞬で出来上がるのじゃ。ああ、工場見学したいなぁ・・・
このペン芯はセーラーのペン芯(左右非対称)とは違って、左右対称。回転吸入式専用なので、ペン芯後部にカートリッジに突っ込むための細管がない。
そのため、空気流入にそれほど気を使わないでも呼吸困難になるリスクは少ないのかもしれない。
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2012年06月27日

水曜日の調整報告 【 Pelikan 400NN 茶縞 インク漏れ・・・ 】

1今回の依頼品はPelikan 400NN 茶縞。400NNで数が多いのは緑縞と茶縞だが、ひょっとすると茶縞の方が多かったのか?と思うほど茶縞に出会う確率が高い。
茶縞と緑縞を比べると、キャップや尻軸も茶色な分だけ、茶縞の方が好ましいと思える。
もし緑縞モデルのキャップと尻軸が緑の物があれば魅力的だなぁ。ひょっとするとあったのかもしれないが・・・ あれは400だったかな?

症状としては;
 ・つまりやすい
 ・引っ掛かる
 ・尻軸からインクが漏れる

というもの。

2345ペン先のスリットは多少詰まっているがインクフローにはさほど問題は無い。
ただ画像ではわからないがペン先とペン芯との間に隙間がある。その隙間をなくせば、インク途切れが収まるので、つまりやすいという症状は治るであろう。
つまりやすいのではなく、インク途切れが、正しい症状表現であろう!

6ペン先の引っ掛かりは、この拡大画像を見て分かった。
エッジの処理が甘いので、段差があるうえに、先端部でも腹でも多少引っ掛かる。
こちらは、1200番、2500番の耐水ペーパーで研磨した後で、秘密のペーパーで仕上げ。
それによってインクフローも書き味も格段に向上した!

ただしペン先とペン芯をHoldする力が弱い。オリジナルのエボナイト製ソケットを数個取っ替え引っ替え付け替えてみたが、全てが緩い!
そこで現行品のソケットに交換してやっと緩いのが収まった。ねじ穴は互換製はあるが、径は現行品の方がわずかに狭いらしい。大成功!
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2012年06月25日

月曜日の調整報告 【 Sheaffer Snorkel 14K-XF 点検! 】

1今回の依頼品は生贄ではなく点検。入手したものの、使用前に問題点がないかどうか確認して・・・というもの。ついでに少しだけ書き味も見て欲しい・・・ちゅう程度。
こういう軽い作業は通常は萬年筆研究会【WAGNER】会場内で行うのだが、依頼人が急いでいたのか、拙者にやる気が失せていたのかわからないが、預かりとなったらしい。

最近持ち込まれるスノーケルは、ズタボロのものが多かったのだが、久方ぶりの美品。スノーケルは、そもそも設計段階で失敗している。
水分まみれになるのがわかりきっている萬年筆に錆びやすい鉄製部品を使うのは言語道断のはず。しかもデザイン重視でインク保持量があまりに少ない。

eBayが登場するまで、Sheafferのスノーケルといえば、珍品中の珍品だった。金に糸目は付けないといっても、出会う機会すらほとんどなかった。当時はユーロボックスも知らなかったしな・・・

eBayで最初に見つけたとき、その安さに目を疑った。日本で35,000円したMint品が数十ドルで売られていた!まだ、ぴーひゃらら〜の9600bpiの通信速度のころ。
玉石金剛でおもしろい時代だった。ずいぶんと授業料は払った気がするが・・・

23ペン先はわずかに開いており、インクフローは良さそうだが、ずいぶんと強くスリットをこじ開けた痕跡がある。
またスキャナー画像の色変化から、ずいぶんとペン先が上に反っているように思われる。

45横顔を見てみると、こりゃまたずいぶんと海老ぞりのペン先じゃ!これほど反った物にはめっったに出会えない。
といって書き味が良いわけでもない。画像を見ただけでは想像も出来ないが、ガリガリと紙を削るような酷い書き味。

6正面からペン先を眺めてみると、なんと円盤研ぎ。しかも円盤の両端の幅が狭くなっているのでエッジが立っている。まるで紙を削る目的で研がれたようなペンポイント!
よく見ると、向かって左側のペンポイントの方が背が高い。柔らかいペン先だと紙に下ろした段階で底辺の高さは揃うが、これほど肉厚のペンポイントでは微修正されることはない。
一般的に米国メーカーは極細用のペンポイントを作るのが苦手・・・というかあまり需要が無いのかもしれない。筆記体を書くにはM程度が一番書きやすいからなぁ。
いずれにせよ見栄えもあるのでペンポイントの高さも揃えておこう。細字調整にはタコスペ・超不細工が最適なのだが、海老ぞりペンポイントには適用できないのが残念!

7最も錆びやすいバネはほとんど無傷。珍しいほど状態が良い。またスノーケル管にも問題はなく、また中のゴムサックも生きている。
実はスノーケル用のゴムサックを使い果たしているので、現在ではスノーケルの修理は受け付けていない。この個体はサックが生きていたので引き受けたのじゃ。

8こちらがそれ以外の部品をチェックしたもの。胴軸内のOリングが硬化していたが、吸入はなんとか出来ていた。これはOリングにシリコングリースを塗りまくって延命措置をしていたから。
これではいずれ吸入が弱くなるので、Oリングを交換することにした。

09左が交換用の黒いOリングで、右が本体に入っていたオリジナルのOリング。既に50年ほど経過しているので弾力は皆無に近い。ごくろうさん!と声をかけて交換した。
白いOリングの切れ目は外すときに切れたもの。針で押し、ピンセットで引っぱる際に切れた!やはり相当に脆くなっている。
人間も50歳近くなるとあちこちの油が切れるが、このOリングを見ているとなるほどな・・・と納得させられる。
ゴム製リングという単純なものでも劣化するのだから、日常的に酷使されている人間の体にガタが来るのは当然じゃ!
木曜日に会った68歳の友人(男性)は、週に4日間エアロビをし、1日は筋トレしているとか。心臓手術から生還して1年ほどでこの元気!やはり団塊の世代は強い!
平日のジムは年配者が多く、カレも先輩の大勢の女性陣(70歳代)に【イタちゃん】と呼ばれてかわいがられているらしい。
運動嫌いの拙者には、そういうモテかたは期待できないので、何か他の方法を考えねば・・・
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2012年06月22日

金曜日の調整報告 【 Parker 75 赤漆 14K-F 生贄 】

1本日の依頼品はParker 75のかなり終盤のモデル。ペン芯が変更になる直前のものかな?このあと、デザイン上の大きな変化があり、首軸先端部の金属リングの幅が極端に細くなり、またペン芯の形状が大幅に変化したので、同じParker 75といっても、ペン先の互換性はなくなってしまった。
不具合に対する改良と、コストカットの両方を達成するための変更だったのだろうが、どうもなじめなかったなぁ。
このモデルも、それ以前のモデルと比べると、金一色で装飾のない首軸のリングが相当に違和感を覚える。これが最初に市場に投入されたとき、【またぶっさいくなデザインにしたなぁ〜】と呆れたものだった。

書き味含めて【どうにでもして〜】という生贄扱いだが、今回は途中で本気で【ぶっ壊そうか!】と何度も考えたほど手こずった。

23ペン先は仏蘭西製の14金ペン先。仏蘭西製ニブとしては、後続のプリミアの18金ペン先が好きなのだが、今回のモデルは、ペン芯がプリミアと同じもの。これにはビックリした。
Parker 75のペン芯は表面がツルっとしており、プリミアのペン芯は表面が凸凹加工されているが、今回のペン芯はその凸凹加工付きで14金ペン先。
手持ちのParker 75のペン先で仏蘭西製のものを確認したところ、凸凹加工付きとツルっとしたものが混在していたが、凸凹加工付きの方が比率は低かった。
どうやら明確な意図があるわけではなく、順次入れ換えていったので、プリミアのころには全てが凸凹加工付き担っていたというだけなのだろう。
おかげで凸凹加工のペン芯だったらプリミア用と思い込んでいたのが間違いだと気付かされた。自分で発見したり、仲間に指摘されたりしながら、少しづつ真実に近づいていくのはうれしい。

45一見するとペン先に多少段差がある・・・程度の不具合しか見つけられなかったが、このペン先は酷かった。
今までに出会った全てのParker 75のペン先の中でも、最悪中の最悪。調整途中で何度も発狂しそうになった。
何が問題化と言えば、ペン先の寄りが強すぎること。そのためにインクがほとんど出てこない。そこで以前にもペン先のスリットを力ずくで開こうとした痕跡もあるが、ビクともしなかったはずじゃ。

6もうひとつは、コンバーターが古いこと。この個体には真ん中のコンバーターが付いていた。これは古い時代のParker 75についていたもの。
プリミアの時代には一番上の回転式のコンバーターに変わった。そして通常のParker 75に使われていたのが一番下のもの。先端部の形状は上と中が似ているように思われる。
事実、拙者も先日まではそう考えていた。しかし・・・

7各コンバーターの内径画像を見て気付いた。一番左が回転式、真ん中が今回のコンバーターで、右端がParker 75の標準コンバーター。
真ん中のコンバーターは内径が大きい。内径が大きくて先端部が短ければインク漏れのリスクは高い。
それもあってParker 75の後期コンバーターは先端部を長くし、内径も小さくしたのであろうか?
あるいは、カートリッジの押し込みに力がいる!という苦情があり、首軸内のカートリッジに押し込む筒状の部分の径を小さくしたのかもしれない。
それによるインク漏れのリスクを回避するために、コンバーターの内径を小さくしたのかもしれない。同様の事をプラチナは2008年前後にやったはずだしな。

8スリットを開くにはペン先をペン芯から外さなければならない。通常はヒートガンで1分ほど熱すればスポっと抜ける。
ところが今回はペン芯が溶けるのではないかというほど熱してもビクともしない!途中で何度もペン芯を燃やしてペン先を取り出そうと考えたほど・・・
なんとか外せた時には、ヒートガンがオーバーヒートしそうになっていた。接着剤の痕跡がまったくないのに、これほどの力でペン芯とペン先が密着していたとは驚きじゃ。
この時点で危険を察知し、調整をやめていればどんなに精神衛生上良かったことだろう・・・少なくともこのあとの数時間で、脳の毛細血管が怒りのために何本かは切れたはずじゃ。
友人に【今日は歩幅が狭いなぁ】・・・と言われたが、それはおそらく多発性脳梗塞の仕業で、その原因は紛れもなくこのペン先じゃ!(笑
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Posted by pelikan_1931 at 09:30Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年06月20日

水曜日の調整報告 【 Pelikan M700 トレド 18C-B】

1本日の依頼品はPelikan #700 トレドの First Model。もちろん 西独逸時代のものだ。これの第二世代物には尻軸にW.-GERMANYの刻印があるが、初代モデルは#500と同じ尻軸で、刻印もなければ金リングも無い。現行品では同じ尻軸はなく、前世代のM200の鍍金ペンが同じ尻軸を使っている。

それにしてもいい按配に銀の部分もバーメイルの部分も硫化している。純金は硫化して変色はしないものだが、純金でなければたいていは銀が混ざっている。その銀の成分が硫化するものと思われる。 

23 ペン先は18C-Mで非常に柔らかい。初代#600と同じペン先だが、kugel_149さんをして【これは淫らな書き味だなぁ】と言わしめたヘロヘロに柔らかい書き味!
ただ、柔らかすぎてペン先が開いたまま戻らない・・・という事故が多発したせいか、#600ではしばらくすると14Cのペン先になり硬くなった。ただこの#700ドレドだけはその格もあってか、しばらくはヘロヘロニブ付きのまま販売されていたように思う。

45試筆してみてあまりの書き味の良さに感動していたら、拙者が調整を施したものだった。まだスイートスポットの丸め方が雑だが、この方が少し筆記時の摩擦音が強く、拙者の好みではある。もちろん左から右へ素早く線を引くと、ピーピーと華麗なる筆記音を出してインクを飛び散らせる。もはや#700の頂点に君臨すべき書き味!

6胴軸後端の番号は、1/J 36となっている。#700トレドでは、/ の前の数字は、【J 36】という彫り師が彫った本数を表していると噂されていた。真偽のほどは定かではないが、数字が小さいほど彫りが下手なのでその噂にも信憑性が出てきたのじゃ。もっとも1213 / X XX なんていう4桁の数字には出会わない割には、製造本数が莫大なので、どうやらこの噂は眉唾だと考えている。

7次の記事で噂されたいた幻の ==>   【仲間由紀恵】トレド がこれ! 実に眼がカワイイ!
ペン!ペン!ペン!ファウンテンペン!】の49頁に当時のトレドの彫りがいくつか紹介されているが、この#700を彫った彫り師は、上段右と、中断左と同じだと思われる。ただそれらと比べると彫りに失敗している部分もいくつかあるので、最初の彫り・・・という噂もあながち否定は出来ない。

89ペントレでkiyomiさんに試筆してもらった時に、尻軸からインクが噴き出して、不具合が発覚したらしい。
ひどいわ!ひどいわ!あたしの手がインクで汚れたわ!お仕置きにこの萬年筆はもらっとくわね!】と以前のkiyomiさんならおっしゃったであろうが、綺麗な娘さんを連れていらっしゃったので、出かかった声を飲み込んだのであろう。

インクが噴き出した原因は長い間使わないでインクがカチカチに固まったあと、軸内洗浄が不十分なままインクを吸入して使い始めたから。これによってツブツブのインク粒がピストン弁を右側画像のように摩耗させ、インクをピストン弁から後ろに送り込む。その送り込まれたインクがピストン機構と胴軸の隙間に入って固まり、ピストン機構を胴軸に密着させると同時に、溢れたインクが尻軸から出てくるようになる。

こうなると、ピストン機構を壊して修理するしかない。幸いにして海外ではM200のOld Modelはまだ手に入るので、それを入手し、尻軸、ピストン軸、弁などを再利用して復活させるのじゃ。
それにしても今回のピストン機構と胴軸の密着度合いはすごかった。Pelikan 400NNを外す装置も役に立たず!しかたなく部品を壊しながらやっとのことで外せた。
修理は、独逸からM200 Old Modelの本体が届いてからとなる。  続きを読む
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2012年06月18日

月曜日の調整報告 【 Sailor 島桑 21K-M さらなる挑戦! 】

1今回の依頼品はセーラーの島桑。拙者が現在最も使用頻度が高い萬年筆じゃ。これは不思議な萬年筆で、いろんな方に使っていただいて調整を乱してもらい、その度に微調整を繰り返していると、すばらしい書き味になっていく。

以前絶妙に調整した島桑を持っていたのだが、4月のペントレでお嫁に行ってしまい、後任の島桑を調教中!既に手を入れる余地が無いほどに完成度が高まっていた。
それを大宮大会で試筆してもらっていたところ、関西からの客人がその書き味に驚いて、自分の島桑を差し出し、これも調整して欲しい!と・・・

23で、ペン先を確認してみると、絶妙に調整されている。かなりペンを立て、筆圧も高い方なのだが、その筆記角度に合わせて見事に調整されている。
なんで調整が必要なの?と聞いてみると・・・
【実はまったく不満を感じていなかったのだが、ここの島桑を書いてみて、ビビビと来たので、まだ良くなる可能性があると思うので、なんとかして!】とのこと。

4こちらが横顔なのだが、本当に見事に筆記角度に合わせてある。拙者は依頼人の萬年筆を何十本も調整しているので、筆記してもらわなくても調整出来るが、これほど的確な角度は割り出せないだろう。おそらくはプロのなせる技であろうが、一瞬でこの角度を見つけるとはさすが!なんというか調整している本数の差はいかんともしがたいなぁ・・・と感じた。

5では、この筆記角度が最適な依頼者が、ビビビと来た拙者の島桑の調整はどうか?
左画像上が、この島桑のペンポイントで、下が拙者の島桑のペンポイント。数十人の試筆を経て追い込んだ調整になっている。
拙者が筆記すれば、当然下の方が書き味は良い。ただし依頼者に対して下のような角度で調整したものをお渡ししても、すぐに調整が狂ってしまい、さらに微調整の迷路に迷い込んでしまうであろう。

調整は筆記角度に合わせた状態で調整しなければならない!上の状態のペンポイントををさらに書き味良くするには、スリットを多少開いてインクフローをあげ、ペンポイント表面を細かいペーパーで磨き込むだけ。
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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年06月15日

金曜日の調整報告 【 Pelikan Blue 'o Blue タコスペ・コレドM改造希望だが・・・ 】

1今回の調整依頼は新品のPelikan Blue 'o Blue。書いてみると、こりゃまたインクが出ませんなぁ・・・というなんとも泣けてくる書き味。依頼主は調整の方向性に悩んで【タコスペ・コレドM】との要望であると見た。
正式な【タコスペ・コレドM】 は、通常のMよりも柔らかくなり、インクフロー少なく、縦細・横極細、裏書き滑らかというものだが、いずれもが雛が一匹になってからの丸研ぎペンポイント対策。

23従って雛が2匹の時代のペン先には必要ない研ぎなのじゃ。実際にこの個体を確認してみると、ペンポイントは丸研ぎではあるが、最近のペンポイントの付き方とは明らかに違う。大きさがそろっており、スリット位置のズレも小さい。最近のMでは、ペンポイントの形状が左右で違う物も多い。かならず店頭でペンポイントをルーペで確認してから購入した方が良い。

45こちらは横顔。驚くほど端正な形状をしている。調整前でこれほど綺麗な形状の物にはなかなか出会えない。

そこで今回は【タコスペ・コレドM】ではなく、【タコスペ・超不細工】を縦太横細にアレンジすることにした。もちろんひっくり返して書けば中字のヌラヌラという 【タコスペ・コレドM】の特徴も残す。

6あまりにもスリットが詰まっていたのでペン先とペン芯を分離し、スリットを拡げた状態が左画像。
Pelikanの18金ペン先素材は粘りが少ないので、クイっと力を入れればすぐにスリットが開く。
これは調整師にとってはありがたいが、ペンを立てて書き、筆圧が高い人には厳しい!書く度に書き味が変わってしまう。
萬年筆で気持ちよく書くには、インクフローの良いペン先にスイートスポットを作り、ペンを寝かせて持ち、筆圧をかけないでササササーとゴキブリ逃げ回るときのようにペンを軽く走らせることじゃ。

この時点ではペンポイントは丸い状態のままだが、これから削り込んでいく。

7まずはペンポイントの腹の部分を研磨して落とす。これには4儚僂離乾爛屮蹈奪の端に1200番の耐水ペーパーを貼り付け、そこにペン先先端部を机と並行に擦りつけてペンポイントの腹を落とす。
ある程度落ちたら、同じペーパーを手に持って円弧を描くように外側のエッジを丸める。
この段階で真横から見るとペンポイントは直方体に近い形状になっている。

8次に背中部分を曲率の大きな円形にに研磨する。ここの作業は実際に見て貰わないと口では難しい。
どうしても知りたい方は生贄持参で調整を申し込んで下され。人をそそのかして目的を達成するのも可です!萬年筆研究会【WAGNER】会場内は仁義無き背押合戦ですから・・・
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Posted by pelikan_1931 at 12:30Comments(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年06月13日

水曜日の調整報告 【 Pelikan 白亀 14C-EF タコスペ・超不細工もどき 】

1本日の素材は拙者のM600 白亀じゃ。M600系はかなりの確率でキャップが尻軸に挿さらないので敬遠していたのだが、胴軸の一番尻軸寄りを少し削れば問題なし!ということを発見してからM600にも抵抗がなくなったのだが・・・それ以降、キャップが 挿さらないブツに出会わないのが残念!
青縞軸、黒軸には金属部分が銀色のM605が用意されているが、他の軸色には銀パーツのモデルは存在しない。
たしかに緑縞には似合わないだろうが、赤縞には似合うような気がする。
絶対似合わないのが白亀で、これは金色パーツだけで良い。今年中に発売されると噂されているM800の茶縞も銀色パーツは似合いそうもない。
先日にアンケートではM710とM700とでは銀色パーツのM710の方が支持が多かったので、赤縞のM800も発売して欲しいなぁ・・・と考えていて、それはパーツ交換すれば可能なことに気がついた。
ただ、首軸先端部の金属には鍍金しないといけないがな。

23このM600に付いていたペン先はペンポイントが丸研ぎになって以降のEF。従ってペンポイントは真ん丸でかなり大きい。
ただしM800によくある左右があまりに形状が異なるものではなく、ちゃんとペンポイントは中央部に切り割りがある。
またその切り割りはペン先刻印の模様の中間を走っている。極めて稀な(といってはPelikanにしかられるかもしれないが)当たり
ペン先とペン芯との位置関係も最適!・・・と悦に入っていたが、先日位置揃えをしたことを思い出した。最近とみに忘れっぽい。もう長くないかも・・・

45前回は位置関係を直しただけで研磨は行っていない。従ってかなり古典的な紙当たりの感触がある。
ペン先を前から見ると少しだけ段差がある。その段差は一瞬で直せるのだが、問題はこちら・・・

6ペン先が背開きであること。M400のような比較的小さなペン先を、径の小さなペン芯に乗せてソケットで固定する方式の場合、強く固定しようとしてソケットの奥までペン先を押し込むと、背開きになってしまう。しかもこうやって出来た背開きは直せない。ペン先をソケットに入れる量を減らすしかない。
太字のペン先であれば、低筆圧で書くのでソケットに入る量が少なくても問題はないが、EFではどうしてもペンを立て気味にして書くので、ソケットにしっかりと固定しておかないとペン先とペン芯がズレてしまう。
しかし、背開きのままでは書き味がコリコリする・・・これを解消するのが、タコスペ・超不細工加工。背開きの方が裏書き時に書き味が良いので背開き大歓迎なのじゃ。

78こちらが最近入手した加工器具を使って研磨したペン先。
ペン先とペン芯の位置は変えないで、スリットを開き、ペン先をお辞儀させても先端部が開いている状態にしてインクフローを稼いでいる。
ただしペンポイントの横はかなり研磨したため、字幅は狭くなる。さらに横細の字幅にするためにペンポイントの背中側を研磨して落としている。

9従って真横から見ると、なんとも変な形状になっている。これがタコスペ・超不細工の言われなのだが、書き味は文句なし。
特に極細であってもStubに近い字形を求めるなら、 タコスペ・超不細工は最適な研ぎになる。別名【鈍細美(にぶ・さいび)】 鋭敏な細美研ぎの腹を丸めたような形状かな?
今回は相手がM600系ということもあり、 タコスペ・超不細工というよりも タコスペ・超不細工もどきとでも言った方がよかろう。純正よりも腹の丸めがやや大きくなってしまった。

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2012年06月11日

月曜日の調整報告 【 Sailor プロフィット21銀 細美研ぎ 曲がった! 】

1今回の生贄はセーラーの細美研ぎ。これまでに何度か調整では出会っているが、いまだ購入するには至っていない。元々が超極太好きゆえ、細字を使う事がほとんどないし、手帳にメモする事もない。
ただし、最近では実用とは関係なく細字の研ぎに凝っており、その過程では当然細美研ぎは参考にしている。幾多の記事に紹介されていたり、ご本人から直接お話しをうかがったりしているので、出来上がったきっかけは理解しているつもり。
ペンクリ現場で苦し紛れに出来上がった?のかもしれないが、この研ぎは画期的!
それまでの細字化は、ペンポイントを小さくするか、ペンポイントの幅を小さくして円弧の接点だけが紙に当たるようにする(円盤研ぎ)かの二通りしか無かった。
それをペンポイントの背中側を削って接紙面積を狭くしたのが細美研ぎ。研ぎの意図を理解した時、まさに【しゃっぽを脱いだ】。この細美研ぎ(超極細)を極細程度にし、マイルド感を出したのが、【タコスペ・超不細工】であり、【タコスペ・コレドM】なのじゃ。
細美研ぎを応用することによって、極細でジャスピン(ピントがピッタリと合った)な書き心地が実現できる。
また極細Stubなどへの応用も可能な、奥が深い研ぎと言えよう。もっともチャーチャーが無いとものすごく時間がかかる研ぎであるが・・・

23その細美研ぎの先端部が落下によって曲がってしまったというのが、今回の生贄の症状。これが金一色で24金鍍金も施していないペン先なら大胆な方式を適用できる。
ヤットコで伸ばし、掴んだ際の傷はペーパーで磨いたあとで金磨き布でバフかけ。ところがプラチナ鍍金の場合はそうはいかない。
ペーパーで磨くと地の金が出てくるので、そーっと竹製割り箸で押す程度しか出来ないのじゃ。出来る事ならやりたくないのがペン先に鍍金が施されたペン先!

45こちらは横顔。落下による左右の衝突によってペン先がペン芯から浮いている。しかしこれは右側の曲がったペン先先端部が左側のペン先に衝突し、逃げ場が無くなって上に反っているだけで、物理的に変形しているのではない。従って衝突状態を元に戻せば反りは解消される。
このオリジナルの細美研ぎのペンポイント先端部の形状を記憶しておいてほしい。生贄なので細美研ぎほどは細い線幅にはならないが、書き味はマイルドな、【タコスペ・超不細工】風な研ぎをくわえてみることにする。

6左右の衝突を、ペン先を段差状態にして逃がしたのが左の画像。この曲がりを元に戻せばペン先の浮きも解消できる。
まずはペン先のスリットにスキマゲージの0.1个鮑更み、曲がった側の外側から割り箸で軽く押す。その際、ペン先が5儚僂離乾爛屮蹈奪のコーナーからわずかに内側に入った位置に置いて割り箸でスキマゲージに押しつけるようにする。21金は柔いのですぐに曲がる。そーっと押すだけで良い。今回は1回押しただけで真っ直ぐになった。

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2012年06月08日

金曜日の調整報告 【 Wahl Gold Seal ブラック&パール 14K Flexible-B インクボタ落ち 】

1今回の依頼品はWahlのVingate品。拙者も数回しかお目にかかった事がない。しかもFlexibleニブというのは初めてかな?萬年筆関係の書籍や図鑑では良く見かけるが、日本で本物を見ることは稀。依頼者もeBayで米国人から入手したらしい。時期は2002年ということなので10年前。購入当初から筆記途中のインクのぼた落ちがあり、その時は修理に出して直っていたのだが、最近またぼた落ちが再発したらしい。
こういう場合はほとんどが、サックの弾力低下による物。修理は簡単と想像していたのだが・・・・

23ペン先は米国製のVintageにありがちな研磨方法。ニブの背中側をかなり研磨するのが特徴。なぜそこまで研磨するのかの理由は不明。ひっくり返して細字を書く・・・というのを推奨しているわけでもあるまい。
ペン先はかなり前に出ているような気がする。この状態では多少ペン先が緩い感じもするが、依頼者は筆圧が低く捻って書くわけでも無いので、この位置を正としよう。何よりペン先が最も美しく見える位置なのでな。

4こちらは横顔。この画像では左右の段差があるように見えるが、これは寄りが強くてペンポイントが合わさった時の位置で止まっているだけ。合わさる位置は左右逆になることもある。
多少気持ちが悪いので寄りを弱くして左右の段差が出ないようにスリットをすこしだけ開いておこう。

5こちらがペン先の全体画像。感想は・・・でかい!
当時の米国の裕福さを象徴するような立派な金ペンじゃ。正式名称はWahl Eversharp Gold Seal で、14K Flexsibleのペン先が付いている。どうやらペンポイントの太さは刻印されていないらしい。

6首軸を引っぱると軽い力ですぐに抜けた。おやおやサックはまだ健在だな。弾力も弱くはなっているが、裂け目などは出来ていない。ゴムサックに粉をまぶした痕跡もあるので、完璧な修理技術を持つプロによって修理されたのは間違いない。

7ただ、このペン芯の能力に比して、サックが多少太くて大きすぎるように思うので、一回り細めのサックを少し短めに切断して取り付けることにした。
それで一丁上がりと思ったのだが・・・もう一工夫必要な事がペン芯を見てわかった。

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2012年06月06日

水曜日の調整報告 【 Pelikan M800 14C-F インクが出ない 】

1久しぶりに14Cのペン先のついたM800に出会った。自分でも14C付きは持っているのだが、Mと3BとO3Bのみで、14C-Fのニブには初遭遇かもしれない。
14C付きニブは柔らかい・・・と言われるが、それは現行のお辞儀ニブと比べての話であって同じ時代に作られた18Cのpf付きニブと比べると差は感じられない。個体差はあるかもしれないが。もっといえば20Cのペン先とも差は感じられない。

高筆圧に柔軟に対応するなら14金ペン先のほうが良いはずなのだが、顧客に対して金の含有量で高付加価値(≒高利益)を納得させる戦略だ。それはかまわないのだが、金の含有量が多いほど柔らかくて書き味が良い・・・と説明している販売員の方を見かけると、ちゃんとした教育をして欲しいなぁと残念に思う。

今回の依頼内容はインクが出ない(インクフローが悪い)ということだったが、そのほかに、尻軸がキッチリと固定されない、書き味がガサツという問題もあるので、そちらも解消しておこう。

23多少ペン芯が前によっているのと、ペン芯が詰まっているのが気になる。しかしインクが出ないというほど酷くはない・・・
と考えてペン芯とペン先を分離してみて理由がわかった。ペン芯に黒インクの滓がびっしりと詰まってインクが流れにくい状態!
そちらはロットリング洗浄液とアスコルビン酸水溶液に浸して洗浄したらウソのように綺麗になった。

45こちらは横顔。画像では良くわからないが、ペン先とペン芯がごくわずか離れている。またペンポイントの表面がかなりガサツで、紙当たりが上品ではない。カリカリとエッジが引っ掛かったりはしないのだが、ペンポイントの表面が荒れているのか、ジョリジョリという筆記音を出す。このジョリジョリは10分足らずで解消できる。

6一番の問題は尻軸を力いっぱい閉めても、完全に締め切れず、すぐに緩んでしまうこと。工場出荷段階ではありえない現象なので、市場に出てから誰かがピストンを外して締める際に失敗したのだと思われる。実際、何度か尻軸を外した痕跡が残っているしな。
画像の上が微調整前、下が微調整後じゃ。したの方がピストンが少しだけ前に出ているのがわかるであろう。このコンマ何个で使い勝手が大きく異なるのじゃ。

7こちらはペン先の単体画像。ペン先のスリットは拡げてあるが、ペン先研磨はまだ行っていない段階。いつもながら美しさに感動じゃ!とくに、現行品と違い、コストカット穴の無い時代のペン先は美しい!しかも・・・ハート穴の中央に切り割りがきていないのがほほえましい。
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2012年06月04日

月曜日の調整報告 【 1950年代 Montblanc No.144・G 14K-BB ハイテク弁への交換 】

12今回の依頼品は1950年代のMontblanc No.144じゃ。ずっと以前の記事を読んでいたら、当時好きだったNo.14Xは、No.142、No.146、No.144、No.149の順番だったらしい。もちろん1950年代に限っての順番。それが今では、No.144が一番で、二番がNo.146となった。

1950年代の萬年筆は修理しやすさが一番大事で書き味等は二の次。そうなると修理しやすさと書き味のバランスが良いNo.144が消去法的に一番になる。実際、1950年代のモデルを1本だけ選べと言われたら、No.144が一番!二番はおそらくはNo.256。

ともあれ、今回の依頼内容は今までと全く違う。

34ペン先はかなりひっかかる。左右の研磨ムラとでも言うべき段差が出来ている。柔らかいペン先にはたまに見受けられる。
もちろん出荷時からあるものではなく、市場のどこかで修理人が研磨した際に出来たと思われる。電動式の研磨機を使う場合、ペン先に弾力があると発生しやすい。特に斜めに研磨機にあてたのに気付かないと左右のペンポイントの厚さを変えてしまう。海外の調整人にありがちな失敗じゃ。

この個体のペンポイントは多少寄りが強いのと、ペン先が前に出すぎているせいか、ペン先の固定が弱い。強筆圧の人が書いたらペン芯とペン先がずれてしまう可能性もあるので、少し首軸に押し込んでおこう。

5ペンポイントはかなり斜めに研磨されており、寝かせて書くとカリカリとものすごい筆記音をあげる。かなり立てて書くように調整されているらしい。特にペンポイントの腹の一番おいしい箇所が尖っていて段差もあるのでこのままでは筆記が楽しくあるまい。
しかし依頼人の本来の意図は別のところにあった。No.144のピストンの弁を特殊な樹脂製のものに変えられないかというのが今回の真の狙い。書き味改善はおかずのようなもの・・・

6左画像の右下が今回の個体に付いていたコルク製の弁。まだ新しくインク漏れを心配するほど交換してから時間は経過していない。
しかし依頼人はこれを自作の特殊樹脂製の弁(右上)と交換したいということじゃ。実は、数年前、依頼人はNo.142とNo.144、No.146の内径に適合しそうな弁を職人さんに依頼して作成した。特殊な樹脂の板(自作)を職人さんにわたし、液体窒素で凍らせて削って作るという方式だったと記憶している。
アイデアは秀逸、素材も完璧だったのだが、拙者の手元に来てからの微調整が出来ない。液体窒素で固めないと、刃物やサンドペーパーがまったく効かないほど弾力がある樹脂!で当時は断念していた。

今回はその時の残りをやや加工されたものが持ち込まれたので、トライしてみることにした。もしこの大きさの弁が量産されれば、世界の1950年代コレクターは狂喜乱舞するであろう。弁の交換時に軸を割るリスクから解放されるのじゃ!

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2012年06月01日

金曜日の調整報告 【 OSMIA 984 14K-M 不快なザラツキ解消 】

1今回の依頼品は先日に引き続き、独逸マーナーブランドのOSMIA。今回は非常に数が市場に出ていたと思われる984というモデル。拙者もこれまでに5本以上は入手した記憶があるが、現在手元には一本も無い。
やはり安価な普及品は材料や工程に手抜きが見られ、当時の独逸の高級ラインと比べると1ランクは落ちる・・・ただし、書き味が落ちるわけではないところが魅力ではある。

23これまでに何人かの調整師や修理人の手を経由しているが、調子が良くなったり悪くなったり・・・を繰り返して拙者のところへ流れ着いたもの。
実は調整する人は、それぞれ好きな形状が異なり、それに従って調整するので、調整師を変えるとその度に方向性の違う調整となる。
従って一本の万年筆の調整師は、一度決めたら変えないのがベストじゃよ。

この画像からはスリットがかなり密着しているのがわかる。これによって書き出しの掠れが想定される。

45こちらは横顔。ペン先の位置やペン先とペン芯が離れるといった機構上のトラブルは発生していない。
ただペンポイントの形状がオリジナルに近い形状に研ぎ直されているため、スイートスポットが無い。従って依頼人の筆記角度では若干書きにくいと感じるであろう。

6書き味がザラザラする最大の原因はこちらの左右の段差。向かって左が下がっているので筆記時に持った手の右側から左下への線を書く時に、ガリガリと引っ掛かってしまう。
これは書き味をパーソナライズしようという研磨ではなく、発売当時の形状に戻しつつ書き味もそこそこに・・・といって研磨した状態から、調整戻りで段差が出来たのであろう。
ほんのちょっとしたデッパリなので、これだけ柔らかいペン先であれば、通常はペンポイントを紙に置いた段階で段差は解消するはず。にも関わらずガリガリと引っ掛かるのは・・・
おそらくは依頼人がペン先を紙に下ろしたときの状態でスイートスポットがないこと、また、その状態がたまたまペンポイントの最もおいしくない場所で有ったと想定される。
それならば対策は簡単でスイートスポットを入れれば問題は解消する。ただし、それに先だって、もう少しインクフローを稼げるような調整にしておこう。
インクフローが潤沢であれば、今後多少の段差が調整戻りで発生しても、その症状を著しく緩和してくれる。

7@08こちらが調整後のペン先、スリットはほんの少しだけ開き、ペンポイントは筆記角度の合わせて研磨した。いわゆるスイートスポットを依頼人の筆記角度に合わせて削り込んだ。
この結果、書き出しの掠れやガリガリ感は解消し、Vintageの独逸マイナーブランドらしい感触が復活した。


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
   
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2012年05月30日

水曜日の調整報告 【 Parker ソネット・ラック ファイアーダンス 18K-XF 生贄 】

1本日紹介するのは、生贄としてお預かりしたParker Sonnet。ペン先の柔らかさには誰でもが驚かされるが、それ以上に驚くのがペン先の乾きやすさ。はっきり言って萬年筆としては使えない代物。キャップを締めても外気が自由に出入りできるという画期的(?)な機構により、書き出しの色が異様に濃くなってしまう。また書き出せないことも多い。さらにはカートリッジのインクの減りが異常に早い・・・など

とはいえペン先の柔らかさの魅力には抗えないので、空気穴を全て埋めてしまうという荒技を施して使っていた。ペンケースに寝かせておく分には乾きはそれほどでもないが、キャップを上にして立てておくと書き出しでペンを折りたい衝動に駆られることも多かった。

現行のソネットはどうなんだろう?キャップを口にくわえて空気を吹き込むと、シューという音を立てて勢いよく天冠の隙間から空気が出て行けば改善はされていない。

23こちらがペン先の拡大画像。ペン先の金が薄いのでメチャクチャ柔らかい筆記感がある。店頭で試し書きした人は、もし萬年筆好きの店員さんに理由を説明した上で奨められたら高い確率で堕ちてしまうだろう。

この柔らかさを出すために製造工程を工夫したのか、コスト削減するために徹底的に工程を簡素化し、材料の金の量を減らしたらこうなったのかはわからない。全盛期のParkerなら当然前者なのだが・・・・

美しさに惹かれ、書き味で堕ち、乾燥に辟易・・・を繰り返しながら、買ったり手放したりを繰り返している。離婚7回のうち6回が同じ相手という藤圭子みたい(ちなみに高校生の時には守る会のメンバー)な存在かな?

45通常、ペン先はハート穴あたりからペンポイントの根元あたりまで徐々に肉厚になっていくものだが、ソネットの場合は付け根以外はほぼ均等な厚さ。また穂先が相対的にかなり長いので、ペンポイント近くまで柔らかいのが特徴。

柔らかいペン先といえば、ハート穴に近づくほど肉薄なので、シトロエンのサスペンションのように柔らかい。ふわんふわんという感じ。ところはハート穴付近はそれほど肉薄でもないが、先端部が薄く斜面も鋭角のソネットの場合、先端部から3个曚匹ペコペコと柔らかい独特の筆記感。スイートスポットさえ作り込めば、この感触に溺れてしまうこと請け合い!

6このソネットの弱点は首軸先端部の金属がすぐにボロボロになること。インクに浸る事が多い首軸先端部に金属を使うなんて設計ミスでは・・・と思うのだが、外国製萬年筆では一般的。Pelikanですら金属製・・・傷つきやすく腐蝕しやすい。使用頻度の判断は首軸先端部の劣化具合を見れば良い。未使用品と書かれているM800の首軸先端部が劣化している例もオークションではよく見かける。

7こちらがペン芯から外したペン先。ソネットの設計が優れているのは、このようにペン先をすぐにペン芯から外せること。弾力のあるペン先がペン芯に食い込んでいるだけなので、そこにピンを入れて外側にはじけばプリンと外れてくれる。まるで薄いステンレス製バネのような弾力を持った18金ペン先。この弾力も独特の柔らかいペン先に寄与しているはずだ。18金ペン先でこれほどびよんびよんと弾力のあるペン先にはめったにお目にかかれない。

あまりに書き味が悪いので好きにして・・・ということであろうと理解して、インクフローを改善すべく、このペン先に隙間ゲージを突っ込んでスリットを拡げ、スイートスポットを作り込んでいった。
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2012年05月28日

月曜日の調整報告 【 Stipula I.Castoni Citrino レモンイエロー 18K-M 筆記中のインク掠れ 】

1今回の依頼品は、一世を風靡したスティピュラのイ・カストーニ。拙者も緑軸を使ったことがある。一時は5人に一人は持っているのでは?というほど流行った。西暦2000年前後かな?
依頼人も1999年の12月に米国のネットショップから新品未使用を入手されたとか。購入時からあった症状が筆記中に時々インクが出なくなること。
何度かペンクリに持込み、直っていたのだが最近再発してきたので・・・ということらしい。

スティピュラといえばインク途切れ!とエトルリアが初輸入された頃には言われたものじゃ。拙者も何度か伊太利亜送りにしたが、あまり良い結果は得られなかった。
ところが互換性のあるデルタのエボナイト製ペン芯を装着したところ、見事にインク切れが改善された。
またインクがドボドボでて困っていたデルタも、スティピュラのペン芯に変えたらちょうど良いインクフローになった・・・という笑い話をどこかで紹介した記憶がある。

23ただ、イ・カストーニの時代にはそういう初期不良は解消されていたはずなので、何か他に原因があるはずじゃ。
ペンポイントを見たところ綺麗に丸められている。見事というしかない。ただ、スリットが詰まりすぎなので、少しでも書き出しの角度が変化するとインクが紙につかない。
またこのペン芯はインクが引き潮のように、すぐに戻ってしまうよう。いわゆる【こらえ性の無いペン芯】と拙者が呼ぶもの。
昔のペンクリではペン芯にナイフで溝を彫ったりしたものだが、苦情が出たのか、最近ではそういうペン芯に出会わない。

45スイートスポットはかなり広くとられている。そのおかげで依頼人は書き味の滑らかさには満足しているらしい。ペン先とペン芯の密着にも問題は無い。
ということはやはりスリットが狭すぎるのかなぁ・・・と考えながら胴軸を外すと、思わぬ物を発見した!

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2012年05月25日

金曜日の調整報告 【 1980年代 Montblanc No.146 14K-M ひん曲がったペン先 】

1今回の依頼品は1980年代のMontblanc No.146。拙者が最も好きな時代のNo.146じゃ。
No.149はともかく、No.146に関しては1980年代ものが拙者の好みには一番ピッタリくる。
非常に市場に出回っている本数も多いので、それほど苦労しないでも入手可能。

また、ペン先の柔らかさの個体差も多く、極端に言えば、出会いの度に感激がある!さらに・・・調整による振れ幅も非常に大きく、調整師にとっては腕の見せどころ!

23今回の不良箇所はペン先曲がりということだったが、これはそれほど難しくない修理。それよりも胴軸内部のブルーブラックインクの固形化の方が大問題だった。
胴軸内部にも、ペン芯にもペン先にも、ブルーブラックインクがこびりついてピストンがほとんど回らない。

そこで尻軸を外して部品単位に分解し、アスコルビン酸水溶液に浸して洗浄した。毎度の事ながらブルーブラックにはアスコルビン酸が良く効く!

45横顔を見ると、クーゲルかぁ!と突っ込みたくなるほど無駄に上に尖ったペンポイント。曲がっているからよけいにそう感じるのかもしれない。
ペンポイントの根元の金の厚みは相当ある。一見、ゴツゴツと堅そうな印象をうけるが、まだペン先が曲がったままでは試しようがない。

明らかに円盤研ぎになっている。とすれば14K-Mと書いたが、ひょっとすると14K-Fかもしれない。
1960年代以降のMontblanc製品には、ほとんどの場合、ペン先にも胴体にもペン先の太さを表す刻印が無いので、雰囲気で決めるしかないのじゃ・・・

6こちらがペン先を胴軸から抜いて、けっこうな時間をかけれ洗浄したもの。エボ焼けやブルーブラックインクのこびりつきで、ペン先はかなり汚れていた。
しかも洗浄して見てわかったのだが、カーボンインクも使った形跡があった。
おそらくはプラチナのカーボンブラックを使った形跡がある。黒い粒子がハラハラとペン芯から舞い降りてくる・・・

78ペン先を元通りにするのは簡単。スリットに隙間ゲージを挟んで固定し、曲がった側のペン先の曲がった箇所の背中をさするように、竹箸の先端部でしごいて元通りに曲げる。
慣れればほんの10秒ほど。むしろそこから先の左右の段差微調整のほうが時間がかかる。

910スリットを少し拡げ、クーゲルっぽい円盤研ぎのペンポイントを滑らかな日本語筆記が出来る形状に研ぎ直し。見栄えは愛したことないが、書いてみると・・・
夢のように気持ちの良い書き味。おいおい同じペン先か?と聞き返したくなるほど調整前と書き味が変わった。

拙者の前を通り過ぎていったNo.146としては、今世紀最高の書き味と断言できる。ま、偶然だがな。


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
 

  
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2012年05月23日

水曜日の調整報告 【 OSMIA 76 SUPRA 14K-B 筆圧コントロール困難 】

01今回の依頼品は、独逸マイナーブランドの中では一流のOSMIAの回転吸入式。OSMIA単独ブランドの時代と、OSMIA Faber-Castellの時代とがある。それほど重厚な万年筆を作っていたわけではないし、ペン先が特に柔らかいというような光った部分を持っているわけでもないが、なんとなく好きなブランドじゃ。ロゴの○の内側に◇が、なんとなく日本の家紋ににているからかもしれない。

この萬年筆は、過去にペンクリで何回か調整を受けているらしい。その時には良くなったのだが、すぐに調整戻りが発生して書き出し掠れが発生してきているらしい。

また、ペンにコントロールされているような感じがして、うまく運筆をコントロール出来ないとか。これは、Vintageの欧州ペン先にありがちな症状。特にマイナーブランド物によくある現象。原因は定かではないが、ある程度の仮説は立てられる。

0203こちらが調整前のペン先の拡大図。ペン先の拡大図を見るとペンポイントがずいぶんと斜めに付いていることがわかる。依頼人はOBではないかと書かれていたが、OBとは逆の付き方をしているので、単なる溶着時の誤差であろう。当時のマイナーブランドでは、ペンポイントの溶着は手溶接だったはずなので、多少のズレはつきもの。

実はズレが問題なのではなく、左右のペンポイントの体積があまりに違うことが問題なのじゃ。おそらくは右側のペンポイントの体積は、左側のペンポイントの体積の5〜8倍ほどの重量になっているはず。これでは左右のペン先が揃っては動かず、運筆に不快な感じを与えると思われる。

0405またペン先の左右の段差も酷い。ペンポイント先端部では辻褄が合っているのだが、ハート穴の近辺からペンポイントに至るスリットの左右で大きな段差がある。

画像のペン先上部の黒く見える部分が段差。ペン先の段差を直す際には、ペン先をペン芯から外し、ハート穴からペンポイントに至るスリットの両側の高さを揃えるよう、時間をかけて段差調整をするのが王道なのだが、プロもアマも、ペンクリでの段差調整は先端部だけで辻褄を合わせている人が多い。これは生産性向上のためだが、見栄えが悪くなるので、拙者は可能な限りハート穴からペンポイントまでの段差調整を行っている。

06このOSMIA 76 SUPRA で初めて気付いたのだが、クリップにネジが切ってあり、天冠のネジにねじ込んで固定するようになっている。この方式には初めて出会った。

組立効率は良いが、クリップをぴったり止めてもすぐに緩んでしまう。天冠のネジで締め付けるのがやはり王道であろう。少しでも緩みを押さえるために、天冠のネジにシェラックを塗って生乾きにした段階でクリップをねじ込んでみた。少しは緩みがおさまりそうな予感がしている。

07こちらが綺麗に磨いたあと、左右のペンポイントの大きさの差を、5〜8倍から3〜4倍ほどに小さくした状態。

相変わらずペン先の単体スキャナー画像は美しい。また手で切り割りを入れているにもかかわらず、スリットが模様の真ん中に来ているのは見事!

08かなり研磨して大きさの差を縮めた段階でも、これほどの差がある。本来なら不良品としてはねるのが正しいアクションだったはずだが、当時の独逸製品に良心は無かったのかもしれない。

日本製品でもマイナーブランドは、これより酷い状態だったこともあるので、偉そうには言えないが・・・ OSMIAが衰退したのは、この程度の品質管理しか出来なかったからかもしれない。品質は企業の継続性に大きな影響を及ぼすのじゃ。  続きを読む
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2012年05月21日

月曜日の調整報告 【 Pelikan M405 黒軸 14C-EF タコスペ・超不細工化 】

@01先週金曜日の記事とほとんど同じ調整報告。前回の関西地区大会でお預かりし、土曜日の関西地区大会でどちらも依頼者の手元に戻っていった。

最近、EFの研ぎに凝っており、自分用に調整する萬年筆のほとんどがPelikanのEF。従って生贄でM400系が飛び込んでくるのは、渡りに船というか飛んで火に入る夏の虫じゃ。

金曜日のM405は青軸だったが、今回は黒軸。天冠は新しい総銀色の金属風味。実はM405とM805に限っては、拙者は以前の銀色Pelikanの通称プリント天冠の方が好きで、日常使用しているM805(タコスペ・コレドM)とM405(タコスペ・超不細工)の天冠はそちらに交換してある。その2本はお気に入りなので萬年筆研究会【WAGNER】には持ち込まないようにしている。

@02@03今回のペン先もEFにしては出来が良い。刻印のちょうど真ん中ではないが、ペンポイントの中心に切り割りがある。ペンポイントも球形で実に良い感じ。最近、Pelikanの精度が上がったのか?あるいはたまたま2本続けて状態が良かったのか?

というところで気付いたのだが、ペン先と首軸の関係が出荷状態ではない。あきらかにいじってある。どうやら拙者のペントレからお嫁にいったものが、ペン先改造として舞い戻ってきたらしい。どうりでスリットの状態など完璧なわけじゃ・・・

@04@05金曜日のM405と違うのはペンポイントの横顔。ペンポイントは球形ではなく、紙当たりの部分がやや平たくなっているが、調整した形跡は無い。

パイロット社の萬年筆製造プロセスを紹介した映像では、最後にペン先を研いでいる。当然その研いでいる人の癖がペンポイントに転写されるはずだが、ムラは一切感じられない。恐ろしいばかりの均一さ。

それに比して、Pelikanでは、かなり出荷時の個体差がある。しかも本国では一般的に店頭での萬年筆の試し書きはさせないと、フルハルターのHPで見た記憶がある。であるならばペンクリのニーズはあるだろうになぁ・・・それとも力ずくで慣らしていくのか?

タコスペ・超不細工調整は、まずは背中側を曲面に研ぐ。次に腹をほとんど落とす。そして残った部分に少し丸みを加えて引っ掛かりを取り除いた後、細かくエッジの面取りを15000番のラッピングフィルムを用いて実施。その後、表面を5000番の耐水ペーパーで再度荒らしてから、仕上げはTWSBIの梱包材用スポンジの上に敷いた10000番のラッピングフィルムの上で字を書きながら細かいエッジを落とす。

@06そこまでで調整の半分が終了。すなわち表書き用の調整が終了したことになる。次は裏書き用の調整。こちらは多少手間がかかるし、それほど使用頻度が高いわけではないので、自分用の調整では省いている。

実はタコスペ・超不細工加工には背開き状態のペンポイントの方が裏書きには良い結果になる。なぜなら背開きは、裏書き時には【腹開き】になる。従って タコスペ・超不細工を望むなら背開きは直さない方が結果は良くなる。

今回のM405 黒軸はかなりの背開きだったので、非常にやりやすかった。

@07こちらが横顔。研磨のコツは背中側を曲面で落とすこと。この曲面の部分の面積が広いほど(筆圧をかけなければ)ぬらぬらの書き味になる。筆圧をかければインクフローは少なくなり、やがてはインクは出なくなる。まさに強筆圧矯正装置のようじゃ。

もうひとつは、腹を落とすこと。何を狙っているかといえば、字の幅を薄くしてEFの字幅を出すため。最近のPelikanは丸研ぎのため、上下左右が同じ字幅になる。これを上下の字幅を狭くした、極細スタブを狙っているのが タコスペ・超不細工ということ。

とにかく細い字が好きなら、UEFとか細美研ぎをお薦めする。それらは良い書き味という評価項目を排除して徹底的に細い字にこだわった研ぎ。これらの研ぎはまさにプロの技。

それに対して タコスペ・超不細工の書き味は、表書きであっても通常のEFとは比べものにならないほど良い。滑らかという表現は妥当ではないが、書き味とインクフローと細いStub風の字幅あいまって、細字嫌いの拙者を虜にしてしまった。

今後、この タコスペ・超不細工加工を萬年筆研究会【WAGNER】のペンクリや生贄で【調整依頼】として受け付けることはしない ので、実質的にこれが最後の生贄となろう。


【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
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2012年05月18日

金曜日の調整報告 【 Pelikan M405 青軸 14C-EF タコスペ・超不細工化 】

@01こちらは前回の神戸大会でお預かりしたもの。Pelikan M405の青軸。天冠が新しくなってからずっと良くなった軸の一つ。

最近まで拙者はM800信者で、M800の次はM300がずっと離れて続いている・・・と考えていた。ところがM400系を頻繁に研磨するようになってから、細字系(特にEF)のM400は非常に良い感じに研ぎ上がると気付いた。特にタコスペ系の研ぎと相性が良い。

@02@03調整前にインクをつけて書いてみると・・・すばらしい書き味!調整しなくてもインクは良く出るし、字形も綺麗。これが店頭に10本くらいあるM400の中に混じっていたら、試し書き後に間違いなくこれを選択するであろうというほど書き味が良い。

ペンポイントは綺麗な球形で、スリットも通っている。見て良し、書いて良しの逸品じゃ。それをタコスペ・超不細工に加工するのはもったいないな・・・とも考えたのだが、いろいろ書いているうちに、寝かせると少しカリカリすること、EFというには線幅が太いことに気付いた。

@04@05こちらは横顔。なんと横から見ても球形のペンポイント!米国から球形のペンポイントに変えろという強烈なPushがあったにせよ、これは見事!

ペンポイントを球形に変えた直後はびっくりするほど不細工なペン先先端部の形状だったが、ずいぶんと綺麗になった!と感激した。

ここまで綺麗だとタコスペ・超不細工加工もやりやすい!

@06ペン先とペン芯の位置関係も許容範囲内だったので、いきなりタコスペ・超不細工研磨に入った。その場合の一次研磨時間は2分ほどで非常に早い。

そこからの二次研磨、三次を入れても30分ほどで終わった。そこから先は実際に字を書きながらの微調整。これを含めても1時間ほどで作業は終了。

タコスペ・超不細工調整の結果、EFはEFらしい字幅で、なおかつ筆圧をかけなければ非常に滑らかな書き味。そして裏書きでペンを寝かせ、筆圧をかけないで書けば、インクはヌラヌラと太字の字幅で出てくるが、筆圧をかけるとインクの出がしぶくなり、やがてはインクが出なくなってくる。筆圧防止ギプス付き萬年筆なのじゃ。(笑

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2012年05月16日

水曜日の調整報告 【 Levenger Firenze ブラック&アンバー・マーブル 18K-B 運筆の制約 】

01本日の依頼品はLevenger。これはUSAの通販サイトだったかな?過去にSheafferや伊太利亜メーカーと組んで、Levenger オリジナルの萬年筆を出したり、メーカー在庫整理のために引き受けた高級万年筆を信じられない低価格で販売したりしていた。

たとえば、Wartermanのル・マン100 オペラを199ドルで販売したこともあった。もちろんそういう時には狂ったように注文したものじゃ。Omas のカワイイDemonstratorも99ドルで販売され、こちらは日本からも大勢が注文していた。スチールペン先だったが書き味は秀逸!まだ、萬年筆研究会【WAGNER】など影も形も無い頃。Nifty掲示板仲間とのオフ会に何本も出現して驚いた記憶がある。

この軸は記憶に無いが、なんとなくカトウセイサクショカンパニーとか、ロングプロダクツの製品に似た部品構成。違うのはペン先が18金であることと、キャップリングが純銀であること。ひょっとすると軸だけは日本で作ったのかもしれない。単なる想像だが・・・

0203依頼人によれば、通販で新品未使用を購入し、ペンクリでいじってもらった記憶はあるとのこと。たしかにスリットは開き、インクの出はかなり良い。

ところが、使う紙質の影響か、書き癖が変わった影響か、最近書き出し掠れや、運筆に制限を受けるようになったという。運筆に制限・・・という意味がわからなかったのだが、インクをつけて書いてみてわかった。少し捻るとすぐにインクが出なくなるので筆記角度を変えられないのじゃ。

0405そしてインクが出ない際に少し筆圧が上がってしまったのか、多少ペン先が上に反り、ペン先とペン芯との間に少しだけ隙間が出来ている。

それと少しペン芯が前に寄りすぎており、寝かせて書くとペン芯を擦ってしまいそうな感じがする。これも運筆の自由度を奪っている。

書いてみても、非常に垢抜けない書きごこち。少しでも左右に倒すとエッジが紙に引っ掛かってインクは出ないわ、耳障りの悪い音はするわで、とても使い物にならない。

0607ペン先の裏側を見てみた。インクフローを良くするために裏一面にロジウム鍍金しているのかと思ったがそうではなかった。ペンポイント先端部を下側から見た拡大画像の掲載は初めてではないかなぁ?

四角柱のコーナーを粗いペーパーの上で縦方向にだけ移動させて丸めたような感じに面が削られている。このままでは横方向はスムーズだが、斜め線は厳しいし、少しでも捻りを加えると、エッジが紙に当たって、スリットが紙から離れ、インクが切れてしまう。

08これを直すには、角研ぎを丸研ぎに変える必要がある。左が調整後の姿じゃ。ペンポイントのシルエットが丸っこくなったのがわかるかな?

ペンポイント横の面取りだけではなく、ペンポイントの頂点部分の面取りも行った。こうすれば斜めに書き下ろすときにもスリットがちゃんと紙に当たるはずじゃ。

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2012年05月14日

月曜日の調整報告 【 MABIE TODD リングトップ 14C-M インク漏れ? 】

01収納時の全長が10.5センチしかないMABIE TODD(マビートッド)の女性向けリングトップ萬年筆。MABIE TODDはかなり有名なブランドだが、拙者は過去に1本も購入していないはず・・・と調べてみたところチルトンとマビートッドは所有の記録が無かった。別段避けていたわけではなく、たまたま縁が無かったのだろう。

0203この金貼りモデルはかなり厚い金が貼ってある。首軸先端部の金が剥がれている部分を見ると、その厚さがわかろう。 金はインクの酸に強いはずなのにどうしてこのように冒されたのかな?と思い首軸先端部を高倍率ルーペで凝視したところ、インクの滓が隙間に入っていることがわかった。何度もキャップを開け閉めをしている間にインク滓が少しずつ間に入り、その圧力で金が剥がされていったのであろう。

ペン先の寄りはこの世の物とは思えないほど強い!ただ、ペンポイントの丸めは美しい。なんていうか、かなりアンバランスなペン先に思われる。ペン先とペン芯の設計がバラバラだったのか、両者が奏でるハーモニーが感じられない。それぞれが自己主張してお互いの実力の足を引っぱっている感じ。こういうところが拙者と縁が無かった原因かもしれない。

0405インクがきれるということだが、こちらはペン先とペン芯との間の隙間が原因。ペン先の寄りが強いので、ペン先を反らさないと筆記できないが、反らすとインクが切れる・・・となって見捨てられた物がオークションに出て、そういうものが大好物の【赤すきん半】氏にサルベージされたのであろう。

よく見るとペンポイントの研ぎが【タコスペ・コレドM】にそっくり!なぁんだ昔からこういう研ぎはあったんだぁ・・・と少し嬉しくなった。ただしペンポイントの背中では書けるようにはなっていないので、たまたまかもしれない。

06こちらが首軸から外して清掃したペン先。どんなに書き味の悪いペン先であっても、この状態のスキャナー画像だけは美しい。さすがに米国製だけあって金の量を減らすために首軸内部の長さを減らすような設計にはなっていない。ペン芯さえちゃんと設計されていればかなり良い書き味の萬年筆になったであろうに・・・ま、そういうところが米国製萬年筆の魅力でもある。
欠点をあげつらうよりも、そこを慈しんであげてこそ萬年筆愛好家じゃ。反省! http://blog-imgs-37.fc2.com/a/q/u/aquariuselder/2010032500271230a.jpg   

07首軸を外してみると、インクサックもいっしょにポロリと取れた。おやおやインクサックがきちんと接着されていなかったらしい。それでもインク吸入は出来ていたというのが奇跡のようだが、それは特殊なインクサックのおかげ!

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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(5) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

2012年05月11日

金曜日の調整報告 【 MERCEDES 125 14C-M ペン芯割れ 】

01今回の依頼品は懐かしいMERCEDESの萬年筆。独逸マイナーブランド通なら外せない逸品。拙者は過去に所有したのは2本、修理したのが3本程度じゃ。意識的に珍しい物を捜していないと遭遇しない萬年筆で、拙者は聞いたことの無いメーカーの萬年筆ばかりを収集していた時期に、車のメルセデスと関係があるに違いないと考えて購入した記憶がある。

02独逸マイナーブランドにありがちな非常に柔らかいペン先とは多少ニュアンスが違うペン先が付いている。肉薄で柔らかさを演出したうえで、絞りで堅さを作り出したような感じ。小さなペン先を採用することで使用する金の量を極限まで少なくして作ろうとしたのかもしれない。

並べて比較したわけではないがクリップなど、OSMIA-FaberCastellと良く似ている。全てのパーツを自社生産するとコスト高なので、外部から入手可能なものは外部調達していたのではないかな?

せいいっぱいがんばってみましたが、これが独逸のデザイナーの限界です・・・とでもいいたげな、丸っこくはあるがどこか無骨なデザインに萌える!

おまえそれは無いだろう! と思わずツッコミを入れたくなるのはインク窓にネジが切ってあること。あまり意識して見ているわけではないが、こんなの初めて・・・のような気がする。一番折れやすい部分にネジを切るなんてありえない!ただそういうのが独逸マイナーブランドのおもしろさでもある。

言い忘れたが、これは秋田のニ右衛門半を目指す【赤ずきん半】氏からの修理要望じゃ。さもありなん・・・

03ペン先は幅が狭く、曲げもきついのでタッチは柔らかくはない。また刻印も深くしっかりと入っている。一般的に刻印が深いとペン先は硬くなると聞いたことがある。Pilotの現行ニブもフォルカンには模様が少ないが、それも柔らかさを保つためなのかもしれない。

0405修理依頼が来たのは、インクがすぐに出なくなってしまうから。さてはペン芯とペン先が離れているのか?と凝視してみたが、そちらは問題はなさそう。多少コテ研ぎ風になっている程度。

はて困ったなと完全分解していろいろチェックしているときに見つけたのがコレ!

06ペン芯の最後部がコキンと折れている。一度は【ああ、インクフローを良くするために最後部をカットしたのね・・・】と見過ごした。実は長崎のマツヤ万年筆病院で購入したM800のペン芯の最後部が少しだけ斜めにカットされており、それでインクフローを良くしているのを見ていたのでそれが脳裏に残っていた。

ところがよく見ると、空気溝もインク溝も割れている。これでは毛細管現象がほとんど働かず、空気とインクの交換がスムーズに行われないのではないか?

07そこで部品箱にあった古いペン芯の中から、同じ太さのものを捜したのだが、山のようにあっても同じ太さというのはほとんど無い。かろうじて画像下部のものが同じ太さで、構造も似ているので再利用することにした。

ペン芯先端部の斜面が鈍角すぎて普通の位置にペン芯をセットすると上から見てペン先からペン芯がはみ出すので斜面を削ってはみ出さないように加工した。【見栄え第一、書き味第二】を最近標榜し始めた拙者にとって、ペン芯がペン先からはみ出すのは許しがたいことなのでな。

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Posted by pelikan_1931 at 07:00Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック