2005年08月31日

可変の書き味が謳い文句だったが、、、 Pilot ジャスタス

Pilot ジャスタスは首軸先端を回すと書き味(硬さ、柔らかさ)のコントロールが出来るという触れ込みだった。これはEversharpのDoric用ニブのバリエーションにあった、Adjustable Nibと同じ効果を狙ったものだ。Adjustable NibはNib自体に切れ込みを入れてスライドさせる為、ニブの製作にものすごくコストがかかったと思われる。また、故障も多そうだ。よくAdjustable機構が壊れたDoricを見かけるが、この方がペンが柔らかくて良いという人もいる。

このジャスタスはVFだが、VFはVariable Fineの略だろう。VMというやや太字のものもあった。Variable Medium?
首軸を捻るとオーバーフィードが長くなったり短くなったりする機構。オーバーフィードが前にせり出せば、上への反りが少なくなり書き味は硬くなる。引っ込めば反りが大きくなり書き味は柔らかくなるという理論を元に設計した万年筆だったのだろう。

ところがペン芯は1200円で売っていた【パイロット 組み立てペン】用のペン芯とほとんど見分けがつかないようなものだった。インクフローが良くない。いくらペン先だけ上に反らせても、インクフローが悪ければ筆圧をかけてしまい硬く感じる。
しかも上に反らせようとすればオーバーフィードが引っ込みインクフローが悪くなる。逆じゃない?と思うたよ。柔らかさもそれほど変わらないし、頻繁に首軸を回すと、ソフト/ハードを指定する金の色文字がはがれて汚くなる。
【発想は良かったが、実装に失敗した】なんてなまやさしいものではなく、【発想段階から失笑もの】だったわけだ。
そもそも一本の万年筆で複数の書き味を楽しむというより、硬い書き味と柔らかい書き味の万年筆を2本買って使い分けるというほうがはるかに合理的だろう。

しかし、こういう製品化の失敗はどの会社にもある。それを潔く失敗と認め、王道を歩いてきたからこそ現在のPilotがある。ペン先のバリエーションを増やし、最も好みの書き味で利用いただくという姿勢には感服する。そこにはジャスタスの設計思想はまったく感じられない。
大げさにいえば、ジャスタスこそがPilotを王道に戻した世紀の失敗作といってもいいのではなかろうか。

2005-08-31 PM FP Pilot VF



Posted by pelikan_1931 at 18:00│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
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この記事へのコメント
Eversharp の Adjustable Nibはニブの中に機構を組み込んでいるので書き味が安定しない。好事家は皆、Adjustable機構をはずして使っておる。
Posted by pelikan_1931 at 2005年11月30日 23:35
pelikan_1931さん

これがエバーシャープのアジャスタブル・ニブの形状で復活すればどうでしょう?
Posted by 並木良輔 at 2005年11月30日 21:47
並木良輔はん

仕組みが面白いというのには賛成。拙者もいじり壊した。
Posted by pelikan_1931 at 2005年11月27日 10:10
ジャスタスは大好きで、VFもVMも持っていました。
pelikan_1931さんのおっしゃるとおり、書き味は今一歩でしたが、仕組みが面白くて使っていました。
万年筆にはいろいろな楽しみ方がありますね。
Posted by 並木良輔 at 2005年11月27日 09:11
なるほど

Adjustable Nibにしろ、VF/VMにしろ、可変装置が無いほうが好まれるわけだ。ひょっとすると【柔らかすぎるペン先は悪!】の時代に、それを防ぐ目的で開発されたのかもしれないな。
Posted by pelikan_1931 at 2005年09月01日 05:20
オーバーフィードとやらが壊れて取れてしまってから、余分な刻印の無いとっても柔かい筆のようなニブが残りました。取れてしまうとフローもそう悪くはありません。流石パイロット、腐っても鯛です。いや、死して皮を残すか?
Posted by おやじのジャスタス at 2005年09月01日 03:34