2005年10月27日

万年筆博士 黒水牛軸 続き5

 昨日はこの万年筆についての書き心地や調整について書く前に力つきたので、気を取り直して書く!

 こいつは拙者にとって初めてのオーダーメードの万年筆!要するに注文の仕方も勘所も良くわかっていなかったわけじゃ。また、こんなに太い軸の万年筆は持ってなかったのもかかわらず【可能な限り極太で軸で!】と頼んでしまった。それに自分自身の書き癖も安定していなかった、、、、というような最低の条件の中で発注したわけじゃ。

 さらには、、、、この万年筆の発注は8月だったが、その後10月に行われた万年筆博士の交流会でもう一本頼んだ。これは特例で12月中に届いてしまった。当時は交流会で購入するとそういう特例があった【今はなくなったがな】。この12月仕上りの軸が絶妙で、黒水牛が届いたころには、手がすっかり別の物に慣れてしまっとった。

 イヤハヤ、書き癖がすっかり変わり、使うには太すぎる軸が届いた時には、正直どうしようかと思った。悩んだ挙句【万年筆博士の了解を得て】ペン先の調整を自分でやることにした。

 じっくりと検分すると、15号のBニブにしては異常に玉がデカい。C(コース)くらいある玉から田中さんが研ぎ出したものだろう。筆記角度はオーダーした時の筆記角度に正確に一致している。やはり博士のオーダーシート恐るべしである。【実は私が住所などを書いていたときに田中さんは後ろから筆記角度を見ていたらしい】

 当時よりかなり寝かせて書くようになったのと、左へ捻って書く癖が、右に捻り気味になっていたので、その角度で【イリジウムの大きさを極限まで生かすように】粗研ぎした上で丸めていった。そして金磨き布でバフかけし、最後にある魔法をかけて完成!

 その時から調整は一切変えていない。使うのは年に4回だけ。特別のイベントにカーボンインクを入れて使い、終了したらロットリング洗浄液で洗ってペンケースに保存する、、、というのを何年も繰り返している。

 調整自体は今の方が数段上達しているのだが、ペン先の弾力が(当時の)未熟な調整をカバーしてくれ、非常に気持ちよく書ける。拙者の場合、書き味が良くなると興味がなくなるのが通例なのじゃが、これには飽きないな。というかまだ良く出来る余地がありそうに思える。もうしばらくは楽しめそうじゃ。

2005-10-26 PM 万年筆博士 黒水牛



Posted by pelikan_1931 at 05:30│Comments(5) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
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この記事へのコメント
改めて握ってみたが、ペン先の弾力がすばらしい。ベースであるPilotの15号ペンとまるで違う。ペン先は刻印の数がおおくなるほど硬くなると聞いたことがある。シンプルなペン先の良さがよくわかるペン先じゃ!
Posted by pelikan_1931 at 2006年02月05日 11:27
> クリップとリングにヒビが入っているように見えますが、これは目の錯覚でしょうか

スキャナーの特性によって発生した幻影で、本物は無傷じゃよ。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月18日 18:34
pelikan_1931様

そうそう、山田監督でした。テレビ番組でチビクリップの万年筆で書かれていたのを拝見したのを思い出しました。

クリップとリングにヒビが入っているように見えますが、これは目の錯覚でしょうか。
Posted by kure-1911 at 2005年12月18日 11:34
山田洋次監督ですな。
むかし番組で同じモデルでシナリオにメモしていた。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月15日 23:44
この万年筆は寅さんを撮った監督が使われていたような気がします。
Posted by kure-1911 at 2005年12月14日 22:20