2005年11月02日

久々のSailor Profit モザイク長軸の変遷5

 この万年筆は、拙者が持っている万年筆の中では数奇な運命をたどっているほうじゃ。その歴史と現在の状況を報告する。

 これを買ったのはデパートで実施された長原先生のペンクリ。平日の午前中ということもあって、他にお客様はいなかった。当時は平日は比較的のんびりとしていた。今は戦場じゃがな。

 その日はコンコルドエンペラーのモザイク太軸や煤竹(すすたけ)などが多数展示されていたが、拙者はそれらを既に持っていたので、先生から調整のコツなどを教えていただいていた。お昼時間になったので、先生を誘ってそばやへ!先生が健啖家なのにびっくり!ま、ペンクリは精神と肉体をすり減らす作業じゃから体力つけんとな!ってな感じじゃった。

 で、ペンクリ会場に戻る道すがら、【あんしゃんにピッタリかもよ】といわれて見せてもらったのが、モザイク細軸の長刀中字付。それまでのモザイク太軸と比べると、細いが長さはそれほど変わらない。非常に持ちやすいので、迷わず購入。長刀独特のシャラシャラという書き味が気に入ったので、微調整の上、コレクション棚で長い時間を過ごした。

 めだかしゃんのOmasをかものはし調整してから、この調整方法が気に入り、いろいろ試した。その生贄の一つとしてこの万年筆も選ばれた。中字の長刀の両サイドを削り、細字の長刀を作ってみた。シャラシャラ感が増加し、かつより字幅のバリエーションが付けられるようになったので有頂天!尻の部分を持って遊んでいたら机の角にペン先をぶつけてしまい、先端が左側にカーブしてしまった。予備のペン先を持っていなかったので、曲がったまま調整して、これまた面白い書き味を作り上げてoff会で披露。皆さん笑いながら絶賛。

 しかし、ひん曲がったペン先は、やはり美的には問題ありと言うことで、ペン先だけ取り寄せた。今回のペン先はZoom。筆記角度にあわせてガシガシ削ってみたら、異常に引っ掛かり、どう磨いても改善しない!ルーペで眺めてみると、片方の切り割りのエッジに沿ってイリジウムに【す】が入っている!それもかなり大きなものじゃった。

 再度ペン先交換をしようかと考えたが、一本12000円するので、諦め【す】が消えるまでイリジウムを削ることにした。その結果出来たのがこの研磨状態じゃ。先端がかなり斜めに削られているのがわかるじゃろう。

 この手の研ぎ方は、研磨初心者がやると筆記角度の許容範囲が小さくなりかえって書き味を劣化させる。しかし、太字調整の場合、筆記時の視覚誤差がなくなりピントが合う字になる。近頃見直されている調整方法じゃ。ただし、スイートスポットを3ケ所くらい作って置かないと許容範囲が取れない。

 出来上がったものを握って書いてみると、ぬめっとした感触で極太の字が書ける。自分用の調整としては、まだまだ書き味の改良の余地はあるのじゃが、なんせ書き癖が無い拙者に取っては、これ以上の改善は意味が無い。あとは嫁入り先の癖に合わせて微調整すれば完璧になるじゃろうな。今は多少かものはし調整を加えようかなと考えている。


2005-11-02 AM Sailor Profit 長軸.jpg

Posted by pelikan_1931 at 05:44│Comments(5) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 | 万年筆
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この記事へのコメント
最近、この軸にふさわしいのは長刀や太字ではなく、MFくらいではないかと考えるようになってきた。太字だとどうしても書き味がどれも同じになってしまう。セーラーのMFは格別じゃからなぁ・・・今度ペン先交換、お願いしてみるか・・・
Posted by pelikan_1931 at 2006年02月16日 18:46
色違いの素材は何種類かあった。ただしそれらは太軸じゃった。これは細軸でペン先も小さい。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月18日 18:51
pelikan_1931様

以前、長原さんのペンクリで同じような形状の物を見ました。ただ、素材は違っていたのですが。
Posted by kure-1911 at 2005年12月18日 11:41
ほほう、良くわかりましたな。輪切りにすると6弁の花のようになっておる。最初はcrocodile149しゃんに見せてもらって欲しくなったんじゃった。
Posted by pelikan_1931 at 2005年12月07日 22:47
これは単なる丸軸ではなくて、異形の軸でしょうか?光の加減か筋のようなものが見えるような気がします。
Posted by kure-1911 at 2005年12月07日 20:57