拙者がパーカー・プリミアコレクションの中でシルバー・グレンドルジュが一番好きというのは、2005年9月28日の記事で述べた。その情報はトラックバックでわかるようにしておくので、再読あれ。本日は、それを思い出していただいた事を前提として話を続ける。
拙者のBlogの万年筆関連の記事はほとんどがスキャナーを用いている。スキャナーを用いるとピント深度が深いので簡単にそこそこの画像が得られる。逆にボケ味が悪いので写真らしい映像は得られない。ピント深度はガラス面から1ミリ程度はボケない。
上で横置きと書いた画像のように、スキャナーのCCDと平行にペンを置くと、中央に【光の帯】が出来る。CCDと直角にペンを置くと光の帯が出ずコントラストが下がる。【ひかり物】以外の万年筆には【直角方向】の方が綺麗じゃが、こと【ひかり物】に関しては下の図のようにクッキリしない感じになってしまう。これは影が横方向に出るのでバックと万年筆の区切りがわかりにくいからじゃ。そこで【ひかり物】、その中でも最も光る【シルバープレート】の場合には横置きスキャン【平行スキャン】を用いてきた。
どうしても【光の帯】がイヤな場合は、黒バックにすると表面の質感は良く出る。これは黒い紙をペンの上に乗せてスキャンするだけ。ただ画像としては地味になる。
さてプリミアコレクションの優れている点を紹介しよう。まずはペン先。
パーカー75は特別高級品以外は14金ペン先であったが、プリミアは全て18金。しかもペン先に色々な刻印がある。上の方で読めない部分には【750M】の刻印。【M】が何の意味かわからない。このペン先はBである。18Kのすぐ右にはPelikan M800で【イタリア刻印】とペリカン倶楽部員が騒いでいるのと同じ刻印が!下のほうにはPPの2文字のPの間に矢羽が入った菱形の刻印・・・・まさに刻印だらけじゃ!
これだけ刻印を入れると調整が狂うのではとペン先の厚みを確認していて気付いた。プリミアのペン先は根元からイリジウム溶着点までペン先の厚みが均一!通常は根元が薄く、先端が厚いとの説明が多かったがプリミアは均一。調べてみたらParker 75も同じ設計じゃった。これがParker 75からプリミアに引き継がれたグリグリとした書き味なんだ!と感激しながらParker 75の14金ペン先(仏製)を眺めていたら、刻印が違う!種明かしはしないのでParker 75の仏製をお持ちの方はルーペで確認あれ。楽しめまずぞ。
こちらはペン芯側じゃ。これは後期のParker 75のペン芯とまったく同一。プラスティック製じゃが、表面を凸凹加工し、エボナイト製と同じ効果を出そうとしている。
首軸先端にわずかにプラスティックがのぞいているのも細かな工夫。Parker 75では首軸先端が全て金属だったため、先端部がインク浸し状態になり、そこから腐食が始まった。そこで最後の方はParker 75も最先端はプラスティック製にしたが、実はプリミアの方に先に適用された。
首軸先端の金鍍金部分の縞じゃが、その後のコストカットで縞の無い物に変更された。これはちょいといただけなかった。万年筆史上の2大罪悪の一つじゃ。もうひとつはいわずと知れた【Pelikanの刻印→印刷化】じゃ。それと比べればはるかに罪は軽いがな。
そしてプリミアの真骨頂が尻軸先端とキャップ先端の多面体加工。驚くほど緻密に作られている。この部分はキャップを挿す場合にキャップ内部の金属と擦れる部分じゃが、ここに金鍍金を施すとはよほど鍍金技術に自信があるのじゃろう。事実長期間使っていてもほとんど影響は無い。
これほどまでに細部に凝ったプリミアがParker 75より前に姿を消してしまったのは、首軸の質感とキャップの絞まり具合。パチンではなくプスンと締まる音に幻滅したからじゃろう。書き味、バランスから考えればプリミアが数段優れている。
首軸を持って書くことを前提として設計され、胴体を持って書こうとすれば寸足らずになるParker 75に対して、プリミアはどちらにも対応できる。しかし何故急速に神通力を失ってしまったのだろう。
価格政策:Parker 75と書き味は変わらないのに値段が高い
趣向変化:出た当時は斬新だったが、万年筆デザインのトレンドが懐古趣味に行った(置いてきぼり)
仏製拒否:あまりにフランスを意識したデザインに巨大市場米国で拒否反応!
の3つの理由が考えられる。どれか一つではなく、3つが融合してプリミアを殺してしまったのじゃろう。
最近欧米の万年筆デザインは先鋭化、日本は逆に復古調になっている。万年筆を筆記具として捉えるか、アクセサリーとして捉えるかの究極の議論はあろうが、身につけるものはすべからくオシャレであって欲しい。たとえそれが復古調であってもな。筆記具議論に終始すると市場の爆発は期待できない。ファッションの一部となれば爆発する可能性もある。万年筆業界の応援団を自認する拙者としては、書き味向上よりも市場の爆発を期待する。書き味は調整で何とでもなるが、基本デザインは市場で変更できないからな・・・