ヴィスコンティのOEMも手がけていた【カトウセイサクショカンパニー】はセルロイド製万年筆で有名。以前【拙者は一本も所有していない】とBlogに書いたら、関西在住の友人が【それなら見せてしんぜよう!】ということでごっそりと送ってきてくれた。その中の一本がこれ!
大型で14金のペン先。セルロイド製の軸は薄茶色で、ところどころに白が入っている。今まで多くのセルロイド軸を見てきたがこれほど魅力的なのは初めてじゃ。
たしかにDELTAなどのセルロイド軸は美しい。しかもそれを削り出しで作っているので繋ぎ目も無い・・・・しかし、飽きる。
DELTAのベネチア、Viscontiのタイタニックに使われているセルロイドは実に美しく、青い琥珀とでも呼びたいような輝きを持っている・・・が、飽きる。何か人工的な感じがする。
それにひきかえ、このカトウセイサクショカンパニーの薄茶軸には【枯れた男】にも通じる魅力がある。削り出しではないので当然繋ぎ目があるが、それも【上品な初老の紳士の皺】の趣なのじゃ。
こんな素敵な万年筆に¥25,000の値札がついている。拙者が値札を付けるとすれば¥35,000。けっして高くないはずじゃ。加藤氏は浪速職人なので【良いものをいかに安く提供するのか?】をテーマとしているのかもしれない。それは一つの見識じゃ。ただ、良いものにはふさわしい値段をつけて欲しいという気持ちもある。
こちらの3本は現在では販売していないと思われる。なぜなら値札がついていない。左から【象牙軸】【水牛軸】【柿の木軸】。左の2つは右の柿の木軸と比べるとやや小ぶり。柿の木軸には現行の14金ペン先と同じものが装着されている。
万年筆博士のように完全オーダーシステムではなく、あくまでも市販品という位置づけなので、手に吸い付くような筆記感は出ないじゃろう。しかし、素材を知った上で一生大事に使う・・・というような人には、超高級素材の万年筆がお手ごろ価格で入手出来るのはありがたかろう。
3本の中では【柿の木】軸が一番気になる。象牙軸や水牛軸は、握った時に冷たい感じがする。木軸は握った時に暖かい感じがする。この柿の木軸もほくっとした温かみがあり、握ると離したくなくなるような手触りじゃ。