2006年05月22日

パイロット会社案内 その5

2006-05-22 Pilot 13 1962年の時点でパイロットは既に海外にも拠点を持っていたようじゃ。インドの会社は万年筆を月産5万本製造している。しかも営業マン20人が4000店の販売店を巡回している。インドを製造コストの安い生産地点ではなく、人口が多い販売拠点として捉えている。
 
 考えてみれば当時は1ドル360円。日本も製造コストの安い発展途上国の一つだったので、インドで万年筆を製造・販売しても十分に魅力的な収益が得られたのかもしれない。当時のインドは外資の会社設立が非常に難しい国だが、パイロット本社の株式所有率30%ということで、摩擦を避ける策がなされている。

 現在ではインドは中国につぐ万年筆生産本数を誇っているらしい。パイロットで働いていた人々のノウハウがインド製万年筆に引き継がれているのじゃろう。一本は持ってみたい【インド製万年筆】。

 ビルマもインドと同じく生産と販売の拠点として1959年に出来たばかり。1962年の段階で月産2万本、その後3万本、5万本と増やしていく予定と書かれている。

 以前はビルマの万年筆需要の70%以上をパイロット製品が占めていたとか。またビルマに日本で最初に進出したのがパイロットだった! 並木・和田の精神は当時まで引き継がれていたのじゃ蝋。探検家精神じゃ!

2006-05-22 Pilot 14 タイには製造拠点は無く、販売だけのようじゃ。しかし万年筆の販売本数は年間30万本を超える大市場。ひょっとすると、日本からだけではなく、インドやビルマでの生産品もタイに流れていたかもしれない。

 インド、ビルマ、タイのいずれもが現地人を多く雇用しており、日本人スタッフはほんの少ししかいなかったと想像される。まさに国際企業の草分けじゃな。

 驚いた事に1954年にはブラジルにまで会社を設立している。1961年12月からはペン先の生産も初め、万年筆一貫生産工場となったとか。ブラジルも非常に人口の多い国。そして日本からの輸出がアルゼンチンと並んで非常に難しい国じゃった。大きな市場になかなか製品を供給できないということで、業を煮やして現地生産に踏み切ったのかもしれない。

2006-05-22 Pilot 14-2 工場の隅に置かれた車の拡大写真。1960年ごろの写真だと思われるが、なかなか良い車のに見える。Günther Wagnerの社史のごとく、一番良い車をならべたのかな? 現地従業員で車通勤というのは幹部クラスだけだろうから、これらは日本人スタッフの車か、社用車と思われる。当時の駐在員は良い生活をしていたのじゃろうなぁ。



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(10) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 周辺Goods 
この記事へのコメント
298しゃん

まさにInternationalなBusinessを考えていた会社ですな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月22日 21:58
戦争中からいづれ戦争は終わるだろうし、日本軍の占領地に生産工場を設置したり、日本軍に頼らず販売を拡げたりということを考えていたらしいですね。
Posted by 298 at 2006年05月22日 21:53
らすとるむしゃん

回転吸入式となるとPilotの遺伝子は無いようじゃな。INOXCROMともども見せてくだされ。
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月22日 21:45
こんばんは。

インド製の万年筆・・・何本か有ります。
書き味がどうこう云うレベルでは無いものですが、どうもエボペン芯みたいですが、設計が古いのかボタ漏れします。しかし、しかし最大のセールス・ポイントは・・・な、なんと!!。回転ピストン吸入式なんです、これホント!!。
INOXCROMも有ります。
スペイン製・・・だとか!!。チープなスクール・ペンのようですがこれはかなりの優れものです。ラミーのように書くことに関しては過不足は御座いません。
Posted by らすとるむ at 2006年05月22日 21:14
禁酒法が廃止されたのが1933年じゃ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A6%81%E9%85%92%E6%B3%95

それよりは30年後じゃから流石にデザインは変わっていると思うが・・・
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月22日 21:08
ギャング映画に出てきそうな車です。ゴーッドファーザーとかアル・カポネの時代よりは多少後期かもしれません。
Posted by ネオソフト at 2006年05月22日 20:42
並木良輔しゃん

そりゃ、40年も経過すれば景色も変わるじゃろう・・・おっとお主の住んでいるところは市街化調整区域なので40年以上景色はかわっておらんなぁ。
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月22日 20:38
南米の人しゃん

実はペリカンはブラジル市場向けに特別モデルを出していたが、ブラジルでも製造していた形跡がある。
南米はコレクターもビックリの珍品があるらしい。Parkerもメキシコやアルゼンチンの特別モデルを出していたという噂もある。

もし、珍しいVintageを見つけたら確保されたし。
INOXCROMは知らんなぁ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2006年05月22日 20:35
サンパウロにもこんな田舎の時代もあったんだとビックリ!私の中ではサンパウロは大都市なんですが。
この写真では大田舎に見えます。
Posted by 並木良輔 at 2006年05月22日 13:39
南米の某所より,初めて書き込みさせて頂きます.

今回の記事で分かりました,
なるほど,南米で一般的な筆記具に,PILOT製品が多いのはこの時代の努力の結晶なのですね.
でも,PILOT製の万年筆は見た事ありません.時代の流れなのでしょうか.
ちなみに,こちらでは,万年筆といえば,PARKER,WATERMAN,あとINOXCROMのようです.

面白い記事ありがとうございました.





Posted by 南米の人 at 2006年05月22日 08:55