今回から3回にわたって、独逸で印刷されたペリカンの日本向けカタログを紹介する。1970年ごろと思われる。
Printed in Germany と書かれているが、当時のドイツに日本語の活字があるはずも無い。おそらくは写真とイラストのみ印刷したものに、日本で日本語部分を追加印刷したのであろう。
当時、海外では利用シーンを想定した万年筆カタログが流行していたらしく、後日紹介するMontblancのカタログも似たような設定がある。当時の日本ではReformのカタログしか利用シーンを描いてはいなかった。日本市場を狙うとすれば、ペリカンの設定シーンにはいささか無理がある。男性が女性にM30のセット【黒軸】を贈るというのは考えられない。Reformの方が自然じゃな・・・
Reform-1 Reorm-2 Reform-3
一番左が表紙。2頁目のイラストは表紙にも使われている。表紙の一番左の写真の男性もこのカタログの中の別の頁に掲載されている。が、右端の女性の写真は別の頁には印刷されていない。元々のカタログにはあったが、日本版を作る際に省いたのじゃろう。この日本版カタログは16頁。印刷にはちょうど良い頁数じゃ。
表紙写真に出てくる万年筆は全てM/P30。当時の一押しだった?
それにしても東京での6畳一間の下宿代が1万円以下の時代に12万円のM100とか、2.4万円のM60が飛ぶように売れたとも思えない。ちょっと無理してM30というところかな。現在の貨幣価値に直すとM800程度。それなら買う人はいたじゃろう。国産万年筆もそれなりに高かったしな。M800と比べるといかにも安っぽい感じは否めないところではあるが・・・
価格の出ているカタログを眺めていると、現在の万年筆価格は物価と比較して非常に安いと感じられる。流通が整備され、同じ万年筆を定価の3割から4割引きでも買える。昔ならそれを書きやすくなるまで使い込んでいったのじゃが、現在では最も書きやすい状態に調整した上で、定価で購入できる。
万年筆ユーザにとってはまさに最高の時代じゃ。今後さらに万年筆ブームが高まれば、当時のような豪華なペンスタンドやアクセサリーも充実し、我らが書斎を彩ってくれるじゃろう。その時代が来るまで、このBlogは続けようと思う。
過去のペリカン関連カタログ一覧
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