昭和51年の【THE PEN】 その8


この時代のウォーターマンの値付けは狂っているとしか言いようが無い。同じ純銀でもMontblancのNo.1266が物品税無しで3万円の時代に、CF66CRは4.8万円じゃ。軸の装飾は凝っているとはいえ、ペン先の書き味を考えれば日本人に受け入れられる値段ではない。
拙者が万年筆に興味を持ち始めたころ、このCFタイプは大量にアメ横に残っていたが、いずれも叩き売りに近い値段で売られていた。それほどの価格にしても【高い】と感じた。実際現在でもまったく人気が無い。
ところがこのCFシリーズは独特のペン先を持っており、スリット調整をすれば驚くほどの書き味になる。物によってはペン先にロジウムを鍍金してあるタイプもあるが、こいつはスリット調整するとスリットの中のロジウムが剥がれて、見る角度によっては金色に光ってしまう。これは美しくないので、クリップが金色のモデルを選択することじゃ。クリップが金の場合はペン先も金!となっているはず。
このCFシリーズのこだわり【クリップとペン先の色を揃える】は拙者の万年筆を選ぶ際の【美意識】の基本になったものじゃ。
真ん中の写真にはウォーターミナ66が紹介されている。この時代にはクリップとペン先の色があっていない。クリップが銀色なのにペン先はバイカラー。この無意味なバイカラーが許せないのじゃ・・・・ものすごく書きやすいニブなのにこのバイカラーのせいで遠ざけてしまったなぁ。
その左にある【ジェントルマン33】という万年筆のペン先はル・マン100とほぼ設計が同じじゃ。ところが胴体の重さが圧倒的に軽いので、ずいぶんと書き味が安っぽい。これに似た軸をアメ横で見つけて購入してみたが、まったく手に合わなかった記憶がある。万年筆はペン先だけではなく、重量や重心位置も重要じゃと教えてくれた万年筆。思えば数多くの万年筆が拙者に【良い万年筆】というものを教えてくれた。まだまだ勉強中じゃがな・・・
Posted by pelikan_1931 at 07:00│
Comments(10)│
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Yoshinoriさん
古い資料を記録としてUpすると、思わぬ出会いがあります。
今回のような小さな事件?が起きれば幸いです。
このサイトに出会って、現在も日記を書くために使っている万年筆が、ウォーターマン ファセット43 とわかりました。
広島の福屋百貨店の万年筆売り場が閉鎖されるときに、「買ってもらえるなら半額にします」と言われ入手したものです。
買ったのが何年だったか記憶にありません。
クリップ部分に傷があるものの、書く機能に関しては今に至るもまったく問題ありません。トラブルも一度もなしです。
マニアックなサイトを開かれている貴兄に敬意を表します。
晴盛 しゃん
紙媒体はやがて朽ちてしまうので、どんどん数が減っていく。こうやって電子媒体に残すのも何かの役には立つであろうな。この萬年筆はカートリッジやコンバーターが無いこと以外は実に良い萬年筆なので、大切にな!
万年筆についてなにか知りたいことがでてきたとき、
いつもこちらのページを拝見しています。
今回は、父が遺した万年筆の名前が知りたくて、
いろいろ調べていたところ、やはり答えはここにありました!
ウォーターマンの CF72R とわかりました。
ありがとうございます。
合うカートリッジがなくて、アメ横のダイヤ商会のおかみさんに
デッドストックを譲ってもらいました。
中を洗って、ボトルインクから注射器でインクを移しながら、
大事に使っています。
二右衛門半しゃん
金無垢関連万年筆の価格推移、ありがとしゃん。
昭和44年と49年で、M100が2倍以上になったのは、ニクソンショックのせいですかなぁ。
ラーメンが90円から250円になったから。
仕送りを2万円から7万円に上げてもらった記憶がある。
二右衛門半しゃん
>CF66CRについて、どこかの本にカルティエがデザインしたと
なるほど、言われてみれば・・・・じゃな。
自社ブランドの万年筆はオーバル、マスト、パシャあたりは好きじゃがすっきりしたデザインじゃ。その後もかなりすっきりしたデザインの万年筆を出しているのがカルティェ。
もしデザインしたとするならば、筆記具ではなく、宝飾品関連のデザインナーじゃろうな。
金無垢舶来筆記具の値段の変遷です。(以降は資料少なし補足請う)
昭和44年5月 PELIKAN M100 税込 96,000円
昭和45年10〜11月 PELIKAN M100 税込 120,000円
昭和45年11月1日 Paker75Presidential 税込 102,000円(FP)
60,000円(BP)
60,000円(SP)
昭和46年3月 PELIKAN M100 税込 120,000円(FP)
R100 税込 72,000円(BP)
昭和49年12月 PELIKAN M100 税込 218,500円(FP)
R100 税込 149,500円(BP)
昭和53年4月1日 WatermanCFOR 税込 345,000円(FP)
MONT BLANC No1296 税込 184,000円(FP)
Paker75Presidential 税込 170,000円(FP)
ジフは85年のカタログには出ていました。
ところで、CF66CRについて、どこかの本にカルティエがデザインしたと書かれていましたが本当なのでしょうか?
ジフとは、ジフ・ウォーターマンの名前から取った物かな?
Watermanの安い万年筆は良く知らんのじゃ・・・
まだ勉強中とは、何と謙虚な!この言葉から奥の深さを実感しました!
この時代の5、6年後にウォーターマンから「ジフ」と言う廉価版のスチールペンが発売になり、愛用してました。確か1000円でした。セーラーのキャンディーが、流行ってもいましたが、すごい書き味だったなあ。