この1979年発行と思われる 【THE PEN】には、各ブランドの歴史や、強調したい部分が最初の一頁に記載されている。新たな発見もいくつかあって面白い。
初期のノブレスのペン先は【イカペン】とは呼ばれていたが、同じ呼び方をされていた60年代の【ウィングニブ(1958年開発)】とは別物だと考えていた。ところがここでは、ノブレスのペン先はウィングニブの伝統を引き継いでいると書かれている。ウィングニブの書き味は首軸上部がオーバーフィードの役割を持っていた影響が大きいはず。その部分が無いノブレスの書き味はNo.22などとは比べるべくも無い。
右から2番目の頁に掲載されている万年筆は、No.300を除いて全て使用したことがあるが、No.149、No.146を除けば良い印象は持っていない。Montblancの万年筆に関して言えば最悪の時代だと思うなぁ。スタイルはダサイし、書き味も悪い・・・・
バイブルの日本版(すなみまさみち訳)の174頁には【モンブランは第2次世界大戦の戦火を免れ、また1970年代の危機をも乗り切り、再び世界的なトップ企業の道を目指した】と書いてある。
1977年にアルフレッドダンヒルがモンブランの株式を取得し、1985年に全面買収したようじゃ。このカタログが作られたころは、まさに暗黒の時代だったはず。それが製品ラインナップにも如実に現れている。
アルフレッドダンヒルが全面買収した1985年といえば、ウォーターマン ル・マン100やパイロット65が発売された1983年直後。万年筆の再興が十分に予想された時代じゃ。そのころにいち早くMontblancをブランド化しようと考えていたアルフレッドダンヒル社の先見の明は凄い!その後、ヘミングウェイ以降の大攻勢は万年筆ファンにとっては、うれしいような、悲しいような複雑な気分じゃな・・・・【内部がコストカットされた華美な胴体】・・・・
右端の頁では、ボールピックスが一番好きじゃ。実用を考えれば今でもこれ以上に握りやすいボールペンは無いじゃろう。どうして製造を止めたのかな?ダンヒルブランドにはふさわしくないという判断かも知れないな。
拙者に落胆と狂気を引き起こさせた【ノブレス】であるが、No.1124の軸は比較的良かった。あとは筆記具とはいえない。鉄棒じゃ!ただ、ペンシルだけは精密なノック感が良かったように記憶している。
現行のノブレスに付いているペン先(18金)は拙者が以前【世界一硬いペン先】と評価したことがある。無弾力・・・超合金Zで作られているような堅さ。拙者はプレゼンの時の挿し棒にしか使えなかった。当時のダンヒル・ジェムラインはMontblancのOEMだったが、あの14金のペン先は良かったのになぁ・・・
この時代、貴金属モデルがほとんどカタログに掲載されていない。おそらくはあの貴金属モデルの乱発を許す会社の体質が経営を傾けた原因じゃろう。万年筆利用者の気持ちが分っていなかった・・・もっとマイスターの意見を聞いておくべきだったな。
【Montblanc 過去のカタログ関係記事】
2006-07-30 ひと昔前のカタログ 【モンブラン】 その4−1
2006-06-13 昭和51年の【THE PEN】 その3