2006年08月08日

その後の【THE PEN】 その3 ・・・ 【 Sheaffer 】

2006-08-08 Sheaffer 012006-08-08 Sheaffer 022006-08-08 Sheaffer 032006-08-08 Sheaffer 04






 村上富洋氏執筆の【ダンヒルナミキと蒔絵万年筆】の寄稿文には数多くの万年筆関係者が一文を書いているが、その中でアメ横マルイ商店の白井英明氏の文が興味深いので引用する。

 【 当店は戦後の闇市の時代から万年筆を扱いはじめ、はや50年となります。その間、パーカー・シェーハー全盛時代からモンブラン、そして昨今のカラフルなイタリー製万年筆の登場にいたるまで、日本における万年筆の歴史を見いてきました。 以下略 】 

 すなわちSheafferはParkerと並んで、日本の万年筆市場でトップを並走した時期を持っていたということじゃ。昔からのSheafferファンにとっては、今の状況は寂しいものがある。

 日本市場ででSheafferが失速したのは、セーラーとの提携を切った事にあると想像している。提携解消の前は、Sheafferに関する部品購入や、クリップ交換などは直接セーラーの修理部隊に電話をかけるとすぐに対応してくださっていた。

 ある時、伊東屋の店頭で【ある米国メーカーが日本の代理店との提携を解消も考慮に入れて調査している】と聞いた時には、それがSheafferであるとピンときた。いくら米国メーカーでもそんな愚かな事は出来まいと経験上考えていたのじゃが、その1年後、見事に提携は解消され、それからSheafferの没落が始まった。どんなブランドでも、メンテナンス部隊が国内にいないと顧客満足度は高められないものじゃ。

 左頁のSheaffer社の歴史は興味深い。VintageのSheafferにはフォートマジソンとの刻印があるので、てっきり本社もそこだと考えていたら、ピッツフィールドだったとはな。

 それにしても下に示したカタロ群を見ても、いかにSheafferが日本で栄えたかがわかろう。この全盛時代に万年筆に興味を持っていたらト残念でならない。このカタログの時代はスランプ時代かな・・・・


 【Sheafferのカタログに関する過去記事】

  2006-07-11 昭和51年の【THE PEN】その7 【Sheaffer】 
 
2006-07-03 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その8−3
  2006-06-26 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その8−2
  2006-06-19 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その8−1  
  2006-06-05 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その7−2  
 
2006-05-29 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その7−1  
 
2006-05-24 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その6−3  
 
2006-05-21 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その6−2 
 
2006-05-18 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その6−1 
 
2006-05-15 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その5
  2006-05-13 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その4−4
  2006-05-11 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その4−3
  2006-05-08 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その4−2 
 
2006-05-05 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その4−1 
 
2006-04-30 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その3 
 
2006-04-29 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その2 
 
2006-04-28 ひと昔前のカタログ【Sheaffer】その1  



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 周辺Goods 
この記事へのコメント
その万年筆を調整したいですな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年08月10日 02:11
 どうも重光葵の「最後の意地」で、「書きにくいペンで無理矢理書く」ことで悔しさを表現したかったようです。
 降伏文書の重光葵の署名は、よく見ると「葵」の字を書くときに既にインク切れを起こして、ペン先が割れてかすれています。
 春のペントレではじめてバキューマチックをためし書きさせていただいたのですが、非常に固いペン先なんですね。全く開かない。それで改めて降伏文書の筆跡を見ると、かなり強い筆圧で書いたことがうかがえます。
 日本ではじめての降伏の場に立ち会わされて、余程悔しかったのでしょう。
Posted by こまねずみ at 2006年08月09日 05:56
Dumas_1802しゃん

> クリップ1本の交換で半年かかるようでは

伊太利亜ものはそういう場合もありますな。
Posted by pelikan_1931 at 2006年08月09日 02:26
こまねずみしゃん

> わざとインクの出の悪いものを選んで使ったという

一瞬でも降伏の時間を延ばしたかったんですかな・・

しかし、降伏 と 幸福 って同じ【こうふく】なんですな。
言いえて妙かも・・・
Posted by pelikan_1931 at 2006年08月09日 02:24
5
>どんなブランドでも、メンテナンス部隊が国内にいないと顧客満足度は高められないものじゃ。

クリップ1本の交換で半年かかるようでは、満足度が高まるのはほど遠いでしょうね。
まぁ高めようとも考えてないかも知れませんが。

もう亡くなりましたが、パイロット一筋という男がいました。
彼が学生時代に、授業中に愛用の万年筆を落としてペン先を曲げてしまい、放課後に販売店に修理に持ち込んだそうですが、翌朝登校前に店に寄ると、修理ができていたそうです。
あまりにも修理が早かったので、事情を聞いてみると、担当の営業マンが仕事が終わってからわざわざその販売店に寄ったのですが、
その場では修理ができなかったので、またそのまま会社にとって返して修理して、翌朝出勤前に店に寄って届けてくれたそうです。
Posted by Dumas_1802 at 2006年08月08日 20:51
 シェーファーと言えば、吉田茂がサンフランシスコ平和条約と日米安全保障条約の調印で使用したと現在のパンフレットには載っていますが、「吉田茂使用のものの後継モデルはありますか?」と尋ねたところ、吉田茂の使用モデル自体を把握していないのだそうです。
 写真もフィルムも残っているのだから、ちょっと社内で調べればわかるのにと思ったものです。
 この点、マッカーサーがミズーリ艦上で日本を降伏させる文書に署名した万年筆を復刻して、それを売り物に日本国内で売りさばいているパーカーのほうが一枚上手と言うべきか・・・
 ちなみに、重光葵外相が降伏文書調印に使用したのはパーカーのバキューマチックだそうですが、これは外務官僚加瀬俊一氏の私物だったそうで、わざとインクの出の悪いものを選んで使ったという話があります。
Posted by こまねずみ at 2006年08月08日 16:38