インターネット・オークションがポピュラーになるまでは、Sheaffer Snorkel は幻の万年筆だった。かなり使い込んだ中古であっても整備して店に並べられると3.5万円ほどしていた。アラブの国で発見されたデッドストックが日本に入ってきた時には、アメ横で一本5.5万円で販売されたが、2週間で完売した。
eBay等が普及しはじめたころには、一本数十ドルで入手可能だった。拙者も狂ったように買いあさったものじゃ。そうして100本以上のスノーケルを入手しては分解しているうちに、すっかりスノーケルの修理はお手の物に!要するに修理しなくては使えない万年筆じゃ。 スノーケルを修理できるかどうかは、タッチダウンの管を内側から尻軸にねじ込んでいる左のネジが外れるかどうかにかかっている。左のネジは錆びが進んで朽ちる一歩手前じゃった。これが錆びて回らなくなっていれば修理は不可能じゃ。今回はかろうじてセーフ!
左の画像は多少まとまったユニットに統合された状態。こうなるとシンプルに見えるじゃろう。しかし部品点数(複雑さ)は昨今のカートリッジ式万年筆の比ではないほど多い。また管の長さや角度に注意を払わないと、ペン芯に収納した場合に切っ先が出すぎたり、傾いていたり、引っ込みすぎたり・・・・となってしまう。完全調整には非常にきめ細かい配慮が本来必要じゃ。
20年以上経過すれば、ゴムサックとOリングは100%やられる。前の所有者が手放す直前まで使っていた場合には問題ないが、通常はオーバーホールが必要! 今回は2本のスノーケルを修理したが、青軸はすんなり終了。赤軸はかなり手こずった。ゴムサックが硬化している場合、金属製の細長い部品の壁にプラスティックのように硬くなって貼りついている。従って細長い歯科用のメスで削り取っていたのだが、今回新兵器を使ってみた。細長いヤスリじゃ。これは非常に生産性が良かった。ヤスリとメスの併用で、素早く綺麗に硬化したサックを取り除ける。お試しあれ。
毎度言っているがスノーケルの細字の書き味は秀逸。姿形からは想像できない心地よさを与えてくれる。これでもう少し軸が重い純銀軸だったらどんなに良いかと思う。拙者の眼に触れたことはないのじゃが、純銀スノーケルは存在するのかな?金無垢スノーケルは知っているのじゃが・・・・
修理しなくては使えないスノーケル! 最も良いのは修理して販売している店で購入する事じゃな。
これまでの調整記事
2006-10-14 Senator President B
2006-10-11 プラチナ #3776 セルロイド 極太
2006-10-07 Conway Stewart Churchill IB
2006-10-04 OMAS パラゴン BB
2006-09-30 Montblanc No.254 OBB
2006-09-27 Montblanc Np.146 丸善120周年記念
2006-09-23 Montblanc No.149 BBB
2006-09-20 Pelikan 140 赤
2006-09-16 Sheaffer Crest 黒 & 赤
2006-09-14 Soennecken Pony
2006-09-13 Montblanc No.742-N
2006-09-09 Montblanc No.252
2006-09-07 Montblanc No.22 緑
2006-09-02 Montblanc No.744 OBBB
2006-08-31 Montblanc No.1465 高筆圧対応化
2006-08-30 Montblanc No.149 開高健モデル
2006-08-26 Montblanc No.644 グレイ縞
2006-08-23 Montblanc 1970年代 No.146
2006-08-19 Montblanc Monte Rosa
2006-08-16 Sheaffer Tuckaway
2006-08-10 Montblanc No.256 KOB
2006-08-05 Conway Stewart Floral
2006-07-29 Montblanc 1950年代 No.146
2006-07-22 Montblanc No.74改 Kugel
2006-07-15 シェーファー ノスタルジア・バーメイル
2006-07-08 シェーファー ニュー・コノソアール
2006-07-01 アウロラ 88 オールブラック
万年筆は刃物! その1 【研ぐとは?】
万年筆は刃物! その2 【心構え】
万年筆は刃物! その3 【準備する工具類】
万年筆は刃物! その4 【インクフローの調整】
万年筆は刃物! その5 【書出し掠れの調整】
万年筆は刃物! その6 【引っ掛りの調整】
万年筆は刃物! その7 【ガタツキ、ズレの調整】
万年筆は刃物! その8 【書き味硬め調整の極意】
万年筆は刃物! その9 【書き味柔らかめの調整】
万年筆は刃物! その10 【ペン先曲がりの調整】