2006年10月18日

水曜日の調整報告 【 Sheaffer Snorkel 青/赤 】

2006-10-18 01 インターネット・オークションがポピュラーになるまでは、Sheaffer Snorkel は幻の万年筆だった。かなり使い込んだ中古であっても整備して店に並べられると3.5万円ほどしていた。アラブの国で発見されたデッドストックが日本に入ってきた時には、アメ横で一本5.5万円で販売されたが、2週間で完売した。

 eBay等が普及しはじめたころには、一本数十ドルで入手可能だった。拙者も狂ったように買いあさったものじゃ。そうして100本以上のスノーケルを入手しては分解しているうちに、すっかりスノーケルの修理はお手の物に!要するに修理しなくては使えない万年筆じゃ。


2006-10-18 02 スノーケルを修理できるかどうかは、タッチダウンの管を内側から尻軸にねじ込んでいる左のネジが外れるかどうかにかかっている。左のネジは錆びが進んで朽ちる一歩手前じゃった。これが錆びて回らなくなっていれば修理は不可能じゃ。今回はかろうじてセーフ!

2006-10-18 03 左の画像は多少まとまったユニットに統合された状態。こうなるとシンプルに見えるじゃろう。しかし部品点数(複雑さ)は昨今のカートリッジ式万年筆の比ではないほど多い。また管の長さや角度に注意を払わないと、ペン芯に収納した場合に切っ先が出すぎたり、傾いていたり、引っ込みすぎたり・・・・となってしまう。完全調整には非常にきめ細かい配慮が本来必要じゃ。

 20年以上経過すれば、ゴムサックとOリングは100%やられる。前の所有者が手放す直前まで使っていた場合には問題ないが、通常はオーバーホールが必要!


2006-10-18 04 今回は2本のスノーケルを修理したが、青軸はすんなり終了。赤軸はかなり手こずった。ゴムサックが硬化している場合、金属製の細長い部品の壁にプラスティックのように硬くなって貼りついている。従って細長い歯科用のメスで削り取っていたのだが、今回新兵器を使ってみた。細長いヤスリじゃ。これは非常に生産性が良かった。ヤスリとメスの併用で、素早く綺麗に硬化したサックを取り除ける。お試しあれ。

2006-10-18 05 毎度言っているがスノーケルの細字の書き味は秀逸。姿形からは想像できない心地よさを与えてくれる。これでもう少し軸が重い純銀軸だったらどんなに良いかと思う。拙者の眼に触れたことはないのじゃが、純銀スノーケルは存在するのかな?金無垢スノーケルは知っているのじゃが・・・・

 修理しなくては使えないスノーケル! 最も良いのは修理して販売している店で購入する事じゃな。


これまでの調整記事

2006-10-14   Senator  President  B 
2006-10-11   プラチナ #3776 セルロイド 極太  
2006-10-07   Conway Stewart Churchill IB
2006-10-04   OMAS パラゴン BB   
2006-09-30 Montblanc No.254 OBB  
2006-09-27 Montblanc Np.146  丸善120周年記念 
2006-09-23 Montblanc No.149  BBB 
2006-09-20 Pelikan 140 赤 
2006-09-16 Sheaffer Crest 黒 & 赤 
2006-09-14 Soennecken Pony  
2006-09-13 Montblanc No.742-N  

2006-09-09 Montblanc No.252 
2006-09-07 Montblanc No.22 緑 
2006-09-02 Montblanc No.744 OBBB 
2006-08-31 Montblanc No.1465 高筆圧対応化 
2006-08-30 Montblanc  No.149 開高健モデル 
2006-08-26 Montblanc  No.644 グレイ縞 
2006-08-23 Montblanc 1970年代 No.146    
2006-08-19 Montblanc Monte Rosa 
2006-08-16 Sheaffer Tuckaway  

2006-08-10 Montblanc No.256 KOB   
2006-08-05 Conway Stewart Floral   
2006-07-29 Montblanc 1950年代 No.146 
2006-07-22 Montblanc No.74改 Kugel
2006-07-15 シェーファー ノスタルジア・バーメイル
2006-07-08 シェーファー ニュー・コノソアール
2006-07-01 アウロラ 88 オールブラック

万年筆は刃物! その1 【研ぐとは?】
万年筆は刃物! その2 【心構え】
万年筆は刃物! その3 【準備する工具類】
万年筆は刃物! その4 【インクフローの調整】
万年筆は刃物! その5 【書出し掠れの調整】
万年筆は刃物! その6 【引っ掛りの調整】
万年筆は刃物! その7 【ガタツキ、ズレの調整】
万年筆は刃物! その8 【書き味硬め調整の極意】
万年筆は刃物! その9 【書き味柔らかめの調整】
万年筆は刃物! その10 【ペン先曲がりの調整】    



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
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 もう何本目でしょうか。  シェーファーのクレスト スノーケルモデルです。  この細字の書き心地の良さにとりこ☆  スノーケルの便利さにとりこ☆    というわけで、目にするとついつい購入してしまいま??1
私がどうしても、飛びついてしまうもの。シェーファー スノーケル【文房具ラバー 万年筆好きのブログ】at 2006年10月19日 11:55
この記事へのコメント
monolith6しゃん

お試しあれ!
Posted by pelikan_1931 at 2006年10月19日 05:04
みーにゃしゃん

時間がかかる作業ほど楽しいものじゃ。修理は趣味なのでは。
Posted by pelikan_1931 at 2006年10月19日 05:04
 貴重な情報をありがとうございます。しっかり記録させて頂きました。
Posted by monolith6 at 2006年10月18日 23:00
いつもいつもありがとうございます♪

スノーケルはついつい手を出してしまいますが、かなりの高確率で使えないんですよね…。
でも…美しいし、書き味はいいし。
なんとも好きなんですよね〜!
ご苦労をかけてすみません!

細長いヤスリ!?
この作業がいつも大変そうで申し訳なかったのですが、効率化したのですね。それでもきっと大変ですよね…。

純銀のスノーケル、もしあったら魅力的ですね〜!
Posted by みーにゃ at 2006年10月18日 21:56
monolith6しゃん

ゴムを銜えているところごと、熱湯につけて一分ほど待つ。
金属が膨張してきたら、筒の天井に空いている穴から細い金属棒かバーネキューの串を突っ込んで、トンカチでたたき出すのじゃ。

FPHで販売している修理マニュアルでは火であぶることになっておるが、ゴムが焼ける事故が続発したので、現在は熱湯に入れている。

61頁に記載がある。
Posted by pelikan_1931 at 2006年10月18日 06:54
 このタイプの、ゴム・サックを内蔵した金属チューブから、スノーケル&エボナイトのニップルをどのようにして外すのか、私には良く分からないのです。金属チューブががっちりとエボナイトのニップルを噛んでいるので、これをこじ開けないと外せないはずですが、下手をすると金属チューブの開口部を変形させてしまう恐れがあります。失敗せずにこれをやるにはどのようなコツが必要でしょうか。
Posted by monolith6 at 2006年10月18日 06:31