
ビジネスマンにとってシドニーへの出張というのは過酷。日本で20時ころまで仕事し、それから成田にかけつけ、22時くらいの飛行機でシドニー空港へ!翌朝7時に空港へ到着し、先方のオフィスへ直行。すぐに会議を始め、夕方19時までオフィスにいて、食事してから空港へ!そのまま飛行に乗って成田へ!
成田に早朝到着し、そのまま恵比寿のオフィスへ直行!朝から出張の結果を受けて対策会議を開催・・・てな感じ。シドニーには一泊もしないで、機中泊2日という強行軍。慣れてない新入社員は成田に到着しても昏睡状態で起きられないほど疲れる。同行した外人役員の場合、東京で会議した足で、成田から韓国へ飛び、同じような会議をしてヨーロッパへ飛んだりしていた。鍛え方が違う・・・・
シドニーには数回行ったが、ゆっくりと町を楽しんだのは一回のみ。電話帳で万年筆ショップの住所を見つけてから歩いて訪問してみたが、半分以上は既に店が無くなっていた。オリンピック景気のなかで、ビジネスに見切りをつけて店を売り払った人が多かったのだろう。
オーストラリアは日本より万年筆が高かった!Montblanc No.149は、日本で6万円程度だったが、シドニーのMontblancショップでは7.3万ほど。従ってVintage物に的を絞って捜した・・・が、ほとんど収穫無し!結局地元の文具店で購入したのがDiplomatとSenatorの安い万年筆数本。
これらがスチールペン先だったのにもかかわらず、極めて書き味が良かった。特にSenatorはそれまで聞いたことが無いブランド名だったので記憶にとどめておいた。
その後、eBayでSenator Presidentの18金ペン先モデルのBニブ付を発見し即購入。あまりにもバランスが良いので、追加で購入しようとしたが、既に発売中止とのことで断念。そのうちヤフオクで14金ペン先付が出るようになったので数本購入した。めだかしゃんや、らすとるむしゃんもお持ちじゃ。
クリップの留め方が雑なのが気になるが、それ以外はなかなか良いつくり。ペン先は大きくしなやか、りっぱなエボナイト製ペン芯との相性もバッチリでインクフローも潤沢。キャップを後ろに挿した時のぐらつきも少ない!



今回の拙者の改造目的は(前回の#3776と同じく)柔らかくするのではなく、ピントが合うようなペン先にすることじゃ。書き出しの位置が視覚的に認識出来る位置とずれないようにしたい。従ってペン先の丸めを極端に減らし、筆記角度を固定するような調整を施した。それと同時に斜面を削り、視差を少なくなるようにした。
今回は#3776の調整時と同じく、斜面削りにルーターを使用した。高速回転するルーターでペン先の外側を削ると面白い現象が起きる。ペン先のスリットが詰まってくるのじゃ。上の調整前後のペン先画像のとおり!高速回転するルーターを押し付けると、細かい振動でトンカチで鍛えるような感じでペン先が内側に押されるのかもしれない。
一時的な現象で、調整戻りによって元の状態になるかとも思ったが、一週間経過しても状態は変わらなかった。ペン先のエラを開いたり閉じたりしてスリットを調整する以外に、新たなスリット閉じの手法を発見したようじゃ。
現在、この万年筆にはパーカーの極めて古い【Permanent Royal Blue】のインクを入れて使っている。非常に薬っぽい匂いがたまらなく好きなのだが、既に酸化しまくっており、ブルーブラックの色合い。MontblancやPelikanのようなデリケートな素材の吸入式万年筆には入れられないが、このSenator軸なら大丈夫そうじゃ。
いかにも生産効率を考えて、おおざっぱに作ってあるように見えるが生産本数は一流メーカーよりもはるかに少ないはず。売値が安い割にはコストが高いと思われる。拙者が(コレクション目的ではなくて)未使用品を何本かストックしているのはこいつと、セーラーの初代キングプロフィットのみ。生涯実用品として使い続けることじゃろう。
ペン先の仕上げには凝ってみた。ぬるぬるではなくザラザラの調整。紙との筆記音を残しながら強烈な匂いのインクを紙に塗る感覚の書き味。各エッジ毎に違うペーパーで仕上げてある。拙者の書き癖にあわせてあるので、他人は拙者の10%も楽しめないという調整!最近これに凝っておる。
これまでの調整記事
2006-10-11 プラチナ #3776 セルロイド 極太
2006-10-07 Conway Stewart Churchill IB
2006-10-04 OMAS パラゴン BB
2006-09-30 Montblanc No.254 OBB
2006-09-27 Montblanc Np.146 丸善120周年記念
2006-09-23 Montblanc No.149 BBB
2006-09-20 Pelikan 140 赤
2006-09-16 Sheaffer Crest 黒 & 赤
2006-09-14 Soennecken Pony
2006-09-13 Montblanc No.742-N
2006-09-09 Montblanc No.252
2006-09-07 Montblanc No.22 緑
2006-09-02 Montblanc No.744 OBBB
2006-08-31 Montblanc No.1465 高筆圧対応化
2006-08-30 Montblanc No.149 開高健モデル
2006-08-26 Montblanc No.644 グレイ縞
2006-08-23 Montblanc 1970年代 No.146
2006-08-19 Montblanc Monte Rosa
2006-08-16 Sheaffer Tuckaway
2006-08-10 Montblanc No.256 KOB
2006-08-05 Conway Stewart Floral
2006-07-29 Montblanc 1950年代 No.146
2006-07-22 Montblanc No.74改 Kugel
2006-07-15 シェーファー ノスタルジア・バーメイル
2006-07-08 シェーファー ニュー・コノソアール
2006-07-01 アウロラ 88 オールブラック
万年筆は刃物! その1 【研ぐとは?】
万年筆は刃物! その2 【心構え】
万年筆は刃物! その3 【準備する工具類】
万年筆は刃物! その4 【インクフローの調整】
万年筆は刃物! その5 【書出し掠れの調整】
万年筆は刃物! その6 【引っ掛りの調整】
万年筆は刃物! その7 【ガタツキ、ズレの調整】
万年筆は刃物! その8 【書き味硬め調整の極意】
万年筆は刃物! その9 【書き味柔らかめの調整】
万年筆は刃物! その10 【ペン先曲がりの調整】