2006年11月25日

土曜日の調整報告 【 Montblanc No.149 ニブ塗分け 】

2006-11-25 01 実はこのペン先のバイカラー鍍金には、過去何度か挑戦したことはあるが、ことごとく失敗していた。はやい話がマスキングがうまくいかなかったわけじゃ。

 木工用ボンドは金属の上では接着が弱いし水で溶ける、セメダインは脱脂液をつけるとボロリと外れてしまう、瞬間接着剤は鍍金終了後はずれない・・・これ以外のもマスキングテープやらいろんなものを試してみたがことごとく失敗。

 ではMontblancはどうやってプラチナ鍍金しているのか?と調べていたら、シールのようなものをペン先に貼っている写真があった。良く見るとプラチナ鍍金すべき形はくり抜かれてはいない。ということはマスキングテープではなく、プラチナ鍍金すべき鍍金液が染み込んだようなシールかな? それ以上は解からないが手作業で鍍金しているらしい。

 やはりマスキングしてプラチナ鍍金をするのではないな。あまりのも効率が悪すぎる・・・ところが鍍金シールが絶対に手に入らない素人はマスキングしての鍍金しか出来ない・・・・と諦めていたのだが【鍍金マスク液】なるものを見つけてから期待は盛り上がっていた。これまでに紹介したように、ペン先の裏にロジウム鍍金する際、鍍金液が表に回らないよう表面全体にマスク液を塗った事はあった。しかし今回はマスクする面が非常に狭い。したがってうまくいくかどうかはわからない。依頼者からは失敗しても良いから・・・なんていわれていたが、引き受けた以上鍍金ごときで失敗しましたとは言えない。

2006-11-25 02 左がバイカラー鍍金、しかも中央はニッケル→ロジウム→銀厚鍍金の結果じゃ。拡大してみれば多少の鍍金斑はあるのだが、メーカーから出荷したばかりのペン先でも斑はいっぱいある。ただ拡大鏡で見ないので気づかないだけ。プラチナよりも銀の方が上品な輝きなので、いっそう豪華には見える。ただ・・・二度とやりたくないほど面倒な作業だった。

 鍍金マスク液は粘りがあって細かい塗りが困難。といってうすめ液で薄めるとドバーっと拡がって余計な部分をマスキングしてしまう・・・その部分をナイフで削り取るとペン先にダメージを残す可能性があるので、全部剥がしてやり直し・・・・

 結論から言えば、ペン先のバイカラー再鍍金は、よほどの事が無い限りお奨めは出来んな。今回はマスキングする部分が外側だけだったが、内側もマスキングして金銀金のバイカラー鍍金であれば発狂していたかも。自由奔放に斑模様を創るような鍍金は面白そうなので、今度実験してみる。早い話がバーメールが一部剥れたような感じを出したいのじゃ。


これまでの調整記事

2006-11-22   Namiki Vanishing Point ペン先のロジウム鍍金 
2006-11-18   Pelikan M910 トレド ペン先の三層鍍金 
2006-11-15   Pelikan M800用 ペン先の三層鍍金  
2006-11-11   カランダッシュ ボールペンの銀鍍金 
2006-11-08   Montblanc No.149 ペン先裏のロジウム鍍金   
2006-11-04   Montblanc No.149 O3B でも・・・  
2006-11-01   Parker Duofold International XXB 
2006-10-28   Montblanc 1970年代 No.146 ああ無残! 
2006-10-25   Montblanc 1980年代前半 No.146 B   
2006-10-21   Montblanc No.149 B 至高のペン先   
2006-10-18   Sheaffer Snorkel 青/ 赤  
2006-10-14   Senator  President  B 
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2006-10-04   OMAS パラゴン BB   
2006-09-30 Montblanc No.254 OBB  
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2006-09-23 Montblanc No.149  BBB 
2006-09-20 Pelikan 140 赤 
2006-09-16 Sheaffer Crest 黒 & 赤 
2006-09-14 Soennecken Pony  
2006-09-13 Montblanc No.742-N  

2006-09-09 Montblanc No.252 
2006-09-07 Montblanc No.22 緑 
2006-09-02 Montblanc No.744 OBBB 
2006-08-31 Montblanc No.1465 高筆圧対応化 
2006-08-30 Montblanc  No.149 開高健モデル 
2006-08-26 Montblanc  No.644 グレイ縞 
2006-08-23 Montblanc 1970年代 No.146    
2006-08-19 Montblanc Monte Rosa 
2006-08-16 Sheaffer Tuckaway  

2006-08-10 Montblanc No.256 KOB   
2006-08-05 Conway Stewart Floral   
2006-07-29 Montblanc 1950年代 No.146 
2006-07-22 Montblanc No.74改 Kugel
2006-07-15 シェーファー ノスタルジア・バーメイル
2006-07-08 シェーファー ニュー・コノソアール
2006-07-01 アウロラ 88 オールブラック 

Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
ぽん太郎しゃん

実は斑になったプラチナ鍍金を落したあと、ベースに20金を表面全体に鍍金している。

その上に(周囲をマスキングしてから)ニッケル、ロジウム、銀を鍍金しておる。
よって金一色の部分も美しいのじゃ。

当然、銀色鍍金しなくても美しい。拙者も金一色ニブが好き。
ただし、No.148のクリップやリングは色が白っぽいので、やるならそれらも同色で鍍金しないとバランスが悪い。
Posted by pelikan_1931 at 2006年11月26日 05:00
金一色の149ニブというのも、美しくて、落ち着きがあって、いいなあ。
Posted by ぽん太郎 at 2006年11月25日 18:10
京都和文化研究所しゃん

おお、そなたの指先の器用さなら魔法のような塗り分けも可能じゃ。ぜひトライされよ。
Posted by pelikan_1931 at 2006年11月25日 08:22
5
pelikan_1931 様
非常に参考になりました。
私のは 非常に簡単な ペンタッチ式鍍金で 細かな部分は 非常に困難。
ありがとうございます。
Posted by 京都和文化研究所 at 2006年11月25日 08:18