2006年12月31日

【My Pen Of The Year 2006】

2006-12-31 01 昨年度の My Pen Of The Year 2005 は、Parker グリニッジ XXBであった。記事を読み返してみると、年末の時点では【不思議と飽きない】と書かれてある。書き味が良くなるよすぐに開いてしまう拙者が珍しく半年以上使っている万年筆だったからじゃ。その後、グリニッジは画伯の下へ嫁ぎ、たまに取り出されては酷使されていることじゃろう。

 2006年のMy Pen Of The Year 2006 【セーラー・プロフィット赤軸長刀改】。これは寺内万年筆病院入手した軸についていたZoomニブを長刀に交換したものじゃ。

2006-12-31 02 上から見るとどうという事は無い形状をしている。拙者の調整にしては珍しくイリジウム先端が密着している。凝視するとわかるかもしれないが、若干のカモノハシ調整を施している。実は太字の長刀だったのじゃが、中字の長刀にまで研ぎだしている。またペン先のハート穴からイリジウムまでのペン先の表側を刻印が消えない程度の削っている。従ってハート穴から先がオリジナルよりは柔らかくなっている。

 従ってイリジウム先端が密着していても多少の筆圧をかければすぐに先端が開く。つまりはポンプ運動が働き、インクフローが良い状態に、意図せずなっていたわけじゃ。

2006-12-31 03 これが横から見た図。相当斜めに削っているように見えるが、なだらかな傾斜をつけている。またペン先のスリット両側のエッジも拙者の筆記角度にあわせて絶妙に調整してある。

 従って長刀研ぎの特徴である【シャリシャリ】とした書き味ではなく【スルスル】とした書き味に出来た。また極上のスイートスポットは通常筆記で二ヶ所、裏面筆記で一ヶ所だが、基本的には無段階スイートスポットに近い。

 調整理論がわかっていれば、時間をかけるほど書き味は良くなる。微調整を繰り返せるからな。試行錯誤でやっていると、時間と共にイリジウムが減っていくが、慣れてからの調整では【調整後半は研ぎではなく】イリジウムの位置調整に重点が置かれてくる。筆圧が低い場合には、この位置調整が成功すると、とことん気持ち良い書き味になる。

 今年は喪中。年賀状を書く事も無いので万年筆を持て余し気味だが、新年の抱負はこの万年筆で書いてみようと思う。

 さて来年こいつは誰に嫁ぐのかな?

 皆さんの My Pen Of The Year 2006  は何だったのかな?
 コメント欄で教えてくりゃれ!


My Pen Of The Year 2005 
 2005年の万年筆 of The Year は 文句無く 【ミニ檸檬】 



Posted by pelikan_1931 at 09:29│Comments(14) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
まさにセーラーのペン先の特徴を生かした研ぎじゃ!
見る前に脱帽じゃな。

誰か実際に購入した人はおらんかな?
Posted by pelikan_1931 at 2007年01月03日 16:06
師匠

そうなんです、既成概念で研いで仕舞うと腹が斜めになってしまい結果的に筆記角度が90度近くになってしまいますが、細美研は腹が無いので筆記角度に制限がありません。私も見た瞬間にこれは脱帽だと思いました。
また、ニブはDニブのように硬いものでないとスリットが開いてしまい太くなるので、ヘロヘロのやわらかいニブは使えません。ガッチガチの硬いニブが良いと思います。
Posted by らすとるむ at 2007年01月03日 00:05
らすとるむしゃん

ありがとしゃん。やはりそうであったか。
真似をして研ぐのは出来るじゃろうが、これを思いつくというのは、常に万年筆の事ばかり考えている人でないと無理じゃなぁ・・・さすが幸夫しゃん!

腹を斜めに研ぐと筆記角度を90度近くにしなければ太くなる。背中を研げば筆記角度に関係ない。

細美研ぎでは、腹は一切無いはずじゃ。すばらしい着想。脱帽じゃな。
Posted by pelikan_1931 at 2007年01月02日 21:21
細美研ぎは即日完売だったのでプロトタイプを見せて頂きました。
見た瞬間・・・なるほど・・・と思いました。
私の驚く顔をみて幸夫先生はニヤリとされていました。
イリジウムの背中を落してあるのは・・・仰るとおりイリジュ−ム保護をしながら、横に線を引いた時に太くならないようにするための秘策なんです!。
スタブ系のイリジュ−ムが薄い物は簡単に縦横を細く出来ますが、普通のMやBは縦には細く出来ますが横に線を引いた場合長刀のようにどうしても太くなってしまいます。そのためにイリジウムの背中を落してイリジュ−ムの先端を底部で尖らせて紙に点で接触するようにします。これが細く書ける秘密です。
Posted by らすとるむ at 2007年01月02日 18:16
らすとるむしゃん

細美研ぎは、筆圧ゼロに近い状態で書くと書き味良いらしい。イリジウムの背中を落してあるのは、イリジウムが金からポロっと外れるのを防ぐための業かもしれない。実物を見たいものじゃな。

多少の筆圧をかけても、カリカリしない【持ち方】というのを開発するのが大切かもしれない。小さな字を書く時には首軸先端を握るので、筆記角度などは普段とまったく違うからな。
Posted by pelikan_1931 at 2007年01月02日 15:08
師匠。

恐れ多いことです。
極細調整はかじってみたものの、まだまだ奥が深いようです。
Posted by らすとるむ at 2007年01月01日 21:14
らすとるむしゃん

こちらこそよろしゅうに。
極細調整の極意、教えてくだされ。
Posted by pelikan_1931 at 2007年01月01日 00:45
師匠。

この1年大変お世話になりました。
来たる新年は更なる高みを目指す所存です。

Posted by らすとるむ at 2006年12月31日 23:50
どーむしゃん

逆さにすると【!】に似た象嵌?のやつですな。アレは面白い!
インキ留めではなくコンバーター式というのも良い!
拙者もいつか作ってもらいたいものです。
Posted by pelikan_1931 at 2006年12月31日 21:15
My Pen Of The Year 2006ですか、言うまでもなく「萬年筆の山田」で作ってもらったオリジナルに尽きます。オーダーで作るなんて初めてでしたので、思いいれが強いですね。

書き味についてはプロフィットそのものですので、面白みは少ないですけどね。
Posted by どーむ at 2006年12月31日 21:04
京都和文化研究所 しゃん

次回の 【memo 男の部屋】 楽しみにしております。
Posted by pelikan_1931 at 2006年12月31日 13:45
rubbishi_lover007 しゃん

確かにSoennechkenはペン先が柔らかいのに寄りが強かったですな。
ペンポイントが多少開いても舐めるような書き味になりましたぞ。
Posted by pelikan_1931 at 2006年12月31日 13:43
5
My Pen Of The Year 2006 ・・・【セーラー・プロフィット赤軸長刀改】ですか 凄いですね !!。 一度試し書き してみたいですね!!。
私の My Pen Of The Year 2006 は 今年は 沢山の 萬年筆に出合いました
【MARUZEN アルビオン】が 1番興味深い 多分SSS社製 の OEM品 ですが 今調査中 今年は 本当に お世話になりました 149・146 は 酷い状態から 正常な状態に 戻して頂き 叉 細かい部分でも 解らない部分の 質問に明確に ご教授頂き ありがとうございます 来年も宜しくお願いします。
Posted by 京都和文化研究所 at 2006年12月31日 13:09
師匠。
私の入手したSoenneckenは、何故かどれも切り割りが、
がちがちに寄っていて、入手状態ではフローが悪いのです。
ニブがしっかりしているので、このようにペンポイントだけが寄っている状態にするのには苦労していますが、そこまでたどり着ければ、柔らかくフローも良く気持ちが良く書けますが・・・
Posted by rubbishi_lover007 at 2006年12月31日 13:02