2007年01月12日

金曜日の調整報告 【 Parker Duofold クロワゾネ 】

2007-01-12 01

 今回の調整依頼はパーカー・デュオフォールド・クロワゾネ。昨年度の限定品で、マンダリン・イエローの柳の下ねらいじゃな。一昨年のミニ檸檬騒動から、ふと思い出して作ったのかもしれない。

 もっとも本家はマンダリンイエローで、それを真似したのが、檸檬、その真似がミニ檸檬。とすれば、クロワゾネはミニ檸檬に触発された【本家の子孫】じゃな。

2007-01-12 02 パーカー・デュオフォールドのペン先は【胡桃のチップでXX時間磨き上げた・・・】が謳い文句で、購入時点からある程度の書き味は保障されているもの。多少インクフローが物足りないが、メーカー比較でいけば、トップクラスの調整がなされている。

 ところが、この個体は酷い状態。まず背開き。更には左右の段差。何かの弾みでぶつかったか、調整漏れか、素人調整・・・じゃな。

 デュオフォールドの場合は、ペン芯とペン先の位置は固定なので、調整で変更出来る部分は、スリット調整、段差調整と研ぎしかない。今回の調整では、さらにペン芯の上反り状態を改善した。上反り状態は背開きを助長する。

 ペン芯を下に曲げ、ペン先をそれに合わせて下に曲げ、スリットを開いて、段差をそろえて、筆記角度に合わせて研ぐ・・・という作業を終えた画像が次じゃ。

2007-01-12 03 ペン先とペン芯の結婚・・・という金ペン堂さんの言葉を思い出しながら密着させた。更には、正しい持ち方で中字よりやや太め。背中で書けば、中字よりやや細め。インクフローは共に極めてよし!

 という状態に先を研いで見た。

2007-01-12 04 #320番の耐水ペーパーの上で文字を書き、その削り方向に沿って、徐々に木目の細かいペーパーで形を作っていく。最後にはエメリーペーパーでエッジをやや落して出来上がりじゃ。 

 それまでの背開きニブ独特の引っ掛り感が皆無となり、実にスムーズな筆記が可能となった。これでXXBニブなんてのが純正オプションで売り出されていたら良いのに!


【 今回の調整+執筆時間:1.5時間 】 調整0.5h 執筆1.0h

これまでの調整記事

2007-01-10   Faber-Castell スネークウッド M 
2007-01-05   Montblanc ボエム アメジスト OB 
2007-01-05   Pelikan アテネ B 
2007-01-03   Montblanc No.254 OB 
2006-12-30   セーラー プロフェッシュナルギア 水色 
2006-12-27   Sheaffer コノソアール 赤軸 OB  
2006-12-16   Sheaffer インペリアル 777 金キャップ & 青軸 
2006-12-13   Montblanc デュマ 
2006-12-09   Pelikan 1935 Malachit Green F 
2006-12-06   Pelikan 1931 Toledo B  
2006-12-02   Montblanc No.252 OBBB 
2006-11-29   Montblanc No.149 ピストンガイド交換 
2006-11-25   Montblanc No.149 ニブ塗分け 
2006-11-22   Namiki Vanishing Point ペン先のロジウム鍍金 
2006-11-18   Pelikan M910 トレド ペン先の三層鍍金 
2006-11-15   Pelikan M800用 ペン先の三層鍍金  
2006-11-11   カランダッシュ ボールペンの銀鍍金 
2006-11-08   Montblanc No.149 ペン先裏のロジウム鍍金   
2006-11-04   Montblanc No.149 O3B でも・・・  
2006-11-01   Parker Duofold International XXB 
2006-10-28   Montblanc 1970年代 No.146 ああ無残! 
2006-10-25   Montblanc 1980年代前半 No.146 B   
2006-10-21   Montblanc No.149 B 至高のペン先   
2006-10-18   Sheaffer Snorkel 青/ 赤  
2006-10-14   Senator  President  B 
2006-10-11   プラチナ #3776 セルロイド 極太  
2006-10-07   Conway Stewart Churchill IB
2006-10-04   OMAS パラゴン BB   
2006-09-30 Montblanc No.254 OBB  
2006-09-27 Montblanc Np.146  丸善120周年記念 
2006-09-23 Montblanc No.149  BBB 
2006-09-20 Pelikan 140 赤 
2006-09-16 Sheaffer Crest 黒 & 赤 
2006-09-14 Soennecken Pony  
2006-09-13 Montblanc No.742-N  

2006-09-09 Montblanc No.252 
2006-09-07 Montblanc No.22 緑 
2006-09-02 Montblanc No.744 OBBB 
2006-08-31 Montblanc No.1465 高筆圧対応化 
2006-08-30 Montblanc  No.149 開高健モデル 
2006-08-26 Montblanc  No.644 グレイ縞 
2006-08-23 Montblanc 1970年代 No.146    
2006-08-19 Montblanc Monte Rosa 
2006-08-16 Sheaffer Tuckaway  

2006-08-10 Montblanc No.256 KOB   
2006-08-05 Conway Stewart Floral   
2006-07-29 Montblanc 1950年代 No.146 
2006-07-22 Montblanc No.74改 Kugel
2006-07-15 シェーファー ノスタルジア・バーメイル
2006-07-08 シェーファー ニュー・コノソアール
2006-07-01 アウロラ 88 オールブラック

万年筆は刃物! その1 【研ぐとは?】
万年筆は刃物! その2 【心構え】
万年筆は刃物! その3 【準備する工具類】
万年筆は刃物! その4 【インクフローの調整】
万年筆は刃物! その5 【書出し掠れの調整】
万年筆は刃物! その6 【引っ掛りの調整】
万年筆は刃物! その7 【ガタツキ、ズレの調整】
万年筆は刃物! その8 【書き味硬め調整の極意】
万年筆は刃物! その9 【書き味柔らかめの調整】
万年筆は刃物! その10 【ペン先曲がりの調整】


Posted by pelikan_1931 at 06:00│Comments(6) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
しし しゃん

【いやぁ〜、また、やっちまった・・】というのも楽しいもんじゃよ。新しい万年筆を買う口実にもなるしな。
Posted by pelikan_1931 at 2007年01月13日 06:58
甘い考え方でした
申し訳ない

今後も参考にさせていただきます
Posted by しし at 2007年01月13日 02:33
monolith6しゃん

前のマンダリンイエローは専用ニブでしたが、これは共用ニブでしたか!
それなら乗せ変えは可能ですな。

じゃ、拙者もこの軸買おうかなぁ・・・
Posted by pelikan_1931 at 2007年01月12日 06:06
しし しゃん

全て教えてもらっては身につかん。ヒントをもらって自分で何本か潰した後に成功して初めて次の次元に進めるのじゃ。
失敗を恐れてはいかんよ。
Posted by pelikan_1931 at 2007年01月12日 06:05
 これといい、1100本限定のビッグ・レッドといい、ニブは96年から2005、6年にかけて販売されたストリームライン型と同一ですから、Mニブが気に入らなければ、BなりXBなり、XXBなりに変えることは簡単ですよね。尤も、XXBニブは欧米にはありましたが日本には入荷しませんでした。
Posted by monolith6 at 2007年01月12日 02:08
初めまして
いつも参考にさせて貰っています

馴らしぐらいの調整は満足のいくレベルまで何とかできるように
なったのですが、もう一段上のわずかな腹開きにすることに
悩んでいます

お時間がありましたら開きの調整に関する記事を一本書いて
いただけないでしょうか
Posted by しし at 2007年01月11日 22:48