今回の調整依頼はパーカー・デュオフォールド・クロワゾネ。昨年度の限定品で、マンダリン・イエローの柳の下ねらいじゃな。一昨年のミニ檸檬騒動から、ふと思い出して作ったのかもしれない。
もっとも本家はマンダリンイエローで、それを真似したのが、檸檬、その真似がミニ檸檬。とすれば、クロワゾネはミニ檸檬に触発された【本家の子孫】じゃな。
パーカー・デュオフォールドのペン先は【胡桃のチップでXX時間磨き上げた・・・】が謳い文句で、購入時点からある程度の書き味は保障されているもの。多少インクフローが物足りないが、メーカー比較でいけば、トップクラスの調整がなされている。
ところが、この個体は酷い状態。まず背開き。更には左右の段差。何かの弾みでぶつかったか、調整漏れか、素人調整・・・じゃな。
デュオフォールドの場合は、ペン芯とペン先の位置は固定なので、調整で変更出来る部分は、スリット調整、段差調整と研ぎしかない。今回の調整では、さらにペン芯の上反り状態を改善した。上反り状態は背開きを助長する。
ペン芯を下に曲げ、ペン先をそれに合わせて下に曲げ、スリットを開いて、段差をそろえて、筆記角度に合わせて研ぐ・・・という作業を終えた画像が次じゃ。 ペン先とペン芯の結婚・・・という金ペン堂さんの言葉を思い出しながら密着させた。更には、正しい持ち方で中字よりやや太め。背中で書けば、中字よりやや細め。インクフローは共に極めてよし!
という状態に先を研いで見た。 #320番の耐水ペーパーの上で文字を書き、その削り方向に沿って、徐々に木目の細かいペーパーで形を作っていく。最後にはエメリーペーパーでエッジをやや落して出来上がりじゃ。
それまでの背開きニブ独特の引っ掛り感が皆無となり、実にスムーズな筆記が可能となった。これでXXBニブなんてのが純正オプションで売り出されていたら良いのに!