2007年01月27日

神はDetailに宿る!

2007-01-27 01 【 God is in the Details 】 という言葉は建築家のミース・ファン・デル・ローエが最初に言ったらしい。

 仕事では【細かい事にとらわれすぎて、重要な事を見落としている!】と若いころから言われていたが、どっこい【神はDetailに宿る】じゃ。細部をおろそかにした亡羊とした【事(こと)】はすぐに化けの皮が剥れてしまう! 

 万年筆の世界では【相場】があるので、細部に徹底的にこだわる事は出来ない。しかしいくつかのメーカーには飛びぬけて良い部分がある。【良い】というより【好き】と表現した方が適切じゃな。

 敢えてメーカー名は記載しないが、すぐわかるものもあるし、困難なものもある。

 ペン先のデザインについては上画像の【 pf 】マーク付きが好き!エラの張りかた、刻印の書体、模様・・・全てにおいて完璧な形状のペン先じゃ。書き味調整の自由度が一番高いのも気に入っている。

2007-01-27 02 ペン芯はエボナイト製が美しい。特に左の物はエボナイト製ペン芯史上最高の加工精度のものじゃ。伝統的なロクロや単純な旋盤ではなく、高精度の金属加工をするプログラマブルな工作機械を使ったと思われる。素人がコストを省みず趣味で作ったようなペン芯。しかし一流企業になった後のこのメーカーは世界最低?のプラペン芯を使うようになった。従ってこのエボナイト製ペン芯は非常に貴重じゃ。

2007-01-27 03 ペン先とペン芯を保持するソケットもエボナイト製が良い。通常時は非常に硬く、お湯に入れると膨張してペン先、ペン芯を抜けやすく出来るのが最高じゃ。このソケットは1950年代のモデル用のもの。拙者が扱った中では最も美しい。美しいものがすばらしいとは限らないが、すばらしいものはすべからく美しい。

2007-01-27 04 筆記時における軸のホールド感というものも重要。拙者は銀の感触、漆の感触が大好き。指に吸い付くような感じがする。しかし最も好きなのは彫りが施された軸。そういう軸を見るとつい手が伸びてしまう。滑らないということでは純銀軸や漆塗りの方が上なのだが、見た感じというのも重要。それと純銀や漆は手垢で曇ると薄汚い。その点、樹脂のチェイス軸というのは汚れが目立たない。汚れを気にしながらの筆記は楽しくないからな。

2007-01-27 05 拙者は後ろに挿したキャップがグラグラするのが大嫌い。回転式キャップはどうしてもネジの部分が軸にあたってカタカタしやすい。従って一番良いのは左図のように、キャップ先端が尻軸内部に差し込めるもの。こうすればキャップがカタカタいう事は無い。現在ではシリンダー状の細軸でしか実現していないが、極太軸での実験をしてみたいものじゃな。

2007-01-27 06
 吸入は、やはり回転吸入式に限る。ただし回転部分が外部に出ていると、思わぬ事故にあう事もある。従ってブラインドキャップ方式が吸入方法として最高だと考えている。尻軸を捻る回転吸入式は便利ではいいが、ブラインドキャップ方式と比べると下品じゃ。パンツ見せながら歩いているみたいで奥ゆかしさが無い・・・かな?

 こういう神が宿った細部を見ていると非常な幸福感を感じてしまう。

 細部だけではなく、万年筆全体に宿るような神はいないものかな? 



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
monolith しゃん

後者です。
Posted by pelikan_1931 at 2007年01月27日 09:09
 ペン芯のメーカーはスティピュラに見えますが、ヴィスコンティでしょうか?
Posted by monolith6 at 2007年01月27日 08:04