今回の依頼品はDelta 366じゃ。本物は初めて見た!全体に丸っこくてかわいい形状をしている。Delta 365が無骨だっただけに可愛さが際立つ。首軸の形状も微妙に丸められていて持ちやすい。明らかに女性をターゲットにした商品じゃな。

ペン先はスチール製。ただし鉄に鍍金を施した鍍金ペンではなさそうで、合金のように思われる。イリジウムが付いているところを見るとかなり融点の低い合金じゃろう。鍍金ペンに比べて弾力が少ない。ただしこれくらい小さなペン先で弾力をつけた合金ペンではすぐにペン先が開いてしまうじゃろうな。

ペン先の厚みは左画像から想像できようが、かなり厚い。弾力が少なく、多少柔い合金なので、肉厚にして強度を出しているようじゃ。
ペン芯の位置は拙者の好みと一致している。位置は変えられないので最初からこういう設計!美的感覚のあるコーディネーターがいて、ペン芯の先端をこの位置で押さえたのであろう。えてしてペン芯先端を前進させようとするメーカーが多い中で好感が持てる!

ペン芯とペン先裏画像が左。ペン芯は非常にシンプルな形状だが、ハート穴の位置と空気溝の開始点が一致している。すなわちハート穴からの空気流入も考慮に入れた設計じゃ。だからペン先とペン芯が位置固定になっていたのか!なかなか良く考えてある秀作!

ちなみにどうやって固定してあるかといえば、左の画像のごとく、ペン芯とペン先を重ねた形状とまったく同じ断面形状で首軸内部が形作られている。従ってペン先とペン芯を重ねて首軸に一部を突っ込み、多少力を入れながら回していると、スゥ〜っと内部に吸い込まれるように入っていく。この位置が定位置。そこからペン先とペン芯の左右のズレとかを微修整しても良い。
この構造はDelta形式のペン芯を使っている会社ではほとんど採用されている。日本ではセーラーがこの形式を取っている。

さて修整じゃが、まずはインクフローの改善。引っ掛るということは、ある程度筆圧をかけている証拠。何故に筆圧が必要かといえばインクの出が悪いから。従ってインクフローを良くすれば筆圧が下がって引っ掛かりが気にならなくなる・・・というのが【川口理論】じゃ。拙者も忠実にこの方式を用いている。
多少スリットを開き、腹開き状態にしたあとで、首軸に突っ込むと・・・腹開きが多少の背開きに変わってしまう。これは押し込んで固定する方式のペン先にありがちな症状。そういう時にはペン先先端を逆側から紙に押し付けるようにすれば、背開きが平行か腹開き状態になる。やり過ぎると曲がってしまうので、ごく僅か・・・この力加減は何本か失敗すれば身に付くものじゃ。
さて、調整の終了したペン先を軸に装着して、引っ掛るほうを多少研磨。さらには金磨き布で傾斜8の時旋回を縦長左右周り各100回、横長左右周り各百回の計400回実施して終了。これ以上やると馬尻になるので注意!
結果は絶妙!とてもスチールペンの書き味ではない!後は調整戻りを見て微調整すれば終了じゃ!
Posted by pelikan_1931 at 07:00│
Comments(2)│
mixiチェック
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万年筆
デルタ366は私も持っておりますが、ペン先は十八金です。ただし大変堅いものなので、ブラインドテストをやったらとてもこれが十八金だとは思えないでしょう。私のを見るとニブ表面のDの文字の下、首軸への付け根に18K-750と刻印があります。この製品には何もないですねえ。