2007年02月12日

月曜日の調整報告 【 Sheaffer インペリアル・ソボリン 14K-M 】

2007-02-12 01 今回の依頼品はSheafferのインペリアル・ソボリン。症状は書き味が硬く味が無い・・・ので、インクドバドバのしっとりとした書き味に!

 これがXFやFのニブであれば【しっとりとした書き味】は端から無理じゃが、Mであれば何とかなる。依頼品はかろうじてM程度のイリジウムを持つため、不可能ではない。

2007-02-12 02 これは調整前の首軸部分を上から見た図じゃ。ニブ先端が詰まっている。これではインクフローが悪く、筆圧を上げなければ満足する濃さの字は得られない。ところが筆圧を上げると切り割り部分のエッジが紙に当たりやすくなり書き味が劣化する。すなわち第一に考えるべきはインクフローの改善じゃ。

2007-02-12 03 こちらは調整前のペン先を横から見た図。先端は綺麗に丸められているが、依頼者の筆記角度と合致していない。また、ペンの背中では字が書けない。これではペン先の魅力を半分程度しか楽しめない。

 筆記角度を依頼者に合わせるには、依頼者の筆記角度で1200番の耐水ペーパーの上で8の字旋回を4通り繰り返す。本人にやってもらうのが一番だが、恐がって筆圧がかからないのと、正しい8の字旋回がまず出来ない。そこで20文字ほど耐水ペーパーの上で住所などを書いてもらい、ついた傷の向きにあわせて拙者がゴリゴリと削るわけじゃ。この作業は心臓に悪いので、出来るだけ依頼者に見せて楽しむようにしている。心臓の弱い方にはご遠慮いただいた方がよかろうな。

2007-02-12 04 これが調整前のイリジウム部分だけを拡大したもの。腹のカーブをもう少し削り、腹から臍のあたりの下側エッジをコードバン(馬尻)になるくらいまで削る。接紙する部分をコードバンにしてはおしまいじゃが、紙に当たる機会が極めて少ない部分のエッジは極力丸めたほうが良い。

 さらにはイリジウムの頭頂部をスタブのように研ぐと、書き味がネットリとしてくる。もちろん裏書きの際の感触も飛躍的に上がるのじゃ。

2007-02-12 05 こちらは調整後のペン先。上から2番目の画像と比較するとわかるが、イリジウム先端の形状が変わっている。これがスタブ風の研ぎで、最近はこれに凝っている。どのメーカーのイリジウムに適用しても書き味が飛躍的に上がるので機会があったらお試しあれ。ただしM以上、出来ればBの大きさのイリジウムでなければ効果は出ない。

2007-02-12 06 これが調整後のイリジウムを横から見た図。これが研ぎを見るのには一番良かろう。一見すると調整前のイリジウムと区別はつかないかもしれない。しかし、実際には円から平行四辺形に研ぎだしたイメージなのじゃ。実際にインクを入れて書いてみると・・・Gペンで書いていたような書き味が消え、ニュルニュルという筆記音を残しながら横細縦太の字が紙に記される。まさに極楽じゃ!

【 今回の調整+執筆時間:4時間 】 調整1h 執筆3h

これまでの調整記事

2007-02-09   Montblanc No.149 14C-M
2007-02-07   Pelikan M710 トレド 18C-EF バイカラー
2007-02-05   Montblanc No.146 14K-EF 遠隔調整
2007-02-02   Pelikan M1000 緑縞 18C-3B
2007-01-31   Montblanc No.146G 14C-KM
2007-01-29   Delta 366 M 
2007-01-26   2006年最高調整【自分用】 
2007-01-24   Pelikan M200 ダークブルー 母の遺品 
2007-01-22   Waterman ル・マン 200 
2007-01-19   Montblanc No.149 ピストンガイド交換 その2      
2007-01-17   Pelikan 100N OM 
2007-01-15   プラチナ 蒔絵 
2007-01-12   Parker Duofold クロワゾネ
2007-01-10   Faber-Castell スネークウッド M 
2007-01-05   Montblanc ボエム アメジスト OB 
2007-01-05   Pelikan アテネ B 
2007-01-03   Montblanc No.254 OB 
2006-12-30   セーラー プロフェッシュナルギア 水色 
2006-12-27   Sheaffer コノソアール 赤軸 OB  
2006-12-16   Sheaffer インペリアル 777 金キャップ & 青軸 
2006-12-13   Montblanc デュマ 
2006-12-09   Pelikan 1935 Malachit Green F 
2006-12-06   Pelikan 1931 Toledo B  
2006-12-02   Montblanc No.252 OBBB 
2006-11-29   Montblanc No.149 ピストンガイド交換 
2006-11-25   Montblanc No.149 ニブ塗分け 
2006-11-22   Namiki Vanishing Point ペン先のロジウム鍍金 
2006-11-18   Pelikan M910 トレド ペン先の三層鍍金 
2006-11-15   Pelikan M800用 ペン先の三層鍍金  
2006-11-11   カランダッシュ ボールペンの銀鍍金 
2006-11-08   Montblanc No.149 ペン先裏のロジウム鍍金   
2006-11-04   Montblanc No.149 O3B でも・・・  
2006-11-01   Parker Duofold International XXB 
2006-10-28   Montblanc 1970年代 No.146 ああ無残! 
2006-10-25   Montblanc 1980年代前半 No.146 B   
2006-10-21   Montblanc No.149 B 至高のペン先   
2006-10-18   Sheaffer Snorkel 青/ 赤  
2006-10-14   Senator  President  B 
2006-10-11   プラチナ #3776 セルロイド 極太  
2006-10-07   Conway Stewart Churchill IB
2006-10-04   OMAS パラゴン BB   
2006-09-30 Montblanc No.254 OBB  
2006-09-27 Montblanc Np.146  丸善120周年記念 
2006-09-23 Montblanc No.149  BBB 
2006-09-20 Pelikan 140 赤 
2006-09-16 Sheaffer Crest 黒 & 赤 
2006-09-14 Soennecken Pony  
2006-09-13 Montblanc No.742-N  

2006-09-09 Montblanc No.252 
2006-09-07 Montblanc No.22 緑 
2006-09-02 Montblanc No.744 OBBB 
2006-08-31 Montblanc No.1465 高筆圧対応化 
2006-08-30 Montblanc  No.149 開高健モデル 
2006-08-26 Montblanc  No.644 グレイ縞 
2006-08-23 Montblanc 1970年代 No.146    
2006-08-19 Montblanc Monte Rosa 
2006-08-16 Sheaffer Tuckaway  

2006-08-10 Montblanc No.256 KOB   
2006-08-05 Conway Stewart Floral   
2006-07-29 Montblanc 1950年代 No.146 
2006-07-22 Montblanc No.74改 Kugel
2006-07-15 シェーファー ノスタルジア・バーメイル
2006-07-08 シェーファー ニュー・コノソアール
2006-07-01 アウロラ 88 オールブラック

万年筆は刃物! その1 【研ぐとは?】
万年筆は刃物! その2 【心構え】
万年筆は刃物! その3 【準備する工具類】
万年筆は刃物! その4 【インクフローの調整】
万年筆は刃物! その5 【書出し掠れの調整】
万年筆は刃物! その6 【引っ掛りの調整】
万年筆は刃物! その7 【ガタツキ、ズレの調整】
万年筆は刃物! その8 【書き味硬め調整の極意】
万年筆は刃物! その9 【書き味柔らかめの調整】
万年筆は刃物! その10 【ペン先曲がりの調整】

Posted by pelikan_1931 at 12:12│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆