
これがXFやFのニブであれば【しっとりとした書き味】は端から無理じゃが、Mであれば何とかなる。依頼品はかろうじてM程度のイリジウムを持つため、不可能ではない。


筆記角度を依頼者に合わせるには、依頼者の筆記角度で1200番の耐水ペーパーの上で8の字旋回を4通り繰り返す。本人にやってもらうのが一番だが、恐がって筆圧がかからないのと、正しい8の字旋回がまず出来ない。そこで20文字ほど耐水ペーパーの上で住所などを書いてもらい、ついた傷の向きにあわせて拙者がゴリゴリと削るわけじゃ。この作業は心臓に悪いので、出来るだけ依頼者に見せて楽しむようにしている。心臓の弱い方にはご遠慮いただいた方がよかろうな。

さらにはイリジウムの頭頂部をスタブのように研ぐと、書き味がネットリとしてくる。もちろん裏書きの際の感触も飛躍的に上がるのじゃ。

