コレクターにとって一番悔しいのは、定番品を買い逃すこと。いつでも入手出来るからそのうち・・・と思っていたら、いつのまにか店頭から姿を消していた。あわててTHE PENで調べると、実はずっと前に廃盤になっていて、店頭在庫があったのみ・・・という目に何度か遭った。
このDupontのクラシック・バーメイルもそれ!タイガーアイや星雲といった漆物に目をむけているうちに、いつの間にか見かけなくなった。定番品だからどこかのデパートにあるだろう・・・コストパーフォマンス極端に悪いから誰も買わないだろう・・・と安心していたが、先日までまったく出会えなかった。
手をこまねいていたわけではなく、デパートの筆記具売場やデュポンにも問い合わせてみたが一本も無かった!これはショック!万策つきてあきらめの境地にはいったのが15年ほど前。
拙者はもう一つの入手経路を見落としていた。コレクターや愛好家の放出じゃ。
先日、ユーロボクスを訪問したら、何人かの顔見知りが・・・拙者は冷やかしだったので、ショーケースを漠然と眺めていた。ああ、先週訪問した時に持ち込まれた放出品があるなぁ・・・と見ていたらDupontのバーメイルと思しき物がある!心臓が爆発しそうになった。あった〜ぁ!
しかし、ここで冷静にならなければならない。ここからが店主との神経戦。新品では無いので軸にはかなり傷が付いている。ただ拙者はこれを実際に使いたいだけ。むしろライカ M4 ブラックペイントのペイント剥れのようでカッコイイ!
20分ほどしてから【これ見せてぇ〜】。値札が付いていない。こういうものはその場で値段が決まる。店主はルーペで軸を覗きこむ。やべぇ〜バーメールだってばれるかな?一見金鍍金の定番品に見えるんだけどなぁ・・・
『これバーメイルだねぇ。925の刻印がここにあるでしょ』 ああ、ばれたか・・
『これ珍しいよ』 おお、はやくもジャブが・・・
【ふーん。でいくらぁ・・】 とあまり買う気がなさそうに聞く・・・
『う〜ん・・・・・・・・』 おお、価格設定に悩んでいる。昔の価格を知らないな・・・
『そうだね・・・1万円でどぉ〜ぅ』という言葉を言い終わらないうちに1万円札を押し付けて奪い取った。物品税のころの品なのでめちゃくちゃ高かったのじゃ。純銀製とバーメイル(純銀に金鍍金)の差が大きすぎたので購入を迷って買い逃したもの。程度に関係なく1万円なら買いじゃ。
これで拙者のボールペンコレクションは完結した。欲しいものは全て手に入れた。ああ幸せ! この時期、晴れの早朝は気持ちよい。東京では午前6時は既に明るい。まだ日が低いので、太陽に向かって歩くのはまぶしくて閉口する。ずっと下を向いて歩かねばならぬ。拙者は黒目が茶色っぽいので昔からまぶしい光に弱い。全員が白い服を着る体育の時間は眩し過ぎて困っていた。曇りなら良いが、晴れの日には往生した。それに『晴れの国』と呼ばれた地方だったので、そもそも眩しくない時期が少なかった。
時折遮蔽物があると目が上げられる。その時の町の美しさは感動物じゃ。ああ、逆光ってちゃんと目を上げられればこんなにも美しいものか!
そこでパチリ! 昔のカメラに白黒フィルムでは暗部が潰れて作品にならなかったが、最近のカメラはなんの補正もせず、パチリとシャッターを押すだけでちゃんと露出補正を自動でやってくれる。便利なような、つまらないような・・・
不便を楽しむのが趣味の世界かもしれないな・・・