今回の依頼品は2つの大きなトラブルを抱えている。ひとつがこれ。ペン先が右に大きく曲がっている。まるで画伯の特殊スケッチペンのよう。幸いなことに、左右に曲がっているだけで両足をからませたような状態にはなっていない。従って大手術というほどではないはずだったのだが・・・依頼者はこの状態で入手されたらしい。修理できる確信がなければこういう物に手を出しにくい。5000円ならペン芯とピストンガイドだけが生き残っていても払う価値はあるが、それ以上は損する・・・・。WAGNER会員は別じゃがな。

こちらが拡大図。ペン芯とずれている事から考えて、かなり強い力でぶつけたと考えたれる。あるいはフローリングの床に高い位置たら落下させたのかもしれない。ペン先先端だけをぶつけたようで、イリジウム部分が曲がっている。もう少し衝撃が強かったら再生不可能だったかもしれない。それにしても金がイリジウムを抱く力はかなりのものじゃな。
もうひとつのトラブルは・・・・尻軸がねじ切れている事。下の尻軸がネジ切れる前の状態。昔のNo.149はNo.146では良く見かけるトラブルじゃ。インクが胴軸内で固まってピストンが動けない状態になっているのを力ずくで動かそうとすると簡単に捻じ切れてしまう。それほど複雑な加工ではないのに何故金属製にしないのか不思議・・・今だに同じはずじゃ。このネジ棒を金属の輪で尻軸に固定してある。多少カタカタと動くようになっているが・・・弱いのじゃ。ピストンの動きが悪くなたら早めに修理に出した方が良い。今回はたまたま壊れたNo.149からはずしておいた尻軸があったので利用することにした。ただし、本体のネジが一部つぶれていたので、ネジをひと溝ずつ丹念に掘り起こす必要もあった。
骨折した古傷が痛むような感じじゃ。拙者も骨折してから1年が経過したが、骨折の翌日は痛みなど無かった。が、ここへきて足首を不用意に捻ると、『ピリッ』と痛むようになった。まさにこういう感じの書き味。ペン先にも古傷?が感じられるとは驚きじゃ!