蒔絵について語った・・・【第三十二章】
拙者は蒔絵万年筆に関しては、まったく興味が無い。従ってこの章はスキップしようかと思っていた。自分の言葉で表現できるくらい情熱を傾けている事ではなく、本で読んだり、人の言葉を受け売りしていると、どんなに頭が良い人がミスなくしゃべっても・・・うまく伝わらない!と昨日の接待に同席した若い営業が話していたが、まさにそのとおり。拙者が蒔絵を語っても面白くないじゃろう。
ただし【へぇ〜!】ということがいくつか書かれているので紹介しよう。
【いの一番】
”いのいちばん”と入力して変換キーを押すと【いの一番】となるが、どうやら【イの一番】と、昔は表現されていたらしい。イがイロハの一番というから・・・は容易に想像出来る。
日本に特許制度が導入されたのは、明治18年7月1日らしい。【専賣特許本條令】と呼ばれたそうじゃが、同日付【イの一番】に出願された特許第一號が【漆で船艦の錆止め塗りを行う】という内容だったとか。
登録権者の記述のところには・・・
特許第一號
第六十四類
出願 明治十八年七月一日
特許 明治十八年八月十四日
特許年限十五年
東京府京橋區山城町八番地
特許權者 堀田瑞松
と書かれている。日本史にからっきし弱い拙者は、東京が府だった知らなかった。【府】は何に根ざした言葉なのじゃろう?幕府から?
【漆の乾燥】
拙者は蒔絵には興味が無いが、漆塗りは大好き!絵には興味は無いが、塗りは好きという天邪鬼・・・今回目から鱗の内容が書いてあった。それが漆が乾く温度についての記載。
いままでは漆が乾燥するのは、湿度100%の環境ということを信じていたが、温度については意識したことはなかった・・・驚いた!
漆乾燥の仕組みについての記述
★漆液が乾燥固化する作用は、普通湿った物が水分または油分を気化放出することにより乾燥する作用とは根本的に趣を異にし、適度の温度と水分との媒介により、漆液中の主成分たる漆酸が空気中の酸素と化合して酸化漆酸となるに因るもので、乾燥に最も適当な温度は摂氏20度〜30度の間で、日本では梅雨の候が適しています。20度以下でも30度以上でも乾燥は漸次緩慢となり、70度内外の所に放置すると、まったく乾燥力を失うにいたります。
★しかしさらに温度を上げて100度以上にすると、再び乾燥力を生じ、120度〜130度においては最も完全かつ短時間に乾燥し、むしろ自然乾燥によるものより強固なる塗着力と表面硬度を発生し、かつ色漆の発色は最も美麗に完了します。
★この方法によるものを高温乾燥法と呼んでおりますが、150度以上の温度をかける時は炭化の傾向を生じ、塗層が硬脆化してきますから避けねばならぬものです。
これで長年の謎が解けたかも・・・安い塗りや平蒔絵の万年筆の漆の乾燥にムロの中で何日もかけて漆を乾燥して利益が出るのか?と心配していたが、この高温乾燥法を用いるのかもしれない。120度程度ではどんな素材の軸でも燃えはしないからな。
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