この見開き2頁で紹介されているのは【ナイフ】じゃ。書斎やオフィスで使う物を【文房具】と定義すれば、いささか飛躍したところにいるのがアウトドア用のナイフ。
なんでこんな物が紹介されているのか?・・・と疑問に思っていたが、右上に書かれている言葉を読んで納得した。
【いいナイフさえあれば、人は机に向かっていても山野をさすらう狩人であることが、できるのです】
確かに書斎は読書をしたり手紙を書いたりというだけではなく、机の上に足を上げて葉巻でもふかし、ナイフをペチャペチャとほっぺに当てながら空想に耽る空間だったのかもしれない。
現在では、預金残高を考慮しながらインターネットオークションやネットショップで【ポチッ!】するかどうか悩む空間になっている気がしないでもない。もちろんその商品が入手できた後の喜び度合いと、どうやって家族から隠し通すかの策をも一緒に考える・・・
blog執筆者にとっては、ネタに悩み表現力の無さに落胆しつつ、とりあえず本日の記事をUpした後の爽快感を味わう為に苦闘する脳のアスレチッククラブかな?
拙者は刃物を幼いころから使っていた。3歳くらいから頻繁に手を切ったものだが、【血が出た〜ぁ】と騒いでも母は【なめとけ】で終わりだった。父は嬉々として包帯を巻いてくれた。
野生的な母と、村長のボンボンだった父の違いは子供にとっては強烈じゃった。【父組みやすし!】と思っていたのだが、社会に出てみると成功しているのは全て母のようなタイプだったな。
小学校に入った時、母から切り出し小刀【18】で鉛筆を削る特訓を受けた。当時の小学校には教室に鉛筆削りが配備されていなかったので、シュルシュルと鉛筆を削る拙者は女の子の憧れの的。
今までで一番女性からちやほやされた時代じゃな。それにしても、みんなが休憩時間に鬼ごっこしている時に、せっせと他人の鉛筆削りしている子供の姿は異常じゃな・・・みんながおしゃべりしている隅っこで、ひとり黙々と削っている・・・
皆が歓談している隅で黙々とペン先削っている姿に似てなくも無い・・・いやそっくりじゃ!
そうか!ペン先削りは大昔のモテモテだったころの夢よもう一度!という気持ちが潜在意識に働きかけているのかも知れんな。
文房具としてではなく【工芸品】としてみれば美しいナイフはたくさんある。が拙者が興味があるのはプロが使う道具。この中ではヨットマンが使うナイフ【7】が良い。破れた帆を縫う際に使う【帆に穴をあけるキリ】が付いているナイフってコンセプトに惚れた!
プロはシンプルな物を用いる。使い慣れて生産性を上げる必要があるからな。素人ほど多目的に惚れる。拙者は両方とも好き。しかしヴェンガーナイフ【3】は絶対にすぐ飽きる事が明白なので一度も買ったことが無い。
WAGNER会員にはこれを常備している人も多く、たまに借りるが確かに便利。拙者は自分で持って歩くよりも、常備している人と仲良くする事にしている。だって重いも〜ん。
子供なら誰もが持っていた肥後守【17】は昭和36年ごろには一個10円で小学校そばの文具店というかよろずやで売っていた。一緒に鍬や箒や2B弾やタバコやバスの切符も売っていたな。おばあさん一人でやっていた店。
先進的な母は、そのおばあさんに事前にお金を預けておいて、拙者の買い物はそこから差し引く契約になっていた。
拙者はお金払わないで何でも買えると最初は喜んだが、実は何に使っているかが母にバレバレになる仕組みだとさとって極力買い物はしないことにした。母の作戦勝ち!
昭和52年でも肥後守【17】は50円でしかなかった・・・昭和39年の東京オリンピック後に物価は上がったはずだし、昭和48〜49年ごろの石油ショックで物価は急上昇した。それでも50円で銀座伊東屋で売っていたとは驚きじゃ。
拙者が上京した昭和46年にはラーメン一杯が90円。それが石油ショックの直前には120円。石油ショックで250円にまで上昇した。
その後もじわじわ上がり続けたことから考えて、昭和52年で50円【ラーメン一杯の2割にも満たない値段】の手づくりナイフの存続が難しかった事は想像に難くない。ある意味万年筆よりも不遇な存在であったろう。
現在でも装飾ナイフのマーケットはかなり大きい。10万円を超える高級品も数多くある。一方で実用的で安価なナイフはNTカッターなどに押されて市場から姿を消しつつある。万年筆の世界に似ているかも・・・
【ヴィクトリアン・ナイフとNTカッターの世界】に酷似した【高価な限定万年筆とゲルインクボールペンの世界】
それはイヤじゃ!やはり日常的に万年筆を使うのがオシャレな時代を作りたい!まずは啓蒙活動に励まねばな。
【過去の記事】
2007-05-08 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その4
2007-05-01 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その3
2007-04-24 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】vs【趣味の文具箱 Vol.7】
2007-04-17 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その1