万年筆評価の部屋:ちょいと一息　その１

　左は知人からプレゼントされた商品サンプル。【SCHAU-MUSTER】を翻訳Toolにかけると【Look Sample】非常にわかりやすい刻印じゃ。日本語に訳せば【商品見本】かな？

　ちなみに動く部分は無い。従って部品流用もかなわない。

　使っている材料は本物とほとんど同じだが、【加工】されていないので筆記具としての価値は無い。すなわち万年筆は材料ではなく、【加工】にこそ付加価値があるという事を示唆しているわけじゃな。

　独逸では、こういうSCHAU-MUSTERに相当するものが、M800限定品でも作られている。それらの存在価値は何じゃろう？本物があるのにSCHAU-MUSTERを並べる意味とは？

　単なる想像だが、独逸では試し書きという文化が無いのかもしれない。商品とはパッキングされたものであり、購入者の手にわたるまで（販売員以外の）他人の手に触れられる事は無い！というのが万年筆販売の常識なのか？

　あるいは物騒な町の文具屋では、ショーウィンドウに【SCHAU-MUSTER】を展示し、店内では鍵のかかったロッカーに商品をしまいこむ・・・のかな？

　万年筆も鉛筆と同じように試し書きしないで購入する文化かもしれない。たしかにLAMYの商品などには、個体差が殆ど無いが・・・

　こちらはBliss（ブリス）じゃ。２年ほど前に仲間内ではやった商品。本来は車のWAXにかわるものだが、これを純銀製万年筆の表面に塗り、曇りを防ぐというもの。

　ペリカン・シャルロッテの純銀軸は模様に溝がある。従って銀磨き布や液体製シルバーポリッシャーでも完全には綺麗にならない。そこで曇る前にBlissでコーティングしようというもの。

　プラスティックや漆軸には効果が無く、金属軸にのみ効果がある。たしかに曇らない！非常に重宝しているが、銀独特の曇りもなかなか良い物じゃ。現在は曇ったほうが感じが良いものと、曇らないほうが感じが良いものとで使い分けている。アウロラ85周年記念も溝が深く曇りやすい軸なのでBlissを使っている。

　こちらは車用のコンパウンドの一番細かいもの。レンズの研磨にも使うと書かれているので購入した。それほど使う機会は無いが、細かい擦り傷だらけになったプラスティック製の軸磨きに使うと良いかもしれない。

　拙者がこれを購入したのは、セーラー・キングプロフィットのエボナイト製軸の曇りを取るためじゃ。セーラーにはエボナイト磨きのノウハウが無いのか、やたら曇る。要するに鏡のように研磨する技術が無い。出荷後かなりのクレームが寄せられた事が予想される。それに対してセーラーが講じた対策は３つ

　①定番モデルの軸をエボナイト製からプラスティック製に変えた（価格は下げた）
　②表面に漆塗りを施したモデルを出した（価格を上げた）
　③受注生産モデルを設定し、金属部分を無くしクリップも外れるように設計変更

　③の設計変更の理由は？　それは拙者のようにコンパウンドで磨いて艶出し使用とする人が大勢いたらしい。そしてせっせと磨くとせっかくの24金鍍金が全て落ちてしまった・・・であろうと想像している。従って金属部分を無くして気が済むまで磨けるようにした。これは偉大な発想の転換だと非常に評価している。①のように欠陥が出ないようにするのではなく、欠陥を逆手にとって自分で気が済むまで磨いてくださいというスタンス。もしこれがメーカー側の発想であるとすればすばらしいが、大手販売店からの強い要望で実現したのでは？という気もする。

　拙者はオリジナルモデルと上記③を両方持っている。24金鍍金が剥がれたものはお嫁に行ったが、まだMint状態のいオリジナルモデルも持っている。こいつには毎日日光と紫外線を当てて、徹底的に（均一に）曇らせてみようと考えている。一瞬で曇らせるなら熱湯に放り込めば良いが、そうすると薄茶色になってしまうだろう。それよりもだんだんと艶が無くなっていくような曇りが良い・・・というわけで日々変化を楽しむ計画を立てている。

ブリスは、基材が樹脂の溶剤になってるので、ガラスや金属以外のところに付着すると、万年筆自体がダメになってしまうので、注意されたほうがいいです。乾燥して固まると、言わばゼリー状の溶剤になるので、時間をかけてゆっくりと樹脂に浸透し、浸透したところの結合が外れていきます。人間がカドミウムを摂取して骨がスカスカになるイタイイタイ病と同じです。まったく使用せずケースに仕舞っていても、20年以内に自重でポッキリと樹脂やキャップが壊れます。

オブリーク2104 しゃん

磨きなおした後で、コーティングはどうなるのかな・・・

コーティングしていないレンズならおもしろそう。まずはルーペでやってみるかな・・・

＞＞レンズの研磨にも使うと書かれているので購入した。

そー言えば、写真関係の本で「歯磨き粉」でレンズを研磨しなおすという方がいたのを思い出しました。

手持ちの万年筆もレンズもとても歯磨き粉で磨く気にはなれませんが。

＞＞レンズの研磨にも使うと書かれているので購入した。

是非、あ×ねさんのズミクロン用に貸出してください。
今更取返しはつきませんが・・・・・。

やはりコンパウンドは車用ですね。自分はソフト99（同じ0.5ミクロン）のものを使用しています。
最近では他社製で0.2ミクロンなんてものもありました。

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万年筆評価の部屋

2007年06月16日

ちょいと一息 その１

ちょいと一息　その１