右側の【個性的な筆記具たち】というページを一瞥して思わず【うふっ】と笑ってしまった。
何もロットリングやステッドラーが懐かしくて【うふっ】となったわけではない。
以前、大学の統計の試験に電卓を持ち込むと【貧富の差】が出るので持ち込み禁止だったという話をした。
拙者が大学生のころはロットリングも建築科の学生以外はほとんど使用していなかった。我々は製図には【からす口】を使っていた。別名【カラス愚痴】と呼ばれたほど、不器用な学生には不人気だった。
すぐに製図用インクがボタ落ちして図面を汚してしまう・・・。拙者の友人のM君は、あまりに不器用な為、意を決してロットリングを購入した。自慢の逸品だったが、購入した最初の製図の授業で、インクが出ず、力いっぱい振って白いケント紙にインクのしぶきをかけてしまった・・・どうやら中に入れる針を忘れたらしい。
ロットリングを【ボタ落ちさせた男】として語り継がれていたが、そのM君もいまや大手企業の情報システム部長。不器用さとITの腕とは関係が無いようじゃ。
閑話休題:拙者が【うふっ】となったわけは、一番下の銀座伊東屋の広告のキャッチコピー。【一日中いてもアキない店】
まさにそのとおりじゃ。拙者も朝入って、夕方出るまで、全てのフロアーで買い物をした事が何度もある。万年筆に目覚める前じゃ。目覚めてからはほとんど中二階で用が足りた。たまにプリントゴッコのあるフロアーに行って、リソー・カーボンインクを買うくらい・・・ 朝から晩まで銀座伊東屋の時代を思い出させてくれたのが【ステマガ3】。やっと昨日入手した。万年筆本以外は欲しいという欲求が蓄積されないので、本屋に行っても思い出さないのじゃ。
ステマガ3は平積みされていたので目に入った。読んでみると・・・・
この本は名著じゃな。単刀直入に物欲を刺激する。生きていたら20年後にこの本を【世界の文房具】と同じように紹介してみたいと思う。
【世界の文房具】が風俗としての文房具を、主として文章で語っているのに対して、【ステマガ3】では写真で語っている。
【世界の文房具】では物欲を直接刺激することに躊躇しているかのようじゃ。そういう本作りに抵抗感を持ちつつも、広告宣伝費が入るのはありがたいので、しぶしぶカタログ的内容も入れるが、本意ではない・・・というような屈折した感じがするが、【ステマガ3】にはそういうてらいが無い。
【こんなの見つけた!面白いでしょ!】というノリで作られている。Editorsを見ると女性が一人増えている。どんどんノリが良くなるな!
拙者の煩悩を一番刺激したのは【カヴェコのスケッチペン】21頁に掲載されている。何かに似ていると思ったら【萬年筆バベルの塔】にそっくり!これは買わねば・・・とは思ったが、スケッチブックが無い・・・ _| ̄|○ こちらはやっと最強のペン先を得たParker 25。まずオール黒軸を入手。これは松江から。
そしてBoradとStubのペン先も入手。いままでの細字では、どう調整してもヌラヌラには出来なかったが、これで安心!
画像は横、上、下の三箇所を向いたもの。ペン芯先端の面取りがされていないのがわかろう。あまりに醜いので、当時利用していた人は、拙者も含めてペン芯先端をナイフで削って使っていた。 そしてAll Black軸に取り付けたSrub。Parker 25クラスの安価万年筆にBroadやStubを作っていたとはな・・・たしか英国Parkerの作品と記憶しておる。軸色の美しさは今見てもすばらしい。特に緑軸の派手さは最高!出来れば製造中止になったペンマン・エメラルドのカートリッジを入れて使いたい・・・あとカートリッジ2本ばかり残っておる。
こちらがStubとBroadのペンポイントの形状の違い。このStubの研ぎ方はセーラーのミュージックに近い。本気で研げば絶妙の書き味になることは間違いなかろう。それにしてもBroadは14ユーロなのに、Stubは22ユーロもした。希少性で値段が高くなっているのかな?
【過去の記事】
2007-06-19 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その10
2007-06-12 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その9
2007-06-05 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その8
2007-05-29 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その7
2007-05-22 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その6
2007-05-15 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その5
2007-05-08 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その4
2007-05-01 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その3
2007-04-24 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】vs【趣味の文具箱 Vol.7】
2007-04-17 暮しの設計 No.117 1977年【世界の文房具】その1