拙者が初めて作ってもらった特注万年筆が左の【パイロット・シルバーン・模様無】。当時のシルバーンは亀とか鶴とかの線画が彫ってあったのだが、お世辞にも上品とは言いがたかった。それに拙者は萬年筆の軸に絵を描くとか彫るとかは好きではない。模様塗りや模様彫りは大好きじゃが・・・・
そこで【模様の無いシルバーンを作って欲しい】と日本橋丸善に依頼した。模様を彫る手間が無いので安くなる・・・わけもなく、定価で購入した。
当時輸出物のNAMIKIには18K-Bがあったはずだが、そのペン先を付けてはくれなかった。 【パイロット・シルバーン・模様無】に付いていたのが左の14K-Mのニブ。ただし拙者がロジウム鍍金を施してある。当時は金色のペン先。当時というのは1997年。ペン先刻印の右二桁が西暦下二桁。
非常に満足のいく仕上がりだったが、ペン先がMということだけで使う気になれず、結局一度もインクを入れた事はない。
今回の【 WAGNER 2007 】の企画を出す時に、第一号は【シルバーンの太字】と心に決めていた。本当はコースとかBBが良かったのだが、ペン先の設計無理ということで断念・・・Bになった。 こちらは【シルバーン・石だたみ】についているMニブ。【 WAGNER 2007 】ではこれがBニブになる。
【模様無】と比べてみると、14Kと18Kの違いや、刻印の違いはあるものの、形状はまったく同じ。【金型から作り直さねばCやBBに対応出来ない・・・】というメーカー回答は証明されたことになる。
拙者はメーカー回答は頭から信じていないが、こうやって先方の言い分が実証されれば、最高のファンになる。素人だと思っていい加減な対応をするメーカーは許さないが、【お客様は神様】の視点で理論的な対応をしてくれれば応援したい。
概してメーカーは営業は柔軟で、技術や設計が頑固【顧客視点皆無】。新興伊太利亜万年筆会社の業績が伸びたのは、日本市場のお客様の要望を即座に新製品に反映していった姿勢が評価されたから。ただし彼らも企業規模が大きくなるにつれて顧客視点を見失っていく。何か寂しい。 【 WAGNER 2007 】 ではキャップの口に WAGNER 2007 との刻印を入れる。クリップの延長上に中心が来るように彫ってもらうことになった。
この刻印はレーザーで彫るが、文字の設定費用が非常な高額。従って製造本数で按分すると20本限定ではちと高くなる。そこでWAGNER会員で 欲しい! と手を上げた人【Blogを見て急遽会員登録した3人含む】30名の欲望を満たす本数を今朝の0時に締切り販売店へ発注した。
WAGNERは万年筆業界の活性化を使命としているので、必ず販売店を通して購入することにしている。販売店からの連絡では、あと一週間は本数を増やしても対応出来るだろうとのこと。オリジナル・シルバーンと同じ値段【52,500円】で良ければ追加は可能。コメント欄に連絡先を書いておくので連絡を請う。
今回販売店を通してメーカーと仕様の検討をし、会員からの注文を整理したが、関係者の労働時間を金額換算したら莫大な金額になる。20本や30本の特注万年筆製作というのは販売店にとっても、メーカーにとってもサービスでしかないな・・・と改めてわかった。偉そうに言ってごめんなさい・・・
今回は、黒澤明監督の【天国と地獄】風に、一箇所だけカラーにしてみた・・・