この万年筆はずいぶん以前に川窪万年筆店で入手した。川窪さん自身が非常に気に入っており、皆に薦めていた。拙者も一目で気に入り、色違い軸を求めてずいぶんあちこち探し回ったものじゃ。六本木のロアビルにあった【didi】にかなりのバリエーションがあった。
当時の販売価格は日本では5,000円で海外では90ドル程度。現在よりも格段に円が強い時代とはいえ、日本での定価は異様に安いと感じた。
万年筆だけではなく、ハーレーのガソリンタンクを模したりっぱなペンケースもついていた。国内外合わせて20本くらい購入したが、現在残っているのは各色一本ずつで13本。うち2本は 【 赤 と 黒 】の話題の時に紹介した。 ペン先はスチール製だがやけに色っぽい艶を持っている。よく見るとロゴやペン先の太さは書く側からは逆に見える。書いている正面に座っている人から見ればちゃんとロゴが識別出来る。あきらかにアクセサリーとして他人に誇示する目的で作られていることを物語っている!なんて悪口を言っていたのじゃが、キャップを後ろに挿して書いている姿は、ロゴがちゃんと読める事もあり非常に美しい!
購入当初はスリットが詰まっていてインクが出ないが、強い筆圧で神に押し付ける屈伸運動を20回ほどすればとたんにインクフローが良くなる。
非常に特殊なカートリッジが入っていたが、日本では入手出来ないのであせった。とりあえずウォーターマンの長いカートリッジが使えたのでそれを利用していたが、頻繁にインク漏れを起こして大変だった。やはりカートリッジと相性が悪かったのだろう。
さきほど手持ちのコンバーターとの相性をチェックしたら、一番ピッタリくるのは、モンテヴェルディのコンバーター。そうミニ檸檬に使える小さなやつじゃ。
このペンを買いに川窪万年筆店に行った日、若い万年筆愛好家が川窪さんの工房の向かいにある居酒屋でいっぱいやるというので、ご相伴に。
フェンテの会員も数人いたが、初めて会った人も多数。お互いに名前を名乗らなくても万年筆の話題で盛り上がれるのが趣味の世界。みんなNiftyの万年筆関係の住人という背景を持っていたので、オフ会という位置付けだったのかな?
当時は万年筆ヲタの聖地は川窪万年筆店だけであり、毎週末訪問していたような記憶がある。
飲み会の中で、NAMIKIの蒔絵万年筆【パンダ】の話題になり、誰かが【あのパンダの絵、いかにも偏差値が低そうな顔をしてるよねぇ・・!】といってみんなで【ガハハ!】と笑ったのだが、拙者は【あのぅ・・・わたしパンダ持ってるんですけど・・・】と言った。誰かが【えぇー、それ持ち主の偏差値も疑われますよ!】とつっこんでくれる事を期待したのじゃが、その場が一瞬で凍りついてしまった。
WAGNERならガンガン突っ込みが入って、次回それを持って来て、さらに突っ込まれるのじゃが、完全には打ち解けていない集団では【他人の持ち物に対するツッコミ】はむつかしい事なのかもしれないな。