万年筆評価の部屋:使ってみて初めてわかる事もある・・・

　カタログや試乗会で【すばらしい】と感激しても、日常的に乗っていると不満が出てくる車も多いと聞く。

　同じようなことが今回ルーペで発生した。左図の右側は拙者が20年以上使っているピークの15Xのルーペ。

　ピークというのは、引伸機のピント合わせをするフォーカスコープを作っていた会社というイメージが強い。その中でも【ピーク式ピントルーペ】というのが最高峰で、高校の写真部ごときでは購入出来なかった・・・。

　反射させる為の鏡の部分に蓋がついていたのが高級感を醸し出していた。社会人になって自分用の道具をそろえた時、カタログでの比較無しに買ったのは【ピーク式ピントルーペ】だけだった。

　実はその当時は【ピーク式ピントルーペⅡ】というのも発売されていてⅠ型よりも値段は安いが性能は高い！ということが各種テストの結果で示されていた。

　しかし拙者はあえて【ピーク式ピントルーペ】を購入した。憧れってのは価格や性能では変えることは出来ない。

　万年筆のペンポイントを確認するにも、当然のようにピーク製を使っていた。しかし前回の裏定例会で左側の高級ルーペを見て、あまりのコントラストの良さに感激し、その夜通販で申し込んで、翌々日には使っていた・・・

　しかし、昨日からピーク製にもどした。理由は・・・重すぎるから。実は８月の最初に大量の調整を終えており、しばらくは平日に調整する事が無かった。せいぜいコレクションのペンポイントや模様を見る程度。このくらいなら新しいルーペは実によい。

　ところが大量の調整をやった昨日は、午前中で重いルーペを使う気がしなくなった。頻繁に使おうとすると、ルーペの重さがじゃまになる。軽い方は19.4グラムで、重い方は46グラム・・・たいていの万年筆よりも重いルーペというのは・・・使えない。

　それと画像コントラストが良すぎて暗部がよく見えない。安いピークのルーペは光が滲むせいか、光が当たらないところもうっすらと見える。ところが色収差補正してある高級ルーペでは暗部は潰れる。暗黒になってしまうのじゃ。

　最新の非球面＋多層幕コーティングのレンズと、【タンバール：有名なソフトフォーカスレンズ】の差のようなものかもしれない。調整を前提とすれば安くて性能の悪いレンズのほうがよく見えるし使いやすいのじゃ。

　物心ついてから50年あまり、常に最高性能の物に憧れてきた。特にレンズ系にはこだわったものじゃ。ところが日常使用するルーペを通じて、それが根底から覆されてしまった。安くて性能の悪い物の方が、実はよく見える・・・これからはカタログ性能重視は改めねばな・・・・

　次は、本日最大の話題になるであろうポリエチレングリコール。試薬業界では【PG（ピージー）】と呼ぶ。

　これを使えばパイロットの５０型コンバーターの棚吊り現象を押さえられるに違いないと思った。とりあえず実験してみた。いままで何度も使っているコンバーター５０に一回水を入れてから振って水分を切る。

　ＰＧの30%水溶液をコンバーターに入れてよく振ったあとで、綿棒で擦りつける。これでＰＧはコンバーター内に行き渡ったはず。でインクを吸わせて見ると・・・・

　相変わらず棚吊り現象は解消しない。アレアレ？

　しかし、トントンと軸を指ではじけば空気は上に上がって、左図のようになる。棚吊り現象は解消したが、空気が前にあっては棚吊りよりさらに具合が悪い。空気とインクの入れ替えには指ではじくしかない。これじゃ使えないよ。

　次に新品のコンバーター５０にＰＧをつけないでインクを吸入すると、当然棚吊り現象は発生する。しかし指でコンバーターをはじけば同じように空気は上に移動する。ＰＧを使っている場合より、空気の動きは若干悪いのは確かじゃが・・・

　棚吊りを解消するには、コンバーター内側ではなく、インク自体に表面張力を減らす薬品を入れる必要がある。白黒フィルム現像の場合には【ドライウェル】という薬品を使っていた。たしか富士写真フイルムの製品だったはず。

　ドライウェルの希釈液にフィルムを浸してから干せば、水滴が一切発生しないで下に流れていく。非常に重宝したものじゃ。こういう薬品をインクに混ぜれば表面張力は減り、棚吊りは発生しないかもしれない。

　しかし、大問題がある。表面張力を発生しにくいということは、異常に滲みやすいはず。これでは紙に書くインクには使えない・・・

　同じインクをセーラーのコンバーターに入れると棚吊りは発生しないのに、コンバーター５０に入れると発生する・・・あきらかに素材の選定ミスじゃな。

　世の中は理屈ではないな・・・やはり実験してみないと真実はわからない。メダカ語録に入れておこう！

　それにしてもコンバーター５０が不良品であるということはパイロットでは把握しているのだろうか？

　日常的にで困っている多くのパイロットファンの為にも、是非改良してほしいな。そしてその際には改良する事を公表してほしい。急いで全てを買い直すから。それほど困っているのじゃよ!!!!!

うにうにしゃん

出来ることならば、傾ける角度に従って、サラサラと縦横無尽にインクが動いてほしい。実際、そういうコンバーターもあるのでな。

カートリッジで棚吊りが発生するのはParkerぐらいですが、あれば、サブインクタンクの為に、わざとそうしているだけ。

カートリッジよりもさらにマニアが使うコンバーターでインクの棚吊りが発生するようでは話にならない・・・

ひょっとすると、パイロットのインクなら棚吊りは発生しないのかな？

イオリしゃん

拙者もさっそく買う事にしました。あまりに小さいのだけが心配ですが、おそろしく良く見える。

本日Ｍ７６４しゃんに見せてもらった50ミリズミクロンのごとく、ねらった被写体の【裏まで写る】ような解像力です。

ハクバの１５Ｘルーペをセルシオとするならば、初代ミニクーパーのようなレンズです。実に良いですな。

stylustipしゃん

撮影用のレンズにもそういう現象があるとは聞いていましたがたはりそうでしたか！

私はＳＭＣペンタックス３５ミリＦ３．５とか、スイコー２１ミリＦ３．５などを頂点とする、解像力偏愛派だったので、暗部が潰れないなんて事のメリットは感じたことはありませんでした。

ペンクリでは、ピークよりさらにフレアーの多いルーペを使ってますが、これも暗部はよく見える。

しかし、ボシュロム・トリプレット１４Ｘは暗部が潰れない上に、解像度がおそろしく高い！これはいいですな！

　stylustipさんがお勧めになっていたボシュロムのトリプレット、7/14記事へのコメントにも書きましたが、14xを入手してさっそく使っています。
　通販の小包を開けた時にはあまりの小ささ(レンズ径が12mmくらい)にビックリしましたが、周辺部までキレイに見えますね。お陰でのぞいていても楽です。この調子なら、確かに20xもガマン無しに使えそう。全倍率欲しい！いいものを教えていただきました。
　今日は例会会場に持ち込んで、pelikan_1931さんにも見ていただきましたが、マズマズお気に召したようです。
　会場でTAKUYAさんをお見かけしたので、ティファニーの2枚レンズルーペ(廃番になったようです)用に、ケースのご相談をすることが出来ました。年相応に目が悪くなったせいか、最近ルーペが可愛く思えてきたようです。^_^; WAGNERのルーペ企画も楽しみです。

こんにちは

記事、興味深く拝読させて頂きました。光学系も奥が深く、レンズは本当に色々な場面で使い倒さないと分かりません。まだまだ、使い込みが足りないと痛感いたしております。また、色々ご教授頂ければ幸いです。

ノンコートなどの旧いレンズや球面ズミルクス３５ミリはコントラストが低いせいか、暗部が潰れず、焼き方次第では画面全体の情報量が増えるように感じています。
私は数年前に機材を整理したときに、コントラストが高いレンズの大半を一掃しました。
未練は全くありません。
カタログ値は無意味とは思いませんが、何でも使ってみなけりゃ解りませんね。

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万年筆評価の部屋

2007年08月12日

使ってみて初めてわかる事もある・・・