2007年08月18日

土曜日の調整報告 【 Sheaffer Snorkel 金張 14K-EF 】

2007-08-18 01 今回の依頼品はSheaffer SnorkelRolled Gold モデル。軸の材質が【オシャレだけれども安っぽい】というSheaffer Snorkelの中にあっては出色の出来を誇っている。

 ところで皆さんは【Snorkel】をどう読むじゃろうか?オークションなどでは、潜水用具と同じく【シュノーケル】と説明されている物が多い。これはドイツ語の海軍俗語Schnorchel(鼻)からきているのではないかと思う。これならシュノーケルと読める・・・

 しかし英語の発音記号はsnrkl
なので、その通りに読めば【スノーカル】が正しそうじゃ。

 拙者はその昔、ある萬年筆屋さんで聞いた【スノーケル】という響きが気に入って、それ以来そう呼んでいる。米国メーカーの製品なので、独逸語読みは失礼かなと言う気持ちもあるが考えてみれば英語文字【Snorkel】のドイツ語読みのような読み方じゃが・・・【ランブロー・すなみ本】でも【スノーケル】と書かれているので【万年筆評価の部屋】では【スノーケル】と呼ぶ事にする。

 趣味の世界は学問ではないので、実体が特定出来れば、読み方や書き方には鷹揚でいたいと常々考えている。ただ商品名を呼び間違えた時にはお互いに訂正するようにしたいものじゃ。

 以前、すなみまさみち氏の前でPelikanの【IBIS】を【アイビス】と発音したら【アイビスじゃなくてイービスでっせ!】と訂正してくれた。こういう先達からの直接のアドバイスほど役に立つ事はない。二度と忘れないからな。

 直接のアドバイスはする方が大変気を使うものじゃが、趣味の世界では全員が真実を追究している学究者であり、上下関係は無い。自分自身
の誤った記憶もあるだろうから、積極的に確認するようにしてくだされ。それに【金曜日の質問コーナー】を使っていただけると、記録に残るのでさらにありがたい。

2007-08-18 02 さて今回の依頼内容である【書き味調整】であるが、どこにも悪いところはないように思えた。困った・・・これでは記事にならないではないか!

 拡大画像を見ても破綻はない。綺麗な形状。書き味にも問題はないが、強いて言えばペンポイントが背開きになっている。

 ところが上に反ったニブで背開きになっているのを直すには反りを取るしかない。そうすると形状が美しくなくなる・・・ということで、そのままにしておくことにした。やはり記事にする事が無い・・・困った・・・

2007-08-18 03 気晴らしに横顔を眺めてみる。横顔の美しさはスノーケルが世界一!この当時の米国デザイナーは他国を圧倒しており世界一ではなかっただろうか?

 ボディではエバーシャープのシンフォニーが好き。これはレイモンド・ローウィの傑作の一つだが、実は、ここで紹介しているSheafferのSnorkelによく似ていた。【真似っこじゃ!】との批判が出なかったのが不思議なほど・・・やはり記事の切り口がつかめない・・・困った・・・


2007-08-18 04 ここからの連写がスノーケル機構が出ているとき、引っ込んでいる時の画像じゃ。ありそうでなかなか無かったので掲載しておく。管の先に切り込みがあるが、そこからインクがにじみ出してペン芯に拡がりすばらしいインクフローを演出しているのだが、何故だから皆目わからない。以前、【万年筆恋歌】でもレントゲン写真を掲載して分析に励んだが、結論は出なかったようじゃ。

2007-08-18 05 管の奥は筒に入ったゴムサックであり、管の先端の切り込み以外の部分でペン芯とインクが通じる部分はないはず。にも関わらず、インクを吸入(ペン芯はインクに浸さないで、筒を浸すだけ)した直後から書けるという理屈がわからない。筒を引き上げる間にインクをペン芯に供給する仕組みなのかな?

2007-08-18 06 筒を収納した段階では、ペン芯とぴったりに収まっている。経年変化でズレて収まったり、入りすぎたり、出過ぎたりしている物もみかけるが、すぐに直るのでWAGNERに持ち込んでくだされ。

 しかし、この個体は筒の状態も完璧!まったく破綻がない!ますます困った・・・ひょっとしていやがらせか?自慢か?疑心暗鬼になってきた。身の回りの物が全て信用できなくなってきた・・・熱中症か?男の更年期障害か・・・

2007-08-18 07 ひょっとして内部に破綻はないか?よく筒がさびて穴があいていたり、ゴムさっくが硬化して使い物にならない場合もある。またOリングが機能しなくなって、驚くほど少量しかインクが入らないとか・・・

2007-08-18 08 だめだ・・・完璧じゃ!ゴムサックはふわふわで新品のよう。Oリングにも何の問題もない。螺旋状の鋼のバネにも錆はほとんどついていない(画像無し)・・・ダメだ・・・記事にならない・・・

 ということで、今回はペンポイントを舐めただけでお返しした。何とか切り口をみつけようと4時間も記事に苦闘したが、またく問題がない個体であった。こりゃ調整講座ではなく、心理吐露報告じゃな。


【 今回執筆時間:5.0時間 】 画像準備0.5h 調整0.5h 執筆4.0h
画像準備
とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
               向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間


これまでの調整記事

2007-08-15   Montblanc 60年代No.149 18C-OB  ハプニング! 
2007-08-13   Montblanc 70年代No.149 14C-EF → B
2007-08-11   Montblanc 70年代No.146 14C-EF from 岡山
2007-08-08   Montblanc 80年代No.146 14K-OB お好きに!
2007-08-06   Montblanc 50年代No.144-G 14C-EF
2007-08-04   Montblanc 50年代No.146 14C-M

2007-07-28   Platinum #3776 金魚 14K-太 
2007-07-25   Montblanc 70年代 No.146 18C-EF ペン先交換
2007-07-23   Pelikan 100 14C-F 2本から一本を作る! 
2007-07-20   Pelikan M800用 14C O3B → 3B  & 鍍金
2007-07-18   Pelikan #520NN 14C-M
2007-07-16   コルクが劣化したMontblanc 50年代No.144 14C-M
2007-07-13   ペン先のひん曲がったPelikan M700 トレド 18C-BB
2007-07-11   ペン芯の折れたMontblanc 80年代 No.146 14C-EF
2007-07-09   Montblanc No.74 14C-F
2007-07-06   Pelikan 400 緑縞 14K-M
2007-07-04   Pelikan #500 茶縞 14C-BB 
2007-07-01   Pelikan 400 茶縞 14K-EF
2007-06-29   Pilot Capless Ice Blue 18K-B 
2007-06-27   Pelikan 1935 Blue 18K-B
2007-06-25   Montblanc No.742 14C-M
2007-06-22   Montblanc 60年代 No.149 18C-F
2007-06-20   Pelikan 500N 茶縞 14C-EF
2007-06-18   Pelikan 400NN 茶縞 14C-OF  
2007-06-15   Pelikan 400 茶縞 14C-HBB
2007-06-13   Pelikan #350 マーブルブルー 12C-HF
2007-06-11   Montblanc 50年代 No.142 14C-F
2007-06-08   シェーファー コノソアール 赤軸 18K-F
2007-06-06   OMAS 360 Demonstrator 18K-B
2007-06-04   Montblanc 50年代 No.146 14C-KF 
2007-06-01   シェーファー ニュー・コノソアール 18K-B
2007-05-30   Pelikan 400 灰茶 14C-F 
2007-05-28   Montblanc No.1468 18K-OBB
2007-05-25   無理難題! Montblanc 80年代 No.149 14C-F
2007-05-23   松江から来た松江から来たMontblanc No.144 14K-M 赤軸 
2007-05-21   松江から来たMontblanc 70年代 No.1266 18C-F 
2007-05-18   松江から来たMontblanc 70年代 No.149 14C-EF
2007-05-16   松江から来たMontblanc 70年代 No.149 18C-F 
2007-05-14   Montblanc No.1468 デスクセット 14K-BB
2007-05-11   持ち主のわからない中屋の黒軸 14K-中
2007-05-09   Pelikan ダイダラス・イカルス 18C-M
2007-05-07   Montblanc Montblanc 80年代 No.149 14C-M 開高健モデル
2007-04-30   Montblanc ヘミングウェイと同時期の No.146 14K-B 
2007-04-27   Montblanc 50年代 No.146 14C-B
2007-04-25   Montblanc 70年代 No.146 18C-B
2007-04-23   Montblanc No.134 スチール-BB 
2007-04-20   Montblanc No.146 14K-BB TEST
2007-04-18   Montblanc 80年代 No.149 14K-B
2007-04-16   Montblanc 70年代 No.149 14C-EF ああ無残・・・ 
2007-04-13   Montblanc 80年代 No.149 14K-BB
2007-04-11   Montblanc 50年代 No.146 14C-KEF 軸削り
2007-04-09   Paker Sonnet F 遠隔調整
2007-04-06   Montblanc No.94 18C-F
2007-04-04   セーラー 初代キングプロフィット 21K-B
2007-04-02   Pelikan #600 18C-B 軸折修理
2007-03-30   Pelikan M800 螺鈿 18C-B
2007-03-28   Montblanc 80年代 No.146 14K-M
2007-03-26   Pelikan M250 14C-B
2007-03-23   Montblanc No.146 曲がり 18C-M
2007-03-21   Montblanc 50年代 No.149 14C-EF
2007-03-19   Pelikan 400NN 14C-ST
2007-03-16   Pelikan 500N 茶縞 14C-M 
2007-03-14   Parker Sonnet 鍍金ペン 

2007-03-12   Montblanc 60年代 No.149  14C-KBBB  
2007-03-09   Pelikan M800 18C-F
2007-03-07   Pelikan 400NN 緑縞 14C-BBB
2007-03-05   鍍金三昧
2007-03-02   Pelikan M800 14C-M
2007-02-28   Pelikan 400 茶縞 14C-F
2007-02-26   Omas D-Day 18C-B
2007-02-23   Montblanc No.256 14C-KOB
2007-02-21   Pelikan 140 黒軸 14C-ST 
2007-02-19   Montblanc No.149 14K-M
2007-02-16   Pelikan 140 緑縞 14C-KF
2007-02-14   Montblanc No.142 14K-KM
2007-02-12   Sheaffer インペリアル・ソボリン 14K-M
2007-02-09   Montblanc No.149 14C-M
2007-02-07   Pelikan M710 トレド 18C-EF バイカラー
2007-02-05   Montblanc No.146 14K-EF 遠隔調整
2007-02-02   Pelikan M1000 緑縞 18C-3B
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2007-01-29   Delta 366 M 
2007-01-26   2006年最高調整【自分用】 
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2007-01-22   Waterman ル・マン 200 
2007-01-19   Montblanc No.149 ピストンガイド交換 その2      
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2007-01-15   プラチナ 蒔絵 
2007-01-12   Parker Duofold クロワゾネ
2007-01-10   Faber-Castell スネークウッド M 
2007-01-05   Montblanc ボエム アメジスト OB 
2007-01-05   Pelikan アテネ B 
2007-01-03   Montblanc No.254 OB
Posted by pelikan_1931 at 12:00│Comments(5) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 万年筆 
この記事へのコメント
>セーラーの有価証券報告書

 そうそう!私も見ました。メーカーが間違えたらダメじゃん!って。(笑)

 セーラーの万年筆については、私は、モンブラン型とオプティマ型と言っております。「型」付けなくても、「セーラーのマイスターシュテュック」と「セーラーのオプティマ」で…あまり言うとファンに怒られそうですが(笑)。
Posted by しまみゅーら at 2007年08月20日 22:33
しまみゅーらしゃん

ありがとしゃん。三カ所も書いておった。通称プロギアと呼んでいるので頭ではわかっていても、プロと打つとてがかってにフィットと打ってしまっていたのであろう。ちなみにセーラーの有価証券報告書にもプロフィットギアと間違えて書かれています・・・

セーラーのオプティマ型とは良い表現ですな! 88型とオプティマ型!
Posted by pelikan_1931 at 2007年08月20日 20:30
>ただ商品名を呼び間違えた時にはお互いに訂正するようにしたいものじゃ。

とのことなので、恐れながら以前から気になっていた呼び間違いを、指摘させてもらいたく…

 セーラーのオプティマ型の万年筆は、「プロフィットギア」ではなく、「プロフェッショナルギア」でございます。

 #3776とカスタムには飽きてきたので、そろそろセーラーも一本持ってもいいかな、と思う今日この頃です。(^^)
Posted by しまみゅーら at 2007年08月20日 10:55
b787しゃん

おお、人間ドック方式ですか!たしかARI435しゃん、ズミルクスしゃんもそのたぐいじゃな。

今回は割り箸調整が功を奏したのであろうな。こんどやり方を教えてくだされ。
Posted by pelikan_1931 at 2007年08月19日 19:25
5
師匠!!何だか失礼な依頼をしでかしたようで、恐縮しております。
背開きが気になった事と、筆圧をかけ気味にしないと良好なインクフローが得られないのを調整していただきたくお願いしました。
「ペンポイントを舐めただけ」との事ですが、インクフローは見違えるようになっていると感じます。細字ながら気持ちの良いヌラヌラ感が有ります。ホントに舐めただけ?
初詣ですれば気分が落ち着くような状態になってしまったのでしょうか?であれば、これからも参拝を受けていただきたく存じます。もう師匠の調整後の万年筆でなければ安心出来ない体になってしまいました。
お渡しする前、ペンポイントに段差があったのを、私が割りばしで何とか直したのですが、あれで良かったのかも気になっておりました。師匠にはご迷惑お掛けしましたが、今回も私にとっては大成功でした。
Posted by b787 at 2007年08月19日 08:54