今回の依頼品はSheaffer SnorkelのRolled Gold モデル。軸の材質が【オシャレだけれども安っぽい】というSheaffer Snorkelの中にあっては出色の出来を誇っている。
ところで皆さんは【Snorkel】をどう読むじゃろうか?オークションなどでは、潜水用具と同じく【シュノーケル】と説明されている物が多い。これはドイツ語の海軍俗語Schnorchel(鼻)からきているのではないかと思う。これならシュノーケルと読める・・・
しかし英語の発音記号は【snrkl】なので、その通りに読めば【スノーカル】が正しそうじゃ。
拙者はその昔、ある萬年筆屋さんで聞いた【スノーケル】という響きが気に入って、それ以来そう呼んでいる。米国メーカーの製品なので、独逸語読みは失礼かなと言う気持ちもあるが考えてみれば英語文字【Snorkel】のドイツ語読みのような読み方じゃが・・・【ランブロー・すなみ本】でも【スノーケル】と書かれているので【万年筆評価の部屋】では【スノーケル】と呼ぶ事にする。
趣味の世界は学問ではないので、実体が特定出来れば、読み方や書き方には鷹揚でいたいと常々考えている。ただ商品名を呼び間違えた時にはお互いに訂正するようにしたいものじゃ。
以前、すなみまさみち氏の前でPelikanの【IBIS】を【アイビス】と発音したら【アイビスじゃなくてイービスでっせ!】と訂正してくれた。こういう先達からの直接のアドバイスほど役に立つ事はない。二度と忘れないからな。
直接のアドバイスはする方が大変気を使うものじゃが、趣味の世界では全員が真実を追究している学究者であり、上下関係は無い。自分自身の誤った記憶もあるだろうから、積極的に確認するようにしてくだされ。それに【金曜日の質問コーナー】を使っていただけると、記録に残るのでさらにありがたい。
さて今回の依頼内容である【書き味調整】であるが、どこにも悪いところはないように思えた。困った・・・これでは記事にならないではないか!
拡大画像を見ても破綻はない。綺麗な形状。書き味にも問題はないが、強いて言えばペンポイントが背開きになっている。
ところが上に反ったニブで背開きになっているのを直すには反りを取るしかない。そうすると形状が美しくなくなる・・・ということで、そのままにしておくことにした。やはり記事にする事が無い・・・困った・・・
気晴らしに横顔を眺めてみる。横顔の美しさはスノーケルが世界一!この当時の米国デザイナーは他国を圧倒しており世界一ではなかっただろうか?
ボディではエバーシャープのシンフォニーが好き。これはレイモンド・ローウィの傑作の一つだが、実は、ここで紹介しているSheafferのSnorkelによく似ていた。【真似っこじゃ!】との批判が出なかったのが不思議なほど・・・やはり記事の切り口がつかめない・・・困った・・・
ここからの連写がスノーケル機構が出ているとき、引っ込んでいる時の画像じゃ。ありそうでなかなか無かったので掲載しておく。管の先に切り込みがあるが、そこからインクがにじみ出してペン芯に拡がりすばらしいインクフローを演出しているのだが、何故だから皆目わからない。以前、【万年筆恋歌】でもレントゲン写真を掲載して分析に励んだが、結論は出なかったようじゃ。
管の奥は筒に入ったゴムサックであり、管の先端の切り込み以外の部分でペン芯とインクが通じる部分はないはず。にも関わらず、インクを吸入(ペン芯はインクに浸さないで、筒を浸すだけ)した直後から書けるという理屈がわからない。筒を引き上げる間にインクをペン芯に供給する仕組みなのかな?
筒を収納した段階では、ペン芯とぴったりに収まっている。経年変化でズレて収まったり、入りすぎたり、出過ぎたりしている物もみかけるが、すぐに直るのでWAGNERに持ち込んでくだされ。
しかし、この個体は筒の状態も完璧!まったく破綻がない!ますます困った・・・ひょっとしていやがらせか?自慢か?疑心暗鬼になってきた。身の回りの物が全て信用できなくなってきた・・・熱中症か?男の更年期障害か・・・
ひょっとして内部に破綻はないか?よく筒がさびて穴があいていたり、ゴムさっくが硬化して使い物にならない場合もある。またOリングが機能しなくなって、驚くほど少量しかインクが入らないとか・・・
だめだ・・・完璧じゃ!ゴムサックはふわふわで新品のよう。Oリングにも何の問題もない。螺旋状の鋼のバネにも錆はほとんどついていない(画像無し)・・・ダメだ・・・記事にならない・・・
ということで、今回はペンポイントを舐めただけでお返しした。何とか切り口をみつけようと4時間も記事に苦闘したが、またく問題がない個体であった。こりゃ調整講座ではなく、心理吐露報告じゃな。
【 今回執筆時間:5.0時間 】 画像準備0.5h 調整0.5h 執筆4.0h
画像準備とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間