2007年09月11日

Pelikan 125 Jahre Katalog その4

2007-09-11 01 独逸語のカタログを本気で読もうとすれば、かなりの根気を必要とする。しかも現代ではほとんど使われないような代物は、その存在理由から紐解なかいと全く理解できない。萬年筆周辺Goodsなら想像が付くが、タイプライターでは・・・

 Schreibmachinenとはタイプライターの事。そしてabweichede Bandlängenというのは着脱式リールの意味じゃ。

 Natureseideというのはシルクのこと。シルクにインクを染みこませた物と、Baumwolle【コットン】にインクを染みこませたものがあったらしい。シルク製の方が5割以上高価なのできっと何かメリットがあったのじゃろう。丈夫で切れにくいとか、インクリボンに皺が発生しにくいとか・・・

 それにしてもメーカー間でのインクリボンの標準化はなされていなかったようで、多くの種類がある。萬年筆のカートリッジなどはどんどん標準化が進んでいるが、タイプライターは標準化になるまえに製品寿命が尽きてしまったのかもしれない。コンバーターが無くなって困っているWatermanのCFシリーズのように、必死でタイプライターリボンを探
している人がいるかも・・・・

2007-09-11 02 こちらには懐かしいIBM 72のタイプライター用インクリボンのカタログが載っている。

 他社用が長くても9.5mに対して、IBM 72用は10m、15m、16.5mと長い。何故長い必要があるのかはわからんが・・・そのあたりが【売り】だったのかもしれない。


2007-09-11 03 最近の人はタイプライターなんか昔の映画でしか見た事が無いかもしれない。拙者が新入社員のころには、ワープロなんてなかったので、秘書の人が経営会議の資料などは英語でタイプしていた。

 いろんな機種があったが、このゴルフボール型の文字セットも使われていた。これはゴルフボールを交換すると、違うフォントの文字が打てるという物で凝った文章を作るのには便利だったらしい。


2007-09-11 04 こちらが通称【ゴルフボール】といわれた文字セットじゃ。これを使うタイプライター IBM 72は1961年に発売されているが、それに合うインクリボンが1963年の時点でPelikanから発売されていたことになる。当時のPelikanは動きが速かったようじゃ。

 そういえば電動タイプライターでこのゴルフボールを使う物もあった。ある程度のメモリーを持っていて、記憶させた文章を自動でピッチ調整などしながら、一挙にダダダダダァーと打っていく物だった。間違ったヵ所に修正液を塗って、乾いてからその場所にピッチを合わせて再度タイプ・・・という面倒な事しなくても正しい文章になってから打ち出すので非常に生産性が高かった。

 またいったん文章がメモリーに蓄えられるので、コピーの変わりに使っていた。当時の複写機は良く壊れるが、土曜日曜に壊れた場合、手も足も出ないほど複雑だったので、得てして土日に出社して作る必要がある経営会議資料などの作成には重宝した。

 話は変わるが、1983年にレーガン大統領が訪日し、スピーチをした。その時に使
ったのが、バックアップ含めて6台のIBM DisplayWriterだった。

2007-09-11 05 こちらは大統領違いのクリントン氏だが、右手の下にあるのがプロンプター。この半透明の板にPC画像を映し出しておき、目線は聴衆に向けていても原稿が読める仕組み。これは非常に便利だが、残念ながらレーガン大統領訪日のころにはまだ無かった。そこで大統領が向く方向にIBM DisplayWriterの画面を並べておき、レーガン大統領が顔を向ける方向の画面に、次に読む原稿を映し出すようになっていた。いわばプロンプターの起源のような使い方じゃ。

 1981年にはIBM PCが発売され、翌年にはPC-9801が発売された。しかしまだまだ文章処理は苦手で、米国ではIBM DisplayWriterの方が信頼があった。

 いわばワープロ専用機なのだが、名簿を電話番号順や住所順・・・に並べ換える機能もついており、ほとんどアプリソフトの無かったIBM PCよりは便利だった。

 ところが日本にはごく少量しか入ってきて無くて、レーガン大統領用の6台が準備出来そうもなくなってきた。そこで拙者が1ヶ月間の特殊任務の準備
用に借りていた一台も1週間取り上げられてしまった。

 聞くところによると原稿を読んでいる目線が聴衆の方を向くようにと、演壇を高くして、演壇のすぐ前に、演壇を囲むようにIBM DisplayWriterモニターをセットしたらしい。

 拙者はある特殊任務の為に、IBM DisplayWriter講習会に参加したが、拙者以外は全て商社の女性秘書だった。あんなに居心地が悪い教育コースは初めてだったな。ちなみに講師も女性。

 その特殊任務も20人以上のチームの中で男は拙者だけ。任務期間は一ヶ月で勤務場所は海外。女性が20人集まると派閥が21個出来る。神経がすり減った任務じゃった。

 毎日IBM DisplayWriterで1000人の名簿と格闘した特殊任務。これがIBM 72だったら彼女達に手伝ってもらえたのに・・・


過去の【Pelikan 125 Jahre Katalog】

2007-09-04 Pelikan 125 Jahre Katalog その3 
2007-08-28 Pelikan 125 Jahre Katalog その2 

2007-08-21 Pelikan 125 Jahre Katalog その1 



Posted by pelikan_1931 at 07:00│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 情報提供 
この記事へのコメント
DisplayWriterはOSの無いPCだったのでマニアはいた。しかし今やIBM72を語れる人はそういまいと思っていたが・・・さすがですな。

Pelikanのカタログには赤と黒の2色が使えるリボンも掲載されている。一瞬のうちに赤と黒を打ち分けるとはな・・・
Posted by pelikan_1931 at 2007年09月11日 22:00
IBM72タイプライターは紙を巻きつけるとこが左右に動かず、活字のボールが動くので、机が広く使えたということで、さる大学の先生が画期的とおっしゃってました。 押したキーに対応する分量、活字ボールを縦と横に適量鋼鉄のテープで引っ張って回してからロックしボールを紙に向けて勢い良くたたきつけます。 その寸前にリボンが下から持ち上がって、印字後はすぐに下に戻ります。(印字したとこが見えるように) ただ直す人が大変だったようで、外人さんのごっつい手で細かいとこどうやってたのか? 興味があります。 いい道具があったのか・・??   
Posted by 298 at 2007年09月11日 13:12