ウォーターマン社 創立５０周年を祝した その５４-２
今回の【その５４】に関しては非常に内容が濃い上に、一般には紹介されていない事が盛りだくさん！従って一回でまとめてしまうにはしのびないので、数回に分けて紹介することにする。
第二回目はL.E.Watermanが創業するまで
左の写真は全てL.E.Watermanじゃ。左端が22歳のころ。盛んに速記術を独習していたころ。
真ん中は毛細管式万年筆を発明した47歳のころ。右端は功成り名を遂げた晩年の写真。64歳で世を去ったので、その直前の写真だろう。
左端の写真（22歳）が撮影された翌年には、ヴァージニア大学で速記科の先生となっているのだから驚きだ。
真ん中の写真は1983年の時と思われる。万年筆を発明し特許申請したのが1983年で、翌年特許として認められている。この写真は発明した年じゃろうな。まだ目が爛々としている。自分の発明が生み出す莫大な富については、まったく想像もしていない。次は何をしようかと考えているのかもしれない。
それに対して右端の写真では、目が穏やか・・・写真を撮られるに際して多少緊張はしているが、心に不安はなさそうな感じ。満ち足りた目をしている。間違っても、利益を追求する為に製造月日を捏造するような人の目ではない。
真ん中の写真はリンカーン大統領に、右端は板垣退助に似ているような気もする・・・
さて1883年に毛細管式万年筆を開発したL.E.Watermanであったが、当初はこれを自家用として使用したのに過ぎず、世間一般に発売するなどの考えはなかったらしい。
従来通り、保険の勧誘員を勤めながら、特に頼まれた人に限り、片手間で万年筆を作ってあげるという程度だったとか・・・
その万年筆の出来映えがあまりに良かったため、彼の友人らが勧誘員を廃業して万年筆製造販売をするように熱心に勧めたため、ようやく重い腰を上げた・・・
最初の工場はNYのフルトン街とナッソウ街の角にある小さな煙草屋の裏隣にあり、事務所用のテーブルが唯一の作業台であり、かつ、工場の全部であった。
全て手作業で１年間の生産数は200本のみで、全てに肉筆の保証書をつけていたらしい。要するに１日に一本の生産本数だった・・・
はじめの２年間は広告をするでもなく、彼自身が吹聴する程度だった。ところが1885年に、彼の万年筆の愛用者のEdward T. Howardが、しきりに雑誌広告をすすめた。
広告費の工面がつかないと渋るL.E.Watermanに対して、【俺は雑誌センチュリーマガジンの広告係の主任をしているので、今年の秋から来年の春までの分は立て替えてあげるよ】と言ったので、広告を出すことになった。
その広告は10�僉�6�冂�度の物であったが、ものすごい引き合いがあり、事業はめきめき多忙になり、コネチカット州のセイモアに工場を建て、本社はフルトン街の煙草屋の裏隣からブロードウェイに移ることになった。
創業当時は、Ideal Pen Co. という名称だったが、すぐにL.E.Waterman Co.に改め、自ら社長として経営に当たった。彼の死後も家族経営を続けていたのは有名な話。
L.E.Waterman は万年筆を発明したが、それを有名にしたのは、広告の力！当時から物販におけるメディアの力が強大であったことが伺える。
次回へ つづく
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解説【萬年筆と科學】 その５４−１
解説【萬年筆と科學】 その４８
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解説【萬年筆と科學】 その２
解説【萬年筆と科學】 その１
2007年10月25日
解説【萬年筆と科學】 その54-2
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