拙者は他人に影響されやすい。人の萬年筆の調整を何本もしていると、拙者もその人と同じ書き癖に変わる事は良くある。書く字の形は変わらないが、ペンの筆記角度や筆圧は変わる。
従って最近では同じ人の萬年筆は続けては調整しないことにしている。
同様に、萬年筆の趣味も人の影響を受けやすい。ここ2年間ほどの間に、拙者に一番影響を与えたのは、松江の中屋万年筆店の久保店主じゃ。
久保さんは古い萬年筆に一切興味がない。形がおもしろかったり、色が綺麗だったりする萬年筆が好きで、気に入ると売れるかどうかには関係なく仕入れるらしい。
拙者が一昨年に訪問した際には、Pelikan Blue Planet が室内ショーケースに展示されていてビックリした。ショーウィンドゥにはナイアガラも2本展示されていて、まるでペリカン・ブティックのようだった。
おやおや、Blue Planetってかっこいいなぁ! 丸っこくて・・・
80才を超える年齢にもかかわらず、非常にオシャレで素敵。そういえば長崎のマツヤ万年筆病院の店主もオシャレだったなぁ・・・と思い【ご存じですか?】と来てみたら、なんと幼なじみで近くでよく遊んでいたとか。【いまでもたまに一緒に温泉にいったりするよ】・・・やはりな。
その店主が、Pelikan Evolution of Script を仕入れたという話が、中屋万年筆店応援ページに掲載されていた。
ナイアガラ、Blue Planet と拙者と趣味が一致している久保店主が気に入ったとなると確認せねばなるまい。それまでまったく興味がなかったのに、急にイソイソと萬年筆店に走った。電車で行く時間も惜しんで、自転車でアメ横まで35分!
ところが既に【B】ニブは代理店にも在庫ゼロということで、【時間がかかっても良いので見つけてね】とお願い。確認に行っただけなのにアレヨアレヨというまに捜索願まで出してしまっていた。
自宅に帰ってネットショップを調べてみたが、【B】はすべて売り切れ・・・ダメかぁ・・・とあきらめていたら一昨日の朝、電話が・・・
【Bを手に入れました】と留守録が・・・その日の18:30、閉店時間ぎりぎりに店に飛び込んで入手! 聞けば代理店が販売店の店頭在庫をくまなく捜して、発見してくれたらしい。ありがとしゃん!
こちらが Pelikan Evolution of Script じゃ。実に魅力的な色合い。日本的ではないが、こういう訳のわからない模様ものは大好き!
蒔絵には興味が無いが、塗り物は好きというのと似てませんかな?
この萬年筆は首軸後半のネジの部分を持って書くのが一番バランスが良い。従ってネジ山は切り立っていなくてフラットになっている。これを見映えで【ネジ切りが手抜き】と言うと笑われる。ちゃんと考えてねじ切りの山の処理をしているのじゃ。
拙者のようにもう少し後ろを持って書く人にとっては、M800の方が書きやすい。さらにいえば、ナイアガラやサハラのメタボ軸の方がはるかに筆記バランスは良い。
ということで将来、このEvolution of Script を使うことがあったとすれば、ネジの部分を持って書くじゃろう。拙者は他人の調整をしているため、どこを持っても書くのに不自由はないので、一番バランスの良いところを握る。
ペン先はpf無しのM800用ニブと同じ形状だが、模様が全く違う。またバイカラー仕上げになっていない。
軸との色のバランスを考えてペン先を作るようになったのは喜ばしいことじゃ。試しにこの軸にM800用のバイカラーニブを取り付けてみたが、まったく似合わなかった。
ペン先のスリットがちゃんと開いているが、これは拙者が分解して調整したから。オリジナル状態では、あいかわらずペン先はギチギチに詰まっており、多少左右の段差があった。定価20万円以上の萬年筆なので、もっとちゃんと調整や検品してから出荷してほしいものじゃ。
こちらは横顔。これを見て初めて、何故pf付きニブを止めたのかわかったような気がした。圧倒的にpf無しニブの形状のほうが(横顔が)美しい!
ただし書いた感触は、やはり(拙者にとっては)pf付きペン先の方が良い。線を引く際のしなりの感じが違うんだなぁ・・・
こちらはペンポイント周辺の拡大図。まだペン先を研いではいないので、形状はオリジナル。実に綺麗なシェイプなのだが、スイートスポットが無い研ぎになっている。従って、どこで書いても、【凄い!】と声を上げるほどの書き味ではない。
【ふーん・・・萬年筆ってこんなものなの。ま、なかなか良いけど・・・】という人がほとんどではないかな。これにひと研ぎ加えると【▲■◆●すご〜い!!!】という書き味になる。これがPelikanのおもしろさじゃ。他社に調整をさせない最近のMontblanc製品では味わえないですぞ。