今回は拙者の持ち物。Pelikan 140の青軸で未使用に近い物。5〜6年前にeBayで入手した。
青軸はマザーオブパール軸やグレー軸と比べれば数は多いが、緑軸や赤軸よりは入手が難かしい。過去2本は請われてお嫁に行き、これが3度目の出会いだった。
軸は綺麗なのだが、ペン先は平凡なM。もっと太いペン先の方が似合うなぁ・・・と眺める度に考えていたものじゃ。
数ヶ月前、たまたまこの軸を眺めた後でeBayを散策していたら、黒軸でBBニブ付きのPelikan 140が出ていた。これだ!と思い、最終タイミングでドカン!とbidを入れたのだが、あっけないほど低い価格で落札できた。いわゆる拍子抜け・・・
それがこちら! スリットはピッタリと閉じたままなので、このままでは書けないが、青軸に装填し直す際にペン先調整も施すことにした。
なをペン先移植の際は、可能であればペン芯+ソケットも移植した方がよい。個体差がある可能性もあるので、現状の組み合わせで問題がなければ、そのまま移植すべきじゃ。往々にしてペン芯とペン先のカーブが合わない個体が存在するのでな。
ソケットを外してペン先をくまなくチェックする。ソケットの下あたりに微量のエボ焼けと、インク滓が付着している。これは金磨き布でチョチョイのチョイと拭き取ればよい。
金磨き布はそれほど粒子が細かくはないので、力いっぱい擦ると傷が目立つことがある。軽く素早い速度で擦るのが正しい利用法・・・かな?
ペン先の裏側は直接エボナイト製ペン芯と接しているので、かなり凄いエボ焼け状態!これも金磨き布で擦って落とす。この場合はゴシゴシと力一杯擦ってもかまわない。傷など見えないし、そもそも鏡面仕上げをしていないので金磨き布による傷などつかないのじゃ。
こちらが表側を鏡面仕上げにした上で、スリットを多少開いた状態。お辞儀のきついペン先(=ペンポイントが左右強烈に密着している)のスリットを拡げるのはた困難を極める!力もいるし、コツもいる。
スリットを開くにはニブのお辞儀度合いを減らせばよい。ところがそうするとペン芯とペン先が離れてインクが出なくなってしまう。しかもPelikanのペン芯は上に反らせることが出来ない。それどころかペン芯の上部にもお辞儀カーブが・・・
その状態で目的を果たすには、ある技を使うのだが、今回はそこまでやらなくてもスリットが比較的簡単に拡がった!ラッキー!
やはりBBニブをつけると【男前】になる。この状態で100年間保存すれば、その時に手にしてくれた人は、昔の万年筆の書き味に感動するだろう。そして、その感動を、いまよりもはるかに簡単に皆に伝えてくれるだろう・・・そうやって万年筆ファンが増えていけば良いなぁ・・・
ああ、なんという美しさ!既にケースにしまわれてしまったが、一ヶ月に一回くらいは眺めてため息をつきたいものじゃ。
もちろん後世に残す為に(いつ拙者が逝っても良いように)完璧な調整を施してある。
こちらが調整後の横顔。既に何回か述べたが、当時の独逸のBBはカリグラフィー用としか考えられないほど薄っぺらいペン先!
かなりペンを立て、手首を捻りながら、装飾文字を書く人もいる。それ用の調整では寝かせて書く拙者には使えないので、寝かせ調整を施した。
こちらが拡大図!拙者の筆記角度ならふぅわっと紙に当たり、ヌルヌルとインクは出てくる。すこし筆圧をかけるとバカっとペン先が開き字巾が拡大する。
Pelikan 140好きは、この字のメリハリが気に入っているらしい。拙者にもう少し筆圧があったら、もっとPelikan 140を楽しめるのになぁ・・・
数あるPelikan製品の中で、強筆圧の人に向いているモデルは140のみ!幸いにして世界中にごまんと残っているので、BやBBに出会ったらとりあえず確保しておく事をお奨めする。
【 今回執筆時間:3.0時間 】 画像準備1.5h 調整0.5h 執筆1.0h
画像準備とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間