




拙者はこの万年筆をずっとParker 95だと思っていた。事実、形はまったく同じ。ただし、アローのクリップには彫刻が入っていないが、95のクリップには羽根のような刻印が入っている。基本的な内部構造は同じだと思われる。
興味深いので、1986年からの輸入筆記具カタログを調べてみた。1986年から1988年まではアローとして掲載されている。
そして1989年のカタログからはParker 95として紹介されている。特に新製品ということはうたっていないので、パーカー・ジャパンにしてもモデルチェンジ程度と考えていたのであろう。
今回のEncyclopediaには紹介されていないが、1987年の輸入筆記具カタログまではアロー・ゴールドという金鍍金ボディのアローが20,000円でカタログに掲載されていた。
最初にフラッグシップがカタログ落ちした訳じゃな。
金ペン先信仰の強い日本で、金鍍金ペン先で20,000円の万年筆が売れるわけがない。Parker 75の黒ラッカー(工業用漆のドブ浸け)モデルが14金ペン先付きで15,000円だからな・・・
左から2枚目の画像には【アローブラックは売れ筋商品ですから、売り場でお迷いのお客様に強くおすすめ下さい。きっとお客様の信頼を獲得できます】と書いてある。その2年後にはモデルチェンジ・・・在庫一掃の為に朱記か?
贈答用としては、万年筆単体ではなく、万年筆+BP+MPの3本セットで2万円!というのをねらっていたはず!
アローのペンシルがノック式であると書かれている。こりゃビックリ!一瞥しただけではノック式とは思えない。
【アローのペンシルは、クリップがノックに連動していますので、天ビスのでっぱりが少なく、スマートなデザインになっています】と記載されている。いったいどんなノックの感触なのだろう?試してみたい物じゃ!
【腰の強いペン先は、筆圧の強い人にも好評です】・・・ボールペンに慣れた方も、違和感なくお使いいただける万年筆です。
これってボールペンを強い筆圧で書いている人に万年筆を薦めるテクニックじゃ。しかもボールペンは高筆圧と決めつけている。が、ボールペンは低筆圧でも書ける。特に・・・
Parkerのボールペンのレフィルは力を入れなくても書けるので、特に筆圧を上げる必要もないはず。このあたり気をつけないと、自己矛盾を起こす可能性がある。
ガソリンの税金を下げると、車に乗る人が増えて、二酸化炭素が増加すると言いながら、その税金で車が走る道路を作るという矛盾に似ている。
それにしても良くできたマニュアルじゃ!
バーガンディは【スリムでシンプル、上品な色合い・・・】
ステンレスは【ステンレスですので傷もつきにくく丈夫です】
販売店の店員さんは、時間が空いたときは常にこのEncyclopediaを読んで勉強しておく必要があるな。そういえば昔は接客中以外は熱心にカタログを眺めていた店員さんが多かった。最近はそういう人をあまり見かけない・・・大丈夫かなぁ?
【過去のシリーズ記事】
Parker Encyclopedia その3
Parker Encyclopedia その2
Parker Encyclopedia その1