この100Nは戦前の製品であろうが、拙者が最も好きなタイプじゃ。キャップバンドもクリップもストライプの装飾が施してある。拙者も最近同じタイプを入手したが、軸色が変わっている。これは明日紹介しよう。ペントレの大目玉の一つじゃ。

このニブにはFとかMとかの太さを示す刻印はなく、【O】のような文字が彫られている。ペンポイントの形状がオブリークなので、それを表しているのであろう。通常はOMとかOBとか彫るのだが、そういう分類が無かった時代・・・と考えたのだが、初代Pelikan Bookには、この模様のニブには単に【O】だけの刻印は存在しないことになっている。不思議じゃ・・・ペン先は研がれているようだが、スリットがここまで詰まっているとインクが出ない。しかも依頼主は多少右傾斜で筆記することもある。そういう人が左傾斜のオブリークを使うと、書き出しで100%インクが紙につかないし、ものすごい引っ掛かり感がある。オブリークは左利きの人か、90度ペンを左に捻って書く時でないと絶頂感は味わえない。
あるいは、普通の書き方でも書けるように研ぐか、通常のBの形状に直すかだが・・・・・
今回はあまりに引っ掛かりが多いので、通常のBの形状に直した。【O】のままで通常筆記出来るように研ぐには、ペンポイントの量が不足していたのじゃ・・・

こちらが研ぐ前のペンポイントの横顔。このペンポイントでは【オブリーク形状のまま通常筆記】に研ぐには厚みが足りない。ただし、ペンポイントが斜めに取り付けられているので、通常のBの形状になら研ぎ出せる。今回はその方向で調整することにした。このままではインク量が少ない。ドバドバ好きの依頼者には物足りないであろう。スリットは拡げるが、横細縦太の字形なのでそれほどインク量は多くはならない。

こちらが通常のBに研ぎ上げた状態。拡大画像を見ると元が【O】だったとは思えまい。スリットもこの程度開けておけば、ペン先のポンプ運動でインクをどんどん押し出してくれる。依頼者は書き出しだけ筆圧が低い。書き出しでインクが紙につけば、あとは問題ない。スリットを拡げるのは、書き出しでインクが紙につくようにするのが一番の目的なのじゃ。

こちらが横顔。ただでさえ少ないペンポイントをさらに削ったので、風前の灯火。しかしこの状態でも、依頼者の萬年筆ローテーションを考えれば50年は余裕でもつであろう。萬年筆はまんべんなく愛してあげれば、驚くほど長持ちするものじゃ。
【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.5h 調整2.0h 執筆1.0h
画像準備とは分解し機構系の修理や仕上作業、及び画像をスキャナーでPCに取り込み、
向きや色を調整して、Blogに貼り付ける作業の合計時間
調整とはペンポイントの調整をしている時間
執筆とは記事を書いている時間