使った人しか、そして運の良い人しか気付いていないが、このM250の14金ペン先には非常に柔らかい個体がたまにある・・・そういう噂があった。
M400のバイカラー・ペン先はガチガチに硬いが、このM250用の金一色ペン先には柔らかいものもあるのじゃ。全てでは無さそう。また海外からM250用の14金ペン先だけ買うと100%硬い!どういう加減か国内で販売されている物には柔らかいニブの物がたまにある・・・とか
今回の患者がまさにそうで、ふわふわとは言わないが、M400のニブと比べるとはるかに柔らかい。刻印とかで見分けはつけられないが、確かに【柔らかい個体が存在する】という噂は、今回証明された・・・今回の不具合はカビが出たこと、ペン先がひっかかる事、インクフローが悪いことなど・・・カビは洗い落とせばすぐに消えるが、珍しいので少し培養してからスキャナーで撮ってみた。スリットはガチガチに詰まっている。

こちらが横顔!首軸先端のすぐ前に緑色のカビがあるのがわかるかな?ペンポイントの拡大図を見ると、むこう側が下がっているように見える。これが段差じゃ。それにしても【M】なのにペンポイントが非常に大きい。またペンポイント付近とハート穴付近では金の厚さに大きな違いがある。このあたりが柔らかさの源泉かな?
前方から拡大してみると、段差の状態がよくわかる。上の画像は、左の画像を左側から見ている感じになる。すなわち手前が上がっているか、先が下がっているように見える。これをきちんと直すには、ソケットからペン芯とペン先を取り外した上で、まずはスリットを拡げ、次に段差を直すのが正解じゃ。そしてその際、ペンポイントに内側を丁寧に面取りしないと、相当エッジが立っている。
面取りしすぎると【馬尻】になってしまうが、その場合にはやや粗めのサンドペーパーの切れ端を指に持って、【馬尻】の部分を少し平面に近づけるよう研磨する。そして試し書き・・・まだ書き出しがスキップするようなら同じ作業の繰り返し・・・というのを少しづつ何度もやればよい。
サンドペーパーを机の上に置いて、その上にペンポイントを擦りつけるのではありませんからな!
こちらはソケット分解前にカビの状況を撮影した物。依頼者から聞いたところによると、パソコンの裏側の熱気ムンムンで風通しの悪いところに長期間放置していたとか・・・そしてキャップを外したら・・・カビは生えていた・・・というわけじゃ。これはエボ焼けさせるより難しい!拙者はお預かりしてから、栄養分タップリのインク誘導液で湿らせ、キャップをして菌を培養しようとしたが、かえってカビが減ってしまった・・・
カビは洗い流せば、すぐ落ちる。診断どおりにスリットを拡げて段差を直し、ソケットを嵌めた状態が左画像。この状態では段差もなく、スリットも正しい状況になっている。最近のペリカンの場合は、ここからが最も重要!
ソケットに嵌める際、ペン先とペン芯の握りが弱いとペン先とペン芯がズレてしまう。また最後にグッと力を入れて締めると、ズリっとズレる。最後は静かに締めるのじゃ。力を入れないように・・・【最後はグゥ無し】を合い言葉にな!

そうやってペン先に取り付けた状態が左画像。右側のを見ると、いかに微妙にスリットを開いているのかがわかろう。大げさではなく、少なすぎもせず・・・頃合いが肝心!この個体は、インクフローよりも紙あたりの問題の方が大きかった。切れないカミソリでひげを剃っているようなジョリジョリした感触!
そこで徹底的にジョリジョリを排除する調整を施した。やり過ぎたかも知れない・・・ただし、ここまでやって初めて、めったに見つからないM250の柔らかいペン先を実体験出来るのじゃ!
【 今回執筆時間:4.5時間 】 画像準備1.5h 修理調整1.5h 記事執筆1.5h
画像準備とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間