第18章から20章までは、非常に専門的な話しであり難解なので、まとめて興味深い所のみを紹介しよう。
当時からインクのpHを測定することは非常に重要な事であったらしく、左図のような測定器が紹介されている。
四方が立派な木材で囲まれているように見える。この測定器を欲しい!つやふきんで周囲を磨いてみたい・・・という欲求に駆られる。
計器類は大仰なほどありがたみがわく。きっと左の赤い現代の測定器具の方がはるかに精度は高いのであろうが、【物体】としては渡部氏の時代のpH測定器の方が使ってみたい気がする。
ちなみにこの赤いpH測定器は【趣味の文具箱No.11】で実際に全てのインクのpHを測定したものじゃ。
上記の大仰な測定器で測ったpHが左画像のもの。
昔は酸性の強いインクが強かったのに驚かされる。最近では中性やアルカリ性のインクのほうが多い。隔世の感がある。
もっともpHの値が小さい=酸性が強いといって、それがすぐにペンに悪いということを示しているわけではない。
これに関しては渡部氏も
【酸の強さは無機酸すなわち腐植酸の大小を直接に示したものではありません。また、ph値の大なる物、すなわち酸の弱い物だけが優良な陰気であるなどと考えては大変な間違いになりますことを呉々も注意しておきます。
インキの酸の強弱という物はそんなに単純に判断することを許さぬものです。何となれば有機酸や防腐剤などからくるHイオンもありますし、また、負触媒作用を取り入れたものなら、たとえ酸は強くても鉄ペンの腐食は少ないと言うこともあります。
それに粒子電荷の統一法を施した物なら、酸の強弱を超越した特別な性能を持つことにもなるわけです】
と解説している。いずれにせよ、当時アルカリ性のインクを作る技術力があったのはパイロットだけだったのであろうな。
「クロ(仮名)」しゃんが眠そうにしている。さんざん暴れまくって疲れたのじゃろう。
最近ではお昼休みの1時間は執務室の中で自由に遊ばせているが、執務室がさながらトイレ状態になっている。【待て】【ヨシ】【お座り】は覚えたのだが、LANのケーブルをかじったり、テーブルタップにオシッコかけたり、カーペットの上にウンチをする。粗相をすると、みんなで追いかけ回しているのだが、それを遊んでもらえると勘違いしているフシがある。
もっとも社員側も濡れティッシュや消臭剤を準備しているので、当初ほど大騒ぎにはならない。どうやら社員の方が飼い慣らされたようじゃ。
いずれにせよ、ほぼ1時間ほど走り回っているので、「クロ(仮名)」しゃんはその後2時間ほど熟睡している。お腹を天井に向け、枕をして・・・
声をかけると写真のように、通常の姿勢にもどって迷惑そうな眼でこちらを見るのじゃ・・・
【過去の記事一覧】
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