拙者はこの【硬質セルロイド】という表現にうさんくささを感じ、代用セルロイド、あるいは、セルロイドもどきのレジン製と考えていた。
ところが今回、キャップにセルロイド特有の【痩せ】の症状を発見した。キャップの一部が凸凹になって痩せている。ああ【硬質セルロイド】というのは本当に【セルロイド】だったんだ!長い間誤解していてごめんなさい!
こちらがペン先。18K-Mのペン先じゃ。オプティマの初期モデルには模様がシンプルな14Kのニブがついていたので、これはAurora 88の初期の尖ったペン先を換装したのだと考えたが、あちらは14Kのペン先。といって当時の18Kのペン先で尖ったものはコロンボとカルロ・ゴルドーニくらいしかないはず。
しかし、ペン先の左右のホールマークなんて記憶にないなぁ・・・右側のはほとんど見えないが、ペリカン M800で通称【イタリア刻印】と誤って呼ばれていた物に似ている。
左側のクッキリとした刻印は今までに見たことがない。なんじゃろう?
ということは、このオプティマのペン先は、特別の国への出荷の為に、わざわざ刻印を打たれたものと考えられる。ということはやはり仏蘭西向け?
真相はわからないが、不思議なペンじゃ。こういう新発見があるから萬年筆道楽・・・いや、【高みに堕ちる修業】には終わりがない。

可能な限りインクフローを良くして欲しい!ということだったので、スリットを限界まで拡げた。これによってインクフローは潤沢になるが、毛細管現象が弱まるので、インクが先端部に向かうスピードも落ちる。頼るのは筆圧の強弱によっておこるポンプ運動によってインクが先端部に向かって押し出される効果。
ところが依頼人は筆圧が低いのでこちらもそれほど期待できない。そこで最後の手段としての【おまじない】をほどこした。これによって高速筆記を続けなければ【潤沢なインクフロー】が継続するはずじゃ。

依頼人は、まだこの萬年筆を使う場合の筆記角度を決めていない。そこで、従来と同じく、かなり寝かせて筆記する事を前提に、ペンポイントにスイートスポットを作り込んでいった。左右を比較するとわかるが、調整前(左)では、ペンポイントは球形。どの角度で書いても同じ線幅だが、どの角度で書いてもエッジがひっかかる。ガリガリとした書き味。嫌いではないが、上品ではない。
いっぽう調整後(右)はインクフローが数倍になっているせいもあり、Mであるにも関わらずぬめぬめとした書き味に変貌を遂げた。まさしく依頼人が求めていた書き味じゃ。
この萬年筆に関して、残された課題はただ一つ。純正のペン先なのか?どこ向けに作られた物なのか?を解明すること!これが一番難しいかもしれない。
【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1.5h
画像準備とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間