
今回の依頼品はPelikan M1000 18C-3B。調整が簡単なので、ほとんどがWAGNER会場ですんでしまうため、めったに調整コーナーに登場しない。改造に近い調整を除いては・・・
嬉しいことに、今回、極太調整依頼が、同一の依頼者から一挙に10本持ち込まれた。ベースとなる萬年筆やペン先の太さや、状態(自己調整失敗物や未調整物)がそれぞれ違うので、その1〜その10まで、順次紹介しよう。適当に紹介する間隔を空けて・・・。


極太の字幅を依頼人は求めているが、このスリット間隔ではそれほどのインクフローは期待できない。もう少しスリットを拡げて、書き出しから極太が堪能できるようにする必要があろう。これは簡単なはずだったのじゃが・・・
拙者とM1000は相性が良くない。大きさの割に軸が軽すぎて取り回しバランスが悪い。従って限定品(マルガリータなど)を数本持っているだけじゃ。ペン先も拙者が使うには柔らか過ぎるし・・・
MontblancならフラッグシップはNo.149であり、No.146は次席ということになろうが、PelikanではフラッグシップはM800型であり、M1000型はオーバーサイズではあっても、フラッグシップとは呼べない。鉄腕アトムで、コバルト兄ちゃんが主役になれないのとおなじ・・・?
またM800でも刻印のキャップトップの物が真のフラッグシップであり、現行品はコストカット版という過激な人もいる。さらには、キャップリングにW.-GRMANYと彫られている物だけがフラッグシップと呼ばれるにふさわしいとか・・・
正確に表現すれば、Pelikanのフラッグシップは・・・M800型のビッグトレドではないかな。重量バランスや手彫りという贅沢さからしても異論は出ないじゃろう。

このM1000のペンポイントを見て驚いた!ペンポイントがずいぶんと薄いのじゃ。まるでイタリックみたい。当初は米国の有名な研ぎ師の手による物かと思った。
画像で見るとよくわからないが、ルーペで見ると、ペンポイントの腹を削ったな!としか思えなかった。ただ、削られたと拙者が考えている部分の仕上げがあまりに綺麗なので、メーカー以外がここまで出来るかな?との疑問もあった。


そこで拙者のマルガリータとの差を示しておこう。左側が今回のM1000で右がマルガリータの3Bニブ。ペンポイントのぽっちゃり感が全く違う。実物はもっと派手に違っている。
これでは当初狙ったいわゆる極太(縦横とも太くてぬらぬら筆記が可能)というのは無理。そこで方針変更して、横細縦太のままでヌラヌラとインクが出るように調整する。

まずはペン先のスリット拡げから。ちゃんとスリットを拡げるにはソケットと分離してから作業する必要がある。短時間に大量のペンを調整するメーカーペンクリなどでは、萬年筆に取り付けたままでスリットを拡げているが、分解してからスリットを拡げた方が、調整戻りが少ないのじゃ。


こちらが、ソケットに取り付けた状態のペンポイント。冒頭で紹介した、同じ角度の画像と比べて欲しい。あきらかにスリットは拡がっている。
この間隔の差が、インクフローに大きな影響を与えるのじゃ。筆圧をかけた方がおもしろみは増すのだが、所有者はかなり筆圧がかかりにくい持ち方をしているのでどうかなぁ・・・

この角度ではよくわからないなぁ・・・実は依頼者の持ち方で、320番の耐水ペーパー上で120文字ほど強筆圧で書いて、ペンポイントを5%ほど削り落とし、エッジを丸めてスイートスポットを作り込んだ。いままでは筆記角度がまったくあっていなかったので、場合によっては書き出しでいつまでたってもインクが紙につかない・・・という状態もあったであろう。今回は書き出しの筆記角度でペンポイントが紙と並行になるように研いだ。従って書き出しから極太(横細縦太)の線を描けるはずじゃ。
こういう極太調整はお手のもの。削っている時間は数分で、あとは仕上げや清掃作業に費やされる。WAGNER会場でやれば、多少手抜きするので、30分もあれば完成する調整じゃ。
【 今回執筆時間:3時間 】 画像準備1h 修理調整1h 記事執筆1h
画像準備とは画像をスキャナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間
Posted by pelikan_1931 at 07:30│
Comments(8)│
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萬年筆調整
私はハンドルネームを頂戴していますし、御値段的にも上代がさほどトレドと変わらない点からすると、マジェスティもフラッグシップの端くれではないでしょうか?σ(^◇^;)。。。
キャップを外して書くと、なかなかの使い易さですよ!(^_^;)
スーベレーンシリーズは一応皆有りますが、少なくとも日常使いなら、M1000よりは使い手が有りそうな気がします(^_^;)
少数派のあがきをひとくさり言わせて下さい。私個人は重い万年筆が大の苦手。かつて知人にトレドを持たせて貰って、その重さに愕然としました。軸の彫り物は綺麗ですが、仮に私が持っていても絶対に飾り物になり、実用に供されることはないでしょう。
従いまして私はペリカンのフラッグシップ・モデルは、メーカーの歴史等に鑑みればM400と言うべきですが、個人的にはM1000であり、次席はペリカンM800の、いずれも普通のプラスティック製のキャップ、胴軸であると思っています。
なお、M800におけるキャップ・トップが彫り物であるべきとか、印刷めいている最近のものは許せないとか、キャップ・バンドに W-GERMANY と入っていなければといった事柄については、全て万年筆の書き味とは無縁なものであり、言ってみれば個人的な趣向や精神衛生上の世界の話と思います。私自身はキャップ・トップがどうであっても気にしませんし、リングに W-GERMANY とあろうがなかろうが構いません。でも、一方でクリップの延長線上のリングに PELIKAN の I の字が来ていないと気が済まないという、当WAGNER では殆ど誰も気にも留めない事が妙に気になります。