2011年01月24日

月曜日の調整報告 【 Pelikan #500 14C-M インクが降りてこない・・・ 】

2011-01-24 01今回の依頼品はPelikan #500。いわゆるヘロヘロのペン先を持つモデル。あまりに柔らか過ぎてペン先を曲げる事故が多発したためか、発売後しばらくして、硬いペン先に変わった。その当時は柔らかいペン先と区別するために、ではなくHM(Hard Medium)という表示になっていた。

拙者の当時の調整技術ではスムーズな書き味にならず、そのまま数年寝かせてから調整をした記憶がある。柔らかいペン先の調整にはコツがあるのじゃ。

依頼人はこの萬年筆をeBayで購入した後、ペンクリでペン先の段差調整をしてもらったそうだが、インクがペン先に降りてこず、ペンケースの肥やしになっていたとか。

2011-01-24 022011-01-24 03ペン先をかなり首軸に突っ込んでいるにもかかわらずペン芯はペンポイントとかなり離れている。

これはソケットが緩く、ペン先とペン芯を押し込むと、どこまでも首軸側に入っていくような場合に見られる。この時代のペン先は非常に薄く作られているため、ソケットで固定してもユルユル!これも#500発売当初は問題になったのではと想像している。

なを海外ではPelikan #400として発売されたらしいが、日本では400NNや復刻400と紛らわしいので#500という名称を与えて販売したらしい。

それにしてもペン先のスリットは開きすぎている。これでは毛細管現象は働かない。

2011-01-24 042011-01-24 05横顔を見ると、ペンポイント先端部はピタリと揃っているが、ハート穴からペポイントに至るまでのカーブが左右均一ではなく、途中段差が出来ている。ここまで段差があるとインクフローにも影響がないとは言えない。またペン芯をもう少し前に出さないとインク切れを起こす可能性が高いはずじゃ。

2011-01-24 06ペン先とペン芯を適正位置にセットし、ソケットでがっちりと固定すべきなのだが、ペン先を少し押すと左画像のようにペン先がスレてしまう。相当に緩いソケットと言えよう。

ちなみに拙者の知る限りソケットの緩さが気になる萬年筆は#500と#600だけ。すなわちヘロヘロペン先モデルが問題なのじゃ。

2011-01-24 072011-01-24 08今回はペン先の根元で、ソケットと接する側を瞬間接着剤で太らせた。ほんの少しなのだが硬化は抜群で、ペン先とペン芯はしっかりと固定された。ただし、どれどれ・・・と横押しはしないで欲しい。いったんズレたら戻すのは大変!

スリットは毛細管現象が働くように先端部を狭めた。またペン芯を前進させ、ペンポイントとペン芯先端部との距離を狭めた。

またペン先は以前の状態より若干首軸から前進させ(M)の刻印が完全に見える位置に持ってきた。最後にインク誘導液に浸けて水分を拭った後でインクを注射器でハート穴に落として試し書き。

以前の状態が嘘のように気持ちよくインクがヌラヌラと出てくる。これぞボンジョルノ(梵ジョルノとも呼ぶ?)も溺れた書き味じゃ!


【 今回執筆時間:3.5時間 】 画像準備1h 修理調整1.5h 記事執筆1h
画像準備
とは画像をスキャ ナーでPCに取り込み、向きや色を調整して、画像ファイルを作る時間
修理調整
とは分解・清掃・修理・ペンポイント調整の合計時間
記事執筆とは記事を書いている時間


Posted by pelikan_1931 at 05:30│Comments(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック 萬年筆調整 
この記事へのコメント
まいど調整ありがとうございます。

これは、壁が壊される前の西ドイツで作られたM400の旧バージョンと思っていて、日本で発売されたpelikan #500と同じものだとは思っていませんでした。#500は98年のペンカタログまで載っていますが、ヘロヘロニブのものは80年代に作られていたものと考えてよいのでしょうか?

実はこのペン、ペンクリ後もしばらくは書けていて、そのときはフワフワと気持ちのよい書き味でした。柔らかいニブということですけど、そう言えばペン先がおじきしていませんね。柔らかさとおじきとはどのような関係にありますか?
Posted by yamamoto at 2011年01月24日 22:37